2008-11-21

青色回転灯は国際基準の夢を見るか

asahi.com(朝日新聞社):防犯のシンボル使えなくなる?青色回転灯、基準改定で - 社会によると、防犯パトロールの車に特例で認められている青色回転灯が使えなくなるのだそうです……違うじゃん。使えなくならないじゃん。

2009年1月1日以降に登録された新車では、新しい基準に適合しない古い回転灯を使うことはできない。なので、それ以前に登録された車であれば古い回転灯も使えるし、新しい基準に適合したものを用意すればまったく問題ない。記事のどこを読んでも、使えなくなるなんてことは一切書いてないのに、見出しは「使えなくなる?」というのはどういうことなのでしょうか。

さらに、記事中にも出てくるパトライトによれば、この記事で問題としている改正は平成13年6月……ええと、2001年です(外部突起規制とは|お客様サポート|株式会社パトライト)。国土交通省のホームページを探してみましたが、なぜかないのでwayback machineから自動車装置の相互承認の対象に10品目を追加! ということで、確かに平成13年6月30日となっています。平成21年1月1日以降の新車から適用、というのは探し方が悪いのか見つけられませんでした。

がんばって探してみた

2009年1月1日以降の根拠になっているのは道路運送車両の保安基準第2章及び第3章の規則の適用関係の整理のため必要な事項を定める告示第15条(PDF)のようです。関係する規定などは以下のような感じでしょうか。

私もそんな基準改正知りませんでしたが

国土交通省の報道発表にもあるとおり、国際基準を導入した結果なので記事中の「国に横やりを入れられている感じだ」は的外れです。また、基準の導入が決まったのは2001年で、防犯パトロールの青色回転灯が認められたのは2004年ですから(自主防犯パトロールに使用する自動車に青色回転灯を装備する場合の取扱いについて 12月1日から運用を開始します)、じゃんけんで後出ししたのに負けてしまいました、というのが正しいようにも見えます。メーカーの対応が遅くて後出しでも負ける手しかなかったという事情もあるようにも思いますが(外部突起規制対応製品|お客様サポート|株式会社パトライト)、そういう観点で考えると、どうしてメーカーじゃなくて国が叩かれているんだろうか、というか、お役所がメインのお気楽商売だから先手打って基準先取り! 安全重視ですよ! ってアピールなんかしなくてもぜんぜん困らないしそれでよかったんですよね、なんてひねくれたことを。

あと、ガソリン価格が下落傾向なのに「ガソリン高騰」と言わせてしまったうえに記事にまでしたはどう考えても失敗だと思いました。

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2007-07-17

埼玉4区の誇り^H^H埃、早川先生

大変だ、急に読者が増えてきた/私のブログの読み方についてというエントリーで、また素敵なことをおっしゃっています。

その1:阪神・淡路大震災当時、自民党は野党だったらしい

阪神淡路大地震のときの総理は、なにしろ初めてのことなので、と弁解した。

当時は 自民党 と社会党、新党さきがけの連立政権だったはずです。有権者はその程度のことも覚えていられない馬鹿だとでも思っているのですか?

それとも、自民単独政権なら死傷者が半分になりましたか? 十分な災害対策を行えないような法律や制度を放置してきたのが与党であり続けた自民党ではないとでも言うのですか?

その2:自民党の総裁は突然死しないらしい

心臓に病を抱えている民主党の党首にそんなことを期待することは酷である。まったく閣僚の経験がない政治家に国家の指揮官の役割を担わせることも危険である。

第84代内閣総理大臣で、第18代自民党総裁の小渕恵三氏が突然の脳梗塞で亡くなったのは7年ほど前でしたね。初めから病気を抱えているのとは違うでしょうが、突然重病を発症する、健康管理に難のある人間を総裁に据えた自民党にも相当問題があります。

また、村山富市氏は閣僚の経験がないまま内閣総理大臣になりましたが、前述のとおり、当時の連立与党には自民党も加わっていました。大多数の有権者は早川氏の期待通り昔のことなんか忘れているのでしょうが。

その3:早川氏も有権者並みに物覚えが悪いらしい

なにせ、ついこの間のことも忘れているのですから。

年金記録問題で民主党を攻撃するため、基礎年金番号導入時は菅直人氏が厚生大臣だったと批判を試みるも、当時自民党が連立与党だったと指摘されて引っ込めたばかりだったはずですが。

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2007-07-16

潮目が変わるとき/地震と選挙

参議院選挙が公示されて5日目を迎えた。
朝夕の駅頭でスタッフの疲労が目立ち始めた。
さすがに無理は禁物。
今日は、10時で駅頭を止めることにして帰宅。

揺れがだんだん激しくなる。
TVを見ると、かなり強い地震が新潟で起きたらしい。
災害列島と言われるわが国にとって自然との闘いは、止むことが無い。

マスコミの報道も地震情報が中心となってきており、あれほど騒がれていた赤城大臣の事務所費問題や年金記録問題は隅の方に追いやられている。

当然のことである。

地震がいつ自分の住む地域を襲うか、どのくらいの揺れの地震か、地震の被害を最小限に止めるにはどうしたらよいか、祭り等の行事は予定通り準備してよいか、外出しても大丈夫か、など、自分の生活に直結する地震と、自分の生活にどう関わるかよく見えない選挙では、国民の関心の度合いがまるで違う。

今までの報道振りが異常だったのである。
おそらくこれから1ヶ月以上、私たちは地震情報を追いかけることになろう。

熱い戦いの火蓋が切られたはずであるが、今日の朝刊各紙の選挙に関する報道は急に地味になってきた。
民主党の小沢党首の一日の行動にニュースバリューがなく、安倍総理だけ取り上げるとバランスが欠けるので、選挙に関する報道が少なくなったのではないかと推測している。

年金記録問題も、総務省に設置された第三者委員会が活動を開始したことで、政府に対するマスコミの批判のトーンが弱まってきた。
これまで年金問題が選挙の争点であるとマスコミは煽ってきたが、どうも選挙の争点がボケてきた。
安倍対小沢という対決の構図も、党首討論で安倍総理の優勢勝ちが見えてからは成り立たなくなってきたようだ。

地震の被害が出ているのに、地震はそっちのけで選挙ばかり取り上げ、政府批判を繰り返していれば、政治的に偏向していると批判されても仕方がないだろう。

政治の潮目が変わるときというのは、こんなときを言うのだろうか。

……確かに潮目は変わったかもしれませんね。早川忠孝先生

それとも、もっと死人が出たほうが良かったですか?

災害の印象が強いほうが有利だから、会期延長しないほうが良かった?

どうせ有権者なんて新しいニュースがあるたびに古いことを忘れる馬鹿ばかりだから関係ないですか?

……確かに潮目は変わったかもしれませんね。とりあえず、私は参院選で自民党には入れません。

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2007-02-21

GPS内蔵携帯電話と位置情報通知をめぐる頭痛ネタ

東京新聞のサイトに掲載された【特報】携帯『位置情報通知』 4月スタートという、なんとも頭の痛くなるような記事について。

どのあたりが頭痛の種なのか。2007年4月から導入される、緊急通報時(110番・118番・119番)に位置情報を通知する機能について、不正に位置情報を取得されてしまう恐れがあるかのように書いている点です。

携帯電話やIP電話の位置情報通知は、音声通話の回線とは独立したIP-VPN網を経由して送られますから、やろうと思えば通話していない回線の位置情報を送ることも不可能ではないでしょう。ただし、そういう機能を追加実装すれば、ですが。

実際の位置情報通知は、音声通話用の回線で通知された発信者電話番号を利用して位置情報を取得します。また、指令台には、回線が繋がっていない電話番号を入力して位置情報を取得する機能はありません。

別の問題もあります。そして、こちらが東京新聞の記事を否定する有力な情報でしょう。機能を追加したとして、携帯電話からGPSの測位情報をどうやって送信させるのか。

緊急通報時の位置情報測位は、発呼と同時に開始する仕様になっています。携帯電話を持っている人が、自分で電話を掛けたときに測位を行うのです。そもそも、携帯電話のGPS測位情報を送信する場合、端末が利用者に可否を尋ねますから(確認しないよう設定することも可能)、持ち主に気づかれずに位置情報を送信させることが容易とは思えません。基地局で測位した情報なら利用者と無関係に送れるかもしれませんが、そんな大雑把な情報を得るためにムダ金を使うほど警察も馬鹿ではないでしょう。

根本的に間違っている

記事中、デスクメモとして警察や消防に位置情報のみが伝わり、携帯番号は通報者の任意で伝える仕組みにしておけば問題ないと思うが。なんで、そうしないのと書いていますが、通報内容について確認するため呼び返す場合があることもわかっていないのでしょうか。電話番号を通知しない仕組みにするなど考えられない。極端な話、通報者が場所を正確に言えれば位置情報など必要ないけれども、電話番号は必要なのです。

余談

最近、消防では、救急隊が通報者に電話を掛けて応急処置の口頭指導をするのが流行っています。119番を受けた指令員に救急の経験がない場合もあるからですね。というかさ、匿名で通報して現着前に現場からいなくなっちゃうとか超迷惑なんて話は、警察や消防にちゃんと取材してたらいくらでも聞かされたと思うんですが。ああ、デスクさんは自分で取材したわけじゃないから聞いてないんですね。

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2007-02-02

グラフ強調と[これはひどい]

前提:以下のエントリーを、以下の順番で読みました。

  1. 高木浩光@自宅の日記 - 日常化するNHKの捏造棒グラフ
  2. ICのblog:それは違うかと・・・
  3. bmblog: 挑発に乗ってみる

私としては、NHKが変化の大きさを過度に誇張した可能性と、高木浩光氏が変化の小ささを過度に誇張した可能性を考慮しました。また、数値の変化に関して、どちらの見解が妥当かについては検討しませんでした。付け加えるなら、私には、どちらの見解が妥当かについて判断できるだけの情報も知識もありませんでした。繊維業界の動向や海難事故の件数に対する評価を、グラフの見た目だけで決めるのは適切でないとも考えました。

そして、私としてはグラフの見た目をいじって変化の大きさを強調する行為と、はてなブックマークのコメントで[これはひどい]タグをつけてひどさを強調する行為に類似性があるという印象を抱いたので、はてなブックマークのコメント波線で切り取ったグラフで変化を強調するのはいけなくて、[これはひどい]タグでひどさを強調するのは当然。それって変じゃね? と書きました。

今回の事例では、高木浩光氏には「これはひどい」と言う権利があると思いますが、そのほかの人たちが、どこまで考えていたのか、それがとても気になるのです。

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2007-01-29

命を弄ぶ言説たち

自衛官の「戦死」を期待していた輩がいる。それはおそらく事実でしょう。ですが、命の尊さを口にしながら、自衛官の命を弄んでいるのはあなたも同じでしょう。こんなに死んでいるんだ、こんなに危険なんだ、だから彼らは素晴らしいのだと、「戦死者」が出ていることを喜んでいるではないですか。野口裕之氏の【軍事報告】イラク自衛隊の真実という文章を読んで、そう思いました。

この文章には別の問題もあります。読者に「自衛隊員」と「自衛官」の区別がつかないのをいいことに、服務の宣誓について触れた部分にだけ「自衛隊員」という語を使っています。大多数の読者は、あなたの思惑通り「自衛隊員」=「自衛官」と思い込んでくれるでしょうが、「自衛官」とは命を受け、自衛隊の隊務を行う自衛隊員、いわゆる制服組を指す言葉であり(防衛省設置法第59条)、「自衛隊員」と言った場合には防衛省内部部局などのいわゆる背広組も含まれます(自衛隊法第2条第5項)。つまり、自衛隊法第53条の規定は、背広組を含む自衛隊員に適用されている。背広組も事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえると宣誓しているのです。

そもそも、公務員は法律で服務宣誓の義務が課せられているのであり(国家公務員法第97条、地方公務員法第31条、警察法第3条、自衛隊法第53条)、宣誓の文言や職務の内容、危険性の違いこそあれ、重い責務を負っています。それを無視して、自衛官の命の重みをちらつかせるだけの言説を披露するのはなぜでしょうか。

それが有効だと思っているのでしょう。この国では、新大久保駅で線路に飛び込んだ行為が無批判に美談とされているのですから。崇高な目的のために命を賭していると言えば、盲目に受け入れてもらえるとでも思っているのでしょう。死体の数を増やすだけでしかなかった無謀な行為が無批判に美談とされているのですから。

でも、それで彼らは報われるのでしょうか。彼らを正当に評価したことになるのでしょうか。 凶悪な犯罪者に立ち向かう警察官は、炎の中に飛び込む消防隊員は、服務宣誓をしたから評価されているのでしょうか。自らの命を危険にさらしているから評価されているのでしょうか。それとも、彼らが、日々なすべきことをしているから評価されているのでしょうか。

繰り返します。彼らの働きが正当に評価されていない。彼らの命が軽んじられている。それは事実でしょう。ですが、命の尊さを口にしながら、自衛官の命を弄んでいるのはあなたも同じでしょう。こんなに死んでいるんだ、こんなに危険なんだ、だから彼らは素晴らしいのだと、「戦死者」が出ていることを喜んでいるではないですか。

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2007-01-20

納豆ダイエットは本当か

というネタを書こうと思いながら中途半端に資料を集めたあたりで放置していたら、番組の内容が嘘だらけだったことが公表されてしまいました。せっかくのネタが潰されちゃったなあ……。

新情報をいくつか仕入れたので下のほうに追記しました。

さて、気を取り直して、独立行政法人国立健康・栄養研究所が開設している「健康食品」の安全性・有効性情報から関連情報を集めてみました。

少なくとも「あるある大事典」で放送された内容を支持する情報はありません。

  • DHEA、イソフラボン、納豆のいずれも「ヒトでの評価」の肥満の項目は調べた文献の中で見当らないとなっています
  • DHEAやイソフラボンは、性ホルモンに似た作用があります。妊娠中・授乳中は通常の食品に含まれる分を超える摂取は避けたほうがよいでしょう。なお、DHEAは日本では医薬品に分類されているため、食品として販売することは認められていません。
  • 食品安全委員会は、大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値を70~75mgとしています(大豆イソフラボンの安全な一日摂取目安量の上限値70~75mg/日(大豆イソフラボンアグリコン換算値)は、どのようにして設定されているのですか。
  • 番組内で、納豆2パック=大豆イソフラボン70mgを摂取としていましたが、前述のとおり、食品安全委員会が定めた上限値が70~75mgです。毎日納豆を2パック食べ続ける場合、他に大豆イソフラボンを含む食品を継続的に食べるのは好ましくないかもしれません
  • DHEA、イソフラボンともに、薬物代謝酵素の活性を阻害する可能性があります。医薬品との併用には注意が必要です。納豆は、抗凝固剤のワルファリンの作用を減弱する恐れがあるため併用注意となっています。
  • 骨のカルシウムの維持に有効とする、大豆イソフラボンを関与成分とする特定保健用食品が許可されていますが、骨に対する有効性は認められないとする報告も複数あります。
  • 大豆イソフラボンの、血清脂質に対する有効性についても相反する複数の報告があります。アメリカ心臓協会(AHA)は大豆タンパク質やイソフラボンについて動物性タンパク質の代わりに大量に摂取した場合にのみ、僅かにLDLコレステロールの低下がみられるが、HDLコレステロール、トリグリセリド、リポタンパク質(a)、血圧には影響を与えないとしています。

納豆ダイエットの真偽のほどはともかくとして、1日70mgの大豆イソフラボン摂取を前提とした1日2パックの納豆を推奨するのは不適切と言わざるを得ないでしょう。

追加情報

納豆その後 - だ通東改あるある大事典の「納豆ダイエット」の論文解釈には最初からムリがあった [絵文録ことのは]2007/01/23で、関西テレビが根拠とした論文のひとつがEffect of DHEA on abdominal fat and insulin action in elderly women and men: a randomized controlled trial. Villareal DT, Holloszy JO. JAMA. 2004 Nov 10;292(18):2243-8. と紹介されています。この論文がDHEAに死亡減少の効果があるとしているものです。

ですが、DHEAサプリメントに効果はない - 食品安全情報blogによれば、DHEA in elderly women and DHEA or testosterone in elderly men. Nair KS, Rizza RA, O'Brien P, Dhatariya K, Short KR, Nehra A, Vittone JL, Klee GG, Basu A, Basu R, Cobelli C, Toffolo G, Dalla Man C, Tindall DJ, Melton LJ 3rd, Smith GE, Khosla S, Jensen MD. N Engl J Med. 2006 Oct 19;355(16):1647-59. ではDHEAを投与してもDHEA濃度上昇以外の変化はまったくなく、生活の質も改善しなかったと結論付けられているそうです。

関西テレビは、都合の悪い論文(しかも後から行われた研究です)を無視して(あるいは知らずに)DHEAがダイエットに有効としたことになります。

(食品安全情報blogには他にも興味深い記述があります)

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2007-01-01

日米母親比較

日本の場合、子供を放置してスノボに行っても捕まらない。だが、アメリカの場合日本語記事)、親が自宅で寝ている間に子供が外に出て行ったら育児放棄で逮捕。

……年末年始に、こんなしょうもない更新のネタが供給される世の中に嫌気が差しつつ。

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2006-12-20

事故調査の本質を無視するマスメディア

昨年4月に発生したJR福知山線脱線事故の事実調査報告書が公表されました。これを受けた報道の中で、正気とは思えない記事を掲載していたのが毎日新聞です。

尼崎脱線報告書:「車内は洗濯機の中のようだった」-話題:MSN毎日インタラクティブ

大学生の娘を亡くした父は「刑事責任を追及するために重要な調査」と期待を寄せる。JR西日本や国土交通省の責任に踏み込むことを切望し、「事故の結論」が出るまで娘の遺骨は墓に入れず、自宅に残すという。

遺族が刑事責任の追求を求める心情は理解できますが、航空・鉄道事故調査委員会が行う事故調査は刑事責任を追及するためのものではありません。それを明確にするため、事故調査報告書の冒頭には必ず事故の原因を究明し、事故の防止に寄与することを目的として行われたものであり、事故の責任を問うために行われたものではないと記されているのです。そもそも、刑事事件の被疑者や被告人に認められる黙秘権は、真実を知る必要のある事故調査と明らかに対立します。事故調査の本質を無視した安易な報道は好ましくありません。

さらにひどいのが以下の一文です。

滋賀県の信楽高原鉄道事故(91年)の遺族らでつくる「鉄道安全推進会議」によると、米国の事故調査機関「国家運輸安全委員会」は、判明した事実を公表前に被害者や家族に説明することを法律で義務付け、遺族支援の部局もあるという。

アメリカでは、NTSBが行う事故調査の報告書を裁判で証拠とすることも、調査官に証言を求めることも法律で禁じられています。それを無視するのはなぜでしょうか。NTSBが被害者や遺族を重視する姿勢は記事にするのに都合がいいけれど、事故調査の結果を刑事責任追及に使うことが禁じられている事実は都合が悪いということでしょうか。

低俗な、うわべだけの「犯人探し」に終始し、都合の悪い事実はないことにする無責任なマスメディアは、真相究明からも、安全からも程遠いところにあると言わざるを得ない。そして、そのようなメディアに依存せざるを得ない私たちは、真実からも、安心からも程遠いところにいるのかもしれません。

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2006-12-19

オリコンがジャーナリスト個人を提訴

オリコンが、ジャーナリストの烏賀陽弘道氏に対して損害賠償を求める訴訟を起こしたのだそうです。

裁判を受ける権利というのは憲法で保障されているわけですし、当事者でもなければ情報も持っていない個人が現時点で軽々しくコメントするのは差し控えたいのですが、気になるのはオリコンのプレスリリースにある以下の部分。

弊社は、調査方法について昭和43年のランキング開始時以来明示しています。またその調査店についても平成15年7月以降、弊社のWEBサイト、雑誌等のメディアにおいて開示しています(3,020店)。さらに、調査方法については、他社メディアの取材にも応じています。

調査方法は開示しているのだそうですが、その内容はオリコンの音楽ソフト(シングル、アルバム)チャートについて-ORICON STYLE ランキングにある内容のことかと思われます。全国の週間売上推定数を算出となっていますし、現実問題として売上の実数を確実に調査することも難しいでしょうから、入手したデータを基に統計的に算出しているのでしょう。ですが、肝心の統計的手法についてはどこかで明らかになっているのでしょうか。

視聴率調査を行っているビデオリサーチの場合、視聴率とは--目次というページを用意して、調査の具体的な方法や、調査結果が持つ限界(信頼度95%とした場合、標本数600世帯で視聴率10%なら標本誤差は±2.4%)などを公表しています。

また、ビデオリサーチでは、信頼性を確保するために調査対象世帯の秘匿を徹底していますが、オリコンは調査協力店の一覧を公表しています。調査対象になっている店舗の実績を恣意的にコントロールすることが、公表されていない場合よりは容易であるとも考えられ、必ずしも信用性が保証されているとはいえないように思います。

社会的信用とは長年の不断の努力によって成されるものと確信しています。ジャーナリズムの名の下に、基本的な事実確認も行わず、弊社の長年の努力によって蓄積された信用・名誉が傷つけ、損なわれることを看過することはできないことからやむを得ず提訴に及んだ次第です。

信用があると主張するのであれば、あるべき信用に見合った態度が求められているのではないでしょうか。ビデオリサーチのように数値が持つ限界を公表するなど、よりいっそうの努力が必要ではないかと思います。

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