アーバン・ガーデン・ウォッチング

万博記念公園の日本庭園：上代の庭

前回に続き、大阪万博記念公園の日本庭園を紹介します。（行ったのは昨年１１月２８日です）

今日は、庭園の西の方にある上代の庭です。ここの日本庭園は庭園様式を時代別に展示？されています。その庭園様式別では一番古い時代の平安時代（８世紀から１１世紀）の庭園様式とされています。

平安時代の庭園というと寝殿造りの庭で、釣殿があって池には龍の頭の船が浮かびなどと想像してしまいますが、ここでは中国大陸との交流が進み、その影響を大きく植えて王朝文化が開花。庭園としては滝や源泉となる「やり水」などを中心に海をイメージしたとの事です。

ごろた石の州浜を見ると、江戸時代初期の京都仙洞御所の州浜を思い出してしまいます。紅葉の色が今ひとつですが、緑のなかに彩りを添えてくれています。景石のバランス、そしてその連なる姿が見どころの一つと言えます。

この庭へ行く途中にはこんな竹林があります。竹林の林床には黄色の花が点在。花が少ないこの初冬に花を楽しめるのが、このツワブキという植物。まだ仕事を始めた若造の頃は、このツワブキが嫌いで、造園家の荒木芳邦さんの作品で良く使われているところを見ると、「何でこんな植物を都会的な場所につかうのか？」という疑問を強く持っていました。しかし、この年になると？という事でしょうか、最近はこのツワブキの良さ、特にこの時期に咲く黄色い花をみると、「なかなか渋くていいな」と思うようになってきて、良く都会の庭にも使うようになりました。海岸の潮風の強い岩場などの厳しい環境のなかでも、負けずに育つ強い植物なので、都会の厳しい環境にも耐え抜く、そういった点でもお薦めの植物と言えます。

# by pennslanding | 2017-02-15 06:09

万博記念公園の日本庭園

昨年１１月に行った大阪の万博記念公園にある日本庭園をウォッチングしてみたいと思います。まずは庭園に入った正面にあるお庭から。

ここの日本庭園は庭園だけで26haの広さがあります。したがって、庭園は幾つかのゾーンに分かれていて、それぞれのゾーンは日本庭園の時代を代表する様式の庭園で構成されています。この正面の庭園は池泉回遊式という江戸時代の庭園様式でできています。池泉回遊式とはその名の通り、池を中心にその周りを歩いながら庭園を鑑賞し楽しむために作られた庭と言えます。向こうに見える築山は、池を掘った土を積みあげて作られるのがこの池泉回遊式庭園ですが、ここの場合はそれ以上のボリュームがあるので、おそらくは外部からの客土、あるいは元の地形に起伏があったかだと思います。

遠くに滝が見えますが、池へは流れによって水が導かれています。池の形はイレギュラーな形とすることで、流れが遠い山の奥から流れ込んでいるように見せることを意図したデザインとなっています。この池、上からみると漢字の心の字にも見えるようなイレギュラーな形、こういう池のことを心字池と呼びます。東京でも日比谷公園の中に心字池という池があります。

日本庭園というと、自然を模した、自然を圧縮したデザインで、人の手が入ったデザインを避けてるようにも思いがちですが、ここで見るように、刈り込みの中木や整えられた剪定の松と、対岸の自然の緑の対比も庭園の面白さとして見ることができます。

# by pennslanding | 2017-02-09 19:38 | 日本庭園

太陽の塔

オーストラリア、ネパールの紹介が続いたので、ここらで日本のウォッチングを紹介したいと思います。お伝えしたいと思っていて、ちらりと１回だけ紹介した大阪の万博公園を紹介したいと思います。数十年ぶりに訪れて、思った以上に良かったので、前からアップしようと思っていました。特に日本庭園が良かった。でも今日はその前に、岡本太朗氏の太陽の塔。

今見てもインパクト十分。昔、万博の時、私は高校１年生。その時はあまりこの太陽の塔の記憶がありません。というのも、当時はお祭り広場というイベント空間の真ん中の、しかも大屋根をぶち抜いての存在だったので、他のものの印象が強すぎたのかもしれません。テレビで当時の事を誰かが話していましたが、全体計画を担当した丹下健三とそのグループと岡本太朗一派がそれこそネクタイをつかみ合ってやりあった結果が、大屋根に穴をあけての太陽の塔になったようです。

太陽の塔だけをアップすると、アップにも耐えますね。万博時には、トップの黄金の顔の目の照明部分に過激派の人間が籠城して話題になりましたが、当時のノンボリの高校生には「何をやっているのやら」というだけでまったくアピールにはならず、むしろ太陽の塔が注目されるだけだったように記憶しています。

現在は周りの緑に囲まれてひっそりと、でもアピール力は十分の太陽の塔でした。周りの緑がメタセコイアなので、さすがに成長が早い。４０数年で高さは２０mにも成長しているでしょうか。このように広いスペースのところであれば、メタセコイア、センペルセコイアも良いですが、限られた都市の小さな広場には、将来の成長を考えるとあまりお勧めはできないと思います。（紅葉は良いけれど、落葉した葉っぱが小さいので、雨の時に排水溝につまってクレームの原因になる事も多くあります）次回はお勧めの日本庭園を紹介したいと思います。

# by pennslanding | 2017-02-08 18:51

12 3 4 5次へ >>>


	ファン申請 ※ メッセージを入力してください

アーバン・ガーデン・ウォッチング

万博記念公園の日本庭園：上代の庭

万博記念公園の日本庭園

太陽の塔

ファン申請