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巷で噂の合作


を、見た話

……というより、ののわんPによるわかむらPリスペクト動画を見た話。


ののワさんは、言うまでもなく春香から派生したクリーチャーであって、MMDの発達以前から存在する概念でした。従って、長らくののワさんには、春香由来の一種しか存在しない(識別されない)、映像上で表現される表情や動作のバリエーションが限られている、という特徴がありました。
そうするとそこには、

・ののワさんは、何らかの形で春香というキャラクターと呼応、通底する性質を備えた存在である
・固定された表情、単調な(制限された)動作はののワさんという存在の個性と密接な関係を持つ事象である

という考え方もまた生じていたわけです。そのようなののワさんについての観念を、言説としてよく可視化していたのが、gase2氏による一連のののワさんについての文章です。

白雅雪blog アイドルマスター ののHKワールドレポート
白雅雪blog ののワさん雑感
白雅雪blog 【(゜д゜)】WAKAMARA RECYCLE VOL.02【( ゚д゚ )】

さて、件のののわんPの動画におけるののワさんは、明らかに、gase2氏が特筆したような

・春香と結びつく
・固定された表情、単調な動作

のどちらの特徴も含みません。このこと自体、MMDという表現手段と密接に結びついた事象です。
この動画では、雪歩・千早・美希に対応したののワさんが登場しますが、同じ基本型から頭部のパーツをすげ替えることで、”各アイドルに対応した多種のののワさん” を生み出せる、というのはMMDモデルだからこそ発想しやすく、インパクトを持たせやすい発想と言えるでしょう。ののワさんに多彩で自然なモーションを与えるということも、MMDというフィールドにおいて、ののワさんというモデルが愛着をもたれ活用されていく中で必然的に生じた流れだと言えます。

ある存在(キャラクターやクリーチャー)固有の領域と考えられていた境界が、(ことにMMDの発達と結びつく形で)なくなっていく現象は、たとえばホメ春香にもあったわけですが、ある時期のニコマス動画の一つの代表的な形をそっくりリヴァイヴァルしたような合作の中に、このような現象をはっきり観察できる動画が含まれていることを、面白く思います。 
ということが一点。


もう一つは、”ののワさん回転寿司” というのは、ニコマスの文脈的には、一義的には "ネタ動画" 以外の何物でもないでしょう。では、たとえばこの動画のののワさん3体を、全て雪歩・美希・千早本体のモデルに置き換えてそっくり同じことをさせた場合。それは、"MMDによるわかむらP作品の忠実なトレース” に限りなく近いものになっていたでしょうが、もしこの場面で流れたのがそういう映像だったならば、それは ”ガチなリスペクト動画” ということになっていたのでしょうか、ということ。 まあ、いずれにせよわかむらPの元動画は現在ニコ動上にないわけで、そういう映像だったとしてもそれなりの意義と感動があったのでしょうが。

で、作者の意図がどこにあるかという話をするならば、この動画の作り手はののわんPなので、作者は本気でこの合作においてこの曲でののワさんが踊る姿を見たいと思ったからこそこの動画を作ったのでしょう。そして現に、この動画において、ののワさんは他のパートのキャラクターたちと肩を並べる堂々のアイドルとして踊ったのです。
もっとも、作者自身、この合作中にののワさんを出すということがどのように受容されるだろうか、ということは百も承知だった筈です(だからこその、最初の一瞬だけ本体のアイドルを見せる ”トラップ” でしょう)。気合いの入ったネタパートとして、大作メドレー中の一服の息抜きの部分として面白がることが間違っているとは全く思いません。ただ、私自身はそういう面白がり方には興味がない、というだけの話です。


3点目。このブログの話題の傾向から容易に察せられるであろう通り、私はあんまりわかむらPの動画を熱心に見た方ではないわけですが、意外に覚えているものだなあ、という私以外にはまったくどうでもいい感慨。


まあ、私自身はそんなにののわさんに関心や思い入れがあるわけでもないのですが、こうしてあれこれのののワさんについて読んだり見たりした断片をなんとなく思い浮かべつつこの動画を眺めていると、なにがしか感じるものがあるような気がしないでもない、という話です。

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