2011年 05月 10日
記者クラブが、なんだか実情とかけ離れたショッカー並の悪の組織ぐらいに言われているのを、なんとなくウェブの片隅から修正。 ・記者クラブって何? 公的機関等の各組織を継続取材している、メディアが構成している任意組織。 ・多くの記者は記者クラブへの加盟社が増えることを望んでいる 記者クラブは、別に仲良しクラブではなく、仕事のクラブなので持ち回りで仕事がある。 1~数ヶ月単位で幹事社が回ってくる。 幹事の仕事は A先方との会見設定の調整 B時間が限られている会見での代表質問 Cクラブに入っていない媒体やジャーナリストに対しての窓口 D連絡当番 この中で異様に面倒くさいのが、連絡当番。 特に地方の警察系に多い。例えば深夜の逮捕連絡等は幹事社にだけ連絡が入る(クラブで携帯電話を所有してそこに連絡が入るケースが多い)ので、そこから全員に連絡をまわす必要がある。しかも当然ながら事件事故の大きさを警察は判断せずに(当たり前だが判断されても困る。)全部が全部伝えてくるので、一晩中電話なりっぱなしとかになる。 あと、先方との折衝も結構面倒くさい。 つまり頭数が増えたら、自分の仕事が減るし、経費も下がる。会費も助かる。 ずっといてくれるのだったら、いつでも大歓迎」って今回話をうかがった東京在住の記者の人の言葉。 ・にも関わらず入会できない人達の存在 端的に言うと、2点の理由。 1つ目。いなくなってしまうから仕事が任せられない。 話題の現場にだけ大挙して押し寄せ、一段落つくといなくなってしまう現象が起きる。 それでは電話当番とかの仕事が振れないし、ぶっちゃけ言うと開放を叫ぶ人も、負担は背負いたくないわけで。 2つめ。報道倫理遵守規程。 例えば誘拐事件等で報道協定が結ばれることがある。それを守ることができる人もしくは組織か。それが問われたとき、潮が引くようにいなくなりがちな人がどこまで信頼できるか問題。 例として金融庁の記者クラブ。記者クラブ開放を詰め寄られた結果、記者クラブ向けとその他のジャーナリスト向けの会見の2回開くという訳のわからないことをしていた金融庁では、その後会見は統一されたものの(つまり、フリージャーナリストの言い分が認められた)、フリージャーナリストたちはその途端に来なくなったそうな。 「俺達にも会見開放しろ!」と言ってそれが実現したら、そのとたん来なくなって、別のところで「会見開放しろ」ってのを続けてたら間違いなく会見の内容はどうでもいいだろうと思われるわな。 いまでも、いろんなところで会見内容とは全く関係ない「既存マスコミについて」聞いて回ってるんだから(しかも記者クラブが骨を折って調整開催した会見とかで)、報道対象より自分の興味を優先させる程度の報道倫理って思われても仕方ない面もある。 ・外国人記者排斥してるじゃん ロイターの方のツイート参照。http://twitter.com/#!/sisiodoc/status/49652408300744704 ・長野県は脱記者クラブ宣言したよね? そしたら田中知事のファンみたいな人まで来るようになり、まともな質問が出なくなってしまった。 ちなみにいまの原発記者会見もそうなりかけてる。 ・自由報道協会が記者クラブなくしてくれるさ! 協会の参加基準(暫定) 1.当会の主催する記者会見に参加する人はすべて、「取材」「報道」を目的とし、個人資格で参加する。 2.会場の安全性と物理的容量を考慮しながら、当面は、設立準備会の構成メンバーが推薦し全体で承認された人を第一優先とする。 3.会場の安全性と物理的容量を十分に検討した上で、設立準備会の構成メンバーの推薦がなく参加を認める場合は、これまでいわゆる「記者クラブ」が主催した記者会見に参加する事のできなかった人を、第二優先とする。 4.さらに参加基準を緩和する場合、その会見を担当する事務局メンバーによる判断で、会場の安全性と物理的容量を十分に検討した上で、身分証などいくつかの安全上の保証を確認し、会見場への参加を案内する。 5.会見に参加した取材者は、安全上の物理的制約(こちらが定めた指定場所以外の侵入等)など一定のルール・マナーを守っていただくことを前提として、取材する内容などについて制限をされる事はしない。 ・・・うん、ただの第二記者クラブだね。 そもそもニュースは ・事実 ・解説 の2点からなる。 事実を細分化すれば ・広報したい事実 ・どっちでもいい事実(知られても痛くない事実) ・隠したい事実 となる。 このうち「取材対象が広報したい事実」については、新媒体が発達したいまでは、そこまで重要性はなくなっていきつつある。 (HPやブログやtwitterで勝手に好きに流すさ) もっと言えば、いずれ知られる「どっちでもいい事実」に対しての「特ダネ抜いた抜かれた」には価値はなくなってきている。 後追い報道で、どこの特ダネだったか視聴者や読者からすればよくわからないし、2時間早く知らせることでじゃあ何の意味があるのだろうとか。 つまり今後記者が必要になるのは ・取材先が知られたくない事実を知る ・解説 の点。 ・・・ということは、いずれも記者クラブではでてこない情報(よっぽどすごい質問じゃない限り)なので、開放したところで何か変わるわけでもあるまい・・・と僕は思っている。 ただ、記者クラブがなくなると、「どっちでもいい事実」の開示において取材対象のコントロールできる面が増えてしまい、取材先とずぶずぶになり、「隠したい事実」が遠ざかる可能性もある。 なので「事実ベースの共有」という意味合いで、記者クラブ開放、結構なことだとは思う。 あとは、その開放に伴う義務と報道倫理がついてくれば。 追記:連絡当番の話でひたすら「Webでいいじゃん」とか言ってる人がいるけど、セキュリティ問題と、情報流入の手間が問題なのに出力側の手間の問題とすり替えているのと、じゃあお前は夜間のメールに全部確実に起床できてかつ対応できるのかという目覚まし時計問題がクリア出来ない。
by soulwarden
| 2011-05-10 01:47
|
アバウト
カレンダー
profile
◆孝好です。
◇地方テレビ局勤務です。が、このブログは帰属団体の主義主張とは一切関係ありません。 ◆いつの間にやら32さい。 ◇メルアドはsoulwardenアットマークexcite.co.jpです。 ◆CCライセンス 表示-非営利-継承です。 範囲内での利用はご自由に。 扉絵は表示-非営利-改変禁止。 ◇スパムはすごい勢いで削除します。 ◆当方コメントはしっぺ返しします。ただ、僕のコストがかかる一方なので、暫定的に承認制で運用します。基本他人を傷つけるもの以外はオープンにします。 ◇広告はexciteのもので、当方には関係ありません。 以前の記事
2019年 10月 2019年 08月 2019年 07月 2015年 02月 2013年 04月 2013年 01月 2012年 12月 2011年 08月 2011年 07月 2011年 06月 2011年 05月 2011年 04月 2011年 03月 2011年 02月 2011年 01月 2010年 12月 2010年 11月 2010年 10月 2010年 09月 2010年 08月 2010年 07月 2010年 06月 2010年 05月 2010年 04月 2010年 03月 2010年 02月 2010年 01月 2009年 12月 2009年 10月 2009年 09月 2009年 08月 2009年 07月 2009年 06月 2009年 05月 2009年 04月 2009年 03月 2009年 02月 2009年 01月 2008年 12月 2008年 11月 2008年 10月 2008年 09月 2008年 08月 2008年 07月 2008年 06月 2008年 05月 2008年 04月 2008年 03月 2008年 02月 2008年 01月 2007年 12月 2007年 11月 2007年 10月 2007年 09月 2007年 08月 2007年 07月 2007年 06月 2007年 05月 2007年 04月 2007年 03月 2007年 02月 2007年 01月 2006年 12月 2006年 11月 2006年 10月 2006年 09月 2006年 08月 2006年 07月 2006年 06月 2006年 05月 2006年 04月 2006年 03月 2006年 02月 2006年 01月 2005年 12月 2005年 11月 2005年 10月 2005年 09月 2005年 08月 2005年 07月 2005年 06月 2005年 05月 カテゴリ
最新のトラックバック
検索
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧
|
ファン申請 |
||