2007年 09月 08日
ダウンロード違法化/iPodの補償金対象化」がほぼ決定した件と、ITmediaの記事で抜粋されている発言についての補足 考え込んでしまう。 表現というものは2つの立場が揃ってはじめて成立する。 表現する者と、それを鑑賞する者だ。どちらかが欠けても成り立たない。 文化庁は権利強化の方向にまたもや動き出したみたいで、それは表現の敷居をあげるという意味で大変残念な話。 権利団体や音楽会社を責めるのは簡単だ。意味も分からず「カスラックは死ね」って言ってる人沢山いるでしょ?それは一面では当たりで彼らも責められるところもあると思うが、でもこの状況はJASRACだけが悪いわけじゃない。 もう1つ責めないとならないものがあるでしょ。受け手。鑑賞者、消費者、ユーザー。名前は何でもいいけど、その作品を受け止める側に何か問題があるとは考えないだろうか? 例えば、アフィリエイトやPV稼ぐ目的で、勝手に他人の権利物、書籍や着メロとかを落としてアップしてる奴、沢山沢山いるよね。例を挙げるまでもなく。(もちろん何人かは逮捕されてる) 権利者側が目を瞑れる領域というものはある。例えばクリエイティブの素材として使われている場合等には目を瞑ることが多い。 しかし、権利者及び権利団体が絶対に許さないラインというものもまた別に存在する。 「商売の邪魔になると感じた場合」だ。その時には間違いなく牙を剥く。 それは音楽会社とかにしたら当たり前の話だし、権利者にとっても腹立たしい事態であることには変わりない。(かのマイケル・ムーアですら「僕の映画で儲けない限り、何をしてもいいよ」っていうくらいだ。) 他人の権利物を使い商売をする寄生虫の如き不届きな輩が、さらに権利者側の意識を頑なにしていると思う。 消費者側・客として使いやすくて安価な音楽環境を望むのなら、こういう輩を責めないといけない。JASRAC死ねとか責めてるばかりじゃ何も始まらない。ユーザー側のモラル改善はユーザー側で行うべきではなかろうか。 上記リンクの件だって、音楽会社とかのスタンスは客商売としておかしいよね。 でもそれは「客じゃない」って思われている証左。 権利者側としての見解はこうだ。 「ある一定のユーザーっていうのは、権利物を何に使うか分からない危険な存在。」 また自分の職場バレが高くなるような話するけれど、僕は社内で 「他人の権利物を挟まない報道素材は、クリエィティブ・コモンズ宣言(表示-非営利-改変禁止)をして、流通させやすくすべきだ」と主張し、そのように各所に働きかけてきた。しかし、これが最後まで通らない。 クリエィティブ・コモンズの意義をきちんと伝え切れなかった僕にも原因はあろうが、最後に出てくる見解は 「ユーザーに何をしてもいい証と取られかねないので、危険。」 なのだ。要は信頼されていないんだ。 何故こうなったのか。Youtubeに勝手にアップロードしまくり、ニコニコ動画で落書きをし、果てにはアフェリエイトの餌として使っていたのは誰かなのかと。 それに対して英語でYoutubeと交渉したり、業界団体で対策部会作ったり、無駄な労力ばかり費やす羽目になっている権利者側が、ユーザーを信頼しなくなっても、それは当然じゃないかと。 Youtubeにアップロードした馬鹿たれのせいで、うちの報道素材についてはクリエィティブ・コモンズの可能性はなくなった。 だから、そこから生まれたかもしれなかった「可能性」の一部は永遠に失われた。 ユーザーの信頼性は地に堕ちている。こいつら黙っていたら他人の権利物を好き放題使うと思われている。客じゃないと思われている。P2PやYoutubeや無断着メロサイトやその他色々でカジュアルに、自分の商売の邪魔をすると思われている。 だからP2PやYoutubeや無断着メロサイトやその他色々で、ユーザーの自浄作用が発揮されない限り、権利者側はこのように法を改正してまで、現状の「商売仇」を排除しようとする。 先に裏切ったのはユーザー側だ。少なくともそう思われているよ、。 何度も言うが、表現というものは2つの立場が揃ってはじめて成立する。 表現する者と、それを鑑賞する者だ。どちらかが欠けても成り立たない。 だから、このような事態というのは非常に不幸な話だと思う。 権利団体を責めるのももちろん結構。 しかし、不当に権利を侵害し続ける一部のユーザーの存在もまた、「共有」や「表現」の可能性を狭めたものとして責めないとならないのではなかろうか。 ・・・まぁ、ユーザー自浄作用なんてものが発揮されると、悪しき「祭り」「炎上」にしかならないのだけどね。極端すぎるんだって。
by soulwarden
| 2007-09-08 12:15
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