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PRIVATE → お漫画 → | コラム | 02

パクリ談義

　他人のアイデアをそのまま頂いちゃう行為を総称して「パクリ」といいます。人によっては「パロディ」とか「インスパイア」とか「サンプリング」とか「オマージュ」とか「リミックス」とか「リメイク」とか、自分に都合の良い表現にかえちゃってる場合がありますが、いづれにせよ、その（参考にした）作品が存在しなければ作れなかったワケで、そういう場合私はアレコレ言い訳せずに「あれはナニソレのパクリです」と言い切っちゃうことにしています。

　じゃあ何をもってパクリと称するのか、パクリとオリジナルの境界線はどこなのか、とか訊かれても自分でもよくわかりません。読者がパクリだと判断すればパクリだろうし、作者が「拝借した」と自覚していれば、それもパクリです。岡田斗司夫氏が何かの本に書かれてたように「カルチャーなんかすべてサンプリングでできている」と言い切ることもできます。

　以前、ＮＨＫのある番組の中で、映画監督の押井守氏が自戒を含めて提示した「アニメ十戒（監督版）」の項目のひとつに「汝、あからさまに盗むなかれ」という一文がありました。どういう意味なのかと司会者が質問したところ押井監督は「パクりパクられという行為はこの世界では日常茶飯事です。つまり、本人に自覚があろうがなかろうが、何かモノを作ろうとする場合、作り手は無意識に過去（に影響を受けた作品）の体験をサンプリングしていることが多い」と答え、さらに「パクリ行為そのものは悪いとは思わない。但し、自分が楽をするためだけに、他人の作品を安易に頂いちゃう行為はモノを作る人間として最低だし、粋じゃない。」と発言しておられました。

　また、つい最近「もののけ姫」で渡米した宮崎駿監督が「あなたの作品のアイデアをディズニーが無断で借用している事実ついてどう思うか」という海外プレス記者（おそらく手塚治虫と勘違いしている）に対し「我々も過去に、良い作品を作るため積極的にディズニー映画を解体し研究していたことがあります。そして参考にするべきところは参考にし、納得いかないところは自分のやり方を見つけ出し新たなアイデアを提示してきました。我々はリレー走者みたいなものです。先輩から受け取ったバトンをいかに良質な状態で次の走者に渡せるか。時代風化し相手から受け取る価値がないと判断されたらそれまでですが」（すみません、資料が無いので正確じゃないです）と答え、ディズニーに批判的な記者を上手にあしらっていました。

　でも、宮崎監督がこのような発言をするようになったのは、ここ最近になってからのことで、それまでは「あの作品にでてくるロボットは○○にそっくりですね」とか「あのアイデアは○○がヒントでは？」のような質問をされると「ええそうです」と素直に認めつつも、その後すかさず「でもあの作品にも元ネタがあるんですよ！」の一言を忘れませんでした。おおまかな意味では前述の発言とさほど変わりませんが、「パクリ」を自覚していたぶん、多少うしろめたさがあったのかなと勝手に分析してます。

　じゃあお前は「パクリ」に対してどのくらい距離を置いているのか、どこまで自覚的なのか、というとコレが実に曖昧且ついい加減でして「そういう気分だったから・・」とか「本題に入るための掴み・・」とか「芸の幅を広げるために・・」とか、あまり景気の良い言葉が見つかりません。いや見つけちゃイケナイかもしれません。免罪符になっちゃいますからね。間違っても「インスパイア」なんて恰好良い言葉は使っちゃいけません。（すでに何回か使っちゃいましたが）

　が、実は「カッコ悪い私を自覚してる私」そのものが免罪符になっていたり。（キリがないですねこういう話は）

　前回のコラムで「スカタン天国の１４話は石ノ森章太郎先生の「ジュン」のパクリだ」と書きましたが、それは「セリフの無いストーリー漫画」という意味での「パクリ」であって、あの作品そのものが「ジュン」のパクリという意味ではありません。そもそも「ジュン」にはストーリーがありませんし、私自身も漫画の紹介コーナーに掲載されていた数ページ以外、読んだことはありません。ただ、「ジュン」は商業纂�蓿繙就�粮㏍芍��轣蛹≒鳫�笏蜿遐�竚癈鷭∂焜聨纃瘟赧漓�籬�㏍聽轣蛹就畄禪験絨綏弦号粤⊂桿轣蛹Γ蔚飴頏阡繝�籟鹿畩した初のサイレント漫画（？）ですし、当時自分がその作品の存在をすでに知っていた（ココ重要）なわけで、オリジナルかどうかときかれれば、敬意を含め「パクリっす」と答える以外にないと思うのです。この件に関し一部の読者の方にいらぬ誤解を与えてしまいました。要は「パクリ」という言葉の解釈の違いだとは思いますが、少々乱暴でした。ごめんなさい。

　逆にオリジナルにこだわりすぎると先に進めなくなってしまいます。漫画の知識だけがやたら多く、あれは○○がやった、これも○○がやったななどと、自分を追い込んでしまったがために作品が描けなくなった（あるいは描こうとしなくなった）知人を何人か知ってます。描けなくて当たり前なんです。バトンの受け取りを拒否しているのですから。いや、受け取った事実を認めようとしていないのですから。学校で習った国語で散々携帯メールを打ったり漫画を読んだりしながら「学校の勉強なんてクソの役にも立たない」とうそぶく小学生と同じです。

　なかには、いろんな先輩方からバトンを受け取りながら、「これはオレのオリジナルだ。真似すんな」と息巻いている方もおられます。とても乱暴な話です。いわゆる知的財産権・著作権とはまた別の次元の話です。ご了承を。

　セリフの無い漫画は実はいろんな方が描いておられます。だからといって月並みだとかオリジナリティがないからという理由だけで挑戦すらしないのはちょっと勿体ない話です。前回のコラムでも書きましたが、見ると描くとでは大違いなのです。いかに我々が普段登場人物のセリフに頼っているかをヒシヒシと感じることができます。と同時に「ここまでならセリフが無くても描ける」とか「セリフを入れるとかえって逆効果」とか「絵だけでは説明できない（読者に負担がかかる）」とか、自分の力量を含め、いろんな発見があると思います。

　ただ、これはあくまでも作り手側の勝手な事情における勝手な行為なので、本来、商業誌でやるべき事ではないかもしれません。読者の中には不快に感じる方も多いはずです。

　じゃあ北道はなぜやるのかといいますと「習作のための作品を描く時間的余裕がないから」であり「多少なりとも読者の反応を知りたいから」であり「担当サンが出張でいないから（ココ重要）」だったりするワケで、故に私利私欲、自分勝手、読者置き去りパターンなワケです。

気がつけばパクリ談義のはずがいつのまにか脱線言い訳モードに・・・。

反省はさておき今回はこれにて、尻すぼみで幕。（カッコ悪い私）

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