Monday, October 15, 2012

121015_78_音楽業界周辺で「CDがなぜ売れないのか」と未だに議論している人がいるので実際に最近CDを買った人の話を交えながら考えてみる

未だに「CD売れないよ」的な話を音楽業界や界隈の方々とたまにするのですが、もう話を伺う度に「そりゃそうだよね」という言葉しか出て来ないのですよね。ええ。

CDプレイヤーが自体が少ないから、音楽以外の娯楽が増えたから、諸説あるのですが、とりあえず大きなPOINTとして昔と今と変わっていない「プロモーション」の部分についても触れておきたいな、と。結論から言ってしまうと、ソーシャルメディアがコミュニケーションの手段として使われるようになり、プロモーションの在り方も変わった…などというアホな話がありますが、そりゃ確かに見た目が変わっているんですが、音楽業界含め、その周辺も、それこそ未だにリスティング広告などSEMに一生懸命予算費やしているTDで自社を表現しようとしてしまっているような広告主も含め全て変わっていない事があります。

それが何かと言うと、結局はツール自体は変わっても、CD売る為にやってること自体は「このCDいいでしょ!このアーティストいいでしょ!」にその多くが終始してしまっている事であり、結局「手段」がマス中心から予算を僅かにソーシャルメディアに少しだけシフトして、でも今もマスで展開されている音楽業界のPR全般は「これいいでしょ?この人知ってる?すごいんだぜ?」になってしまっているところが本当に痛々しいなと思う次第であります。

同じような事を言っている人はもはや何十人もいるわけですが、今の時代にタイアップしたってユーザ側はもう気付いてしまっているわけですし、 それは今の時代にWEB広告で単なるCPC広告クリックさせるだけの超不毛なやり方と本質的には対して変わらないよね、と。そこでの獲得出来る層ってもはや限定されてしまうし、もはや広がらないよねって話です。だから、レディガガのクローズドSNSを賞賛して、これからはこれだぜ!って…確かに分かるんですよ?w日本のアーティストがそういうのやったりっていうのも分かる。でもさ、その前になぜそういう人々はAKBだけじゃなくて「ももクロ」を勉強しないのかな?とかね、単なるソーシャル音楽野郎に関しては大いに疑問が沸くわけですよ。

本当に、ファンが増えない、裾野が広がらない、そしてCDが売れない、ていう話を真剣に考えるのであれば、レディガガの真似して喜ぶのではなくて、その前にやる事はAKBとももクロを真剣に勉強する(片方だけって言うのが多い)。その上で、 本質的な問題を考える…だと思うのですよね。だって、周辺業界から少しずつファンをさらって味方に加えていく様は、正直今の業界内でももクロくらいしか出来ていないでしょう!?
それをですね、私は別にレディガガに何の恨みも無いんですがFacebookとかで無駄にレディガガ最高!でもそういえば国内のCD売れないね!音楽DL配信とクローズドSNSじゃないかな!…ていう書き込みを見かけたりすると「このソーシャル音楽礼参野郎が(ry」とか思ってしまうときもなくはないのでありますw少なからずね。一見、音楽は配信だ、でもDLはCDの10分の1程度にしか売上が上がらない、音楽業界のエコシステムピンチだ…って言ってると業界の話しているように見えるけど、全力思考停止してるよね、それって。と言うところなのですよね。

こうした具合に「これいいでしょ!(って仕事だからやってるけど本当は強気に言えねぇよ!)」「PVかっこいいでしょ!(予算が昔みたいにねぇんだよ)」 「タイアップ凄いでしょ!(もうユーザの方が冷めてるの知ってるよ)」という状態で、第一想起になるべく近い形で宜しく!たまにで良いからCDの事も思い出して下さいね!なんてプロモやってたって売れるわけが無いですしね。ましてやクローズドなSNSもいいんだけど、それは音楽業界の可能性を広げるものではなくて、市場を最適化させるものだと思うし、ソリューションになり得る何かではないと思うのですよ。個人的には。

で、長くなりましたが今回は「普段CDを買わないけど、最近買ったよ!」という、日本では未だ希少種と思われる”サブカルプランナー”であるムシャケイスケ氏から見取り図を拝借してご紹介したいと思います。
 

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これはご本人が「buzzG」のCDを買うまでの流れを図にしたものです。CDを買うまでの導線が決してシンプルではない事を示しています。因に右下のATフィールドについては冒頭で私が紹介した「現状の業界内でのPRの典型的な例」ですね、もうユーザの方がATフィールドを視認出来るくらいの強さで展開していて、業界のワンパターンなコンテンツ礼参プロモーションは響かないよね…という意味かと。

上から見ていくと、まず彼は「中島愛」という存在を2つの体験から知ります。そこで一旦「中島愛いいね!」になるわけです(でもここでCDは買わないw)。次に、ニコニコ動画で中島愛の声を使ったボーカロイド「GUMI」の存在を知り、その”タグ”を辿りはじめます。そこでbuzzGが作った曲と出会うのですが、ここでも未だCDは買いません(buzzGの存在を知った)。「ふーん、buzzGって人が作ってるのね」といった程度です。引き続きタグを辿り、GUMIの曲を聴き続けます。すると今度は「しわ」という曲に出会うんですね。そしてその曲もまたbuzzGの曲だったわけです。ここではじめて「buzzGいいね!」となって、次に彼が取った行動は「buzzGの曲を聴いていく」ということでした。で、最後にまた「これは名曲!」と呼べる曲に出会い、そこではじめて「buzzG買おうかな!」となりました。

一連の流れはニコニコ動画を中心に繰り広げられていましたが、いわゆるこの「タグマーケティング」のような概念は、既存の音楽業界の問題を整理して考えるのに有効なのではないかと思います。序盤で紹介したももクロはまさしく、様々な業界との接点を持って、自分たちの「タグ」を設置してくる事に長けています。プロレス業界とかね…全然関係なさそうなところにタグを自ら置いてくる。そうやってどんどんアイドル界隈の外に”タグ”を置いて、自分たちのところに結果的にファンを集めてくる力。これは個人が有名になり、スタメンが前面に出ていく既存のアイドルの流れとはまた違ったものだと思います。

音楽業界が確かに緩やかに数字的に衰退していっているのはまぎれも無い事実ですし、CDはそりゃもう売れていない。昔から携わってきた方は「今や声優の方がPV予算が上で…」なんて声を漏らしますが、実際にトップクラスの声優さんのPV予算は単に横ばいなだけであって、実は自分たちだけが予算が減っているだけなのかもしれない。そして上記、中島愛からのbuzzGの流れにあるようにCDを買うまでの道のりは多様化し、長くなっている。あくまで1例に過ぎないけれど、こういった思考で現状の問題、課題に対して取り組めるかどうかが、これからの音楽業界のPRに携わる皆様に必要な要素なのではないかなと思いますし、単にソーシャルを使って安心してしまうような、設計図の無い、目的地の無い、スタンドバイミーみたいな小旅行にならないように、折角のソーシャルメディアと言う手段も良い形で使って頂きたいなと思う次第です。

というわけで、そろそろプロモーションの仕方を抜本的に見直して、過去のテンプレートからの脱却と、ソーシャル思考停止な残念なプロモから脱却する時期だと私個人は考えております。今回はここまで。

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Notes

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