酪農の現場に日々向き合う酪農家がガイドする食と命を知る体験「命を学ぶ酪農体験」が1月10日、高秀牧場(いすみ市須賀谷、TEL :0470-62-6669)で始まる。
保育園や幼稚園、小学校などの団体受け入れも積極的に行っている(写真提供=高秀牧場)
同牧場は、1983(昭和58)年創業。創業から牛の排せつ物から堆肥を作り、地域の畑や田んぼに入れることで牛の餌となるトウモロコシや牧草、稲などを育てる「循環型酪農」に取り組んでいる。2011(平成23)年にチーズ工房、2016年(平成28)にミルク工房をオープンし、チーズやジェラートなどの加工品も製造・販売する。
広報担当の馬上温香さんは「現在、世界の穀倉地帯であるロシア・ウクライナ情勢によるトウモロコシ等の餌代の高騰、長引く経営難による後継者不足、牛乳離れによる飲料乳の消費減少など、酪農業界はさまざまな課題を抱えており、廃業に追い込まれる酪農家も多い」と話す。同牧場ではこれらの課題に向き合い改善策を模索。その一つとして「乳搾り体験」を開いてきたが、今回、酪農を通し日常の食事や命の大切さに気づいてもらえるような内容にリニューアルした。
同体験では、実際に牧場で働いているスタッフがガイドを担当。餌の種類や量、牛乳ができる過程のほか、搾乳や牛の環境づくりについて「現場のリアル」を伝える。牛の体や顔に触れる「ふれあい体験」、乳搾りやバター作り体験のほか、牛乳の試飲もできる。
馬上さんは「あくまで牛が中心。牛を一番に考え、体調や状況に応じて内容が変わる」と話す。病気から牛を守るため、体験日から1カ月以内に海外への渡航がある人は参加できない。
「牛乳を出してくれる牛は、私たちに多くのものを与えてくれる。牛乳はさまざまな乳製品になり、役目を終えた牛は肉になって人の命をつなぐ。革製品は生活を豊かにし、牛のふんまでも堆肥として食料生産を支えてくれている。酪農を通じて食の大切さ、命の尊さに触れてもらえたら」と参加を呼びかける。
料金は、小学生以上=2,000円 未就学児=1,000円。開催日は、ウェブサイトもしくは電話で確認。