テレビ『2010FIFAワールドカップの試合結果を見事的中させたタコのパウル君……』
真紅「凄いタコがいるものね」
テレビ『地元ドイツの水族館では連日……』
真紅「見世物じゃあるまいし、タコも大変ね。あ、でも水族館だからそれでいいのか」
テレビ『どうやって予言しているのかは謎ですが……』
真紅「たまたまでしょ。たまたま」
テレビ『説の一つとしてタコは赤色を好む傾向があり、赤っぽい国旗を選び続けたと……』
真紅「ッッ!? なんですって!?」
テレビ『しかし、タコの眼は色を識別できないとも言われ、科学的な実証は……』
真紅「使える! これは使えるのだわ!!」
3 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 12:56:16.34 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | 翌日の | |
| Tale.2 .| | | ジュンの | |
| | | | 部屋. | |
|_____|/ |_____|/
4 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:01:58.27 ID:zWR/5+4j0 真紅「時間通りみんな集まってくれたようね」
金糸雀「水銀燈と雪華綺晶が来てないのかしら」
真紅「あの二人は私が呼び掛けてもブッチするだろうことは予想できていたから別に問題ない」
蒼星石「アリスに関して大切な話があるって言ってたけど彼女達抜きでいいのかい?」
真紅「ええ。ここの過半数以上のドールの賛成が得られれば、あとはどうとでもなる」
翠星石「民主主義ってやつですね」
雛苺「それじゃあ早く話を始めてなの」
6 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:05:54.16 ID:zWR/5+4j0 真紅「……みんなサッカーは観た?」
金糸雀「観たかしら! 凄かったかしら! カナなんてハマっちゃってブブゼラを取り寄せちゃったのかしら!」
翠星石「奇遇ですね! 翠星石達もチビ人間に買わせたんです!」
雛苺「アフリカの伝統楽器のはずなのにメイドインチャイナなの!」
蒼星石「僕も観てたよ。マスターとどこの国が優勝するかで、お小遣い賭けて勝負してたんだ」
真紅「それぞれ思い思いに楽しんでいたようね。だったら当然、パウル君のことも知ってるわよね?」
8 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:07:42.10 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「中日の安打製造機?」
翠星石「それはパウエルです」
雛苺「予知するタコさんのことなのよ!」
金糸雀「も、もちろん知っていたかしら! 超有名かしら! 常識かしら!」
蒼星石「そうだね。今、世界で一番有名なナマモノじゃないかな?」
翠星石「で、そのタコ助がどうかしたのですか? 真紅?」
9 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:11:38.27 ID:zWR/5+4j0 真紅「彼の予知はまさに神懸かり的。ゴールドエクスペリエンスレクイエムの介入が無い限り完璧だわ」
蒼星石「パウル君は過去に何回か予知ミスったこともあるよ」
真紅「え!? マジで!?」
蒼星石「うん。マジで」
真紅「で、でも今年のパウル君が絶好調な事に変わりは無いのだわ!」
雛苺「抱かれたい軟体動物ナンバーワンにも選ばれてたのよ」
真紅「試しに彼に、企業や流行アイテムの二者択一をさせたら株価すら大変動するはず」
金糸雀「そんな馬鹿な……とも言い切れないのが、今の世界経済の恐ろしさかしら」
11 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:14:39.10 ID:zWR/5+4j0 真紅「そこで! 私、ローゼンメイデン第5ドール真紅はパウル君によるアリス決定をここに申請します!!」
翠星石「えぇ~~っ?」
蒼星石「いくらなんでもそれは……」
雛苺「めちゃくちゃなのよ! 真紅」
金糸雀「正気の沙汰とは思えないかしら」
12 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:17:55.45 ID:Rbefvpuj0 汚い! さすが第五ドール汚い!
18 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:35:08.68 ID:RiM49nNu0
_)-―¬ニニ¬ 、r、}rヘ
/ ,′ ´ ̄、`Y l
/ / 、 l くハ |
,′ , l ! , | 、 | l l|
. l | | | /| ∧ ハ | | | |
| | l | l7/ ∨ リ | | L_
|∧ |Nヘ、!/ ● / ,′l ⌒ヽ
人 /ミYシ __ ⊂⊃ / l| ::::::::: : .`ヽ
/ . :ヽ ヽ 丿 ,イ / l| ::::::::: /⌒ヽ
l : : : ,∠>─ 、 _, <|/ ヽ>-イ<⌒ヽ: : l
> ´. : :┌┐、: :) ノ. : :∠ _ 丿. : :ノ : . \ノ ノ
(: . . :<>⌒ノ∠二 / . : : : : : : : : . _ ∠厂
` <>´ ̄. : : : : :( : : :( : ¬: :二└‐´
/ ,-、_, ¬: :二-へ、: .ヽ ̄
レ' ̄  ̄  ̄`
10 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:14:34.88 ID:/Ars70dC0 ,-'つ
(( ( ( ∩ )) ワキワキ
\\ // ,-─、
`i :l // ∩ /:r ̄^ ))
/⌒、ヽ | :| | | // /:/
j / \\ / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ /:/
| | y ' `v
U / ヽ
l:::::::::. |
|:::::::::: (●) (●) |
|::::::::::::::::: \___/ | たこは負けないよ!
ヽ:::::::::::::::::::. \/ ノ
13 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:19:04.46 ID:zWR/5+4j0 真紅「だまらっしゃい!」
雛苺「でもぉ……」
翠星石「パウル君はタコですよ! タコって、『ちゅーちゅータコかいな』の、あのタコですよ?」
真紅「タコで何かまずいことでも? パウル君は天才よ」
蒼星石「何で真紅はそこまでパウル君を特別視するんだい?」
真紅「……パウル君がどこの国のタコか知ってるわよね」
雛苺「ドイツ」
真紅「そう! ドイツとはローゼンメイデン、そしてお父様とも縁のある国」
金糸雀「そうだったかしら?」
翠星石「さあ?」
真紅「パウル君は……いえ、ヘル・パウルは予言を司る神、いわゆるゴッド」
蒼星石「だから論理が飛躍しすぎだって……」
14 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:25:19.53 ID:zWR/5+4j0 真紅「むしろタコとは世を忍ぶ仮の姿」
翠星石「それはタコが海の忍者と呼ばれていることを知っての発言ですか?」
真紅「それは知らなかった……て、どうでもいいことで話の腰を折らないで頂戴」
翠星石「すまんですぅ」
真紅「……ヘル・パウルの真の姿とは、ズバリお父様だったのよ!!」
金翠蒼雛『なんだってぇーッ!?』
15 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:29:20.95 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「ちょ、ちょっと真紅! それはあまりにも非常識では!?」
真紅「常識という眼鏡で私達の世界はのぞけやしないのだわ」
蒼星石「しかし、予言が凄い以外に納得できる証拠が他にあるのかい!?」
翠星石「いい質問ですねぇ蒼星石! そうです! きっちりした証拠を出すです真紅!」
真紅「ふ、そうくるだろうことは予想していたわ。さあ! ヘル・パウルもとい
お父様の目をよく見てみなさい! ここに写真を印刷したフリップを用意しているから」
19 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:35:35.09 ID:zWR/5+4j0 ーj: : : : :/ / / l:: ヽ ヽ: : : : :r:'__
「: : : : :/ l i:: l l|:: l l l ヽ: : : :´} ̄ヽ
T]: : : :!: l l l |:! l| :! | :::!: : :└iー┘
|廴ャ: :l! ! l|_ :! ∥! l:: | l ::|: : :r:イト、
l! |ー、:'、 、l ド 、l|::l /l ,孑7´ l:|:rソ| | l |
l| | くノト、ヽ,イ⌒ヽ !l'〃 ィ⌒Yイノリ'´ ! l | lヽ n
|':! | !ハ 乂::::ソ 乂r'冖'冖'冖'冖'冖'冖'冖'|l!
||l l:: l!:、 _ | / ̄ ̄\ |l!
l !l| / /´:.ヽ、 ,.| (丶 / ノ |l!
|:. |:! l 〈:.:.:.:.:.:.:.t:.:ォ:.:.':.´:.| || .| /).|l!
l 」| / 」´l:.:.:.:.:.:.:.:ツ'!:.:.:.:.:.:.| \>◎(○)◎/8/ |l!
| l :| 厶_ ̄¨ヽ:.:.:/ハ:.:.:.:.:.:| (\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_|l!
i|l /_≧x、_」:.:イ| ト:.:.:.:|_ \_丿o|8|8|し|_|l!
20 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:38:25.81 ID:zWR/5+4j0 雛苺「うーん……」
金糸雀「見れば見るほどタコなのかしら」
真紅「このフシアナメイデンどもが! お父様の瞳が、愛と優しさに満ちているのが分からなくて!?」
翠星石「そう言われてみればなんとなく……」
金糸雀「無垢で温かい目をしているようにも見えるかしら」
蒼星石「野生動物は大概、目が優しいもんだけど……」
真紅「まだ屁理屈をこねようと言うの? 蒼星石?」
蒼星石「いや、屁理屈なのは真紅の方……」
22 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:42:45.75 ID:zWR/5+4j0 真紅「なら、これがさらなる決定打よ! メイデン全てを抱きしめたとしても、なお一本あまる包容力800%な逞しい腕!
偽者も一体ぐらいまでなら許容範囲という、海よりも深い度量のあらわれ! これがお父様の証でなくて何!?」
翠星石「な、なるほど!」
雛苺「全然、気付かなかったのよ!」
金糸雀「そこに気付くとは、やはり真紅は天才かしら」
蒼星石「く……」
真紅「どう? この期に及んでも反対意見があって? 蒼星石」
蒼星石「ふ、残念ながら僕の負けのようだね」
23 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:47:08.49 ID:zWR/5+4j0 ジュン「いつものことながら真紅の口八丁手八丁に呆れるやら感心するやらだな……」
真紅「ジュン!? いつからそこに!?」
ジュン「最初からだよ馬鹿野郎」
真紅「でもちょうどいいわ。証人になって頂戴。私達は全員一致で
ヘル・パウルもといお父様によるアリス決定戦に賛成したのだわ」
翠星石「賛成5、欠席2ですから、これは可決と見なされるですぅ」
ジュン「別に僕はどうでもいいけど、具体的にどうするんだ? ドイツの水族館まで行くのか?」
蒼星石「勿論だよ」
金糸雀「一刻も早く会いたいのかしら」
24 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:49:29.89 ID:zWR/5+4j0 真紅「そ、その必要は無いのだわ!」
雛苺「うゅ? どうしてぇ?」
真紅「……お父様は来週、来日されるからよ」
翠星石「えぇ!? マジですか!?」
真紅「この真紅が特別に水族館に頼んだの。感謝することね」
蒼星石「な、何という手際の良さ。まさに手八丁」
翠星石「タコだけにですか?」
蒼星石「うん。タコだけに」
26 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:51:21.32 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「こ、こうしちゃいられないのかしら!」
翠星石「何がです? 金糸雀?」
金糸雀「お父様にアリスに選んでもらうために自分を磨く期間があと一週間だけってことじゃないの! 翠星石!」
翠星石「ほぁーっ!? た、確かにそうです!」
雛苺「こうしちゃいられないの!」
蒼星石「そうだね! お父様に会うのに恥ずかしくない準備をしなくちゃ」
真紅「その通りよ。めいめい用意を怠らないことね」
27 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:56:18.45 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | | |
| Tale.3 .| | | 10分後 | |
| | | | | |
|_____|/ |_____|/
28 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 13:58:23.04 ID:zWR/5+4j0 真紅「……」
ジュン「お前以外はみんな出かけて行っちゃったな」
真紅「……」
ジュン「真紅は何も用意とかしなくていいのか?」
真紅「ジュン」
ジュン「ん?」
真紅「今すぐ生きたマダコを用意して頂戴」
ジュン「ッッ!? お、お前……っ!?」
真紅「な、何も言わないで欲しいのだわ……」
ジュン「ノ……ノープランにも程があるだろ!」
30 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:04:40.65 ID:zWR/5+4j0 真紅「いいから早く生きたマダコよ!!」
ジュン「そんなの『はいそうですか』と用意できるか!!」
真紅「スーパーのチラシによく載ってるじゃない! 『活きのいいのが入ってます』て!」
ジュン「その『活きのいい』ってのは意味が違う!!
刺身のことだ馬鹿! えぇい! もういっぺん言ってやる、この馬鹿!」
真紅「くぅ……」
ジュン「大人しくみんなに謝ってこい」
真紅「それは私の薔薇乙女としての誇りが許さない」
ジュン「嘘つくのはいいのかよ」
31 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:12:27.50 ID:zWR/5+4j0 真紅「こうなったら駄目もとでドイツの水族館に電話してみるのだわ」
ジュン「するだけ無駄だと思うが、チャレンジャーだな」
真紅「水族館の電話番号は……と」
電話『プルルル』
真紅「……」
電話『はい、こちらドイツオーバーハウゼン前シーライフ水族館です(ドイツ語)』
真紅「グーテンモルゲン! バームクーヘン……」
ジュン「ドイツ語喋ってると、なんだか真紅が別人に見えるなぁ……」
32 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:14:51.57 ID:zk9R5sLj0 この真紅は喋れそうにない
33 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:19:14.17 ID:zWR/5+4j0 電話『プツッ……ツー……ツー……』
真紅「……」
ジュン「どうだった?」
真紅「……実はパウル君はイギリスで生まれたとかイタリアで捕まえたのをドイツに送ったとかで
いろんな人が所有権を主張していて、それどころじゃないって……」
ジュン「うわぁ……ハリウッドの子役なみだな」
34 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:24:08.45 ID:z0Co+gHC0 パウル君も薬物に手を出すレベル
35 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:24:31.49 ID:zWR/5+4j0 真紅「それでもって所有権を主張する人が計8人も出てきてどうしたらいいかって、逆に相談されたわ」
ジュン「切羽詰ってんな水族館。で、何かアドバイスしたのか」
真紅「とりあえず、大岡裁きを教えてあげたら凄いウケてたけど」
ジュン「外人は容赦ないから、文字通り、八つ裂きにされっぞパウル君」
36 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:28:15.72 ID:zWR/5+4j0 真紅「やはり、ここは影武者を用意するしかないようね」
ジュン「だからタコなんて食材としか売ってないって」
真紅「オンラインのアクアショップとかで探せばあるいは……」
ジュン「ペット用のマダコなんか売ってるわけないだろうが!」
真紅「やってもみないで決めつけるようなこと言わないで! 何ごとも試してみなくちゃ可能性は閉じられたまま!」
ジュン「く、タコごときでこんな正論を吐かれるとは……分かったよ。取り敢えず探してみればいいんだろ」
37 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:30:09.93 ID:zWR/5+4j0 ジュン「……」
真紅「どう?」
ジュン「あった……マジかよ。タコをペットにて、もはや何でもありだな」
真紅「だから言ったでしょ? それじゃ早速、発注して頂戴」
ジュン「ちょっと待て真紅。結構値段が高いし、飼育しようと思ったら
設備もいろいろ用意しないといけないから……その……つまり」
真紅「つまり?」
ジュン「金銭的な問題で不可能だ」
真紅「ッッ!?」
38 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:33:36.59 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | 同時刻 | |
| Tale.4 .| | | 駅前の | |
| | | | タコ焼き屋 | |
|_____|/ |_____|/
39 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:34:59.66 ID:zWR/5+4j0 オヤジ「らっしゃあせぇ~!」
水銀燈「8個入りのをお願いね」
オヤジ「へい、ただいま」
水銀燈「……」
雪華綺晶「黒薔薇のお姉様?」
水銀燈「げぇっ!? 白薔薇!?」
雪華綺晶「こんにちは。奇遇ですわね」
水銀燈「……何が奇遇よ。病院からつけて来たわね」
41 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:38:53.22 ID:zWR/5+4j0 雪華綺晶「言いがかりはよして下さい。ただ私は……」
水銀燈「はいはい。で、何の用事よ。挨拶だけなら済んだでしょ? もうどっか行ってくんない?」
雪華綺晶「ご冗談を。私もここのタコ焼きを買いに来たのです、美味しいと評判で。おじ様、私には12個入りを下さい」
水銀燈「12個入り!?」
オヤジ「あいよ! しかし、おじ様とは嬉しいねぇ。よし、そっちの嬢ちゃんには1個サービスしてあげよう」
水銀燈「サービス!?」
雪華綺晶「ありがとうございます」
水銀燈「ということは13個!?」
雪華綺晶「お姉様、立ち話もなんですから、そこの公園のベンチで……」
42 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:41:16.08 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「ハフハフ」
雪華綺晶「モグモグ」
水銀燈「……」
雪華綺晶「モグモグ」
水銀燈「……白薔薇、タコ焼きを2~3個よこしなさいよ」
雪華綺晶「何をしみったれたことを言ってるんですの? お姉様」
水銀燈「あんたの方が多いんだからいいじゃない。末妹だから少しは気を使いなさい」
雪華綺晶「だったらお姉様も12個入りのを買えば良かったのでは?」
水銀燈「ぐ……! お、お金が足りなかったの!」
雪華綺晶「貧しさには勝てませんわね」
43 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:44:52.29 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「私が必死で稼いだ、なけなしのお金でタコ焼き8個買っている隣で
あんたはあてつけのように12個入りを買ってったの」
雪華綺晶「なんですか、そのイチャモン。『新しいバット買ったから殴り心地を試させろ』ぐらい意味不明」
水銀燈「……そもそもあんたはどこからお金を調達しているってのよ」
雪華綺晶「オディールから貰いました」
水銀燈「ふ、不労所得!?」
雪華綺晶「いや、ローゼンメイデンの収入は大概が不労所得では?」
水銀燈「あなた、私のマスターが誰だか……!」
雪華綺晶「あ~、はいはい。病人でしたね。ということは、お姉様はバイトでもしたんですか?」
水銀燈「……まぁね」
雪華綺晶「後学のために聞いても?」
水銀燈「タコ焼き一個」
雪華綺晶「……どうぞ」
44 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:47:27.78 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「病院でね、マッサージのサービスを始めたのよ」
雪華綺晶「なるほど。需要はなんとなくありそうですわ」
水銀燈「『天国へ行かせるマッサージ』ってのぼりを立てていたら
すぐに看護師さん達がやってきて500円やるから外に出てけって……」
雪華綺晶「……」
水銀燈「何が悪かったのかしらね。見た目素人の私が誇大広告出していたから?」
雪華綺晶「営業妨害です、それって……」
45 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 14:52:33.41 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「あら何? そのタコ焼きもう食べないの? 白薔薇?」
雪華綺晶「一応、オディールへのお土産です。お姉様にはこれ以上あげられません」
水銀燈「ちっ」
雪華綺晶「あなたこそ、マスターに一個ぐらいタコ焼きを残してあげようとは?」
水銀燈「それは前にやった。そしたら、めぐは何て言ったと思う?」
雪華綺晶「さあ……」
水銀燈「臭い玉をゲロで固めて焼いたみたいだから嫌だ……てさ」
雪華綺晶「これ以上無いぐらいの貶め様ですね」
46 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:01:31.95 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「♪~~♪♪~~」
水銀燈「あら? あの、向こう側を歩いて来るアホ面は……」
雪華綺晶「金のお姉様じゃないですか」
金糸雀「!」
水銀燈「こっちに気付いたみたいね」
金糸雀「……♪~~♪♪~~」
雪華綺晶「視線が合ったにもかかわらず、ガン無視を決め込むつもりですわ」
水銀燈「金糸雀の癖に生意気な! 捕まえるわよ!」
雪華綺晶「はい」
47 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:05:06.59 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「やめてかしら! 離してかしら!」
水銀燈「だまらっしゃい! この私に挨拶無しで素通りとはいい度胸してるじゃないの」
雪華綺晶「ヤキを入れる必要がありますわ」
金糸雀「違うの! 気付かなかっただけなのかしら! 信じて!」
雪華綺晶「松田聖子だったらビビビッと恋に落ちるほどガッツリ視線合わしておきながら……白々しい」
49 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:14:18.44 ID:Ng34tojp0 流石薔薇乙女一の策士!演技もお上手
48 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:09:32.30 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「そ、そうだ! 二人とも今朝の薔薇乙女会議欠席してたでしょ!」
水銀燈「は? なにそれ」
雪華綺晶「紅のお姉様が言ってたやつじゃないですか?」
水銀燈「ああ、真紅の召集ね。私がそんなのに応じるわけ無いじゃない」
金糸雀「でも、そこで重要なことが決まったのかしら! なんてったってお父様が……」
水銀燈「なんですって!? お父様!?」
金糸雀「ぐぇぇ! それ以上、首を絞めないで欲しいのかしら」
50 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:15:13.99 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「知ってることを洗いざらい喋りなさい金糸雀」
金糸雀「話す、話すから手を離して欲しいかしら!」
水銀燈「……」
金糸雀「ゲホゲホ……、全く窒息するかと思った」
雪華綺晶「それより早く、お父様がどうかしたので?」
金糸雀「実は……かくかくしかじか……というわけかしら」
水銀燈「そんな……!?」
雪華綺晶「お父様がタコ?」
51 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:18:02.39 ID:/YVV0ILo0 ナチュラルボーンな金は二人に圧倒的トラウマを…
52 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:22:55.36 ID:zWR/5+4j0 金糸雀「そ、それじゃあカナはもう行くかしら! じゃあね二人とも!」
雪華綺晶「嘘よ、嘘ですわ。お父様がタコだなんて、そんな……」
水銀燈「いえ、よく考え直してみれば思い当たる節が」
雪華綺晶「あるんですか!?」
水銀燈「お父様はnのフィールドの遥か奥、次元の彼方、記憶の深海の淵に篭もっておられるはず……」
雪華綺晶「それが?」
水銀燈「海の底に潜むタコのイメージとぴったり合うとは思わなくて? 白薔薇?」
雪華綺晶「な、なるほど~」
54 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:29:50.36 ID:Ng34tojp0 おバカさんだ
53 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:28:42.78 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | Nの | |
| Tale.5 .| | | フィールド | |
| | | | | |
|_____|/ |_____|/
55 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:32:32.28 ID:zWR/5+4j0 ジュン「どこへ行こうってんだ真紅」
真紅「集合的無意識の海よ」
ジュン「集合的……何だって?」
真紅「集合的無意識の海。そこでパウル君の影武者を釣るのだわ」
ジュン「nのフィールド内にタコがいるのかよ」
真紅「ウサギがいるんだからタコもいるわよ……というのは冗談だけど恐らく、今の時期なら……きっと……」
ジュン「? 本当に大丈夫なんだろうな。こんな奥までやってきて」
56 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:39:03.41 ID:zWR/5+4j0 ジュン「それに集合的無意識って何だ?」
真紅「人類共通の無意識のことよ」
ジュン「人類?」
真紅「以前、ジュンは自分の無意識の海に入ったことがあったわよね」
ジュン「ああ」
真紅「例えるならジュンの、個人の無意識の海は地下から湧き出た泉のような物よ」
ジュン「泉ねぇ、あれが」
真紅「集合的無意識とはその源流でもあり合流でもある。言わば全ての泉の水源あるいは大海に例えられる」
ジュン「そんなのがあるんだ」
真紅「まあね。そして今から行くところは、その集合的無意識の淵ってわけ」
ジュン「危なくないのか? そこって」
57 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:46:27.32 ID:zWR/5+4j0 真紅「先に言っておくわ、超危ない。個人の無意識の海なら、その個人のトラウマが心に沁みるだけで済むけれども
集合的無意識なら、それのざっと60億倍になる。宗教で言うところの原罪ってのに近いわ」
ジュン「帰る」
真紅「待ちなさいジュン。水に入らなければ危なくないの。だから釣竿を持ってきたんじゃない」
ジュン「……」
真紅「危ない危ないと言って、子供に切れないハサミを持たせるようなマネだけはしたくないのよ、私は」
ジュン「お前って、もの凄い力技で論理をすりかえるよな」
58 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:48:39.43 ID:2g4VKovh0 でもなんか納得した
59 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:52:40.80 ID:zWR/5+4j0 真紅「というわけで、集合的無意識の海の岸に到着したのだわ」
ジュン「しかし、海なんてどこにも見えない、ただの真っ暗な……」
真紅「人類全ての無意識の海の淵にいるのよ私たちは。個人レベルの無意識の海とは比較にならない」
ジュン「?」
真紅「この海はよほどのことが無い限り、波も立たなければ流れも起きない澱んだ暗黒。
見ても分からないだけで、確かに海がここにある。ためしに釣り糸を垂らしてみなさい」
ジュン「へいへい……」
60 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 15:59:03.37 ID:zWR/5+4j0 ジュン「……!? 何だこの手応え!? まるで釣り糸が勝手に吸い込まれて……?」
真紅「気をつけてねジュン。私達が深淵を覗く時、向こうもこっちを覗いている。
私達がここで釣りをしようとすれば、深淵も私達を釣ろうとする」
ジュン「おい! さっきと言ってることが全然違うぞ! 『水に入らなきゃ大丈夫だ』って……!」
真紅「だから釣り竿ごと引きずり込まれそうになったら、素早く手を離すことね」
ジュン「く! そんな大事なことを土壇場になって……」
真紅「ともかく、あとは影パウル君が糸にかかるのを待つだけだわ」
62 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:05:49.68 ID:zWR/5+4j0 ジュン「しかし、そうそう都合よくタコが釣れるのか?」
真紅「集合的無意識は人類共通の無意識で波風があまり立たないとは言え、そのごく表層の部分
つまり今、私達が釣りをしているところは現実の意識の影響を多少なりとも受ける領域なの」
ジュン「話が長い、難しい。もっと簡潔に」
真紅「夢と同じだと思えばいい。最近、あった出来事に色濃く影響を受けるから今のタイミングなら
きっとタコが大量発生しているわ。特に、ここは日本人の色が強いところ、いわば集合的無意識の日本海ね」
ジュン「僕の意見を聞いてください」
真紅「要するに、みんなの記憶に新しい分、影パウル君が釣れやすいはずなのよ」
63 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:12:36.57 ID:zWR/5+4j0 ジュン「……ん? 何かひいてる?」
真紅「しゃべくってる間に早速きたようね。釣り上げなさいジュン!」
ジュン「フィーーーーーシュッ!!」
ト-、___
_,,-‐‐‐‐‐‐t-:、_ `‐、、_
__,,,-‐'´ .:. ,,:.:``‐、;:;:;ヽ_
,,,_____,,..、_,,,,,-‐‐‐-、、_,,-'´ ............:.:/: .:. ````ヽ、_ ビチビチ
〈=__,,,,__,,,,,,,,,,,,..::::::::::... ;.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:,;ノ::. `‐、、
/ .._____.. .. . `````ヽ- '--‐‐'''''~~~'`::::ヽ:.:.:..... 、 ヽ、
ヒ;-'´ ````:‐:‐:-:-.:__,,、、、、、 ....:.:.:.:.:.:.`:.:.:.:,;,;,;,;.:.:.;,;...........ヽ、ヽT ◎ ヽ、
````‐--:-:‐:':´:`:`´:: :::``:..、_:.:.:.:.:.:.:.ヽ、__ ,-==,
````‐‐:-:-:-:-:‐"
ジュン「こ、これは……!?」
真紅「少なくともタコではなさそうね」
64 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:13:49.05 ID:2g4VKovh0 魚でもなさそうだがな
67 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:22:44.89 ID:zWR/5+4j0 ジュン「どう見ても化け物なんだけど」
真紅「無意識の海は正直そういう海だから……夢想や空想上のファンタジーな生き物もよく釣れる。
これも誰かの、いえ人類の無意識が生み出した生物ね」
ジュン「で、どうすんだよ、このインズマス面のさかなクン」
真紅「キャッチ&リリースといいたいところだけど……ちょっと、いいかしら」
さかなクン「はい? なんでしょう?」
ジュン「ギャアアア! 喋ったぁぁぁ!!」
さかなクン「失敬だな君ィ」
真紅「ごめんなさいね。この子、ヒキニートで常識無いから」
ジュン「い、いや! 常識とか関係ないだろこれ! さかな(?)が言葉を!?」
さかなクン「少なくとも五ヶ国語はいけるね」
真紅「それはそうと、あなたがこの無意識の海の住人と見込んで聞きたいことがあるの」
68 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:30:09.39 ID:zWR/5+4j0 さかなクン「釣られたよしみだ、僕で分かることならなんなりと」
真紅「最近、ここにタコの新入りが来なかった?」
さかなクン「ああ、来た来た、いっぱい来た」
真紅「やはり。私達はそれを釣りに来たのよ」
さかなクン「でも、昨日と今日で急に見かけなくなったけどなぁ」
真紅「く、想像以上にパウル君の流行が過ぎるのが速いようね」
ジュン「流行ってそんなモンだろうしな」
さかなクン「一昔前は、アザラシが大量発生していたけどね」
ジュン「タマちゃんのことかよ。懐かしいなオイ」
69 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:38:01.82 ID:zWR/5+4j0 さかなクン「でも、まだタコはそれなりにいるはずだから、すぐ釣れると思うよ」
真紅「そうね、釣りを再開しなさいジュン」
ジュン「へいへい……」
70 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 16:46:04.96 ID:zWR/5+4j0 ジュン「……!? また、何かかかったぞ!!」
真紅「きっと、今度こそタコなのだわ!」
ジュン「……あれ?」
さかなクン「どうした?」
ジュン「いや、逃げられちゃったみたい……手応えが無くなって……」
真紅「いえ、ジュン! 水面を、下をよく見て!?」
ジュン「だから真っ暗で何も見えないって……泡!? 泡がぶくぶくと……」
さかなクン「何か出てくる!? 大きい!!」
ジュン「ッッ!?」
71 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:02:12.10 ID:zWR/5+4j0
真紅「グ……グ、グ、グ……」
ジュン「グリードだあああああああああああ!!!」
さかなクン「ぎゃあああああああああ!!」
グリード「がおー」
ジュン「逃げろ! 逃げろーーっっ!!」
真紅「タコはタコでもこれは想定外なのだわ!!」
72 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:04:30.71 ID:zWR/5+4j0 グリード「がおー」
さかなクン「うわあっ!? しまった」
ジュン「さかなクンが捕まった!?」
真紅「さかなクンさーーーーんッッ!?」
ジュン「駄目だ! もう手遅れだ!」
グリード「むしゃむしゃ」
さかなクン「食物連鎖ァーーーッ!!」
真紅「さかなクンさーーーーんッッ!!」
ジュン「あいつが食べられてるうちに逃げるんだ! 早く!!」
真紅「で、でも!」
ジュン「あいつの死を無駄にするな!!」
73 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:09:43.12 ID:zWR/5+4j0 ジュン「はあ…・・・はあ……! 何とか逃げ切れたか……」
真紅「ああ、どうして……なんてこと! 尊い魚類(?)の命が犠牲に」
ジュン「くそ……あんな化けダコが出るなんて、パウル君どころじゃないぞ。
釣竿も無くしちゃったから、これ以上はあきらめるしかない」
真紅「それもこれも全てはテレ東のせいなのだわ。毎年一回はあのトラウマ映画をやるから!」
ジュン「大勢の人の無意識に刷り込まれちゃったんだろうな……」
74 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:18:04.31 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | 油壺 | |
| Tale.6 .| | | .マリン | |
| | | | .パーク | |
|_____|/ |_____|/
76 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:25:47.23 ID:zWR/5+4j0 翠星石「お父様に失礼の無いようにタコについてあらかじめ勉強するですぅ」
蒼星石「流石だよね僕ら」
雛苺「翠星石! あっちにおっきなサメさんがいるのよ!」
翠星石「なんですとぉ! それは絶対に見なきゃ駄目です!!」
蒼星石「ちょ、ちょっと翠星石! タコはどうするの?」
翠星石「タコは最後です! 折角だから、いろいろ見て行くです!!」
雛苺「こっちよ! 翠星石!」
蒼星石「しょうがないな~」
77 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:33:27.66 ID:zWR/5+4j0 |\
_| \
/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
/ °,www/
| ゞヾ ,/www しゃーく
ヽ __ __/
\ヽ_| /
/ _丶/
|/
翠星石「おぉ……サメですサメです! でっかいですぅ」
雛苺「歯がトゲトゲで噛まれたら痛そうなの!」
蒼星石「シロワニだね」
翠星石「これフカヒレにしたら、いくらぐらいするんですかねぇ」
蒼星石「さあ……」
雛苺「ねぇ、蒼星石! ここのサメさんの説明を読んで欲しいの」
蒼星石「ん? どれどれ……」
80 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:38:13.72 ID:zWR/5+4j0 |\
_| \
/  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄)
/ °,www/
| ゞヾ ,/www しゃーく
ヽ __ __/
\ヽ_| /
/ _丶/
|/
蒼星石「3m以上になる個体もいるが性格は大人しく、人を襲うことは無いらしいよ」
翠星石「そんなこと言われても、海で真下にこいつがいたらションベンちびるです」
蒼星石「新しい歯が何度でも生えてくるため、古くなった歯は抜け常に鋭い歯が揃っているんだって」
雛苺「便利なのね」
82 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:45:48.11 ID:zWR/5+4j0 蒼星石「繁殖が特徴的で、卵を産み落とさずにメスの子宮内で卵から胎児が孵化する。
孵化した稚魚は、子宮内で共食いを繰り返す。そうして最後まで残って
大きく成長した子供を一匹だけ出産する。これは『子宮内共食い』と呼ばれ……」
翠星石「あっはっは! まるで私達みたいじゃないですか!」
蒼星石「え!? ここ笑うところ!?」
雛苺「サメの世界もきびしいの」
84 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:53:28.11 ID:zWR/5+4j0 翠星石「さて、お次は……とアレは!?」
雛苺「イセエビなの!! 回らないおスシ屋さんの水槽みたいなのよ!」
蒼星石「へー、こういうところでエビを見るとまた趣が違ってていいよね」
翠星石「でも……美味しそうですよね……」
蒼星石「まあ、そこは確かに否定しないけど」
85 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 17:56:04.13 ID:zWR/5+4j0 雛苺「こっちにはタイやヒラメがいるのよ!!」
翠星石「く! これ以上、高級魚を見ていると腹が減って仕方が無いです。そろそろタコを見に行くです」
蒼星石「やっと本題か」
86 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:03:57.82 ID:zWR/5+4j0 翠星石「お? タコのいる水槽の前に人だかりです」
蒼星石「ひょっとしてパウル君人気の余波かな」
雛苺「水槽前のかざり付けが多いわ」
蒼星石「どうやら目玉展示の一つにしているらしい」
翠星石「垂れ幕まであるです。どれどれ……? 『バウルの動くツボ』……?」
ガイド『さぁ、このバウル君! その特技はなんと!
自分の住んでいる蛸壺を抱えて移動します! 決定的瞬間を見れた人は超ラッキー!』
87 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:09:31.62 ID:zWR/5+4j0 蒼星石「これは……逆に新しいね」
雛苺「うん。逆にすごいの」
翠星石「二ヶ所から同時にパクるとは……」
ガイド『がんばれがんばれ! バ・ウ・ル! すごいぞすごいぞ! バ・ウ・ル!』
翠星石「なんだか、おもいっきり情熱が削がれたですが」
雛苺「タコのお勉強はしなくちゃいけないのよ」
蒼星石「あのガイドさんにレクチャーをお願いするしかないか」
88 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:17:46.79 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | |大体 | |
| Tale.7 .| | |終わって | |
| | | |日が暮れて.| |
|_____|/ |_____|/
89 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:23:36.07 ID:zWR/5+4j0 ジュン「疲れた……やっぱり自分の部屋が一番だな」
真紅「でも、これからどうしよう……」
ジュン「どうしようもこうしようもないだろ。素直に全部ばらしちまえ」
真紅「いっそのこと、お父様はタコからまた別の生命体に転生したことにしようかしら」
ジュン「嘘のドミノ倒しじゃねぇか。もうやめろよ、そんなこと」
真紅「去った過ちを見つめていても何にもならない。それよりも私は新たな未来を創るほうにかける!」
ジュン「わぁ、言ってることだけはカッコいい」
90 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:29:55.08 ID:zWR/5+4j0 真紅「ということで次はスペインの闘牛をターゲットにするのだわ」
ジュン「何故?」
真紅「赤いものが好きだから」
ジュン「あれ赤色関係ないらしいぞ」
真紅「マジで!?」
ジュン「マジで」
91 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:34:32.58 ID:zWR/5+4j0 翠星石「し~!」
蒼星石「ん~!」
雛苺「く~!」
ジュン「な!? お前ら僕のベッドの下に!?」
真紅「い、いつからそこに!?」
翠星石「二人が帰ってくるほんの少し前です!」
蒼星石「それより、確かに聞いたよ真紅!」
雛苺「ズルしてたのね!!」
真紅「ち、違う! 違うのだわ! 決して私はそんな……」
翠星石「ネタは上がってるんです!」
蒼星石「水族館で聞いたんだ」
雛苺「タコは赤が好き(らしい)なのよ!!」
真紅「……く!」
93 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:41:00.80 ID:zWR/5+4j0 翠星石「観念するです! 真紅!」
蒼星石「これはお灸を据えないとね」
真紅「こうなったら……忍法『薔薇がくれ』!!」
ジュン「ッッ!?」
雛苺「ローズテイル!?」
翠星石「違う! 目晦ましです」
蒼星石「タコの墨と同じだ! 僕らの視界を奪ってその隙に……」
ジュン「し……真紅がいない!!」
蒼星石「……逃げたか」
95 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:52:40.37 ID:zWR/5+4j0 ○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ `\_丿o|8|8|し|ノ
./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | |ハイオクと | |
| | | |オクターヴと| .|
| Tale.8 .| | |オクトパスの| |
| | | |オクは同じ意味
|_____|/ |_____|/
96 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 18:59:14.00 ID:Rbefvpuj0 /⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒\
\/⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒\/
\/⌒⌒⌒⌒⌒⌒⌒\/
\/⌒⌒⌒⌒⌒\/
\/⌒⌒⌒\/
\/⌒\/
┘ ̄└
ミ ∧_∧
ミ ⊂ ヽ(・∀・ ) ヘェーヘェーヘェー
∩⊂~~ ⊂~)
━━━━━━━┓
/ ̄ ̄ ̄ ̄\ ┃
| 2 0 | ┃
\____/ ┃
_| ┃
━━━━━━━┛
97 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 19:01:53.10 ID:zWR/5+4j0 真紅「ふふふ、こちとらグリードの魔手からだって逃げ切った実績があるのよ。
ボンクラメイデンから逃げおおせるのは苦でもないのだわ」
水銀燈「あ、そう」
雪華綺晶「私達が相手でも同じことが言えますか?」
真紅「げぇっ! オセロコンビ!!」
水銀燈「話は全て陰で聞かせてもらったわ。
全く、あんたにいいように騙されていたと思うと余計に腹が立ってくるわね」
雪華綺晶「黒薔薇のお姉様なんかイカ娘に弟子入りしてたんですわよ。いい物笑いの種です!!」
水銀燈「雪華綺晶、あんたが黙ってれば、誰にも知られずに終わったのに……」
真紅「そ、それはご苦労様だわ」
水銀燈「海の家でマッサージのバイトしてるだけで一日が終わったけどね」
98 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 19:08:02.40 ID:zWR/5+4j0 雪華綺晶「ちなみに私はウミギシくんに弟子入りしてました」
真紅「そ、それじゃあ、おあとがよろしいみたいなので……」
水銀燈「どこもよろしくない! ウミギシくんで話がオチるわけないでしょ!!」
雪華綺晶「覚悟は出来ていますわよね? お姉様」
真紅「い、い、い、いやぁぁあああああぁああああああ!!」
99 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 19:25:05.62 ID:zWR/5+4j0 ______ ______
./ ./| ./ ./|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | | | こうして真紅の野望は海の藻屑と消えた
| 水銀燈 | | | 金糸雀 | |
| | | | | |
|_____|/ |_____|/
○
O 0
o / ̄ ̄\ o
(丶 / ノ o
|| | /) 。
\>◎(○)◎/8/丶
(\_ノ/⌒/⌒/⌒oイ_ノ
.______ ______ `\_丿o|8|8|し|ノ ______ ______
./ ./| ./ ./| (___ノ\_)_)_ノ/| ./ ./| ./ ./|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| | | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| |
| | | | | | | | | │ | | | | |
| 翠星石 | | | 蒼星石 | | | 真紅 | | | 雛苺 .| | | 雪華綺晶 | |
| | | | | | | | | | | | | | |
|_____|/ |_____|/ |_____|/ |_____|/ |_____|/
∧
『ちょっと! 出しなさいよ! 誰!? 上に乗ってるのは!!』
ガイド『はい! このとおり当館のバウル君も、ちゃんと中に人形が入っている鞄だけを……』
102 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 19:32:15.61 ID:zWR/5+4j0 水銀燈「凄いじゃないバウル君も。本当に真紅の鞄だけに反応してる」
金糸雀「鞄は赤くないし、中身も見えないのにかしら」
ガイド「……おかげさまで、うちは繁盛ですが、本当によろしいので?」
翠星石「いいんです。水族館でしばらく頭を冷やすといいのです」
蒼星石「アレだけ熱望していたタコに選ばれてるんだから真紅も嬉しいはずさ」
雛苺「ハッピーエンドなの」
雪華綺晶「では帰りましょう。私、美味しいタコ焼き売ってる店知ってるんです」
タコで占う薔薇乙女たち 『完』
なお実在のシーライフ水族館及び油壺マリンパークとは一切関係ありません
100 :以下、名無しにかわります:2010/07/17(土) 19:27:28.24 ID:z0Co+gHC0 __
/ ,__、` ー' ´ ̄ ̄` 丶、
〉 イ━〉:. . : : : : : : .ヽ,_
| :.`´ノ.: ,へー::..__ . .ノハ
j ::/.: \ ヽ::..二=二=ニ=彳.:|
,' .: : : \ヽ:::..ニ=ニ=ニ= .::/
,' .:: ',.ヽ、二.._ ..::ノ
l :: ヽ、_ `¨¨´
| :. :. . :.::| `ヽ、
│:. :. . : . : : : ;ノ .:人 : .\__
, '⌒ヾ::. :. . _,イ.: :: :: .: イ乂〉 .::: :ノ、__`ヽ
/⌒(_勹丿:l :. .: 仄 : : : : |// .::::/\ \ )ノ
く\: :: ..`¨´.;:丿 .: .: /|「\ : : .乂__/,_ .`ヽ,\ \_
`くヽ、ー、イ/ .: :. : |从 :. .\ : : .ヽ. (勹 ):l \\_/ /
个冖^「 :. :. :. l厂\ .、:: . : : .\ー彳;l丁 厂L/
| \ ',、 :. :. : l三三ハ\ : : `¨´ 人| | |
│ \ヽ. :. :. :. ',三三入_丶、.__ _ _∠三| | |
│ |ヽ:. :. :. |l (干)└ ハ=ハノ′ | | |
│ | |',: : : : 「l 「丁| 「| | | |
│ | │'; : : : 几ノ´ ̄`ヽ____| | |
│ | | '; : : _乂 '⌒) ノ〉 三三三| | |
│ | |三\: . `'ー彳 .:/三三三三| | |
│ __| | ̄ ̄` ー--- '´ ̄ ̄│ | | | ┼ヽ -|r‐、. レ |
\ 、 | |  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄\ | | | d⌒) ./| _ノ __ノ
\\| | \| | |
\| |───────────ヘ| |
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
- 関連記事
-
2010/07/19 11:15:07 コメント14 ユーザータグ
ローゼンメイデン