世界中に、図書館を建てまくる男 社会起業家、ジョン・ウッド氏に聞く
スターバックス・コーヒーの出店ペースを上回るスピードで、世界中に図書館を建てまくってきた男。それが米国のNPO「ルーム・トゥ・リード」の創設者、ジョン・ウッド氏だ。2000年の設立以来、10年余りで建設した施設数は、学校約1600校、図書館・図書室約1万5000カ所に上る。
同団体はネパールを皮切りに、ベトナム、カンボジア、ラオス、タンザニアなど計10カ国で、図書館建設や児童書の寄付などの教育支援を行っている。年間の収益規模は約40億円(2011年度)。この10年間で、世界で最も急成長を遂げたNPOの一つだ。
マイクロソフトのマーケティング部門幹部の要職を捨て、同団体を設立したウッド共同理事長は、いかにして非営利の世界で驚異的な成功を収めたのか。著書『僕の「天職」は7000人のキャラバンになった』(ダイヤモンド社)の刊行を記念して来日した同氏に聞いた。
「2015年までに1000万人の子どもに教育を届ける」
――10年余りで約1万5000カ所の図書館を建設してきました。
大胆な目標を打ち出すことが、人々を引き付けることにつながります。言い換えれば、ビジョンがあるかどうかです。われわれは当初、「2020年までに1000万人の子どもに教育を届ける」という途方もない目標を打ち立てましたが、これを5年前倒しで2015年までに達成できる見通しとなりました。
「すべての子どもたちに教育を」というのは、誰もが共感できるわかりやすい目標。われわれは皆、教育を受けてきたおかげで、こうした場にいられます。共感が多くの資金を集め、ルーム・トゥ・リードの成長を推し進めてくれました。
また、ビジネスの手法で効率的な運営が行われていることも大きいです。間接費の比率は非常に小さく保たれており、寄付者(編集部注:ルーム・トゥ・リードでは、「出資者」という用語を使う)から集まった資金の多くを支援活動に注ぐことができています。
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