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前チェスチャンピオンJosh Waitzkin氏は、コロンビア大学に戻り、以前の教授の講義を受けた。講義を担当していたのは、Waitzkin氏が「わたしの人生で最も重要な大学教授」と称するDennis Dalton教授であった。記事の内容はこうだ。
ガンジーの非暴力主義の誕生についての、心奪われる75分間のディスカッション中にFacebookを見ていたり、New York Timesをチェックしていたり、写真を編集していたり、何かを書いていたり、People誌を呼んでいたり、EbayやUrban Outfitters、J. Crewなどでジーンズ、ワンピース、セーター、靴といったものを購入していたり、ソーシャルカレンダーを整理していたり、GmailやAOLで電子メールを送受信していたり、ソリティアで遊んでいたり、他の講義の宿題をしていたり、AIMでチャットしていたり、Expediaでチケットを購入していたりする学生を見るうちに(信じがたいあまりにリストを作成してしまった)、わたしは次第に打ちひしがれていった。教室の後ろにいたわたしからは、インドの母親たちが集中砲火から逃れるため、いちかばちかで子供たちを深い井戸に投げ込む様子がDalton教授の鮮やかな説明によって描き出されるその間、目の前の女子学生がUrban Outfitters.comにクレジットカード情報を入力しているのが見えた。とうとう気に入った靴を見つけたのだ!
講義が終わった後、わたしはがっかりしながら電車で帰宅し、学生たちへの手紙をしたためた。手紙は翌日、Dalton教授によって配られた。その後、わたしは調査を開始した。残念なことに、わたしが見たのは例外的な事例ではなかった。米国中の教室が、マルチタスクウイルスに侵されている。教師は居場所を失っている。2008年はFacebookが米国の教室に進出した年だ。学生たちは、マルチタスクという彼らの世代特有の強化能力で流行を支えている。残念ながら、人間の精神は処理能力を大きく落とすことなしに複数の作業をこなせないというのが実情だ。