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核戦争=世界大戦の危険につながりかねない「対中」日米同盟、NATOとの合同演習


世界大戦の危険につながる「対中」日米同盟
<記事原文 寺島先生推薦>
The US-Japanese Alliance Against China Risks World War 

クリストファー・ブラック 

Asia-Pacific Research, 2021年8月5日  
New Eastern Outlook 2021年8月3日
<記事翻訳 寺島メソッド翻訳グループ>
2021年8月13日

 

 2003年、私を含む数人の弁護士が北朝鮮の社会主義について学ぶために北朝鮮を訪れた際、1950年に共産党軍がソウルを制圧して米軍司令部を占拠した際に入手した米軍の文書を見せられた。その文書によると、北を侵略したのはアメリカとその傀儡である韓国で、その逆ではなかった。その目的は現地の共産主義勢力を潰して中国を攻撃することだった。彼らの計画は失敗し、アメリカの敗北に終わった。しかし、私が驚いたのは、1945年に終結した日米戦争の末期に韓国に残っていた日本陸軍の将校が、アメリカ人に助けと助言を与えていたことを示す文書があったことだ。二つの成長しつつある帝国アメリカと日本が太平洋で互いに戦争をした。しかし最終的には、敗れて占領された日本は、世界支配を目指すアメリカ帝国にすぐに合流した。朝鮮はアメリカへの日本の忠誠心を示す最初の証拠となった。この忠誠心は、日本が敗れたからというだけでなく、アメリカの資本と日本の資本が、中国の征服と搾取という同じ利益を持っているからこそ、日本から容認されたのだ。

 7月6日、日本の麻生太郎副総理は自民党の会合で、台湾は中国の不可欠の部分であることから、その権利があるからと言って、中国が台湾を支配しようとする行動をとった場合、中国のそのような行動は「日本の存立危機事態」であるため、日本は台湾を防衛すると述べた。

 「もし大事件が起こったとしたら、それは日本の存続を脅かす事態に関連していると言ってもいいでしょう。そうであれば、日本とアメリカは一緒に台湾を守らなければなりません」。

 なぜ、それが「日本の存立危機事態」になるのか、彼は説明しなかった。

 彼が日本の首相の意図を代弁したことは明らかである。台湾における中国の行動に干渉することは、中国への侵略であり、自衛隊が攻撃的な行動をとることを禁じた日本国憲法に違反し、国連憲章にも違反することは明らかである。

 これに対して中国は、中国が台湾を掌握したときに日米両国が干渉しようとすれば、これを打ち破る用意があると何度も表明している。そして、アメリカや台湾のすべての行動は、中国がそのことをするよう挑発している。アメリカは、この地域で単独で干渉するには十分な力がないことを認識しており、イギリス、フランス、ドイツ、そして常に熱心なオーストラリアを誘って、アメリカと日本の計画を支援するために南シナ海に海軍を派遣している。第二次世界大戦で大日本帝国と敵対した4カ国が、日本と結託して再び中国を攻撃し、第二次世界大戦で日本の同盟国であったドイツが再び世界に力を行使しようとしているのは、何とも皮肉なことだ。中国人は、1930年代から40年代にかけて日本に侵略され、占領されたという長く苦い記憶を持っているが、韓国人も同じように日本に占領されたという苦い記憶を持っている。 

 1945年にドイツと日本でファシストと軍国主義者が敗北したのだが、それは、ファシストと軍国主義者の最終的な敗北ではなかったことを今、私たちは理解している。というのも、この2つの国と戦った幾つかの政府の内部には、ナチスがソ連で共産主義を潰し、日本が中国で同じことをすることを望んでいたファシスト分子がいたからである。それどころか、ファシズムを支持または容認し、利益を増やすために帝国主義に依存していた世界の資本家分子は、すぐに再編成され、ワシントンの極右派に導かれて、NATO軍事同盟を作り、ソ連への攻撃を続け、現在はロシア、中国、その他の独立国への攻撃を続けている。彼らは今、違う服を着ているが、ナチスや日本の軍国主義者と同じ嘘とプロパガンダのテクニックを使い、中国やロシアに対する次の戦争の準備をしている。

 7月30日、中国政府は英国政府と英国の新型空母「クイーン・エリザベス」を中心とする海軍機動部隊に対して、我が国の領海から離れなければ、報いを受けるだろうということを、警告しなければならなかった。しかし、その一方で、アメリカとフランスは、ハワイ近郊で数十機のアメリカのF22とフランスのラファールによる軍事演習を行い、フランスはタヒチで軍備を強化している。一方、アメリカはF35を含む爆撃機や戦闘機の艦隊を、グアムの大きな基地から小さな基地に分散させた。というのは、グアムであれば、それらの艦隊を中国が迅速に破壊できるからだ。その分散によって、中国はそれらの航空機を破壊することが、より困難になる。このような分散は、通常、戦争が進行中または差し迫っている場合に見られるものだ。

  同時に、ドイツはアメリカと日本を支援するために南シナ海にフリゲート艦を派遣することを発表し、アメリカは今週、台湾海峡にさらに多くの船を派遣した。このようなすべての状況を、軍事力をひけらかすことだと思う人もいるかもしれない。しかし、それは非常に多くの軍事力であり、軍事力をひけらかす以上のことを彼らはしているのだ。

 ドイツの映画監督であるハンス・ルディガー・ミノフは『ドイツ外交政策』という本の中でこう述べている。

 「西側の軍事演習が強化され、戦闘任務の集中が見られているという今の状況が示している現実は、近い将来に米中戦争が起こりうると予測している米軍高官の予測と一致している。例えば、最近、NATOの前欧州連合軍最高司令官(SACEUR)のジェームズ・G・スタブリディス退役軍人の予測によれば、「我々の技術、同盟国のネットワーク、地域の基地は、まだ中国を凌駕している」が、「早ければ10年後には」、少なくとも「南シナ海」では、中国は「米国に挑戦できる立場になるだろう」とのことだ)。スタブリディスは最近、2034年にアメリカと中国の間で起こる架空の戦争を描いた小説を出版した。その一方で、彼は「この戦いに備えるために2034年までもたないかもしれない、もっと早く来るかもしれない」と考えている。彼の軍の同僚の中には、「2034年のことではなく、もっと早く、もしかしたら "2024年か2026年 "にも大きな戦争が起こるかもしれない」と予測している人もいるようである。

 (ルディガー・ミノフの記述はここまで)

 しかし、戦争を求めているのは中国ではない。では、誰がこの狂気を後押ししているのか?西洋のプロパガンダ機関は、軍産複合体の一部であり、その数は膨大である。しかし、最悪のもののひとつは、ハドソン研究所だ。ハドソン研究所は、ランド研究所出身のハーマン・カーンが1961年に設立したもので、彼は核戦争ゲームをしたり、戦争で核兵器を使用する可能性について理論的に説明したりしたことで有名だ。ハドソン研究所の現在の指導者と会員には、マイク・ポンペオやセス・クロプシーなどのファシストや、さまざまなアメリカ政府の政権や米軍機構に勤務していた多くの人々が含まれている。

 セス・クロプシーの経歴にはこうある。

 「米国国防総省でキャスパー・ワインバーガー国防長官の補佐官としてキャリアをスタートさせ、その後、ロナルド・レーガン政権とジョージ・H・W・ブッシュ政権で海軍副次官を務めた。海軍で彼が携わったのは、国防総省の再編成、海洋戦略の策定、海軍の学術機関、海軍の特殊作戦、NATO同盟国との負担分担に関する内容であった。ブッシュ政権下では、国防長官室(OSD)に移り、特殊作戦・低強度紛争担当の国防副次官補の代理を務めた。1985年から2004年までは海軍士官として勤務していた」。

 「1982年から1984年にかけて、ボイス・オブ・アメリカ(VOA)誌でポーランドの連帯運動やソ連の反体制派への対応などに関する編集方針を指揮した。2002年には米国政府の国際放送局の局長として外交に戻り、同局を監督してイスラム圏へのラジオ・テレビ放送の拡大に成功した」。

 (クロプシーの経歴はここまで)

 つまり、彼は長年にわたる反社会主義者のプロパガンダであり、戦争犯罪者なのである。

 クロプシーは、ワシントンの出来事を伝える米国の右翼誌「ザ・ヒル」に掲載された「Japan Signals An Opening for US in Countering China(日本は中国に反撃を始めることを米国に合図した)」という記事の中で、中国が台湾を支配しようと行動した場合、日本は台湾を支援するという麻生太郎氏の発言を称賛し、中国は「世界支配」を目指していると主張し、近い将来、米国との戦争が起こると予測している。

 さらに、日本の外交・軍事政策が「決定的に変化した」とし、日本の攻撃的行動を禁ずる日本の憲法を否定し、中国に「対抗」するために日本が軍事力と支援を強化するよう彼は求めている。 

 彼は以下のように書いている。

 「台湾を守るのは難しい提案だ。中国人民解放軍は、“第一列島線“において最も強力であり、特に台湾周辺には海・空・ミサイル部隊が集中している。台湾を防衛するためには、米国とその同盟国は、中国のミサイル射程内で活動しなければならず、米国の戦闘力が依存する高価値の資本資産である兵器を危険にさらすことになる」。

 「しかし、日本とアメリカはともに重要な潜水艦艦隊を守備につけている。日本の小型で静かなバッテリー駆動の潜水艦は、アメリカの大型の原子力攻撃潜水艦の有効な相手役だ。潜水艦は、中国が台湾の制海権・制空権を獲得するために使用するミサイルの影響を受けない。高速艇による十分な機雷攻撃と、移動式の地上発射対艦・対空ミサイルの強固なネットワークに支えられれば、日米の潜水艦の増派は、中国人民軍の台湾侵攻を撃退することができるし、少なくとも中国が期待する既成事実を妨げることができる。

  このような戦略的現実を踏まえれば」。

  彼は、「戦争に備える 」ために、アメリカと日本、フランス、イギリスなどの同盟国との間で、より多くの軍事演習を行うことを求めている。そして、彼は「戦争を抑止するためには、戦争の準備が不可欠」という嘘を付け加える。彼が本当に意味していることは、戦争をするために戦争への準備をしているということだ。

 世界の平和と理性の力は、これらの戦争準備を全世界にとっての危険として糾弾しなければならない。中国への戦争は、ロシアやその他の国々を巻き込み、世界大戦、核戦争、そして人類の終焉へとつながるからだ。私たちはこれらの犯罪者を糾弾し、国際刑事裁判所の検察官にアメリカに警告する行動を取るよう要求し、裁判所の裁判権の及ぶアメリカの同盟国の指導者を、セス・クロプシーのような宣伝者を、そして侵略、最高の戦争犯罪、狂気の最終行為を犯すことを共謀している残りのすべての人々を起訴しなければならない。なぜなら、中国との戦争は人間ドラマの最終行為になると私には思えるからだ。急激な気候変動によって私たちが終焉するのを待たなくとも。

 しかし、国際司法裁判所はこれらのことについて何も言わず、国連安全保障理事会は無力化されている。では、犯罪者とその戦争に異議を唱え、もう十分だと言うことができるのは、私たち民衆以外に誰がいるのか。しかし、私たち民衆には何ができるのか?抗議したり、嘆願したり、手紙を書いたり、叫んだり、泣いたり、私が所属するカナダ平和会議のような平和団体に参加したり、できることは何でもして下さい、ボブ・マーリーが呼びかけたように立ち上がり、そしてジョン・レノンが求めたように、「平和にチャンスを与えて下さい」。

 クリストファー・ブラックは、トロントを拠点とする国際刑事弁護士。注目を集めた多くの戦争犯罪事件の訴訟で知られ、最近では小説「Beneath the Clouds」を出版した。また、国際法、政治、世界の出来事に関するエッセイをオンラインマガジン「Ne w Eastern Outlook」を中心に執筆している。 


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