真夏の夜の真紅
- 321 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:08:58 ID:mkST8AJo0
- その瞬間、極東の神秘の国・ジパングのそっち方面の人々に電流が走ったと言われている。
ローゼンメイデン真紅が深夜のテレビ画面に映し出されるや、まばたきするのも忘れ
「あの素敵な女性は誰なんだ!?」「巻いた世界からやってきたローゼンメイデンの第5ドールらしいわ」
「オゥ! ホットガール!」という驚嘆の声が上がったとか。
ある人形師の男性E(ドールショップ経営)が真紅人気急騰の実態を次のように明かす。
「ブラウン管に真紅が映るたびに皆は画面にくぎ付けさ。真紅の写真が掲載された情報紙のチェックも欠かせない状態だ。
客との間でも“真紅を見たかい?”が挨拶になっているほどだよ」
E氏によるとジパングのピュグマリオニズム人口は全体の10%で、人形愛好家はそれ以上を占めているとのこと。
「私には娘もいるが、もちろん人形だ。ちなみに君は人形好きかい?
違うのか。残念だ。だが、この町は他の町に比べてこういった人々を認めてくれる。
日本でもまだ君のように隠れていなければいけない町も多いようだが。早く改善されるといいね」
と、E氏はなぜか本紙記者をピュグマリオニズムと決めつけて熱く語る。そしてトドメが
「ぜひ真夏の夜に行われる薔薇水晶対真紅のアリスゲームを応援しに行きたいネ」――。
今や「私をnのフィールドに連れてって」が彼らの合言葉になっているというのだから大変だ。
思わぬところで第5ドール真紅がブレイクしていることを聞きつけた姉妹の反応はさまざま。
主力乙女Sは「えっ、そうなの!? ボクの好みではないけどなあ」と意味深な発言で驚きの表情を見せた。
アリスゲーム関係者は「怖いですね……。彼らだけに来るなとも言えないですし」と
人形偏愛者集団の“来襲”に戦々恐々としている。 - 322 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:13:23 ID:mkST8AJo0
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└─────────────´ - 323 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:17:25 ID:mkST8AJo0
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/::::::::::::::: ||ヽ||^ω^ノ.||:::::::::::::::::::::::::::::/| 折角のいい夢だったというのに
/:::::::::::::::::::: || 〈iミ'介'ミi〉|| ::::::::::::::::::::::/ .ノ 途中で目が覚めるなんてついてないわね。
┌────────∪────.||´ ./ 早く夢の続きを見なくては……。
│ [[二二二]] .| /
└─────────────´ - 324 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:18:32 ID:mkST8AJo0
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/ /l バタムッ
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└─────────────′ - 325 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:19:19 ID:mkST8AJo0
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└─────────────′ - 326 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:20:32 ID:mkST8AJo0
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/::::::::::::::: ||ヽ||^ω^ノ.||:::::::::::::::::::::::::::::/| ……眠れない。
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└─────────────´ - 327 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:23:47 ID:mkST8AJo0
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ヽ、____,》@ i(从_从)) ______ヽ/ )
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┌────────∪────.||´ ./ あら? ホーリエごめんなさい。
│ [[二二二]] .| / あなたまで起こしてしまったようね。
└─────────────´ - 328 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:25:53 ID:mkST8AJo0
- ホーリエ「?」
真紅「ええ、そう。そのとおり。何故だか急に目が冴えて眠れないのよ」
ホーリエ「……」
真紅「薔薇乙女にとって夜は大切な眠りの時間だというのに。困ったわ」
ホーリエ「!」
真紅「温かいミルクティーでも飲んだら眠くなる? そうね、そうかもね。早速ジュンを叩き起こして用意させましょう」 - 329 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:27:44 ID:mkST8AJo0
- ジュン「……zzZ」
真紅「ジュン! ジュン起きて!」ユサユサ
ジュン「……zzZ」
真紅「ジュンってば」ユサユサ
ジュン「……zzZ」
真紅「……おかしい。全然、起きない。いくら寝つきの良いジュンとはいえ寝すぎだわ。
ちょっと過激に反応を見てみようかしら。真紅ちゃん必殺の耳あま噛みで」
ジュン「……zzZ」
真紅「ジュンく~~~ん」ハミハミ
ジュン「……うぅ~ん」 - 330 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:28:30 ID:mkST8AJo0
- 真紅「ジュンくぅううう~~~ん」ハミハミハミ
ジュン「……んぁっ」ゴロン
ホーリエ「!!」
真紅「いえ、ジュンは寝返りをうっただけよホーリエ。本当におかしいわね。
普段はちょっと私が耳を舐めただけでも、死ぬほど嫌がるというのに」
ホーリエ「……」
真紅「折角だから、もう少しだけジュンの耳たぶを堪能しましょう」 - 331 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:29:59 ID:mkST8AJo0
- § 20分経過
真紅「むふーっ……! むふーっ……!」ハミハミハミハミ
ジュン「……うぐぐ」zzZ
ホーリエ「!!」
真紅「え? 何? ジュンの耳がふやけすぎて血が出そうだから、そろそろ止めておけ?」
ジュン「うううう……んん……」zzZ
真紅「確かに。ジュンも心なしかうなされているわ。私としたことがうっかりしていた」
ホーリエ「……」
真紅「うっかりついでに、ジュンの耳をしゃぶりすぎて興奮したせいで
余計に眠くなくなってしまったわ。どうしましょうホーリエ?」
ホーリエ「……」 - 332 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:33:38 ID:mkST8AJo0
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/ 雛苺 / ..| zzZ
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/ 翠星石 / .| zzZ
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│ [[二二二]] │/
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真紅「翠星石と雛苺も完全に爆睡中。起きる気配はさらさら無し」
ホーリエ「……」
真紅「逆に考えれば、今この家で覚醒状態にあるのは私だけということはつまり私こそが支配者! すなわち夜の帝王!?」
ホーリエ「……」
真紅「夜の帝王と言っても、ピンクのレオタードを落とす紫色のデブコウモリじゃなくてよホーリエ」
ホーリエ「?」
真紅「それはそうと、まさに今は私だけの時間。これを眠りに費やすのは逆にもったいない気がしてきた」- 333 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:35:33 ID:mkST8AJo0
- § 桜田家・階段
真紅「深夜の屋内というのは昼間と全く違った顔をのぞかせる。ほのかな恐怖を感じる反面、テンションも上がってきた」
ホーリエ「……」
真紅「とりあえず、これから夜の長丁場を乗り切るためにも、リビングへ行って腹ごしらえをしておきましょう。
ジュンの耳をしゃぶっていたら食欲わいてきたし。
ホーリエ、先に行って冷蔵庫の中から適当に見繕って持ちだして頂戴」
ホーリエ「ッ!」 - 334 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:36:23 ID:mkST8AJo0
- § 桜田家・リビング
真紅「冷蔵庫の中の冷や飯で握ったおむすびとソーセージ、そして卵焼き……」ムシャムシャ
ホーリエ「……」
真紅「どれもこれも冷えきった食事だけど、これがまた日本の熱帯夜によくあう」ムシャムシャ
ホーリエ「……」
真紅「さて、腹ごしらえはコレで充分」ゲフー
ホーリエ「!」
真紅「え? 腹が膨れたら眠くなったか? ならないわよ。
さっきも言ったように今や私は夜の支配者。これから真夏の夜を満喫してやるのだわだわ」 - 335 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:42:11 ID:mkST8AJo0
- 真紅「怪しげな深夜アニメを観賞するのもいいかもしれないけど、ここは一つ、外の世界へ飛び出してみましょうホーリエ」
ホーリエ「?」
真紅「散歩よ散歩。深夜徘徊とも言うわね」
ホーリエ「!!」
真紅「大丈夫大丈夫、これだけ暑いと逆に痴漢や変態も出ないって。それじゃ行くわよ」 - 336 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:45:25 ID:mkST8AJo0
- § 深夜の街通り
真紅「暑いと思っていたけど、流石にこの時間帯だと少しはマシのようね」
ホーリエ「……」
真紅「ええ、月も星も美しい。都会の夜空もまだまだ捨てたものじゃないわ」
ホーリエ「!」
真紅「え? 何? 前方の自販機の陰に誰かいるですって!?」
ホーリエ「……ッ!」
???「……」ゴソゴソ
真紅「本当だわ! 何かゴソゴソしている。ま、まさか変態?」
ホーリエ「!」
真紅「わ、分かっている。露出狂相手には先手必勝。相手が差し出した最大にして致命的な弱点をためらわずに打つべし。
覚悟も出来ている。この日のために二重の極みも練習していたのよ。予備用の片玉も残さず、完全に粉砕し……」
水銀燈「……」ゴソゴソ
真紅「て、あら? あれは……」
ホーリエ「……」
真紅「水銀燈? しかも、どうやらこっちにはまだ気付いていないみたい」
ホーリエ「?」
真紅「待ってホーリエ。何をやっているのか少し気になる。静かに近づきながら、水銀燈の様子を探ってみましょう」 - 337 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:47:49 ID:mkST8AJo0
- 水銀燈「……ちっ。ここは10円だけか」
真紅(水銀燈の手で鈍い輝きを放っているのは紛うことなき10円玉。ま、まさか!? ひょっとして、あの子……!?)
水銀燈「ふぅ、今夜はイマイチねぇ。もう帰りましょうかメイメイ?」
ホーリエ「……」ふよふよ
水銀燈「ってメイメイじゃない!? あんたはホーリエ!! なんで、ここに!? メイメイは!?」
真紅「メイメイはこっちよ水銀燈」
メイメイ「……」
水銀燈「し、真紅!? どうして、こんな真夜中にあんたが……っ!?」 - 338 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:48:35 ID:mkST8AJo0
- 真紅「ついつい眠れなくて……といったところなんだけど、こんな珍しい光景に出くわすだなんて、おどろいたわ」
水銀燈「な、なんのことよ」
真紅「早起きは三文の得ならぬ、夜更かしは十円の得ってところかしらね」
水銀燈「うっ!?」 - 339 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:49:53 ID:mkST8AJo0
- 真紅「誇り高きローゼンメイデン第1ドールともあろうものが
自販機の下で小銭をあさるだなんて恥ずかしいとは思わないの!? 水銀燈!!」
水銀燈「ち、違うわ! これは、その! 私が落とした10円玉よ! それが奥の方に転がったから仕方なく……」
真紅「ああ、そう。ま、そこまで言うのなら私はこれ以上追及しないのだわ。
でもね、私は騙せても今月今夜のこの月やお父様までは騙せなくてよ!!」
水銀燈「ぐぅ……」
真紅「どっちみち長女がこんな夜更かしする不良じゃあ、お父様も草葉の陰で泣いているわね」
水銀燈「勝手にお父様を殺さないでよ。あと、アンタだって夜更かし……」
真紅「真紅ちゃんは、きっちり寝ていたのが、たまたまさっき起きただけだからセーフ」
水銀燈「屁理屈を」 - 340 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:53:46 ID:mkST8AJo0
- § 水銀燈と真紅で深夜徘徊再開
水銀燈「……なんで、こうなっちゃうのよ。あんたと夜の散策なんて」テクテク
真紅「まあまあ。ここは夜更かしの達人、水銀燈に夜の楽しみ方を教えてもらおうと思って。
『箱庭』でも、やたらと無駄に夜更かししていたじゃない」
水銀燈「ふん。あそこは朝も昼も夜も全て偽物の時間、作り物の世界。そんな似非のルールに従うのが嫌だっただけよ」
真紅「……」
水銀燈「たとえ、この体と心も作り物であったとしても、それでも私の心は作り物の掟に縛られたくないと言っている」
真紅「珍しいわね。あなたと意見が合うなんて」
水銀燈「?」
真紅「私も作り物の掟は嫌。だから……」
水銀燈「だから誰も犠牲にせずアリスゲームを進める?
それはただ現実が見えていないだけの甘ちゃんの信念よ。作り物ですらない、空論だわ」
真紅「……」
水銀燈「力だけがアリスゲームの答えではないってところは認めるけどね」 - 341 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:55:19 ID:mkST8AJo0
- 真紅「……水銀燈」
水銀燈「何よ真紅?」
真紅「あなたも成長したのね。そんな言葉があなたの口から出るなんて。たまげたわ」
水銀燈「あんたに褒められてもねぇ」
真紅「ふ、今の真紅ちゃんは気分がいいから特別に自販機おごってあげる」
水銀燈「おごる? 自販機を? ジュースじゃなくて?」
真紅「ええ、この先に見える自販機にはよくお釣りが残っているの。
今回は特別に、そこの釣り銭の受け取り口を私より先にあさる権利を……」
水銀燈「あんた、さっき私に向かって何て言ったか覚えてんの?」 - 342 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:56:28 ID:mkST8AJo0
- 水銀燈「……」ゴソゴソ
真紅「でも結局、あさるんじゃない」
水銀燈「う、うるさいわね! いいでしょ別に! あっ」
真紅「?」
水銀燈「100円玉ゲットよぉ!」
真紅「なっ!?」
水銀燈「もらっちゃった! もらっちゃったぁ! 100円もらっちゃったわぁ」
真紅「……水銀燈」
水銀燈「何よ真紅?」
真紅「その100円は元はと言えば、この真紅が譲ってあげたもの。ゆえに半分の50円は私の取り分じゃなくて?」
水銀燈「ッッ!?」 - 343 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:57:48 ID:mkST8AJo0
- 真紅「でしょ? 水銀燈」
水銀燈(こ、こいつ! どうせ10円ぐらいだったら私にあげてもよかったのに
それが100円となったら急に全て譲るのが惜しくなってきたってわけね……)
真紅「私、何か間違ったことを言っているかしら?」
水銀燈(……思いっきり間違いだと言ってやりたいところだけど)
真紅「水銀燈?」
水銀燈「さっきの私の10円とあわせて、この自販機のジュースを買えばいいでしょ?
それを半分こすれば、あんたも文句は……」
真紅「水銀燈」
水銀燈「な、何よ? これが私のできる最大の譲歩」
真紅「あっちに80円でジュース売ってる自販機あるから、そこまで行きましょう」
水銀燈「……」 - 344 :名無しさん:2013/08/05(月) 21:59:09 ID:mkST8AJo0
- § 30分後
水銀燈「……」ぐびぐび
真紅「ちょっと水銀燈! あなた一口で飲みすぎよ!」
水銀燈「うるさいわねぇ。80円自販機まで長々と歩かされたから喉が渇いたの」
真紅「お釣りの30円は譲ったのだから、もっと私に遠慮すべきだわ! それでもお姉ちゃんなの!?
年長者は半分に割ったパンもチョコも大きい方を妹に渡すべきなのだわだわ!!」
水銀燈「はいはい、分かったわよ、どうぞ。でもね、こんな時ばかり姉扱いしないで。
あと年長の私の方が体も大きいんだから飲食量も大きくなって当然」
真紅「……」ゴッキュゴッキュ
水銀燈「って、何を残り全部を飲もうとしてんのよぉ!!」
真紅「……」ゴッキュゴッキュ
水銀燈「無視しないで!!」ガッ
真紅「あっ」ボトッ
水銀燈「ッ!?」 - 345 :名無しさん:2013/08/05(月) 22:01:38 ID:mkST8AJo0
- 水銀燈「ああっ! しまった」
真紅「何てことするのよ! あなたが私を押したせいで残っていたジュースを全部こぼしてしまったじゃない!」
水銀燈「あんたが私の分まで飲み干そうとしたからでしょうが!」
真紅「水銀燈はもう充分飲んだでしょ」
水銀燈「一口で充分なわけないじゃない」
真紅「……」
水銀燈「はぁ……。もう、あんたといるとロクな事がないわぁホント」
真紅「水銀燈」
水銀燈「何よ?」
真紅「何で飲み物には3秒ルールが適用されないのかしらね」
水銀燈「適用されてたまるか」 - 346 :名無しさん:2013/08/05(月) 22:03:30 ID:mkST8AJo0
- § 小一時間後・ジュンの部屋
真紅「やれやれ……。楽しい深夜徘徊も水銀燈との喧嘩で台無しだった」
ホーリエ「……」
真紅「でも嫌いじゃないわよ。こういう夜も……」
???「……」ゴソゴソ
真紅「むむむっ!? ジュンの枕元に誰かいる!? 何者ッ!?」 - 347 :名無しさん:2013/08/05(月) 22:05:16 ID:mkST8AJo0
- 翠星石「げぇっ! 真紅?」
真紅「翠星石? あなた起きてきたの? と言うかジュンの枕元で何を?」
翠星石「い、いや……これは、そのですね」
ジュン「うぅ~ん、う~ん」zzZ
真紅「はっ!? やけに、うなされているジュン、そして翠星石のいる側のジュンの耳の不自然なふやけ具合。
この二つの符号が示すのは一つ……ッ!」
翠星石「……」
真紅「あなた、ジュンの耳をハミハミしていたわね」
翠星石「ち、違うです!!」
真紅「恥ずかしがることはないわ翠星石。ジュンの耳はマエストロの耳。
私達がその魔性の魅力に抗えないのも自然な話、まさに道理よ」
翠星石「う……」
真紅「そう、薔薇乙女にとってマスターの耳を甘噛みするのは本能」 - 348 :名無しさん:2013/08/05(月) 22:06:32 ID:mkST8AJo0
- 翠星石「ス、スマンですぅ真紅。ついつい翠星石は欲望に負けて……」
真紅「何も謝る必要は無いわ翠星石」
翠星石「ですが! 翠星石は人形として越えてはいけない一線を!」
真紅「関係ない。しゃぶれよ」
翠星石「え?」
真紅「私も今からジュンの耳をまた堪能しようと思っていたところだし」
翠星石「し、真紅ぅ!!」 - 349 :名無しさん:2013/08/05(月) 22:08:42 ID:mkST8AJo0
- § 翌朝
ジュン「なんだか朝から両耳がメチャクチャ腫れぼったくて痛い」ヒリヒリ
雛苺「蚊にでも刺されちゃったのよ? ジュン?」
______________
/ /l
/ 真紅 / ..| zzZ
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├─────[ i ]─────-||/./
│ [[二二二]] │/
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/ 翠星石 / .| zzZ
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│ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ././
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│ [[二二二]] │/
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真夏の夜の真紅 【終】
2013/08/06 21:14:02 コメント22 ユーザータグ ローゼンメイデン