たにみやんアーカイブ(新館)

音楽について何か話をするブログです

lyrical schoolのライブがいよいよすごいのでその魅力を本気出して考えてみた

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またリリスクの話かよ!と思われるかもしれないけど、前回のブログを書いてから2ヶ月で彼女達のライブがまたすごい方向に進んできていると思うのでその点について今日は書きたい。あの記事を書いて以降、都内のライブハウスであった対バン(アウェー含む)にはほぼ全部行ったんだけど、どれもすごく盛り上がってるしとにかく楽しい。しかも毎回毎回成長・進化していて独特のグルーヴ感が出てきていると思うんだけど、ただ「楽しいよ!」とかそういうのではあまり伝わらなそうな気がしたので、深掘りして考えてみたい。

●リリスク=ウータン・クラン!?予測不可能なライブの楽しさ

今のところYouTubeに上がっている最新のライブ映像は9月10日のアイドル甲子園出演時のものなので、これを素材にして話をしたい。全部見ると25分くらいあるから最初の3曲(10分)でもいい。

まず、ラップしながら踊る曲とそうでない曲が分かれて来ている。具体的には夏休みのBABY以前のリリスクの曲は踊り、その後にできた曲とtengal6時代の一部の曲は踊りはほぼ入ってない。そして従来からの曲は随分と踊る部分を減らしているものが多いがその分踊る所はキビキビと踊りメリハリをつけている。しかし踊らないからといって突っ立ってる訳ではなくあちこち動き回ってお客さんを煽ったりレスしたり他にも色々なんかしてるわけ。その煽りやら立ち回り方が面白くて目がいっちゃうのだ。

メンバー同士で抱き合ったりいちゃついたりとかそういうのはもちろんながら最近はプチ寸劇みたいな動きをしたり途中でバナナを食べたり食べさせたり食べさせようとして断られたりしている。温泉の宴会場でライブした時はラムネを一気飲みするわ座布団を積み上げてその上で正座してラップするわでやりたい放題(余談だがこの湯会のライブは現体制ベストライブの一つだ)。わざわざ小道具を持ち込んでいるあたりツッコミどころだと思うのだけど、メンバーが楽しそうにライブをしている姿もさることながら予測不可能なメンバーの行動が独特なグルーヴ感につながっているのではないかとも思えてきてしまう。いいぞもっとやれ。

新体制が動き出してから半年で、メンバーの個性もパフォーマンスに強烈に表出されるようになってきた。それもものすごくはっきりと。まるで、彼女たちが和製ウータン・クランなんじゃないかという気すらしてしまう(ちなみにソニーミュージックのWebサイトに残ってるウータン・クランのプロフィールは妙にエッジが立っていて面白い)。

なので、早速個々の魅力的なメンバーについて紹介していきたい。

●炸裂するメンバーの個性とフロウ

メンバー紹介する前に。himeはトークイベントで今のリリスクのライブは楽屋の雰囲気をそのまま持ち込む感じでやろうとしていると話していた。つまりメンバーの素のパーソナリティが反映されるようなステージングになっているということだ。それを踏まえた上でここからのメンバーごとのレビューを読んでいただきたい。

●risano

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5月から加入した3人の中で、パフォーマンス面で最も目立っているのは彼女であるということに異論を唱える人はいないだろう。オーディエンスをガンガン煽り、英語で曲コールしたり色々セリフを挟んだり(たまにお昼ご飯に何を食べたかも英語でそれっぽく言う)、その抜群のダンス能力で合間合間にソロダンスを披露したり。彼女の特徴を一言で表すなら「ファンキー」だ。むき出しのパフォーマンスをガンガンぶつけてくる彼女。ロサンゼルスに2年半暮らしていたこともあり、英語はもとより全体的にブラックミュージックが染み付いているかのようなフロウを繰り出してくる。今のメンバーは全体的にキーが高い中で唯一の低音ボイスなので曲に安定感を与えてくれる。すんごいパフォーマーだよ、りさの先生。

●hinako

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hinakoはかわいい。超かわいい。いや僕がhinako推しだから言っているのではなくて、ライブにおける所作が何やってもめちゃくちゃかわいいいのだ。たまに変顔みたいなことしたりシーンによってはマジな顔になるけど基本的には笑顔。かわいいとお茶目のスキルが限界突破していて、まさに天真爛漫。risanoとはまた別のベクトルで破天荒でライブ中に色々アドリブでメンバーにいたずらしたり甘えたりおちゃらけたりする。その全てがかわいくて、見るとついつい笑顔になってしまう。ほんと目が離せないのです。そんな彼女は「3度の飯よりディズニーが好き」で、テレビでよく見る芸人のギャグを真似したりするのが好きな普通のかわいい女の子だ。ある意味リリスクの初期コンセプトである「ラップをしたことのない素人の女の子がラップする」の体現者ともいえる。そんな中でもラップスキルはめきめき向上してきているし、あと「プチャヘンザ!」のサビ前、「サマーファンデーション」の大サビのような胸キュンフレーズをやらせたら右に出るものはいない。あれは練習とかでどうにかなるものではなく、天賦のアイドル性と言っていいのではないか。「アイドルラップ」の「アイドル」要素を牽引するリリスクのカワイイ・リーサル・ウェポン、それがhinakoだ。

●yuu

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映画とペンギンが大好きで服装がめちゃくちゃガーリーなサブカル女子のyuuはその声質も相まって「夢見る女の子」みたいなキャラや「寂しがる女の子」みたいなキャラを仮託されることが多く、楽曲にオンリーワンの味わいを加えている。独特な浮遊感と芯の強さを兼ね備える彼女はlyrical school の「lyrical=叙情的」な部分を一身に負う存在とも言える。彼女の歌唱でしか表現できないことはたくさんある。「(GET AROUND!)TOKYO GIRLS!!」の歌メロをはじめ、高いキーを背伸びして歌い上げるところがキュンとくる。そしてダンスをはじめ一つ一つの所作がとても丁寧。risano&hinakoが本能型だとしたらyuuはとても理性的な存在で、グループのパフォーマンスに落ち着きを与えている。 

●minan

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minanについて話す時に欠かせないフレーズは「カッコいい」であり、実際にステージ上の姿はカッコいいので女の子のファンも多いのがminanさん(ただしこれは強調しておきたいのだけどステージの外ではめちゃくちゃかわいい)。しかしその雰囲気は一朝一夕に身につけたものではない。最近はhimeと「1日30個韻を踏もう」とトレーニングに励んでいる(hime談)とのこと。そのストイックさが人を引きつけて離さないあの凛とした歌唱に表れているのではないか。音程・声量共にとても安定したminanの歌唱があるから、各メンバーは冒険できる。まさに、minanあってこその今のリリスクなのだ。

●hime

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かつて所属していたライムベリーでのキャリアもあってアイドルラップといえばみたいな言われ方をすることもままある彼女だけど、物心ついた時から今まで熱心なヒップホップリスナーであり、今も旬なラッパー・ヒップホップクルーのライブに足繁く通っていてKANDYTOWNに憧れていることはそんなに知られてない(と思う)。今のライブスタイルを提案したり、色々アイディアを出したりで「かっこいいことしかやりたくない」と言ってはばからない彼女はかっこいいラップからかわいいラップまでこなせるオールラウンドプレイヤーだ。himeがラップを始めると会場のボルテージが明確に上がるのが体感できる。かつては渡された仮歌そのままでラップしていたが今はほとんど聞かないで自分自身のフロウを出そうとトライを続けているとのこと。そう、もちろんhimeも今まさに成長を続けているのだ。

改めて見ると、ほんと個性的。そして重なってるところが少なくてバランスが良いなあと思う。

●楽曲面での変化

メンバーについてたっぷり話したところで次は曲の話。リリスクが今の5人になってから作られた楽曲は下記の8つ。

  • 夏休みのBABY(7/18リリース)
  • Concrete Jungle 〜Boy Meets Girl〜(7/18リリース)
  • つれてってよ(12/19リリース予定)
  • CALL ME TIGHT(12/19リリース予定、未発表)
  • (GET AROUND!)TOKYO GIRLS!!(リリース未定)
  • I.J.(仮) (リリース未定)
  • NOW!(リリース未定)
  • DANCE WITH YOU(リリース未定) 

始動から半年で8曲作られ既に7曲がライブで既に披露されている。特に10月の自主企画の時はこれら7曲でライブの殆どが構成され、これより前に作られた曲は殆どショートバージョンでフルに披露されたのは「photograph」だけだった。ヒップホップはやはり演者のパーソナリティと不可分である面が強いのでガンガン新曲出して今のメンバーに楽曲をアジャストさせていくことは必要だと思うのでこの動きは好ましく思ってる。「プチャヘンザ!」や「FRESH!!!」のようなキラーチューンが欲しいなと思ってるんだけどどうやら「DANCE WITH YOU」がそれに該当しそう(この曲、びっくりするほど良い)。しかしながら4曲はCDリリース未定ということなのでライブに来ないと聴けない。これまたレア感があるぞ。

楽曲の特徴という面ではどんな感じかというとまず各メンバーの担当割りがそこそこ長めになっている。初期楽曲に近いとかメンバー変わったから一からみたいな要素よりも、単純にメンバーごとのフロウを聞かせたいみたいな意図の方が強いのではという感じもする。おそらくダンスを減らしているのもその辺の意図とリンクするところではないかと推察される(何せ踊りながらラップするということはとても大変だ)。何事もバランスであり今はこうするのがよいと思ってラップ重視にしている、ということだと思うけど各人の飲み込みの早さや個性の確立が想像以上に早かったので相当面白いことになっているのではないか。

楽曲制作陣は昨年のアルバム「guidebook」でも製作陣の中心であった泉水マサチュリー(WEEKEND)・大久保潤也(アナ)が引き続き大半の楽曲を書く体制になっており、他にも坪光茂樹・高橋コースケなどおなじみのメンツが時折提供、という感じだ。以前は様々なミュージシャンから提供を受けていたが新体制のスタートにあたっては気心と統一感を重視したのだろう。バンドサウンド+サンプリングで割と聴きやすいトラックが多い。

そんな中で異彩を放っているのが「(GET AROUND!)TOKYO GIRLS!!」。どちらかというとハードコアタイプの楽曲なのだけど、タイトな楽曲でありながらかわいらしさやはしゃいでるような感じをキープした絶妙な塩梅の仕上がり。この曲は今のリリスクによる「女の子たちの成り上がり物語」の開幕宣言と捉えている。これまでに僕はリリスクの楽曲と「日常」の結びつきについて何度か話をしてきた。それが完全になくなったとかまでは言わないにせよメンバーが変わったことを機に新しいモードに移行しているんだなというところを感じさせる。

●ライブハウスでのリリスクは最強である

リリスクのライブ、今だとニューシングルリリース前なのでいろいろなところで週末インストアライブをやっている。ただ、僕は是非ともライブハウスで見ることをお勧めしたい。なにせ「(GET AROUND!)TOKYO GIRLS!!」や「DANCE WITH YOU」などのビートがめちゃくちゃ増幅されてドープな感じになる。メンバーの気合も入ってるし、とにかくライブハウスでのリリスクのライブは毎度マジックが起きている。特に10月の自主企画「MY DATE」は嵐のような激しさだった。リリスクの楽曲ってBPM100〜120くらいでそんなに早くないしわかりやすいファストラップみたいなこともしていないわけだけどそれでも爆発的な盛り上がりを生むことができるんだってことを是非とも体感してほしい。直近だと11月5日に対バン企画「MY DATE」、12月9日に名古屋で企画ワンマン、12月16日の恵比寿リキッドルームでのワンマンライブがある(12/3の矢口真里主催やぐフェス出演もあるが、キャパシティがブッキングに見合ってなくてチケット争奪戦なので置いておく)。

「今のリリスクはこんなにすごいんだぞ」ということをひたすら書いてきたけど、なぜここまで長々書いてきたかというと今のリリスクがめちゃくちゃ良くなっているということがかつて見ていた人達含めあまり知られていないんじゃないかと感じているからだ。すんごいもったいない。見れば間違いなくわかる。見にいらっしゃい。おいでよ。