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テーマ:戦争反対(1190)
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昨日の日記の続きです…
雑誌の記事を真に受けた神崎委員が政府批判ネタに使えると、喜び勇んで国会で追及したら、戯けたことを抜かすなと専門家に一喝されてしまったようです。なんとか場を取り繕うと必死に調査を依頼する神崎委員が、筒井政府委員の冷静な拒否の言葉に一刀両断されるさまには感動すら覚えますね。なんというか、供与するしない以前の問題であるということでした。 常識的に考えても、 >今までは一番関心のある四つのうちの一つに入っていたものが、半年後にはこの関心対象になくなっているわけであります。 これは、本州四国連絡橋が船のレーダーをかく乱しないよう電波を吸収し、レーダーに映らなくする目的で開発されたTDKの電波吸収材が、航空機用としては役に立たないと判断されて、リストから外されたと考えるのが自然に思えるのですが、神崎委員の目には”裏で何か秘密の取引があったに違いない ”というふうに見えてしまったのでしょう。 中日新聞もけっこうアレな新聞のようで、ネットで少し調べれば分かるようなことを根拠レスな憶測に基づいて書き飛ばすなんて、クオリティーペーパーな方々から見れば信じられないことでしょう。まぁ、どうせ分かった上でやっているんでしょうけれども。そういや最後のパラグラフも変な文章ですね…米軍に軍事技術を供与すると(してないけど)なんで平和がむしばまれるのだろう?中日新聞の中の人には自明な論理なのかもしれませんがASDICにはさっぱりわかりません。 ちなみに、F-117の電波吸収材はこんな感じのものです…
電波吸収塗料はこういう扱いです…
けっこう誤解されていることが多いのですが、電波吸収体というものはステルス性(これはマスコミ用語で正確にはLO/低被観測性)には補助的な役割しか果たしません。上記のとおり制約が多いからです。ステルス性においてもっとも大事なのはRCS/電波反射面積を減らすことです。大まかに言えばRCSが1/10になれば被探知距離は1/2に、1/100になれば被探知距離は1/4になります。そのため、いわゆるステルス機という航空機は変な形をしているわけですね。 変な話なんですが、純粋なステルス性を比べると… F-117>>>F-22>>>[越えられない壁]>>>非ステルス機 年代でいえば古いF-117のステルス性が高いということになります。 これはF-22がステルス性より機動性を重視した設計であるため、このような結果になっているのですが、これは電波吸収体よりもRCS低減がステルス性にとって大事であることの証左となるでしょう。 いろいろと見てきましたが、「ステルス技術は日本が起源」という説は間違いであると考えて問題ないと思います。 今回のまとめ [珍説] ステルス技術の起源は日本のTDKの電波吸収体である。 [事実] ステルス技術はロッキードが開発した「エコー1」と呼ばれるRCS計算プログラムによって導き出されたものである。そのエコー1の基となる理論はなんと当時の敵国ソ連からもたらされたものだと言われている。具体的に説明しよう。ソ連の電波工学の権威、ピョートル・ウフィムツェフは1957年に「物理工学的解析理論」という理論を発表した。 これは電波が光と同様、物体の表面で反射する場合、従来の物理工学的な近似では解析不可能だった平面の交わるエッジ部分の計算を可能としたものである・・・という事らしいが、これだけ聞いてもはっきり言って殆どの人は「さっぱり」であろう。 しかし、「さっぱり」だったのは当時のソ連も同様だったのだろうか?ソ連内ではあまりに高度で複雑なこの理論はまったく相手にされず、軍事機密扱いともされなかった為、この理論は無防備に海を渡りアメリカへと伝わった。アメリカも初めはこの理論に対して感心を抱いていなかったが、1971年に空軍の研究所がこれを翻訳。論文の重要性を認めたのがスカンクワークス所属の数学者デニス・オーヴァーホルザーであった。彼は飛行機を多数の三角形平面で構成し、その三角形の三つの頂点に対してウフィムツェフの理論を用いれば、翼の表面と翼の縁に生じるレーダー反射を正確に計算しその2つを正確に合成出来る事に気が付いたのだ。彼はこれを基にエコー1プログラムを完成させた。 ステルス技術の起源はソ連でした。 素晴らしい理論を考案したのに価値が分からず敵国のアメリカへ…なんて、あまりにもアホすぎるような気もしないでもないのですが、だってロシアだし…と言われると、なんとなく納得してしまうところが不思議ですね。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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