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新しくなったMMD杯 中の人たちに詳しく聞いてみた

2011年06月23日 18時00分更新

 先日ついに開催告知がされた第7回MMD杯。今回からエントリー方法が変わったり、テーマの数が倍に増えたりと、どうやら今までのMMD杯とはちょっと違うらしい……。

 「なんでいろいろ変わったの?」ということで、MMD杯運営の広報担当cortさんに聞いてみましたよ。

第7回MMD杯

―― 今回、テーマの数が増えたのはどうして?

 今までは3~4個のテーマを設け、テーマ別に上位3作品を表彰してましたが、投稿参加者数の増加にともない、テーマ別上位作品の倍率を下げる目的で6つにしました。
 前回のMMD杯の投稿数を出して説明するなら、投稿動画399本の中から総合優勝、準優勝、敢闘賞、そしてテーマ別の優秀賞3本と合計6本の作品を表彰しましたが、今回はテーマが6つになったことで、総合上位3本とテーマ別上位6本、計9本の動画を表彰できることになります。
 そのほか、各テーマごとに部門賞もあり、こちらは必ずしも上位の動画だけが表彰されるものではありません。投稿参加者それぞれの感性で存分に力を発揮できるチャンスが増えることを期待しておりますっ!

―― なんか変なテーマが混じってる気がしますが……

 ただ増やすだけではなく、『ピタゴラ的装置』『縄文時代』といった「これ以外に考えられない……よね?」というピンポイントのテーマを取り入れることで、今までとは違うおもしろさを演出できればと思っています。
 ただし解釈は自由なので、たとえばテーマ5の『縄文時代』において投稿参加者が「コレが私の中の縄文時代だ!」と言い切れば、それはきっと縄文時代なのでOKですw
 僕も石槍つくってる最中ですし……って、縄文時代は石槍あるんですっけ? ……まぁ、ないとしても僕の中の縄文時代は石槍です。問題ありません。

―― そもそもテーマはどうやって決めるの?

 最初に運営メンバーで自由に出し合い、そこから削っていきます。このテーマからどんな解釈が産まれるか? というイメージを膨らませてメンバーと議論します。
 文字の見た目だったり、幅広い意味で使われる言葉だったり、知名度のある言葉だったり選考理由はさまざまです。

―― 今回のテーマを選んだ理由は?

 今回は、読み方の言葉遊びで、“ま”の連続です。最初に『魔』を持ってきたのは、ストレートに“ま”と読めるからです。そのあとに『間』『真』とならべれば、スグに「ままま」と連続してるのが理解できるだろうね、とw
 テーマ6の『M』はMikuMikuDanceのMでもありますし、MikuMikuDance開発者、樋口優氏の通称である樋口Mへの敬意も込めてます。

―― 「ままま」と続けたその心は?

 “ま”をローマ字で打つ時”M”を押すでしょ?w と、いうオチです。

―― ……お後がよろしいようでw 最後に、ユーザーへのメッセージなどあればお願いします。

 MMD杯運営メンバーたちも、投稿参加者であり視聴参加者でもあります。多くの方が楽しみ、いっしょにMMD杯を盛り上げていけるよう、僕たちMMD杯運営チームも同じ参加者として存分に楽しみながら運営させていただきたいと思いますっ!

 つづいて、今回から導入されるエントリー方式SKSS(すごいかもしれないシステム)の開発者ちゃーりぃさんにも話を聞いてみました。

第7回MMD杯

―― そもそもSKSS(すごいかもしれないシステム)とは?

 SKSSは、常識をくつがえすUMRSコンセプトと、NMMK思想に基づくシステム設計、そして待望のSTNB機能を搭載したシステムです。

―― えーと、言っている意味がサッパリわからないんですが……。

 要するに、ウェブページを利用したエントリーシステムによって、煩雑なMMD杯のデータ管理を自動化し、参加者や視聴者にとって有用なデータを提供できるMMD杯の運営支援用システムプログラムです。

 MMD杯では、マイリスト登録数をポイントとして上位入賞作が決定していますが、これまでは数百にもおよぶ参加動画(前回では399作品)の情報集約にたいへん多くの労力がかかっていました。
 総合順位については、公式マイリストを“マイリスト数が多い順”にソートすることで把握できますが、テーマ別での順位を確認するには、タグ検索によってフィルタリングするしかありません。しかし、ニコニコ動画の仕様で、タグ検索での動画一覧は再生数、マイリス数といった情報の更新は反映が遅れますし、何時何分時点での数字なのかもわかりませんので、締め切り段階での正確な順位を取ることはできないのです。

―― 今まではどうやって把握していたんですか?

 有志によるテーマごとのマイリストをソートして確認するというのが効率的な手段ではありますが、「漏れはないか?」、「別のテーマ作品が紛れていないか?」というチェックが必要でした。
 さらに、ニコ動のマイリスト登録数には上限500という壁が存在しています。前回で399作品という数の作品が投稿されており、近い将来500作品を超えるときが来ることを意識せざるを得ない状況で、これによってさらに集計作業が煩雑化するのは必至です。
 加えてMMD杯のルールのひとつに、『予選動画のマイリスト数から上限100をポイントとして、本選でのポイントに加算する』というのがあり……。

―― SKSSを導入することで解決できるんですか?

 SKSSにログインしてもらうと、ページの下にテーマを選択するボタンが表示されます。テーマを選ぶとキーコードが表示されるので、ニコニコ動画に投稿する際に動画説明文にそのキーコードを貼り付けてもらえば、MMD杯へのエントリーが完了して、再生数やマイリス数といったデータが自動集計されます。
 これがUMRS(営にっとせろ)コンセプトです。

エントリーする部門を選ぶとキーコードを生成してくれる
第7回MMD杯
ニコ動への投稿時に動画説明文に張り付けるだけでオーケー
第7回MMD杯

―― あ、日本語の略だったんですね。NMMKとかSTNBというのはどういう意味ですか?

 MMD杯の投稿参加者には、ニコニコ動画のユーザー名とは別に、“P名”と呼ばれる作者名を持っている人たちがいます。このP名は、動画視聴者がその制作者の作風から名付けられるのが通例ですが、これを歓迎する人がいる一方、P名で呼ばれることに違和感を感じる人もいます。
 動画の作者名は慣例として閉会式動画のエンドクレジットに掲載しますので、参加者ひとりひとりについて適切な作者名がなにであるか、運営の担当者が検討する必要がありました。
 この、「作者名は投稿参加者が望む形で掲載すべき」という考えが、NMMK(前とか違えるの弁)思想です。

 参加者名は投稿者自身に申告してもらうことがもっとも自然な形であると言えますので、SKSSの登録時に希望の参加者名を記載していただくことにしました。また、これによって複数の制作者による合作の場合、合作名やチーム名での参加にも対応することが可能になります。

第7回MMD杯
エントリーした動画が受賞した場合、“参加名”に登録した名前で表彰される。

―― 確かにこれなら運営がスムーズになりそうですね。

 運営にとって便利なのはもちろんですが、SKSSを導入することによって、1時間ごとの更新による数字の推移まで計測することが可能になります。このデータをMMD杯運営だけではなく、参加者や視聴者にも公開することで、システム化することの便利さを共有してもらおうと考えています。

 各種ランキングの掲載がひとつの大きな特徴ですが、特に『再生数上昇率ランキング』『マイリスト率ランキング』は、埋もれた良作(再生数が伸び悩んでいるけど、見られれば評価されるはずの動画)を掘り起こすことを目的としたものになっています。

 『再生数上昇率ランキング』は、1時間ごとの計測で前回の計測時と比較して大きく伸びた動画から順に表示されます。たとえば、「10万再生の動画が1時間で1000再生伸びた場合(=101%)」「1000再生の動画が1時間で200再生伸びた場合(=120%)」では、後者の方が上位に来ることになり、再生数が少なくても注目度の高い動画を見つけることができます。
 動画投稿のタイミングによっては、5再生⇒1000再生(20000%)というケースもあり得るので、入れ替わりの激しいランキングになると思います。

 また、再生数には恵まれていないけれど、高く評価されている動画の傾向として、マイリスト率(マイリス数÷再生数)が高くなる傾向にあるため、この数値もランキングに入れており、MMD杯の各種テーマごとに、これらのランキングをフィルタリングする機能を実装しています。

―― 一般のユーザーにもメリットがありそうですね。

 こうしたおもしろい動画を見つけるのに役立つ一連の機能が、STNB(加者にってもかなか便利)機能です。

 SKSSに登録していない方でもランキングの閲覧は可能ですので、ぜひ活用してもらえればと思います。
 MMD杯は、ふだんよりも多くの視聴数を見込むことができる大会と言えますが、参加動画数がどんどん増えていく中で、「もっと評価されるべき」と言える、隠れた名作動画が多数存在してきたことも事実です。こうした動画への注目度を少しでも高め、多くの視聴者にお届けすることが、ランキング掲載の大きな目的なのです。

 また、各動画の詳細情報ページでは、1時間ごとの計測の数値をグラフ表示で確認することができるほか、動画に関する評判をチェックできるツイッターコメント表示にも対応しています。

第7回MMD杯
ランキングに掲載されている動画の“詳細情報”をクリックすると、再生数やコメント、マイリスト数の推移といったデータがひと目で確認できる。

―― 結局全部日本語の略だったんですね。最後に、これからの予定やユーザーへのメッセージなどあればお願いします。

 まだ未完成の部分としては、レギュレーションチェックの自動化と警告メッセージの表示機能を実装予定です。第7回MMD杯の開幕(2011年7月29日)までには、デザインもより見やすく、機能もより便利なものとして完成させる予定です。
 6月いっぱいまでのテスト投稿を受け付けているほか、7月以降も閲覧可能ですので、ぜひ一度ご覧ください。

 と、こんな感じで新しい試みが盛りだくさんな第7回MMD杯。第2回以降、毎回サブタイトル的なものがついているMMD杯ですが、今回のサブタイトルは“Beyond the Future”です。ちなみに前回のサブタイトルは“BREAKTHROUGH”なわけですが、MMD杯にとっては今回の方がブレイクスルーなんじゃないかなと思うのはボクだけでしょうか?

第7回MMD杯
公式HP http://www31.atwiki.jp/mmdcup/
公式ツイッター http://twitter.com/#!/mmdcup
ニコニコ動画公式コミュニティ http://com.nicovideo.jp/community/co365910

予選動画投稿期間
7月29日(金)21:00~8月1日(月)21:00
予選マイリスト投票期間
7月29日(金)21:00~8月5日(金)21:00

本選動画投稿期間
8月19日(金)21:00~8月22日(月)21:00
本選マイリスト投票期間
8月19日(金)21:00~8月26日(金)21:00

第7回MMD杯 開催告知動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm14770600

SKSSテストページ http://charlieworks.com/skss/
SKSS紹介動画 http://www.nicovideo.jp/watch/sm14770647

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