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ただのにっき


2009-07-23(木) [長年日記]

パターン、Wiki、XP ~時を超えた創造の原則 (WEB+DB PRESS plusシリーズ)(江渡 浩一郎)

内容についてはいろんな人がすでに書いているので、例によってgdgdな感じで。

最初のほうを読みながら、イリヤ・プリゴジンのことを思い浮かべたりしていたのだけど、たぶん勘違いだろう。もっとも以前、十分に発達したWikiサイトの面白さは、個人としての「個」が消えてしまう一方で、サイト全体としての「個」が現れてくるところにあるなんて書いていたことを思えば、自分の中でのWikiのイメージはそんな開放系の熱力学的な感じだ(どんな感じだ)。

それはさておき。

読み終えてから「学問というのはこうやって発生するのかも知れないなぁ」なんて思った。Wikiについて仮説を立て、フィールドワークを繰り返しながら検証を進めていったら、なんか深いところから鉱脈を発掘してしまって、そのままずぶずぶ……という。

ただ、なんというか、まだ学問になりきってない。

本書はいわばetoさんの「冒険の書」であって、読者はその追体験をするのだ。自分は技術書を読むときには付箋を貼りながら読むのだが(→参考:Post-itの「透明見出し」を使って便利しおりを作る)、実は本書にはほとんど付箋を貼ってない。なんだか小説を読んでいるようなスムーズさがあるので、そのまま立ち止まらずに(もちろん楽しみながら!)するすると読んでしまったんだよね。

建築から始まりソフトウェアに達するビジョンを展開されたところで終わっているから一種の消化不良を感じてしまうというか、「続きはいったいどうなるんだろう」というワクテカ感がかなりある。なにしろ、この考え方は世の中を変えてしまう可能性があるのだから、どうせなら実際に変わるところまで見てみたいではないか。

アレグザンダーがはじめ、カニンガムとベックが展開したこの話の、続きを書くのが江渡浩一郎になるのか、はたまた別の誰かになるのかはわからないが、きちんと体系化されて学問として成立した上で、世界の変貌する様子を見てみたい気がする。

そんなわけで、「続編に期待する」とかわがまま言っておこう(笑)。

Tags: book

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