東京電力の海底土1月分データのまとめ-沿岸の海底土変動の理由-
東京電力の海底土の測定、1月の25ヶ所の測定は全て終了しました。
「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」に引き続きデータをまとめます。追記しても良かったのですが、長くなるので分けました。ですが、基本的には同じシリーズです。
最後まで読むと面白いことがわかりますよ!
1.アンケート結果
「海底土データの表示方法、どちらが見やすいですか?」のアンケートの結果ですが、当初のA、Bの選択肢になかった3番目の選択肢として、NHKスペシャルのように立体的に棒グラフで示す方法という意見が半数以上でしたので、今回はそれをメインにしてみようと思います。ツイッターなどで返信いただいた方も含めて、アンケートにご協力いただいた約50名の方、ありがとうございました。
細かい表示方法など、改善点の要望がありましたら、ぜひ遠慮なくご連絡下さい。対応できることは対応してみます。
2.これまでの東京電力HP流の表示
まずはこれまでの方法での表示による1月分の測定結果です。東京電力のHPでの表示方法と同じです。詳細は「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」をお読み下さい。
8月からのデータを1秒ごとに変わるアニメーションGIFにしてみました。これも、「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」での表示方法と同じです。
3.アンケート結果、見やすいという意見の多かった表示方法
さて、アンケートをとっている中で提案があり、描き方を学んだ立体棒グラフによる手法での表現を試してみます。これは上から30°の角度で見下ろしている描き方です。角度はパラメーターで自由に変えられます(GMTってすごい!)。
まずは8月分のデータです。Cs-134とCs-137の合計値を棒グラフで表示しています。この時の5-6号放水口北のデータは合計でセシウムが18300Bq/kgもあったのですが、このスケールでは書ききれないので、上限の5000Bq/kgにしています。実際にはこの約3倍の高さがあります。
以下、9月から順に並べてみました。
さて、これをアニメーションGIFにしてみるとどうでしょうか?さきほどのアニメーションGIFよりも視覚的にわかりやすいような気がしますね。誰もがすぐにわかるでしょう。同じ地点のデータが上がったり下がったりしているところがある!と。それはなぜなのでしょうか?
(クリックで別画面に拡大)
4.海底土データの分析の1例
では、こういう視覚的にわかりやすいツールを手に入れたので、久しぶりにデータの詳細を見てみましょう。
1/15のNHKスペシャルを見た方(見逃した方はこれをご覧下さい「1/15 NHKスペシャル 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~を見て」)は、海のホットスポットとかいう言葉に見覚えがあると思います。海底土の汚染は、陸上の汚染とは異なり、海流によって移動するのが特徴です。それが上のアニメーションGIFでも明らかになっています。
同じくNHKスペシャルを見た人は、沿岸流という言葉を聞いたことがあると思います。川から流れてきた水は、海水との密度差と地球の回転の効果から、北半球では右側、この場合では南側に流れる性質があるそうです(@tmiyamaさんありがとうございました)。
(1/15 NHKスペシャルより)
上の図では、相馬市よりも南のシミュレーション例しか出ていませんが、このような河口からの流れがあるとするならば、例えば一番北の測定地点である22番の地点。これは相馬市沖合3kmの地点ですが、すぐ北の宮城県側には阿武隈川の河口があります。上の図と同様にイメージすれば、下の図のように赤字で示す流れがあって、阿武隈川から流出してきた土砂に含まれるセシウムが、22番の海底に堆積するというのは容易に想像がつくと思います。
それでは、相馬沖合3kmの海底土のセシウム量(Cs-134+Cs-137)が増えた10/11と12/13の前には何があったか調べてみましょう。
阿武隈川からのセシウムの流出については、「12/1 阿武隈川で1日525億ベクレルが河口から海へのニュース(11/25)の発表及び報道について」でも一部取り上げましたが、1日525億Bqというのがニュースになっていましたからご存じの方も多いと思います。
通常、阿武隈川の河川の水にはほとんどセシウムは含まれていません。大雨が降って川の水が濁った時に運ばれる泥の中にセシウムは大量に含まれているのです。では、阿武隈川の下流付近である、宮城県亘理町の気象データ(10日=旬ごと)を拾ってきて、22番の相馬沖合3kmのデータと見比べてみましょう。
おわかりでしょう。9/21には台風15号で大雨で206.5mmの雨が降りました。また、一日あたりの雨量で見ると(リンク参照のこと)、12/3にも1日に30mmの雨が降っています。12月分の上昇が12/3の雨だけで説明できるかどうかは確かではありませんが、9月の台風15号以降、1日の雨量が30mmにも達したのは10/5-6と12/3だけです。10/5-6の雨の影響も10/11の前ですからその影響は10/11に出ていると考えると、大雨が降った数日後には、相馬沖合3kmの海底土のセシウム量が上昇している可能性が高いということが読み取れます。その後下がってしまうのは、海流でさらに南に移動して拡散してしまうからでしょう。
この関係は、もう少しデータを集めて検証する必要がありますが、沿岸流によって南側に海底土が流れて行きやすいとすると、福島第一原発の北側の海で時々異常にセシウム濃度が高くなる理由を説明するためには、現段階では一番有力な説明であると考えられます。
こうやって詳細に解析していくと、少しずつ海底土のデータも読み解いていくことができるのですね。今回は一番変動の激しい一例しか調べていませんが、以前から指摘があったように、沖合3km付近の海底土のセシウム濃度が高くなる理由は、付近の川からのセシウム流出ということで説明できる可能性が高くなってきました。
「海底土データの表示方法、どちらが見やすいですか?」のアンケートの結果ですが、当初のA、Bの選択肢になかった3番目の選択肢として、NHKスペシャルのように立体的に棒グラフで示す方法という意見が半数以上でしたので、今回はそれをメインにしてみようと思います。ツイッターなどで返信いただいた方も含めて、アンケートにご協力いただいた約50名の方、ありがとうございました。
細かい表示方法など、改善点の要望がありましたら、ぜひ遠慮なくご連絡下さい。対応できることは対応してみます。
2.これまでの東京電力HP流の表示
まずはこれまでの方法での表示による1月分の測定結果です。東京電力のHPでの表示方法と同じです。詳細は「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」をお読み下さい。
8月からのデータを1秒ごとに変わるアニメーションGIFにしてみました。これも、「東京電力の海底土の汚染データのアップデート」での表示方法と同じです。
3.アンケート結果、見やすいという意見の多かった表示方法
さて、アンケートをとっている中で提案があり、描き方を学んだ立体棒グラフによる手法での表現を試してみます。これは上から30°の角度で見下ろしている描き方です。角度はパラメーターで自由に変えられます(GMTってすごい!)。
まずは8月分のデータです。Cs-134とCs-137の合計値を棒グラフで表示しています。この時の5-6号放水口北のデータは合計でセシウムが18300Bq/kgもあったのですが、このスケールでは書ききれないので、上限の5000Bq/kgにしています。実際にはこの約3倍の高さがあります。
以下、9月から順に並べてみました。
さて、これをアニメーションGIFにしてみるとどうでしょうか?さきほどのアニメーションGIFよりも視覚的にわかりやすいような気がしますね。誰もがすぐにわかるでしょう。同じ地点のデータが上がったり下がったりしているところがある!と。それはなぜなのでしょうか?
(クリックで別画面に拡大)
4.海底土データの分析の1例
では、こういう視覚的にわかりやすいツールを手に入れたので、久しぶりにデータの詳細を見てみましょう。
1/15のNHKスペシャルを見た方(見逃した方はこれをご覧下さい「1/15 NHKスペシャル 知られざる放射能汚染~海からの緊急報告~を見て」)は、海のホットスポットとかいう言葉に見覚えがあると思います。海底土の汚染は、陸上の汚染とは異なり、海流によって移動するのが特徴です。それが上のアニメーションGIFでも明らかになっています。
同じくNHKスペシャルを見た人は、沿岸流という言葉を聞いたことがあると思います。川から流れてきた水は、海水との密度差と地球の回転の効果から、北半球では右側、この場合では南側に流れる性質があるそうです(@tmiyamaさんありがとうございました)。
(1/15 NHKスペシャルより)
上の図では、相馬市よりも南のシミュレーション例しか出ていませんが、このような河口からの流れがあるとするならば、例えば一番北の測定地点である22番の地点。これは相馬市沖合3kmの地点ですが、すぐ北の宮城県側には阿武隈川の河口があります。上の図と同様にイメージすれば、下の図のように赤字で示す流れがあって、阿武隈川から流出してきた土砂に含まれるセシウムが、22番の海底に堆積するというのは容易に想像がつくと思います。
それでは、相馬沖合3kmの海底土のセシウム量(Cs-134+Cs-137)が増えた10/11と12/13の前には何があったか調べてみましょう。
阿武隈川からのセシウムの流出については、「12/1 阿武隈川で1日525億ベクレルが河口から海へのニュース(11/25)の発表及び報道について」でも一部取り上げましたが、1日525億Bqというのがニュースになっていましたからご存じの方も多いと思います。
通常、阿武隈川の河川の水にはほとんどセシウムは含まれていません。大雨が降って川の水が濁った時に運ばれる泥の中にセシウムは大量に含まれているのです。では、阿武隈川の下流付近である、宮城県亘理町の気象データ(10日=旬ごと)を拾ってきて、22番の相馬沖合3kmのデータと見比べてみましょう。
おわかりでしょう。9/21には台風15号で大雨で206.5mmの雨が降りました。また、一日あたりの雨量で見ると(リンク参照のこと)、12/3にも1日に30mmの雨が降っています。12月分の上昇が12/3の雨だけで説明できるかどうかは確かではありませんが、9月の台風15号以降、1日の雨量が30mmにも達したのは10/5-6と12/3だけです。10/5-6の雨の影響も10/11の前ですからその影響は10/11に出ていると考えると、大雨が降った数日後には、相馬沖合3kmの海底土のセシウム量が上昇している可能性が高いということが読み取れます。その後下がってしまうのは、海流でさらに南に移動して拡散してしまうからでしょう。
この関係は、もう少しデータを集めて検証する必要がありますが、沿岸流によって南側に海底土が流れて行きやすいとすると、福島第一原発の北側の海で時々異常にセシウム濃度が高くなる理由を説明するためには、現段階では一番有力な説明であると考えられます。
こうやって詳細に解析していくと、少しずつ海底土のデータも読み解いていくことができるのですね。今回は一番変動の激しい一例しか調べていませんが、以前から指摘があったように、沖合3km付近の海底土のセシウム濃度が高くなる理由は、付近の川からのセシウム流出ということで説明できる可能性が高くなってきました。
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