桜田ジュンの肖像『逆襲の教皇』
- 216 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:19:27 ID:yScCgnjI0
- ※桜田ジュンの良能『星の幽けきは愛』の続編です
翠星石「いやはや。夏、真っ盛りですねぇ~」
ジュン「そうだな」
翠星石「そして今、翠星石が手に持っているのはマサカリですぅ」スチャッ
ジュン「……ああ、そうだな」
翠星石「何ですか、そのリアクションは!? 真っ盛りとマサカリを掛けた翠星石渾身のギャグに対して失礼じゃないのですか!」
ジュン「うるさいな、暑苦しい」
翠星石「きぃいいいいーーーー! 翠星石のどこがうるさいって言うのですかーーっ!」ブンブン
ジュン「そういうとこだよ! あとマサカリ振り回すな! 危ない!!」 - 217 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:20:52 ID:yScCgnjI0
- 雛苺「翠星石、ご機嫌斜めなのよね」
真紅「安易かつ低レベルなモノボケをするからよ。ほら雛苺、よそ見しないで。封筒の糊付けがずれているわ」
雛苺「うにゃっ!? ご、ごめんなさいなの真紅」ぬりぬり
ジュン「……? 真紅と雛苺は何をやってるんだ? 封筒でも作って? 内職か?」
真紅「内職には違いないけど、封筒作りではないわ。ブロマイドよ」
雛苺「うぃ! ブロマイドを封筒に入れてお客さんに送るの~」
ジュン「ブロマイド? そう言えば以前、真紅が自分のブロマイド作っていたっけか。そんなの買う物好きがいたんだ」
真紅「ふ、私のブロマイドは売り物じゃあなくてよ。特別な時にしか渡さないプレミア物」
ジュン「じゃ、それは誰のブロマイド?」
真紅「ジュン子ちゃん」
ジュン「はぁ!?」 - 218 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:23:16 ID:yScCgnjI0
- 真紅「星幽祭で移動メイド喫茶した時に貴方、女装したじゃない」
ジュン「いやいやいやいや! したけど! と言うか無理やりやらされたけど!
何でその時の写真があるわけぇ!? みっちゃんさんには頼み込んで、写真データを消してもらったはず」
真紅「これは私の隠し撮り」
ジュン「ッ!?」
雛苺「トモエやのりの写真もあるけど、ジュン子ちゃんの写真が一番人気なのよね」
真紅「ええ、どれだけ焼き増ししても全然注文に追いつかない。嬉しい悲鳴だわ。まるでお金を刷っているよう……」
ジュン「ひぃいいいいい……」
雛苺「ジュンも嬉しい悲鳴なの」
ジュン「んなわけないだろ! 何で勝手にそんな商売やってるんだよ他人の写真で! 肖像権! しょうぞうけーーーん!」
翠星石「昇竜拳! しょーりゅーけーーん!!」ピョンピョン
真紅「私が下僕の写真をどうしようと勝手でしょ」
ジュン「……お前、人権って言葉知ってるか?」
真紅「聞いたことあるけど、見たことは無いわね」 - 219 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:25:03 ID:yScCgnjI0
- ジュン「ああ、もう! とにかく今すぐ、その不埒な商売をやめろ!」
真紅「もう手遅れよジュン。300枚以上の注文を受けて、お金ももらっちゃったし」
雛苺「うぃ。既にnのフィールドに送ったものもあるのよね」
ジュン「そんなアホなぁあああああああ!!」ガクッ
翠星石「そう嘆くなですよチビ人間。人気者なんですから胸を張れですぅ」
雛苺「うぃ! マスターが人気者でヒナ達も鼻が高いの~」
真紅「ブロマイド買った人は別なところを高くしていそうだけど」ニヤリ
ジュン「……」
翠星石「オカズにされてるってことですね」
ジュン「みなまで言うな! 馬鹿か! お前は!!」クワッ
雛苺「うにゅ? 写真をオカズにご飯を食べるの? 美味しいのよ、コレ?」
真紅「違う違う雛苺、この場合のオカズって意味はね……」
ジュン「教えんでいい!! とにかく、ここにある写真は全部、僕に渡せ! 庭で焼く!」
真紅「な!? 貴方、馬鹿なの! 貴方の写真はもはや諭吉さんと同等の価値があるのよ!
それを焼くだなんて……! 本当、ジュン貴方馬鹿じゃないの!?」
ジュン「馬鹿はお前だ。とにかく寄越せ」ガシッ
雛苺「いやーん! ジュンが写真全部持ってっちゃう~」
真紅「……やれやれ、しょうがないわねジュン子ちゃんは気難しくて。ひょっとして生理?」
ジュン「しまいには殴るぞ。本気で」 - 220 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:33:45 ID:yScCgnjI0
- §桜田家の庭
,lヽヘ/ヽ
< へ ((
/ ノlノ^^ノノリ> ) )
ヾcリ口 _ 口ゝ ノ
| l l^Y^| \ (( ((
| | /⌒|⌒|ヽ二二つ ) ) 丿
ヽ二二Ο./ \ (( ( ノノ
(_| |_| |_ \ ∴∵
.(__)__) //》||ヾミ\
ジュン「少しでも目を放すと、すぐ変な商売始めやがるんだから真紅は。
本当に油断も隙もあったもんじゃない。こんなに僕の写真を……」 - 221 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:36:41 ID:yScCgnjI0
- §桜田ジュンの部屋
翠星石「ずいぶんと大人しくチビ人間に写真を明け渡したですね真紅」
真紅「まあ、大方の注文品は既に送ったし。あまりジュンを怒らせすぎると後々の商売が苦しくなる」
雛苺「真紅はまだ何か考えがあるのよ?」
真紅「ええ。次はジュン子ちゃん抱き枕よ」
翠星石「ほほう、抱き枕ですか。これまた売れそうなアイテムですね」
真紅「それもただ、ジュン子ちゃんをプリントしただけの抱き枕じゃない。
縫製をジュン子ちゃん本人にやらせるつもりよ」
雛苺「本人手作りなの!? すごいのよ! エコノミックメイデン万歳なのー!」
翠星石「マジですか! どうやってチビ人間に抱き枕を作らせるのですぅ?
写真だけで、あの烈火のような怒りっぷりだったのですよ!」
真紅「大丈夫、今、通信教育で催眠術習ってるから私。修了まで、あと少しかかるけど」
翠星石「……」
雛苺「……」 - 222 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:39:15 ID:yScCgnjI0
- §桜田家の庭
ジュン「……よく見ると、意外と綺麗に撮れてるな僕。こりゃ一番人気になってしまっちゃうのも納得」ジーッ
,lヽヘ/ヽ
< へ ((
/ ノlノ^^ノノリ> ) )
ヾcリ口 _ 口ゝ ノ
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ヽ二二Ο./ \ (( ( ノノ
(_| |_| |_ \ ∴∵
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ジュン「て馬鹿馬鹿! 変態か僕は! 何を考えてるんだ!!
……いや、しかし、これもある意味一つの思い出と言えなくもないし」 - 223 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:48:14 ID:yScCgnjI0
- ジュン「よし。一枚だけ貰っておこう。僕の懐に……」スッ
,lヽヘ/ヽ て
< へ つ ((
/ ノlノ^^ノノリ> ) )
ヾcリ口 _ 口ゝ ノ
| l l^Y^| \ (( ((
| | /⌒|⌒|ヽ二二つ ) ) 丿
ヽ二二Ο./ \ (( ( ノノ
(_| |_| |_ \ ∴∵
.(__)__) //》||ヾミ\ ガサガサ>
ジュン「!? だ、誰だ! そこにいるのは!?」
金糸雀「……」ゴソゴソ
ジュン「か、金糸雀……ッッ!」
金糸雀「……」
ジュン「そ、そこの茂みに隠れていたのか金糸雀?」
金糸雀「……」コクリ
ジュン「い、いつから?」
金糸雀「ジュンが自分の写真で焚き火を始めた時から」
ジュン「見てた?」
金糸雀「ばっちり全部」
ジュン「……」
金糸雀「……50円」
ジュン「!」
金糸雀「50円くれたらカナは今日、桜田家に来なかったことにしてあげるかしら」
ジュン「ぐっ……! わ、分かった! ほら、50円! これでいいだろ」
金糸雀「確かに。今後ともよろしくかしら~」トテテッ
ジュン「……」 - 224 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:50:22 ID:yScCgnjI0
- §桜田ジュンの部屋
翠星石「ふんふん」ブンブン
真紅「さっきから危ないわよ翠星石。マサカリ振り回して」
雛苺「うぃ! 危険がデンジャーなの」
翠星石「んなこと言ったって、翠星石もコレでお金もらう約束ですからねぇ」
真紅「お金? どういうこと? 私に隠れて、いかがわしいバイトでもしてるの翠星石?」
雛苺「儲け話はみんなで共有しなくちゃダメダメなのよ翠星石!」
翠星石「大したバイトじゃねーですよ。これ、『庭師のマサカリ試作型』なんだそーです」
真紅「庭師のマサカリ? と言うことは庭師連盟のシキから頼まれごと?」
翠星石「ですぅ。このマサカリの使い心地をモニターして報告すれば謝礼がもらえるのです」
真紅「珍しいわね。貴女が庭師連盟からの依頼を受けるなんて」
雛苺「翠星石は庭師連盟が嫌いじゃなかったのよ?」
翠星石「嫌いですよ。けど、お金くれるってなら話は別ですぅ。
今月は既にボス猿にお小遣い前借したのも使いきっちまってピンチなのです」
真紅「買い食いばっかりしているから、そうなるのよ。
と言うか、振り回しているだけじゃマサカリのモニタリングなんてできないじゃない」
雛苺「そうよ。マサカリなんだから木を切らなくちゃいけないのよね」
翠星石「やっぱ、そうしなくちゃダメですかね? めどくせーから素振りで何とかならないかと思っていたのですが」
真紅「なるわけないでしょ。ちゃんと、ここで仕事しておかなくちゃ次から割のいいバイトを回してくれなくなるわよ」
翠星石「ぬっ!? そいつぁ、どえれぇハードラックですぅ。よし、今すぐ庭に下りて何でもいいから木を切ってやるですよー!」 - 225 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:52:46 ID:yScCgnjI0
- §桜田家の庭
,lヽヘ/ヽ
< へ
/ ノlノ^^ノノリ>
ヾcリ口 _ 口ゝ
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| | /⌒|⌒|ヽ二二つ
ヽ二二Ο./ \
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.(__)__) //》||ヾミ\
ジュン「……焚き火の終わりって何か妙に切ない気分になるんだよな」
真紅「わー」ドタドタ
雛苺「わー」ドタドタ
翠星石「わー」ドタドタ
ジュン「……? どうした三馬鹿? ワーワー言いながら出てきやがって。写真ならもう全部、焼いたからな」
翠星石「あん? 写真なんか、どうでもいいですよ。今、時代はマサカリですぅ」スチャッ
真紅「実は、かくかくしかじかと言うわけ」
ジュン「へー。マサカリのテストか」
雛苺「何か切ってもいい木とかないのよ? ジュン?」
ジュン「そう言われれば庭の隅で、もうずいぶん昔に枯れたんだけど
根幹部だけ微妙に残っていて邪魔なのがあったな。あれなら切っていいぞ」
翠星石「ふーむ。どうせなら樹齢何百年とかの大物を切ってやりたかったですが
今のところは、そいつで我慢してやるですぅ」
真紅「翠星石、その発言って庭師としてアウトじゃない?」 - 226 :名無しさん:2013/07/22(月) 21:54:11 ID:yScCgnjI0
- §庭の隅
翠星石「ふむ。こいつですか。確かに中途半端に幹が残っているです」
真紅「直径30cmぐらいの枯れ木ね」
雛苺「こんなところに木があるなんて、今まで気づかなかったわ」
ジュン「これ切り株にしてくれたら、ホームセンターで切り株を腐らせて崩壊させる薬を買ってきて取り除こうと思ってるんだ」
真紅「何かすさまじい薬を売っているのねホームセンターって」
翠星石「まあ、任せろですチビ人間。これは今すぐに翠星石のマサカリの錆にしてくれるですよ」
雛苺「ひゅーひゅー! かっこいいのよ~翠星石ぃ!」
翠星石「では早速。あらよっと」スパーン
真紅「ッ! すごいじゃない翠星石! 一撃で終わったわ!」
ジュン「な、なんて切れ味なんだ! そのマサカリは!」
翠星石「流石は庭師連盟。翠星石と蒼星石の庭師道具のパクリの癖にいい仕事しているです」
雛苺「これでシキさんに、ちゃんとした使用後の感想が言えるのよね翠星石」
翠星石「……」
真紅「翠星石?」
翠星石「物足りんですぅ」
ジュン「は?」 - 227 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:00:00 ID:yScCgnjI0
- 翠星石「この切れ味をもっともっと楽しみたいです」
ジュン「おいおい……」
翠星石「何でもいいから、ぶった切ってやりたくなってきたです」
雛苺「じゃ、次はヒナにそのマサカリを使わせてなのぉ」
真紅「いえ、私に……」
翠星石「うるせーですっ」ブオンッ
雛苺「にゃっ!?」ササッ
真紅「ッッ!?」
.ィ/~~~' 、
、_/ /  ̄`ヽ}
,》@ i(从_从))
||ヽ||^ω^ノ
|l| | |l| | スパーン
〈iミ''介ミi〉
ノ,ノハ.ヽ、
` -tッァ-''
ジュン「うわあああああ!? 真紅ぅうう!? 真紅の首がぁあああ」
|l| | |l| |
.ィ/~~~' 、
、_/ /  ̄`ヽ}
,》@ i(从_从))
||ヽ||^ω^ノ ストン
〈iミ''介ミi〉
ノ,ノハ.ヽ、
` -tッァ-''
ジュン「……戻った?」 - 228 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:03:23 ID:yScCgnjI0
- 真紅「あ、危ないじゃない翠星石! マサカリが来る瞬間、咄嗟に真紅ヘッドを自切して助かったけど! 本当びっくりした!」
ジュン「こっちの方がびっくりしたわい。と言うか翠星石! 洒落になってないぞ!
他人に向かってマサカリを振るだなんて、どうかして……ッ!」
翠星石「ふしゅー……」
雛苺「す、翠星石の様子が変なの」
真紅「あらやだ、ジュディカの後遺症?」
ジュン「そんなまさか」
翠星石「おりゃああああ! 何でもいいから切らせろです! いや、やっぱり
首です首ぃぃ!! お前らの首をぶった切ってやるです! メーーーーン!!」
ジュン「うおっ!? なんだコリャ! 完全に翠星石がイカれた!?」
真紅「鳥海皆人にやられた時の方がまだまともな感じだったわね」
雛苺「ど、どうしたっていうの翠星石ぃ! 目を覚ましてェ!!」
真紅「危ない雛苺! 今の翠星石に近づいては……ッ」
翠星石「チビチビチビチビチビ……チビ苺は首を切るですぅ!!」グオッ
雛苺「きゃーーーっ」
ジュン「雛苺!!」 - 229 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:04:35 ID:yScCgnjI0
- ガキーーン
翠星石「ぬうっ!? この手応えは!? チビ苺ではなく、金属!?」
雛苺「みょわわわわっ!? 何が起きたの!? ヒナ、切られていないのよね!」ガクブル
真紅「間一髪で空から庭師の鋏が降ってきた! そしてそれが雛苺の前の地面に刺さって、翠星石のマサカリの軌道を防いだ!」
翠星石「庭師の鋏!?」
ジュン「と言うことは……!」
真紅「そして何より、こんな計ったようなタイミングで出てくるのが大好きなのは……!」
蒼星石「どうも、僕です」ドジャーン
雛苺「蒼星石ー!」
翠星石「おおお、おのれのれのれのれ蒼星石ぃい! ツヴァイリンゲ(双子)である翠星石の邪魔をするですですかああああ」
蒼星石「落ち着いて翠星石。君は明らかに正常じゃあない。と言っても今の君には無理な相談か」
ジュン「蒼星石! お前には今がどういう状況なのか分かってるのか?」
雛苺「突然、翠星石がおかしくなったのよ!」
真紅「いつもおかしいけど、今日は特におかしいのだわ!」 - 230 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:05:55 ID:yScCgnjI0
- 翠星石「うはうはうは! 切るです切るです! オーバーキルでぇええす!」ブンブン
ジュン「うわっ! マサカリ振り回しながらこっち来るぞ!」
蒼星石「雛苺! 僕の鋏をこっちへ! ジュン君は僕の後ろに下がって!!」
雛苺「ダメよ! ヒナのところからじゃ、翠星石を追い越して蒼星石に鋏を渡せないわ」
蒼星石「苺わだち使って!」
雛苺「みょわわっ! その手があったのよね」シュルル
ジュン「おおっ! 苺わだちがベルトコンベアみたいに!?」
真紅「鋏を地面の上で滑らせ、蒼星石のもとへ!」
蒼星石「よしっ。よくやった雛苺」グッ
翠星石「脳漿ぶちまけやがれですぅ!」グバッ
蒼星石「断る!」グワシーン
翠星石「ぬぬぅ……」ギリギリギリ
蒼星石「この力っ! やはり翠星石は……」グググ
真紅「ああ、なんてこと! 翠星石と蒼星石が刃を交えるだなんて!」
ジュン「いい加減目を覚ませよ翠星石! いくらふざけていても蒼星石にだけは優しいはずだろ、お前は!!」
翠星石「やかましいです! 蒼星石をやった後はチビ人間! お前の舌を切ってやるです!!」
雛苺「はわわわわわわわ! もう、いつもの翠星石とは全然違うのよー!」 - 231 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:07:14 ID:yScCgnjI0
- 蒼星石「……狂戦士のマサカリ」
翠星石「!」
ジュン「え?」
蒼星石「翠星石が手にしているのは庭師のマサカリなんかじゃあない。狂戦士のマサカリだ」
真紅「え!? え? どういうこと!? ベルセルクのガッツ呼ぶ?」
ジュン「呼んだら来てくれるのかよ」
蒼星石「狂戦士のマサカリとは、その名のとおり手にした者からだんだんと正気を奪い殺戮に走らせる呪物だ」グググ
翠星石「ほほーう? 翠星石が呪われているとでも言うのですかぁ~!?」グググ
ジュン「呪い人形が呪われてちゃ笑い話にもならんな」
真紅「と言うか、鍔迫り合いのような事しながら解説入れるなんて蒼星石も余裕あるわね」 - 232 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:09:22 ID:yScCgnjI0
- 蒼星石「シキさんは確かに、翠星石に庭師のマサカリ試作型を送った。
だがっ! しかし! 途中で誰かがそれを狂戦士のマサカリと入れ替えたんだ。
その事に気づいたシキさんから急遽、僕に連絡が入った。『翠星石が危ない』と」
真紅「な、なんですって!?」
雛苺「入れ替えだなんて、そんなことするのは誰なのよ!?」
ジュン「しかも何のために!?」
蒼星石「さらに詳しい説明は後だ。今は先ず、翠星石からマサカリを取り上げる! とりゃっ!」
翠星石「……ぬ!?」ドボッ
真紅「蒼星石のミドルキックが翠星石のわき腹にクリーンヒット!!」
ジュン「狂ってしまっているとは言え、姉相手に容赦しねぇなアイツも」
雛苺「でも、これで二人の間合いはまた離れたのよ!」 - 233 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:14:01 ID:yScCgnjI0
- 翠星石「そーせーせきぃいいい! よぉくも、麗しのお姉様を足蹴にしたですねぇええっ!!」ヨロッ
蒼星石「……三文芝居はやめろ。今のスローな蹴り、マサカリの柄を使えば充分に防げる攻撃だった」
翠星石「……っ」
ジュン「え、スローだったけ? 今の蹴り? 結構本気だったとばかり」
真紅「アリスゲーム的には、ぬるいキックよ。一応」
蒼星石「つまり、今の君はマサカリ自体がダメージを受けることを嫌い
翠星石の体を犠牲にしているということだ。これが操られている状態でなく、何だと?」
翠星石「ばれちゃあ、しょーがねーですぅうううう! けーれーどーもっ!
それならそれで、いくらでも方法はあるです! 例えば……ホラァーー!」ピタッ
雛苺「にゃっ!? 翠星石が自分で自分の首にマサカリの刃を当てたの!」
ジュン「くっ! そう来たか!?」
蒼星石「……人質か」
翠星石「そうとも! 俺のことを見逃せです蒼星石ぃ! じゃなきゃあ、大事な姉の首が飛ぶぜ」
ジュン「何て卑怯な!」
真紅「翠星石……ッ!!」
蒼星石「好きにすればいい」
翠星石「ッ!?」
雛苺「蒼星石!?」
ジュン「おいおいおいおいおいおいおい! 即答かよ蒼星石! しかも好きにしろって」
翠星石「おめぇー、俺がビビッてやめるとでも……」
蒼星石「よく考えろ。翠星石をダメにした後、君はどうするつもりだ?
誰の体を乗っ取って、ここから逃げる? 僕らはもう、君を拾ったりしない」
翠星石「……」
真紅「下手なブラフねマサカリ。そもそも蒼星石相手に人質を取ろうだなんて事自体
馬鹿の極み。私だったら実際に人質は取らずに脅す方法を選ぶわ」 - 234 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:16:55 ID:yScCgnjI0
- 真紅(さらに言うなら、首が切断された程度じゃあ薔薇乙女は仮死状態になるぐらいだし)
ジュン(真紅、さっき自分で首を飛ばしてたしな)
雛苺(ローザミスティカとジュンさえいればなんとかなるのよね)
翠星石「くっ! うおおおおおおおおおおお!」ガバッ
蒼星石「!? 何だ、マサカリを大きく振りかぶった!?」
真紅「何をする気……ッ!?」
翠星石「とりゃあああーーーー!」ブンッ
真紅「投げた!? しまった! まさかジュンを狙って!?」
蒼星石「違う! 角度が高い! 空だ!! 投げの勢いで空を飛んで逃げる気だ!」
マサカリ「ワハハハハーーーー! これが我が逃走経路よ!! 追いつけるものなら追いついてみやが……」
水銀燈「じゃ、遠慮なく」パシッ
マサカリ「ッッ!?」
ジュン「す、水銀燈……ッッ!? 空に! いつの間に!?」
雛苺「ナイスキャッチなのよーっ!」 - 235 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:21:28 ID:yScCgnjI0
- 蒼星石「やあ、来てくれたんだね」
水銀燈「あのねぇ蒼星石。何か面倒があるたびに保険代わりに私を呼び寄せるの止めなさいよ。
確かにアンタには借りがあるとは言え……」
蒼星石「ごめんごめん。でも、君なら貸し借り無しでも結局は来るだろ?」
水銀燈「やれやれ」スタッ
翠星石「……あるぇ? 翠星石は今まで何を?」パチクリ
雛苺「翠星石が元に戻ったみたいなのよ」
真紅「良かった。翠星石、貴女は狂戦士のマサカリに操られていたのよ……、て!
そうだ! 水銀燈! いつまでも、そのマサカリを握っていてはダメよ!」
水銀燈「は?」
蒼星石「持っている人に呪いをかけて意識を奪うんだ! 水銀燈、はやくそのマサカリを地面に捨てて……ッ」
水銀燈「フンッ! お馬鹿さんの翠星石や真紅ならまだしも
この私が、こんなチャチな三流以下の呪物に操られるわけないでしょ」
ジュン「しかしだな……っ」
真紅「いえ、ジュン! 水銀燈の持つマサカリをよく見て!」
ジュン「!?」
マサカリ「……」ズズズ
蒼星石「マサカリに纏わりついていた邪気が消えていく!? 浄化されたのか……?」
水銀燈「……」
真紅「違う。水銀燈が元から纏う呪詛や瘴気に負けて、マサカリの邪気が消し飛ばされた」
水銀燈「他愛もない。めぐの癇癪の方がまだ手を焼くわ」
ジュン「もうやだ、この長女……」 - 236 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:22:56 ID:yScCgnjI0
- §桜田ジュンの部屋
雛苺「わぁい! もうヒナが素手で持っても全然平気なのよね、このマサカリ」よろよろ
翠星石「こ、こらチビ苺! 重さでフラフラしているですよ! 危ねーですぅ!!」
真紅「貴女はそれを振り回したり投げたり、やりたい放題だったけどね」
翠星石「それは操られていただけです! 不可抗力ですぅ」
水銀燈「……で、誰が何の目的でこの狂戦士のマサカリを庭師のマサカリとすり替えたの?」
蒼星石「僕達と庭師連盟の関係を良く思わない者だ」
ジュン「東果重工か渡し守の集い、それともネクロポリタン美術館か?」
水銀燈「こういう呪いアイテムを使うのが好きなのはネクロポリタンかしら」
蒼星石「いや、その中のどれでもない」
真紅「ひょっとして……庭師連盟?」
ジュン「え、何でだよ!? だって……」
蒼星石「真紅、正解」
ジュン「!」 - 237 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:26:22 ID:yScCgnjI0
- 水銀燈「裏切り者……か」
蒼星石「そう。庭師連盟の中に粛清を逃れた裏切り者がいるらしい。さらには追放された庭師達も
黒庭師としてオズ教団の残党と合流した。庭師連盟の内と外、裏切り者達は連携している」
ジュン「ちょっと待てよ、オズ教団の団員は崩壊後、渡し守の集いに組み込まれたはずじゃ」
蒼星石「それは表層の構成員の一部だけだ。オズ教団の中には元から
庭師連盟からの離反者である黒庭師や、わずかながら東果重工からの脱工者もいたらしい」
水銀燈「反発し、逃げて逃げて、逃げ続けての成れの果てのゴミ屑どもが
凝り固まったか。疎水結合のような自然の摂理ね」
真紅「それじゃ、ひょっとしてオズ教団が復活……?」
蒼星石「それは無い。曲がりなりにもオズ教団を纏め上げていたのはレイキさんの表の顔である教祖のカリスマ性。
今の彼らはあくまでオズ残党。リーダーもいることにはいるが……」
水銀燈「そういうのが一番厄介よ。何しろケツに火がついている。
逃げ続けた奴らが、最後の逃げ道まで失ったら、玉砕覚悟で突っ込んでくる」
蒼星石「水銀燈の言うとおりだ。オズ残党は、最近かなり無茶をやり始めた。
庭師連盟からの追放者を得ての行動だとも思われる」
翠星石「nフィーのごたごたに、まぁた翠星石達ローゼンメイデンが巻き込まれる破目になっちまうのですか……」
雛苺「うみゅみゅ、ヒナ達は静かに面白おかしく暮らしたいだけなのに」
ジュン「けっこうな高望みしてんじゃねぇよ」 - 238 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:32:39 ID:yScCgnjI0
- 蒼星石「……真紅、星幽祭で撮った写真をブロマイドにして売ってたでしょ?
あれで女装ジュン君が写っていたのが、あったはずだ。ここにある?」
真紅「え? 何よ急に」
翠星石「なんと!? 男装少女の蒼星石の好みは女装男子ですか?」
雛苺「興奮するの!」
蒼星石「違う。いいから写真を見せて」
真紅「残念だけど、手元にあったブロマイドはジュンに没収されて全部燃やされたわ」
ジュン「……」
雛苺「一枚残らず燃やされたのよー! ひどいのー!」
蒼星石「燃やした灰は?」
真紅「時間巻き戻しを考えているならそれも不可能よ。灰は風に乗ってどっか飛んで行っちゃったし」
蒼星石「そうか。困ったな……」
水銀燈「そこのメガネが一枚隠し持ってるわよ。ジュン子ちゃんとやらの写真なら」
真紅「!?」
翠星石「え!?」
ジュン「ッッッ!!?」 - 239 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:37:08 ID:yScCgnjI0
- ジュン「えっ! ちょっ! おま! 何言ってんの!? 水銀燈! 馬鹿じゃないの! そんなことあるはずないだろ!」
水銀燈「道中、この家の方角から金糸雀がやけに上機嫌で歩いてきたから
理由を聞いてみたら洗いざらい吐いてくれたわぁ」
ジュン「そんな!? あの馬鹿……! 秘密だと約束したくせに……!」
水銀燈「確かに最初は渋っていたけど、100円あげたら淀みなくペラペラと全て喋った」
ジュン「ちくしょおおおお……! なんで……こんなことがっ」
真紅「ジュン……」
翠星石「チビ人間」
蒼星石「だったら話が早い。ジュン君、写真を見せて」
ジュン「うう……、ほらよ」ピラッ
真紅「やれやれ。私達のことをあれほど怒っておきながら
自分はその写真を一枚くすねておくだなんて、人間のオスは本当に下劣ね」
雛苺「それにしても自分の女装写真を隠し持つだなんてジュンは変態さんなの」
ジュン「……」
蒼星石「みんなもよく見て欲しい。このジュン君、いやジュン子ちゃんの写真を」
真紅「? なんで?」
水銀燈「背景に暴走する前のエデンギアが写っているわね」
真紅「ええ。メカとメイド少女との取り合わせが男心をくすぐるのよ」
雛苺「あのお祭りは、この写真を撮った後に金糸雀のせいでロボットさんが暴れて大変だったの」
蒼星石「このエデンギアの暴走もオズ残党の仕業だ。あわよくば金糸雀に全ての罪を着せ
ローゼンメイデンとnフィー四大勢力の関係を悪化させようと、仕組まれた事故」
水銀燈「え!?」
ジュン「なにぃ!?」 - 240 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:44:49 ID:yScCgnjI0
- 蒼星石「東果重工が事故の原因をエデンギアの残骸から調べた結果
暴走は外部からのハッキングによる可能性が高いことが分かった」
水銀燈「本当? 東果重工が自分とこのロボの欠陥を隠したり、責任逃れのためのでっちあげじゃ……?」
蒼星石「いや。その証拠が、偶然に撮られたこのジュン子ブロマイドに写りこんでいる。
このブロマイドを購入した東果重工社員が発見した」
雛苺「どゆことぉ?」
蒼星石「影になっていて見づらいがエデンギアの足元に誰かがいる」
翠星石「んんー? そう言われてみれば……」
真紅「やだ、本当じゃない。全然気づかなかったわ」
水銀燈「ッ!? コイツは! この顔はまさかっ!? あの時の馬鹿麻呂!!
そんなッ!? 生きているはずは!! 確かにこの手で……っ!」
雛苺「ばかまろ?」
蒼星石「そう。かつての第一世代ロゼリオン計画統括責任者でオズ教団の幹部だった男。
そして今、名目上、彼はオズ教団残党軍の『教皇』として君臨しているらしい。
集団として組織を纏め上げる能力はかつての教祖には及ばないが」
ジュン「マジでか!? 出世したなあ、バカマロのくせに」
蒼星石「そして、この教皇が写真の中で手に持っている物がある。
画像を拡大解析したところ、何らかの受信機であるらしいことが判明した」
翠星石「受信機!」
蒼星石「この受信機そっくりの破片等も、エデンギアの残骸から発見されている」
真紅「なるほど。エデンギアを外部から操るために、これを取り付けた……」
ジュン「なんてことだ」
水銀燈「確かに叩き潰してやったはずなのに嫌になってくる。まるでミミズのように瓦礫の下から這い出てくる奴らだこと」
蒼星石「教皇が出張ってきた以上、僕らが目の敵にされるのも当然だ」
真紅「こんな装置取り付けぐらい下っ端に任せればいいのに残党とは言え組織のトップが自ら手を動かしているんですもの」
水銀燈「ちっ……、恨みとやる気だけは上等ってことね」 - 241 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:45:43 ID:yScCgnjI0
- §nのフィールド内の某所
残党A「どうやら狂戦士のマサカリがやられたらしい」
残党B「ふ、あの馬鹿め。息巻いていただけだったな」
残党C「連盟内に残った仲間に頼んでまで、庭師のマサカリとすり替えたというのに」
残党D「最早あんなジャンクなど、どうでも良かろう」
残党E「いかにも。所詮、奴はオズ残党軍の中でも小物中の小物……」
残党F「うむ。あれを倒したぐらいで敵にいい気になられても困る」
残党G「くくく……」
残党H「くくくく……」 - 242 :名無しさん:2013/07/22(月) 22:49:26 ID:yScCgnjI0
- §桜田ジュンの部屋
蒼星石「けれど翠星石が操られてしまった今回はかなり危険だった」
水銀燈「どこがよ。所詮、翠星石でしょ」
真紅「いかにも。翠星石なんてローゼンメイデンの中でも一番の小物」
雛苺「うぃ! これぐらいで相手にいい気になられても困っちゃうわ!」
翠星石「ふんがー! なんですとー! チビ苺の方が翠星石より小物ですぅ!」
雛苺「違うのー! ヒナは翠星石より、ちゃんとしてるもんー」
翠星石「なにをー」
ジュン「こらこら、喧嘩するな」
蒼星石「今後は気を抜けない状況が続きそうだってのに。変わらないな翠星石と雛苺は」
ジュン「……なあ蒼星石、もう用済みなら僕の写真を返してもらっていいか?」
蒼星石「ん、ああ。いいよジュン君。ありがとう」
雛苺「ねぇ~! ジュンはそれをオカズにするの~?」
ジュン「ッ!? そ、そんなことしねーよ! 馬鹿!! 自分をオカズにするって、どれだけ極上の変態だよ!!」
真紅「ヤマジュン漫画でそういうホモがいた気がする」
蒼星石「『俺がいちばんセクシー』の高梨亮だね」
翠星石「チビ人間はホモなのですぅ?」
ジュン「ホモじゃねーよ」
真紅「……私達は気を抜けないし、ジュンも自分をオカズに抜けない。つまり、挟みうちの形になるわね蒼星石」
蒼星石「いや、全然なってないと思うけど」
水銀燈「……馬鹿ばっか」
桜田ジュンの肖像『逆襲の教皇』 終
2013/07/23 23:33:59 コメント15 ユーザータグ ローゼンメイデン