2008年 02月 17日
中高年パソコン派の為のメガネ講座? その1
パソコンを触っていると、40~60cmの作業時間が主となります。勿論、視線はパソコン付近に固定されている訳ではなく、少し離れたテレビを見ることもあれば、周りの人と会話することもあるでしょう。部屋の広さにもよりますが、40-60cmの距離が主だとしても、2-3mぐらい先までは視線を伸ばすことも多いと思います。そんな時にかける眼鏡の話なのですが、こういった作業に適した眼鏡というのは、遠近両用眼鏡じゃなく、中近あるいは近近眼鏡なのです。
普通の老眼鏡でいいじゃないかと思われるかもしれませんが、その前に、老眼について少し勉強してみましょう。もう、何度も、述べてきたことですが、人は、誰でも老眼になります。近視の人も、遠視の人も、乱視の人も、全て人が等しく老眼になります。若々しく見える人も、年老いて見える人も、公平に老眼になるのです。ここで、『老眼とは何か』という問題について簡単に説明を試みます。
眼の中の水晶体は、もともとは非常に柔らかくて、遠方を見ている時、水晶体は薄くなり、近くを見ている時、厚くなっています。この薄くなったり、厚くなったりするのは、水晶体が柔らかいから起きる現象で、水晶体が硬くなれば、そうは行かなくなるのです。かなり怪しい例えで恐縮ですが、ゴムが引き延ばされている状態を、遠くを見ている時だとすれば、近くを見る時は、ゴムを引っ張るのをやめた状態です。ゴムは、引っ張ると細長くなりますが、引っ張らないと太短くなります。ただ、ゴムが古くなって劣化してしまうと、引っ張っても伸びたままで、引っ張るのをやめても太くも短くもなれません。水晶体もまあ、同じようなもので、チン小体と呼ばれる糸のようなもので引っ張られているのですが、若い時は、引っ張るのをやめると分厚くなるのですが、年齢が進むに従って、劣化したゴムのように、あまり分厚くなりません。水晶体が厚くなれば、近くにピントが合いますが、厚くならないと、近くにピントが合わない。これが老眼のメカニズムです。
つまり、老眼鏡というのは、この水晶体が厚くならなくなった部分を補うものなのです。レンズの屈折力は、D(ジオプター)という単位で表しますが、最も厚くなった状態の水晶体と最も薄くなった状態の水晶体の屈折力の差A(D:ジオプター)は、
A = (最も分厚い状態の水晶体の屈折力) ― (最も薄い状態の水晶体の屈折力)
10歳で、 A= 12D
20歳で、 A= 9D
30歳で、 A= 7D
40歳で、 A= 4D
50歳で、 A= 2D
60歳で、 A= 1D
65歳で、 A= 0D
このように、伸びきったパンツのゴムじゃないですが、水晶体も徐々に劣化し、硬くなっていくのですが、それは、10歳でも始まっているのです。ただ、この数値が、4D以上もあれば、読書に不自由を感じないだけでなく、あまり老眼の症状を自覚しないものなのです。ただ、40歳で4Dの時は、平気でも、50歳の2Dは、平気ではいられないのです。
40歳で、 A= 4D 不足分 なし
45歳で、 A= 3D 不足分 0.5~1.0D
50歳で、 A= 2D 不足分 1.5~2.0D
55歳で、 A= 1.5D 不足分 2.0~2.5D
60歳で、 A= 1D 不足分 2.5~3.0D
65歳で、 A= 0D 不足分 3.0~? D
このように、40歳を過ぎると、読書に必要な調節力の不足分は少しずつ大きくなります。この不足分は、あまり根拠のある数字じゃないですが、まあ、おおよそ、こんなもの。つまり、50歳なら、1.5~2.0D不足するので、通常眼鏡をかけない人でも、近くを見るときは、この程度の強さの老眼鏡が必要で、眼鏡をかけているなら、近くを見るときは、通常の眼鏡のこの不足分を追加する必要があるのです。
さて、本題の中近・近近眼鏡の話ですが、前置きが、超長くなったので、その1は、ここまで。続く