【映画】バブル 感想 ハードSF文法で解釈された人魚姫(ネタバレ有)
- 2022/05/13
- 21:40
目次
- 1、ファーストコンタクトとポストアポカリプスのハードSF人魚姫
- 2、酷評される理由2つ
- 2-1、序盤のつくりがダルくて入り込みにくい
- 2-2、SFか理系知識がないと何の説明もないまま終わる
- 3、この映画は基本的に古典SFの流れを汲むと思う
- 4、生物学的かつ根源的な愛のあり方
- 5、小畑絵がエロいのを初めて見た
- 6、エヴァでいうと使徒とシンジの恋愛に近い
- 7、主人公に触れると体が溶けてしまう
- 8、中盤のパルクール以降全てが良い
- 9、最高にロマンチック…からのどうあがいても虚淵
- 10、二人が触れ合うと世界が滅びる
- 11、二人は宇宙が滅びて一つになれる
- 12、その他…マコトさんとウタちゃん
- 13、本の紹介…なぜ「バブル」「泡」なのかが分かる本
この記事はネタバレしていますが映画の概要だけ知りたい人には
全く向かないです。一回見たけど訳がわからない人には
多少役立つかも。
ファーストコンタクトとポストアポカリプスのハードSF人魚姫
バブル 予告編
荒木哲郎×虚淵玄×澤野弘之で豪華キャストで送る
アニメ映画です。
酷評されているので心配でしたが、最高のSFラブストーリーで
とても満足して帰ってきました。最高傑作では全くないけど
廃墟好きなので楽しめた。
ファーストコンタクトとボーイミーツガールと
ポストアポカリプスのよくばりセットで、
謎の爆発現象の後に廃墟と化した東京でとても危険な
パルクール勝負をして残った食糧を奪い合いしている。
物語は廃墟と化し海に沈んだ秋葉原から始まる。
人魚姫ベースのファンタジーだけれど根底にはハードSFがある
虚淵作品だとガルガンティアか沙耶の唄が好きなら
いけるのではないか。
ドルビー推奨。
この映画は「音」が非常に重大な意味を持ちます。
効果音を聞き逃すと話が分からなくなるぐらい音が
重要なので、なるべくいいスピーカーの映画館での
鑑賞をオススメします。
家で見るのと映画館で観るのでは15〜20点の評価差
(100点満点中)が出てくる映画。
小さいスクリーンと大スクリーンでも評価差が出ると思う。
VR気分を味わうために前方席がオススメです。
前方席嫌う人が多いですが、USJのハリーポッターとか
ディズニーシーのソアリンみたいな感覚になるので
特にこの手の映画ではオススメ。
スクリーンと最前列がある程度離れているなら最前列でも
いいと思います。
酷評される理由2つ
この作品、酷評されています。
理由は恐らく
1、序盤のつくりがダルくて入り込みにくい
序盤は説明が続いたり登場人物に思い入れにくかったり
タメの部分なので仕方ないのですが、もうちょっとどうにか
ならないものかなあとは思いました。ネトフリで観てたら
中盤盛り上がるところに行く前に切りそうなつくり。
2、SFか理系知識がないと何の説明もないまま終わる
理系知識ゼロの人を堂々と置き去りにしていくスタイル
大学の数学や最新の宇宙理論ぐらい知ってるよねー?
という前提でほとんど説明なく恐らく9割の視聴者を
置き去りにしていくスタイルにはびっくりしましたw
一応作中でチラッと説明したりしていて、知ってる人は
執拗に映る貝殻や渦巻きであーそういう事ねって分かるし
SFよく読んでたり宇宙理論をざっくり把握していると
だいたいこういう事なのだろうと秒で理解するので
気にならないんだけど、その層は観に来てないと思う。
これが酷評の理由の一つではなかろうか。
下で紹介している「かたち」「ながれ」「枝分かれ」という本を
概要だけでも読むと何の映画だったのか分かるかもしれません。
この映画は基本的に古典SFの流れを汲むと思う
この作品、古式ゆかしいハヤカワハードSF文法で
何の説明もないけどハードSFの世界観で描かれる人魚姫
なんですよね。その割には重力どうなってるのとか
最後のアレはご都合っぽくないかとか気にならないでもない
のですが、あの絵柄だとハヤカワSF文庫系の客層は
来ないと思う。恐らく。
正しい客層は…
・古典SFが好き
・惑星ソラリスとか好き
・藤子F不二雄の短編が好き
・原作ドラえもんのガチSFや不条理系の話が好き
・手塚治虫の奇子が好き
・火の鳥未来編
かなあ。エロゲやゲームというよりは王道古典SFからの
流れを感じるし、「三体」ほど滑稽無法ではないから
分かりやすい。SFです。しかも古式ゆかしいSF。
最近最新のじゃなく60〜80年代のSF。
それでいて最近の数学と物理リテラシーを持っていて欲しい
感じ。
知らなくても観られるから作中で説明がないのですが、
知らないと訳が分からないのでキレて酷評するのは分かる。
で、そのハードSF層が見るにはちょっと気後れするような
純粋すぎるラブストーリーでもあるので、
誰にすすめたらいいのか。
私すぐエロゲエロゲ言いたがるタイプですが(天気の子とか)
そういう奴を古典SF名作100冊セットで殴り倒したい作品で、
馬鹿野郎エロゲエロゲ言う前に古典ぐらい読んでこい
ついでにドラえもんぐらい全巻読め!って言いたくなる。
文脈としてはそっちの色が強い。
ほとんどの客はSFリテラシーなんてないだろ、
SFリテラシー高い層はピュアなラブストーリーなんて
観ないだろ、マーケティングターゲット的な事は
考えなかったのか、という意味では確かに考えものかも
しれませんが、SF好きでロミジュリと椿姫が大好きな
私には満足度の高い作品でした。
言葉に依存しない高度な知性を持つヒロイン
この映画
ヒロインが白◯系
エロゲ文脈で見るとそうなるけど人間の常識を持たないもの
奇子(手塚治虫)とねこぢるを足したような…
人間の常識を持たないが人間より遥かに高い知性を持ち、
すごい速さで世界を理解していくが人語をほとんど介さない。
個人的に「言語に依存しない知性」に興味関心があるので
この手のヒロインは好きです。
例えばオリヴァーサックスの「妻と帽子を間違えた男」とか
粘菌の知性ネットワークとかキノコが言語を持つとか
そういう話ですね。
人の知性は主に言語に依存すると言われますが、
言語を獲得する以前には音や絵などに依存した知性や
伝達手段もあり、それは現代の一般的なヒトとは異なる
知性のあり方で、脳も異なるのだとか。
一般には障害とされますが、知性のあり方や脳の処理が
違うだけなのかも。
ヒビキもそういう脳の持ち主なのかもしれない。
生物学的かつ根源的な愛のあり方
この映画にエロシーン一つもないのに非常に性的です。
私の見方が歪んでいるからではなく演出です。
親と観に行ったら気まずいのでは。
だから手塚治虫の奇子なんですよね。
奇子って幽閉されて育った無知な美女が周囲を狂わせて
いくような話なのですが、萌えもエロゲもない頃に
白◯系ヒロインが魅力的であると気づき(ドグラマグラも
若干その匂いあるし多分結核文学もその系列だと思う)、
かつ一般と全く異なる環境で育った人間がどのようなものか?
というSF的要素もある作品とヒロイン像。
生物って余計な事を考えて危機回避によりストップを
かけなければ即セッ…なんだなと。
それでいて人間より知能が高いしろくに喋らない。
例えば人間は知識によって「妊娠したらどうしよう」
「学校やめなきゃ」「お金ないし」「出世できなくなる」
等々により性行為に慎重になり、相手もじっくりしっかり
見極めてからでないとお付き合いに至らない。
そういうのが何もないといきなりセッ…。
まあ、その方が生物としては自然で正しいのかも。
奇子がそうであるように、余計な常識がないがゆえの
純粋で神聖な美しさと異質さというものがあると思う。
邪念がないが故、行動原理がすごくシンプルだし
恋愛について例えば相手の収入がどうとか余計な事は
一切考えないため、非常にピュアなラブストーリーに
なっている。まるで精子と卵子のような原型のピュアさ。
生物学的、動物的とも言える。
小畑絵がエロいのを初めて見た
で、小畑絵がエロい。
小畑絵なのにエロい。
これは画期的!
私小畑マニアではないのですが、小畑絵がエロかった
事ってあるのだろうか。ランプランプとか今の絵よりは
セクシーめに描いてあったかもしれないけど、
ヒカルの碁、デスノート、バクマン。でエロいコマとか
あったっけ??どちらかというと無機質でかわいくて
完成された絵で、クールな印象すらあるのですが、
この小畑絵がめちゃくちゃエロく改造されている…っ!!
なるほど小畑絵ってこう描くとエロいんだ!!という
謎の感動。
しかもこの映画にはエロシーンなど一つもないのです。
ないです。
服がはだけるとかパンチラも皆無。
あえて言うならウタちゃんがとてもいいフトモモの持ち主
である事が時々分かる程度でしかない。
なのにめちゃくちゃエロいエロすぎる。聞いてない。
これ親と行ったら気まずいでしょ露骨に性の目覚めすぎる!
何だこれは小畑絵で描かれたToLOVEるなのかw
18禁要素ゼロなのに「妊娠した」みたいな描写が多くて
気恥ずかしくなると同時に非常に感心致しました。
PTAにもBPOにも怒られないのに何故か激怒される
ような素晴らしい描写であるとw
エヴァでいうと使徒とシンジの恋愛に近い
で、エロいのは単なる客釣りではなく、ファーストコンタクト
ものであるという点と、人間の常識を取り払った知的生命体の
恋愛のあり方で、とても原初的だから。
人魚姫って原典だとエロ要素あったと思うんですが、
そこらへんも影響しているかもしれないです。
人魚姫をSF的に解体した物語なので、魚だし人間じゃないし
惑星ソラリスみたいなシステムや環境が人体の形を取ったもの
なので、生命の本能として惹かれるとなると「子孫を残す」
「相手と融合する」になる。
エヴァでいうと「使徒とシンジの恋愛もの」であって、
しかも綾波とかカヲル君じゃなくてレリエルとかアルミサエル
との恋愛なんですよね。エヴァ見てない人意味分からないと
思うのですが、シンジが飲み込まれちゃう話とレイ死亡回の
使徒ですね。
エヴァを「使徒が人間と子孫を残し融合するために来襲する物語」
として見ると、この映画に近いものになりそうです。
主人公に触れると体が溶けてしまう
ところが、最初から主人公を性的な目で見まくっている
ヒロインは、「主人公にだけ触れない」「触ると体が
泡になって溶けてしまう」という設定を持っています。
これは人魚姫のオマージュで、恐らく元々干渉できない
のでしょうね。触れる事自体が世界の物理的な理に触れると。
そのため「最初から子作りする気まんまんなのに触る
事すらできないピュアなラブストーリー」として進行
していきます。ラッコ鍋食べてるのにお預け感みたいな!
(ゴールデンカムイ ラッコ鍋で検索)
私この構図好きだなあ、なるほど人魚姫をそう解釈する
確かにSFだとそうなるよねと。
この「性的にものすごく意識しているのにピュアな初恋で
アシリパさんとインカラマッが合体したような何か」
(またゴールデンカムイ)、常にラッコ鍋相撲のようでいて
ものすごくピュアな初恋な何か、他では見られない
SFならではのラブストーリーで非常に良き。
中盤のパルクール以降全てが良い
中盤のパルクールのあたりから映画館来てよかったー!!と。
もうここで元取ったなと思いました。
大画面でパルクールで澤野曲で良くないわけがない。
しかもこのパルクールがセッ……
はじめての共同作業なので、さわやかで!飛翔感に溢れ!
飛躍でも拡大解釈でも何でもなく、前後の流れと文脈から
触れられない二人の形としてのラブシーンですよね。
エヴァの「瞬間、心重ねて」みたいだけれど全然性的。
エウレカの空中ハートみたいな場面だけど性的。
序盤確かに酷評されそうなダルさはあるので、
ここまで耐えろ!という感じ。
最高にロマンチック…からのどうあがいても虚淵
二人きりで最高にロマンチックな場所でちゅーでもしようか、
という瞬間から虚淵の影!!やっぱり虚淵じゃねーか
誰だ虚淵らしくないとか言ったのやっぱり虚淵じゃん
不穏すぎるー!!!
序盤の若干のダルさとは打って変わってここから急展開する。
初めてのキスもなく世界が崩壊していく!!!
この不穏すぎる東京タワーの絵が無条件で好きな人
いると思う。私とか。
東京バビロンの絵とか好きな人いるよね?
東京タワーってよく折られたり壊れたりしてるけど、
その中でもめちゃくちゃ不穏な描かれ方ではなかろうか。
音がね、音と演出が…。
ウタも含めた「泡」が本質的に異形の、人間が理解できない
宇宙や世界の理なんだなと分かる。
科学的な事がよく分からない人は鋼の錬金術師の真理っぽい
何かだという理解でもいいのかも。
三体の智子とかやや近いものが…。
本質的に人間からみて触れてはいけないものが泡、
ウタもその泡なんだけど、理を超えて人間に恋をして
しまったので世界の理に逆らっている…。
そう、人魚姫ってそういう話だよなあと。
海と陸ってそういう「異世界」だ。
人は海には暮らせないし、魚は陸では暮らせない。
それでも愛してしまう話なのだった。
二人が触れ合うと世界が滅びる
ここで分かる非情な現実、過去に東京が滅びたのは
ヒビキとウタが接触したから、という。
ひどい!愛し合う二人は触れてはならないだけでなく
二人が触れ合うと世界が滅びるだなんて虚淵。
君がいたから自分になれたのに!
君と出会う前の世界は偽物だったのに!
君がいたからこの世界の片隅に僕が存在できたのにひどい!
世界の「理」に触れたから。
人魚姫の陸と海の違いが次元の歪みや世界の崩壊で
表現されている。
タワーの展開は泡の消失以外は文句なしの展開で、
ウタはヒビキを守って消えてしまう。
腕が飛び体は泡になって崩れていき、必死で泡を
かき集めるヒビキ…。これ、グロゲーだったら
悲惨な絵になっていそうだけど人魚姫モチーフなので
美しく表現されている。
ここで初めてウタが積極的にヒビキに触れていくところが
もうね、やった!よっしゃあ!!と。もう死ぬんだから
いいやーー!!!みたいなw そうだよねえずっと
こうしたかったんだよねえと…。
腕も足もなくなって身体も溶けかけて顔もなくなってきて
やっと抱き合えるなんて、ちょっと鬼滅の刃の200話を
思い出して泣いてしまうよね…。
ここのウタの表情が非常に性的にも恋する乙女としても
満ち足りた感じでとても美しくかわいらしく、
よかったですね。
二人は宇宙が滅びて一つになれる
人魚姫が「宇宙はいつか崩壊し人は原子に還りまた
再構築されて一つになり世界を再構築する」と表現
されるのはあーって感じ。ものすごく遠い「また会える」
だけれども、実は地球は明日滅びるのかもしれないし、
しかし地球も宇宙も一回崩壊しないとまた会えないんだ、
みんな宇宙の塵に戻って一つになった時に「一つになれる」
のか、それがコンタクトでセッ◯スで二人の愛の帰結なんだ、
というのはあーって感じ。他になんて言えばいいんだ
人類みな兄弟(物理)みたいな。みんな炭素だから!
みたいな愛の形というかw 三体のオチみたいで(まだ三体
読んでない人いたらごめんなさい)
そこまで行かないと結ばれないほど遠い恋だったのね…
そもそもずっと一緒だとも言えるのだろうか。
で、それを「ロマンチックだなあ」と思える人って
SFリテラシー高い人だと思うんですよね。
そんな化学の元素記号レベルにまで解体されても、
という。
SFとして見るとすごく当たり前だけど普通のアニメ作品
としてそのオチは期待されてない気がする。多分。
ネタバレ踏んで行ったんですが、そのネタバレだと
二人とも泡に呑まれて世界の概念になった的なエンド
だったのですが、違ったのであれは何だったんだろう。
それだとだいぶ沙耶の唄っぽさが出てくる。
意味合い的にはあまり変わらないかもしれないけれど。
その他 マコトさんとウタちゃん
人魚姫でいうと王女ポジションと思われるマコトさんと
ウタが仲がいいのがなかなかいい感じで、
私もあんな美少女と一緒に寝たい。
絵本を読んでもらうウタちゃんかわいい。
このマコトさんとウタちゃんがそれぞれ遠慮する場面が
個々にあるのと、マコトさんだけが科学者だから
ウタの正体と顛末を分かってしまうという関係性が
何だかいいなと。
ウタもマコトさんが好きでよく懐いているし。
シンさんがめちゃくちゃかっこいい大人なのが
いいと思いますね。バトルシップの老兵みたいな
かっこよさですよねw 最後のタワーのくだりは普通に
熱くて、序盤のギスギスからここまできた!仲間!
ウタがヒビキと接触できなくて歌い出す場面最高に好き。
この映画、序盤のダルさテンション上がらなさ説明のなさ
展開的に気になるところあるのですが、最高にいい場面が
いくつもあってそこで一億点稼ぐのでトータルでは
「見てよかった」と思える感じです。
そういう意味ではバトルシップかもしれない…w
バトルシップって失敗映画と言われていて興行収入も
良くなかったのですが熱狂的なバトルシッパーがいて、
場面加点方式だと最高の映画なんですよね。
ジジイかっこいい一億点!戦艦が簡単に沈むか!一億点!
みたいな。でも序盤のブリトーで脱落する人が沢山いて…
そういう感じの映画かもしれないです。
竜とそばかすの姫もボロクソに酷評されまくってたけど
私はめちゃくちゃ好きな映画だし、他人の評価は
あくまでも他人の評価ですよね。
⠀
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本の紹介…なぜ「バブル」「泡」なのかが分かる本
映画の理解に役立ちそうな本などを紹介。
映画を見てすぐ思い出したのが↓の本。
「かたち」「ながれ」「枝分かれ」の三部作で一般向けの
読み物です。この3冊+宇宙理論の本を読めば
だいたいこの映画の世界観が分かるはず。
↓のレビューを読んでみてほしい。「バブル」が何を
描いている映画なのかすぐ分かる。
かたち 自然が作り出す美しいパターン フィリップ・ボール
https://honto.jp/netstore/pd-book_03451619.html
泡と膜が作り出す形状と微生物骨格の共通点の話
フィボナッチ数列と黄金比が生物によく取り入れられている(葉の数など)
本書で取り上げられているのは、機能ではなく、文字通り「かたち」の部分である。
機能を考えるよりはシンプルであるような気もするのだが、全般として、
石鹸膜にしろ、蜂の巣型形状にしろ、比較的単純なパターン形成実験から
実際の生物に至るまでは、まだまだ遠い、と感じる。
P90から展開される、なぜミツバチの巣は6角形なのかをめぐる
議論の進展が面白い。
シャボン玉の石鹸の分子で内面には「水に解けない尻帯を表面から突き出している」
(P96図2.17解説)とあるが、いったい誰が確認したのだろうか?数学的に実証したのか?
それとも誰かが見たのか??面白い。
泡についてのプラトーの情熱がすごい。三次元での泡についての考察を読んでとても高揚した。
今ある生物や植物の形態が"何故"そうなったのかではなく"どのようにして"
そうなったか。自然淘汰の結果ではなく化学・物理法則によって
大きく決定づけられている事を、螺旋、六角形、動物の縞・ぶち模様などで
多くの図を用い説明していく。
自然がつくる不思議なパターン なぜ銀河系とカタツムリは同じかたちなのか ビジュアル図鑑
自然がつくる不思議なパターン なぜ銀河系とカタツムリは同じかたちなのか ビジュアル図鑑
https://honto.jp/netstore/pd-book_28088095.html
海岸線、山脈、雲、雷、結晶、樹木、銀河。自然が持つカタチについて
共通する原理は?地球上だけでなく銀河が渦を巻いているという
スケールの大きさが、すべては相似形なのか?
銀河系とカタツムリはあんなにもスケールが違うのに何故同じかたちなのか。
蜂や蜘蛛の巣の整然とした美しさはどのように形作られるのか。木と稲妻、
そして河川は全く別のものなのにどうしてよく似た姿をしているのか。
蝶や孔雀、熱帯魚…あの色鮮やかな模様を一体誰が生み出したのか。
そんな自然がつくる不思議な秩序・無秩序を数学や科学的に考えることも
できるのだと教えてくれる。ミクロの世界から広大な宇宙まで、
自然の描く様々なアートが集められていてハッとするほど美しい図鑑です。
これらは作中でウタちゃんが見ていた図です。
もちろん意味があって、これの意味が分かる人だと
バブルが何なのかとかオチは序盤で想像つくし、
分からない人は最後まで見ても「何がバブルだったの」
ってなる。
すごい物理学講義 カルロ・ロヴェッリ
だれもが興奮できる究極の世界原理!
わたしたちは、こんな驚きの世界に生きている!
時間は存在しない、ビッグバンの先にあるもの、無限の終わり
……最新物理学をあなたに。
これほどわかりやすく、これほど感動的な物理本はなかった。
長い物理学の歴史から導き出された最前線の宇宙観。
「メルク・セローノ文学賞」「ガリレオ文学賞」受賞の名著、ついに文庫化!
「物理学の進化」は「物理学の歴史」そのものだ。天才物理学者による
世界一わかりやすい物理学と、その全体像!
【目次】
はじめに——海辺を歩きながら
第1部起源
第1章粒——古代ギリシアの偉大な発見
物はどこまでも分けられるのか?
事物の本質——世界は原子からできている
第2章古典——ニュートンとファラデー
アイザックと小さな月——宇宙を支配する重力
マイケル——場と光——電磁気力の発見
第2部革命の始まり
第3章アルベルト——曲がる時空間
拡張された現在
もっとも美しい理論——一般相対性理論の魔法
アインシュタインと数学の厄介な関係
詩と科学の宇宙像
第4章量子——複雑怪奇な現実の幕開け
ふたたびアルベルト
ニールス、ヴェルナー、ポール——量子力学の養父たち
場と粒子は同じもの
量子1情報は有限である
量子2不確定性
量子3現実とは関係である
本当に、納得しましたか?
第3部量子的な空間と相対的な時間
第5章時空間は量子的である
マトヴェイ——最小の長さの発見
ジョン——確率の雲
ループの最初の歩み
第6章空間の量子
体積と面積のスペクトル
空間の原子
スピンの網——空間の量子の状態
第7章時間は存在しない
時間はわたしたちが考えているようには流れない
脈拍と燭台——ガリレオの時間
時空間の握り鮨
スピンの泡——量子の時空間構造
素粒子の標準模型
世界は何からできているのか?
第4部時間と空間を越えて
第8章ビッグバンの先にあるもの
「先生」——アインシュタインとローマ教皇の過ち
量子宇宙論
第9章実験による裏づけとは?
自然が語りかけていること
量子重力理論につながる窓
第10章ブラックホールの熱
第11章無限の終わり
第12章情報——熱、時間、関係の網
熱の時間
現実と情報
第13章神秘——不確かだが最良の答え
宇宙理論の本です。
宇宙理論の知識があってフラクタルとかあーって分かる人だと
バブルとかウタが何者かって簡単に想像はつくのですが、
それが簡単にすぐ分かるレベルってリテラシーを高く
要求しすぎだとは思う。
で、バブルやウタがなんなのか分かってないと実は
オチもシナリオも謎が大部分で終わるので、
ひどいなとw
だからSFなんですよね。科学的な理論を前提にして
展開される物語で、科学知識がないと展開もオチも
分からないつくりだからSF。
上の図鑑と物理学講義だけでも読んでから見ると
印象が変わるし話も分かるはずです。
逆に言うとそのレベルの知識がないと分からない
話を一般向けに展開しているのはなぜなのだろうか。
世間の科学リテラシーがそんなに高いわけがないじゃない!
もっとも美しい対称性
このあたりも読むといいかも
音楽嗜好症
オリヴァーサックス
ギフテッドやサヴァン、脳機能障害の人の変わった脳の
あり方について書いている人で、↑の本では雷に打たれて
突然ピアノが弾けるようになりプロのピアニストになった
人の例などが挙げられ、異常に音楽に取り憑かれた脳の
人について綴られている。
絵や音楽に突出したサヴァンの例では、言語が劣るが
無理に言語を習得させると絵や音楽の突出した才能は
失われていくという。
奇子 手塚治虫
レビューを読むとわかるが人にすすめづらい作品。
手塚治虫は色々な作品を残していて、これは異色では
あるものの、人間の業と強欲さ、エグさが描かれている。
はっきり言えば胸糞悪い話なんだけど幽閉されて育った
奇子のあり方が印象に残る話ではある。
ソラリス
惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。
惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは
変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が? ケルヴィンも
またソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との
接触は可能か?――知の巨人が世界に問いかけたSF史上に残る名作。
レム研究の第一人者によるポーランド語原典からの完全翻訳版
ちょっと違うけどこれが近い気はします。
とても有名な作品。
非常に好きな映画。とにかく映像が美しい。
しかしとても抽象的でわかりにくい。
三体
大ヒットした中華SF。ガチなハードSFでありながら
科学リテラシーが低いと理解が難しく、科学リテラシーがあっても
理解が難しい(科学的に妥当なドリフみたいな分からなさがある…
それはいいのか!ありなのか!何なんだ!みたいな)
宇宙を舞台にしながら銀英伝のような痛快さもある
壮大なストーリー。
翠星のガルガンティア
アマプラないので。
虚淵玄にしては明るい異星移住もの。
沙耶の唄
「なぜ―僕なんだ?」
「それはね、あなたがひとりぼっちだから」
不幸な交通事故により家族を失った青年・匂坂郁紀。
奇跡的に一命を取り止めた彼には、目に映るものすべてが形を変え、
醜く歪んでしまう不思議な後遺症だけが残った――
そんな郁紀の世界に突然現れたのは、うつくしい少女。「沙耶」
と名乗る彼女の存在は、郁紀の汚穢に塗れた日常を美しい色に染めていく。
彼にとって、それはただ一筋の光だった……。
発売から15年、今なお霞むことなく高い評価を受け続けてきた虚淵玄(Nitroplus)
原作の伝説的ゲーム作品『沙耶の唄』を、ノベルゲーム界の先駆者・大槻涼樹×
不変の担当イラストレーター・中央東口が甦らせた、初のノベライズ作品!
バブルは一般向けの沙耶の唄と一部で言われていました。
火の鳥 未来編
「沙耶の唄」は火の鳥復活編の影響が強いと言われている
のですが、あーそうか 「バブル」は火の鳥未来編か!!!
と気づいた人は何人いるだろう。
確かこういう話あったな↓
<極小の世界>素粒子のなかに飛びこむと太陽系のようなものがあり、
そこに奇妙な生物が住んでいる。その生物の細胞のなかに入り込むと
細胞は素粒子でできている。その素粒子のなかにはまた太陽系があり
生物がいる。・・・
<極大の世界>宇宙はひとつの粒子のようなもの。それがあつまって
細胞をつくりまたそれが集まってひとつの生物(宇宙生命)を作る。・・・
ここで極小=極大=宇宙生命=神ということが説明されるのだが、
このあたりは宇宙物理学的であり生物進化論的であり同時に
とても宗教的である。
レビューより引用
これこれ!これをフラクタル、最新の宇宙論の一説と組み合わせたのか!
と分かった時、まさに「膝を打つ」。すごい。
ところでこの「火の鳥」、有名なのですが人に気軽にすすめづらい
トラウマになりそうなエグい話が結構あって…手塚作品って
性悪説でできているようなところがあるのでエグいし
胸糞悪いけど忘れられないっていう。
サントラ
アマプラミュージックに入ってました。
オフィシャルムック
設定など色々載っているようです。
バブル ノベライズ
未読。こちらも設定などかかれているらしい。
NYLON JAPAN
インタビューは短め、ばちくそイケメンな志尊淳様の写真が
多数載っております。
「バブル」の感想で一番刺さったのは
「お前本気で人を好きになった事ないだろ(酷評に対してのコメント)」
…確かに、それ言われるとSFとかどうでもいい話かも…。
うんそうねそうかもね……。
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小説「HELLO WORLD」野崎まど 感想 俺たちはそこまで恋のために生きたり死んだりするボーイミーツガールSF【ネタバレなし】
2019/07/25
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「紙の本を読みなよ」フェアの4冊読んでみた 2013/04/11
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【小説】DUNEデューン砂の惑星 原作読んでみた(2016)
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劇場版魔法少女まどか☆マギカ[新編]叛逆の物語 ほむらの「愛」「呪い」「堕天」
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