サイボウズ株式会社の中途採用情報
ニッポンの「働き方革命」を進める注目企業
働き方革命は1日にして成らず~足掛け10年で離職率を28%から4%に減らしたサイボウズに学ぶ「風土を変える技術」
「副業OK」や「リモートワーク」、「働くママのみならず男性社員も育休取得」といった制度の運用で、独自の“働き方革命”が進んでいることが多くのメディアで取り上げられているサイボウズ。
現在、約600人のメンバーが在籍し、離職率はわずか4%台となっている同社だが、2007年からの数年間、ちょうど業績が横ばいとなり始めたこともあって、製品戦略から組織づくりまですべてを刷新しなければならない時期があった。
サイボウズではこの時期を「大航海時代」と呼んでおり、その直前の2005年ごろは、社員の離職率は約28%にも上っていたという。つまり、現在取り上げられている諸々の変革は、約10年をかけて徐々に浸透してきたというわけだ。
その成果が、好調『kintone』に代表されるサイボウズの成長を支えるクラウドサービス『cybozu.com』であり、4%という低い離職率である。
では、この「変革の10年間」で、開発組織はどのように変遷してきたのか。2015年からグローバル開発本部の本部長として開発現場を統括している佐藤鉄平氏は、まさに変革の始まった2007年に新卒入社した人物。同氏のサイボウズでの歩みは、そのまま働き方革命の歴史でもある。
そんな佐藤氏に、新しい組織風土をインテグレートしていく上で大切なことを聞いた。
制度導入は手段の一つ。それ以上に大切なのは「風土を行動に置き換える」作業だ
離職率が20%台後半もあったところから約10年でわずか約4%まで減った理由として、冒頭で紹介したような制度を導入することよりも、「どう徹底するか?」という点で地道な取り組みが重要だったという。
その拠り所となったのは、自社の掲げるミッションだ。
「もともとサイボウズには『チームワークあふれる社会を作る』というミッションがありました。そんなミッションを掲げている以上、自分たちがチームメンバーの多様性を認めないわけにはいきません。副業やリモートワークといった制度の導入は手段の一つでしかなく、まずは自分たちのミッションを社内で形にするという理念が先にあったように思います」
佐藤氏が率いるグローバル開発本部は現在、約200人のエンジニアが在籍しており、製品開発は国内の東京・大阪・愛媛県松山市、海外は上海・ベトナムという複数拠点にまたがって行われている。他にも自宅など社外からリモートで開発に参加するメンバーもおり、「分散リモート開発」は日々当たり前のように進んでいる。
それを支えているのは、『kintone』や『Garoon』といった自社製品であり、ここにTV会議システムなども加えたリモート開発のベースとなる独自システムが築かれているという。しかし、佐藤氏によると、これらのツールを駆使することも「手段の一つ」であり、それ以上に重要なのは社員同士の気配り・心遣いであるという。
「例えばリモートで働くエンジニアにも平等にミーティングの情報がシェアされるようドキュメントを作成したりするような、細かな部分に差が出てきます。会議一つをとっても、その場にいない人がいることを前提に運営していく配慮が大事です」
また、リモート開発に取り組み始めたころ、離れた場所にいるメンバーの状況が分かりにくかったり、誰かに聞けばすぐに解決するような課題に独りで詰まっていたという問題が出てきたという。
そこで同社は、チーム内全員に『kintone』の社内ソーシャル機能である『ピープル』で現況をつぶやくことを推進。取り組んでいる課題がチーム内にシェアされることで、他のエンジニアから自然とヒントがもらえたり、チームに一体感が出るといった効果が得られるからだ。
「ちょうど私が入社した年に導入されたのが『選択型人事制度』。働く現場を選べるだけでなく、働く時間や働き方などを全9種類の中から選ぶことができるものです。会社を挙げて働き方を変えていくには、こういった制度を整えることも大事ですが、それと同じかそれ以上に大切なのが『風土を行動に置き換えること』なんです」
>> 補足資料:佐藤氏が作成したSlideshare「離れた場所でも最高のチームワークを実現する方法」
日々の改善活動が、社員から「自律」を引き出すトレーニングに
この「風土を行動に置き換える」という意味では、やはりマネジャー以上の肩書きを持つ人たちが率先して行うこと以上に効果があるものはない。
例えばエンジニアの成長意欲に応える「副業OK」の制度にしても、佐藤氏自身、勉強会やイベントへの出席や登壇、専門書の執筆など率先して副業に励んでいるという。
「社外活動で得られた知見は、エンジニア個人だけでなく組織にもフィードバックされます。私は、キャリアの幅を広げたいというエンジニアに出版社を紹介したり、勉強会やイベントへの参加や登壇を奨励しています」
そして、このような「行動による風土の具現化」をもっと業務に近いところで行う行為が、日々の改善活動なのだという。
2011年、サイボウズはそれまでにリリースしてきた主要プロダクトのクラウド化に舵を切った。それから現在に至るまで、エンジニアそれぞれが積極的な「KAIZEN(改善)」を進めてきた。
レガシー化したコードのリファクタリングやシステム上の課題解消だけに取り組む1日『KAIZEN DAY』を設けたり、現場のエンジニアから社内の制度・プロセスなどあらゆる改善ポイントを提案する『KAIZEN会議』などの制度を整えているという。
「僕らはエンジニアですから、『現状維持でいい』と思っているメンバーは少ないんです。それに我々の場合は、日々自社のプロダクトを自分たちで活用しているので、そこで感じる不便な点や課題を積極的にクリアしていこうとする姿勢が根付きつつあります」
組織や会社に“モノ言うエンジニア”が活躍できる現場づくり。それを実現することこそが、諸々の制度を形骸化させることなく維持・発展させる土台となるのだろう。
これを裏返せば、エンジニア個々の自発性をいかに引き出すかが重要であり、日々の改善活動がエンジニアからこの自発性を引き出すための「社員トレーニング」の役割も担っているわけだ。
この改善文化をさらに発展・強化させる意味でも、佐藤氏は今後の注力分野として、『cybozu.com』のアーキテクチャ刷新プロジェクトや、テスト~リリースの高速化を目的とした継続的デリバリーの浸透などを挙げている。
その上で佐藤氏は、サイボウズのような働き方革命が成就する条件として「風土・制度・ツール」の3つがバランスよく機能することと述べる。
「制度だけあっても、形骸化していたり機能していなければ意味がないことはよく知られています。この制度を経営トップが自ら積極的に活用するなどして、組織全体で企業風土を変えていこうという雰囲気に変わっていったこと。そして、リモートワークが当たり前という体制の中で自社のグループウェアをはじめさまざまなツールを駆使してきたことが、現在のサイボウズを支えているのではないかと思います」
「自由な働き方」や「労働時間の改善」といった事象ばかり脚光を浴びている働き方革命だが、それを成就するにはKAIZEN文化の浸透が必要不可欠なのである。
取材・文/浦野孝嗣 撮影/伊藤健吾(編集部)
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