トンデモない一行知識の世界 OLD - 唐沢俊一の「雑学」とは -

一部で有名な唐沢俊一の一行知識に、ツッコミを入れたり派生トリビアを書いたり。
「愚かで分別のない人と思われたいなら、唐沢俊一のトリビアを引用しなさい。」

 
旧 URL は、http://diary.aol.com/yzuc9ww/507.html
文字列の一括置換をかけた都合上、旧ブログのコメント欄および2ちゃんねるのスレからの引用の中の URL も全部新 URL に置き換わっていますことを、あらかじめご了承ください
http://tondemonai2.blog114.fc2.com/ で続きの Blog をやっています
   
 

2008/6/14  1:54

似ているようで違う――サリンジャーとサレンダー  その他の雑学本 間違い探し編

『月刊ほんとうに怖い童話』 2008 年 7 月号
コラム 『唐沢俊一が選ぶアブナイ奇書』 の『ライ麦畑でつかまえて』の紹介。
ビートルズの元メンバーであるジョン・レノンを殺したマーク・チャップマン、
レーガン元大統領を暗殺しようとしたジョン・ヒンクリーなど、殺人犯たちの
多くが愛読書にしていたのが、ジョン・サリンジャーの青春小説『ライ麦畑
でつかまえて』である。
1951年の刊行以来、売り上げ総部数はアメリカで1500万部、世界全体
では6000万部に達したともいわれる世界的ベストセラーである。
ある日、突然大学生活がバカバカしくなり、テストの答案を白紙で出して
退学になった主人公ホールデン・コーンフィールド。

×ジョン・サリンジャー ○ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー
×ホールデン・コーンフィールド ○ホールデン・コールフィールド
×突然大学生活がバカバカしくなり、テストの答案を白紙で出して退学になった
○成績不振でプレップスクールを退学になった

『ライ麦畑でつかまえて』の作者 J・D・サリンジャーは、ジェローム・デイヴィッド・サリン
ジャー (Jerome David Salinger)。「ジョン・サリンジャー」と呼ばれることはない。主人公
の名前は、「ホールデン・コーンフィールド」ではなくて、ホールデン・コールフィールド。

主人公のホールデンは 16 歳。飛び級で大学に入るほど成績優秀ではなく、それどころ
か成績不振でプレップスクール (大学に入る準備をする学校) を退学させられる。まだ
大学に入っていないのに、「突然大学生活がバカバカしくなり」ようがない。

レーガン元大統領を暗殺しようとしたジョン・ヒンクリーなど、殺人犯たち」と、暗殺は
未遂で結局誰も殺してないジョン・ヒンクリーを「殺人者たち」に数えているのも変だし、
たった 2 人の名前を挙げただけで、「殺人犯たちの多くが愛読書にしていた」ことに
してしまうのもおかしな話だ。結局のところ、ベストセラーの小説に、殺人犯の愛読者が
1 人混じっていたというだけのことでしかないのに。

また、2ちゃんねるのスレへの書き込み (Read More 参照) で指摘されていたように、
ジョン・ヒンクリーの犯行に影響を与えたのは、『ライ麦畑でつかまえて』よりも『タクシー
ドライバー』の方だろう (ヒンクリーは売春婦役のジョディ・フォスターをストーキングして
いて、彼女の注意を引くために大きな事件を起こしたという)。


作者の名前と主人公の名前の間違いについては、「唐沢俊一 まとめ wiki - 間違い5
に、「作者と主人公の名前を両方とも間違えるなんてある意味すごい」と書かれている
が、まったくもってその通りである。

不思議なのは、「1951年の刊行」、「総部数はアメリカで1500万部、世界全体では6000
万部
」、「ジョン・レノンを殺したマーク・チャップマン、レーガン元大統領を暗殺しようとした
ジョン・ヒンクリー
」など、下記に引用する Wikipedia の「ライ麦畑でつかまえて」の記述
下敷きにしていると思われる箇所が多いのに、「J・D・サリンジャー」や「ホールデン・コー
ルフィールド
」、「ボーディングスクール」など、それを忠実に引き写さえすれば初歩的な
間違いを防止できたはずの箇所に限って、コピペしていないことだ。

http://ja.wikipedia.org/wiki/J・D・サリンジャー
>ジェローム・デイヴィッド・サリンジャー(Jerome David Salinger, 1919年1月1日 - )は
>20世紀のアメリカ文学を代表する作家の一人。ニューヨーク市マンハッタン生まれ。
>代表作『ライ麦畑でつかまえて』は現在でも新たな読者を獲得しつづけている。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ライ麦畑でつかまえて
>『ライ麦畑でつかまえて』(らいむぎばたけでつかまえて, 英:The Catcher in the Rye)
>は、J・D・サリンジャーの1951年発表の小説である。
〈略〉
>大戦後間もなくのアメリカを舞台に、主人公のホールデン・コールフィールドが3校目に
>当たるボーディングスクールの成績不振で退学させられたことをきっかけに寮を飛び出
>し、実家に帰るまでニューヨークを彷徨する3日間の話。
〈略〉
>若者の熱狂的な支持と体制側の規制は、アメリカの「暗部」の象徴としての役割を負う
>ことになった。ジョン・レノンを射殺したマーク・チャップマンも、レーガン元大統領を狙撃
>したジョン・ヒンクリーも愛読していた。現代においても、未だに禁書として扱われるとこ
>ろもある。
>〈略〉累計発行部数は全世界で6000万部、アメリカで1500万部を超え、2003年時点で
>も全世界で毎年25万部が売れるという。


http://www.amazon.co.jp/dp/4560070512
>『英語ペラペラキッズ(だけにじゃもったいない)ブックス』 より
>ホールデン・コールフィールド、16歳。プレップスクールを退学になったこの少年が、ひと
>りで巨大都市ニューヨークの街をさまよい続ける。


http://ja.wikipedia.org/wiki/マーク・チャップマン
>書籍「ライ麦畑で捕まえて」を愛読し、自分を「ライ麦畑―」の主人公「ホールデン・コー
>ルフィールド」と重ね合わせて(犯行当日(1980年12月8日)のチャップマンを取り巻く、
>人物や曜日がホールデン・コールフィールドの行動と一致する部分が多かったため)
>「何者か」になろうと銃を撃った。


http://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・ヒンクリー
>映画『タクシードライバー』を繰り返し見たヒンクリーは、映画の中で売春婦を演じた
>ジョディ・フォスターへの偏執的な憧れを抱く。フォスターがイェール大学に入学した
>とき、ヒンクリーは彼女の側に近づくためにコネチカット州ニューへブンに転居し、彼女
>の自宅のドアの下に自作の詩を書いたメッセージを挟み込んだり、繰り返し電話を
>かけるなどした。
>フォスターとの接触に失敗した彼は、飛行機をハイジャックし彼女の前で自殺して注意
>を引こうとする計画を考えた。結局彼は歴史上の人物として彼女と同等の立場になる
>ために、大統領の暗殺を企てる。


追記: 「似ているようで違う――失われた世代と打ちひしがれた世代」に続く。

http://love6.2ch.net/test/read.cgi/books/1212823815/153-

153 :無名草子さん:2008/06/10(火) 22:54:09
『ライ麦畑でつかまえて』の記事全文。

>ビートルズの元メンバーであるジョン・レノンを殺したマーク・チャップマン、 レーガン元大統領を暗殺しようとしたジョン・ヒンクリーなど、
>殺人犯たちの多くが愛読書にしていたのが、ジョン・サリンジャーの青春小説『ライ麦畑でつかまえて』である。
>1951年の刊行以来、売り上げ総部数はアメリカで1500万部、世界全体では6000万部に達したともいわれる世界的ベストセラーである。
>ある日、突然大学生活がバカバカしくなり、テストの答案を白紙で出して退学になった主人公ホールデン・コーンフィールド。
>なぜ彼は学校を飛び出したのか。なぜ彼は社会に対して、凄まじい疎外感を抱くのか。
>1950年代、繁栄の絶頂にあったはずのアメリカに生まれたが、人生に目標を失い、生きていく希望を持てなくなった世代、
>すなわちロスト・ゼネレーションたちにより、この本は“自分たちのことを書いた本だ!”という熱狂的な支持を受けた。
>自分たちが何をしようと、どうせこの世の中は変わりはしない。ならば、せめて人を殺すこと、有名人を殺すことで、この世界に、
>なんらかの足跡を残しておきたい……。ニヒリズムの極致のようなこの思想が、この本の中には秘められているという。
>事実、アメリカのいくつかの州では、この『ライ麦畑でつかまえて』は未成年が読むことを禁じられている悪書である。
>だが、本当にそうなのだろうか。邦名になっている『ライ麦畑でつかまえて』は、原題では「ライ麦畑の捕手」の意味である。
>主人公ホールデンは、麦畑で遊ぶ子供たちを見て、あの子たちが崖から落ちたら、下にいて、
>その落ちてくる子供たちを受け止めたい、という奇妙な想像をするのだ。
>すべての子供たちが、自分のように目的を見失う前に、それを救ってあげたい。ホールデンの本当の悲劇は、そんな、
>前向きな考えを持っているのに、それを実行に移す方法を知らないということだろう。作者は、そういう主人公のようになる前に、
>社会に目的を見いだすように、と読者に訴えかけているのだ。
>しかし現代では、すでに読者の多くは、主人公と同じく、人生に目標を失ってからこの本を手に取り、その喪失感を完全に共有し、犯罪に走る。
>悲しい運命に彩られているのは、実は「悪魔の書」といわれるこの本自体なのかもしれない。

154 :無名草子さん:2008/06/10(火) 22:59:35
>>153
いや……言葉を失うね。
ガセ、いい加減というだけでなく、ここから透けて見える唐沢俊一という人の思想と
いうか世界のとらえ方の貧しさに愕然とするよ。
唐沢俊一こそ、人生の目的を失い、ニヒリズムを気取り、パクリという犯罪的
行為に走ったその人じゃないか。ここでもまた勝手な自分語りをしてるんだな。

155 :153:2008/06/10(火) 23:24:42
まとめwikiでは、単純にガセを指摘しておくにとどめたけど、もう少し詳しく書いてみよう。
でも、書いていて思ったけど、まだガセありそうだな。
>事実、アメリカのいくつかの州では、この『ライ麦畑でつかまえて』は未成年が読むことを禁じられている悪書である。
ここなんかアヤしい。発表当時は発禁喰らったらしいけど、今でもそうなんだろうか。

まず、一番思ったのは、唐沢さんの文学的センスの無さ。
>作者は、そういう主人公のようになる前に、社会に目的を見いだすように、と読者に訴えかけているのだ。
こういう読み方ってどうなんだろう。読書感想文ならありなのかも知れないけど。
「ホールデンはかわいそうだなあと思いました」と書くのと大差ない。中学生だってもっとマシなこと書くよ。

>自分たちが何をしようと、どうせこの世の中は変わりはしない。ならば、せめて人を殺すこと、有名人を殺すことで、この世界に、
>なんらかの足跡を残しておきたい……。ニヒリズムの極致のようなこの思想が、この本の中には秘められているという。
「という」って誰の説なんだ。チャップマンやヒンクリーがそう考えたのかも知れないけど、それは『ライ麦畑』の内容とは関係ない。
それから、ヒンクリーは『タクシードライバー』を繰り返し観て、ジョディ・フォスターをストーキングしている。
作品の内容から考えて、『ライ麦畑』より『タクシードライバー』の影響を強く受けた、と考えるのが妥当じゃないかな。

あと、いちいち指摘はしないけど、文章がヒドい。
『ライ麦畑』を「アブナイ本」にしようとこじつけているせいで、流れがムチャクチャになっている。
まあ、それ以前に事実誤認があまりにも多すぎるんだけど。作者と主人公の名前を両方とも間違えるなんてミラクルすぎる。

ただ、唐沢さんはべつに『ライ麦畑』を誹謗中傷しようとしているわけじゃないと思う。
ただ単に理解できないだけで、にもかかわらず理解するための努力もしていない、きっとそういうことなんだろう。
ついでに言えば、『ライ麦畑』のような名作が実は「アブナイ本」なんだ!とウケを狙ったのもマズかったんじゃないかと。
いずれにしても、書評をするのはもうやめたほうがいいと思う。この人が朝日新聞の書評委員というのはあまりにも悪い冗談だ。


156 :無名草子さん:2008/06/10(火) 23:36:41
あまり本を読まない読者層を想定してるんだろうけどね。
疑古文調の文体で扮飾できない分、本来の文章力の貧弱さがモロに出てるな。

157 :無名草子さん:2008/06/10(火) 23:37:42
>>153
なに、この中身がないクセに升目を埋める為に適当な「らしい」言葉を並べただけの文章は。

朝日の書評をやっている他の人に、この文章読んでほしいね

159 :無名草子さん:2008/06/11(水) 00:10:03
>朝日の書評をやっている他の人に、この文章読んでほしいね

とりあえず、柄谷行人の意見が聞きたいね。


162 :無名草子さん:2008/06/11(水) 01:13:26
wikipediaは見ているようだ。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A9%E3%82%A4%E9%BA%A6%E7%95%91%E3%81%A7%E3%81%A4%E3%81%8B%E3%81%BE%E3%81%88%E3%81%A6


163 :無名草子さん:2008/06/11(水) 01:27:22
>>162
あれま。結構記述が似かよっているねえ。
でも Wikipedia の方はちゃんと「ホールデン・コールフィールド」になっている。
何でこういうところに限って、コピペしないんだろ。

164 :無名草子さん:2008/06/11(水) 01:43:14
ほら、ネットに書いてあるものと固有名詞が同じだと「ここからのコピペだ」と指摘されるので
オリジナリティを出したんだろ


166 :無名草子さん:2008/06/11(水) 05:59:15
Wikipediaを彼が書いた可能性もないわけじゃないな・・・。

167 :無名草子さん:2008/06/11(水) 07:08:04
ないない。そもそも編集法が分からないだろう。

168 :無名草子さん:2008/06/11(水) 08:01:26
つくづく思う。
バカは撃たれ強い。

まともな知性の持ち主なら自殺していたろう。

169 :無名草子さん:2008/06/11(水) 08:33:28
>>163
ウィキペディアだけ読んで適当に脚色したって感じだな。
その脚色ぶりが凄まじくズレてるんだが。



2008/6/14  9:11

投稿者:トンデモない一行知識
http://tondemonai2.web.fc2.com/

「原題では『ライ麦畑の捕手』の意味」というのも、そうかもしれな
いけれど、まさにその邦題の翻訳 (繁尾久訳) があることはスルーか?
と思いました。

題名の問題や、「ロスト・ゼネレーション」ではないだろ問題は、
続きの文章にかかるので、別エントリーでやる予定。

2008/6/14  6:56

投稿者:藤岡真
http://www.fujiokashin.com/

 そもそも、このライ麦畑とはロバート・バーンズの“Comin' Thro' The Rye”からきています。“Comin' Thro' The Rye”はなかにし礼が意訳していますが、あの「誰かさんと誰かさんが麦畑」の唄です。雑学王ならこのへんの薀蓄が欲しいところ。

   
 
HOME

 

 

inserted by FC2 system