2008/07/28

「日本語吹き替え番組禁止法」はいかが?

先月、仕事の関係で少しまとまった時間を欧州で過ごす機会があり、その時にアフリカ・中南米を含めた世界中のかなりインテリジェントな人たちと長時間一緒に議論した。当然ながら日本人として自分の英語の出来なさ加減にうんざりしたりとかいろいろあったわけだが、北欧・東欧あたりの歯に衣着せない物言いをする人たちから「酷い英語だね」と面と向かって言われたりしたこともあり、さすがに(その通りだとは分かっていたが)彼らに正面切って聞いてみた。「そういうあなたはどうやって英語を身につけたのさ?」

典型的日本人として予想していた答えは「小学校から英語を勉強してるよ」とかそういう類いの(日本の"ダメダメな"教育制度に責任を押しつけられる)ものだったが、この予想は見事に裏切られた。「英語の勉強なんて高校から始めた」とか、そういう人がほとんどだったのである。

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2008/05/26

書評『グーグルに勝つ広告モデル』

グーグルに勝つ広告モデル マスメディアは必要か 最近、久しぶりにテレビや新聞、雑誌などマスメディア各方面の関係者の集まる席に顔を出す機会があったのだが、なんだかそこで話を聞いていると、僕がメディア業界を離れてからまだ3年ばかりしか経っていないのに、マスメディアの内部というのはかなりひどい勢いで人材の劣化が進んでいるんだなあと思わされる話ばかりだった。出席している人たちはそういう業界動向からやや距離を置いていたり、既に引退されたりしている人が多かったのだが、僕よりもかなり前に引退された方にとっては、そこで関係者から次々報告されるエピソードや結構な地位の責任者の仰天発言などに、目を白黒させて「信じられない」といったふうだったので、まあ信じられない事態が進行中なのだろう。

 そういう最近のマスコミの絶望的な雰囲気に当てられてからこの本、『グーグルに勝つ広告モデル』を読むと、何という天使のような優しきオプティミズムに立った本だろうと感動する。皮肉で言っているのではなく、心からそう思う。帯には「消費者がわからない、モノが売れないと悩む人、広告・マスコミ関係者必読!」とあるが、ひたすら「あっち(ネット)側」の世界の知についてのオプティミズムを語る梅田本などより、それなりの責任ある地位にいるマスコミ人の方々には、帯のとおりむしろこちらの本をこそ熟読してもらいたいと強く思う次第だ。これを読んでまだ何か動き出さなければと思わないマスコミ人がいるとすれば、正直そういうマスコミ人にはマスコミに居る意味などないとすら思う。

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2008/01/07

書評『グラミンフォンという奇跡』

グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換 久しぶりのブログ更新に、特に意味はない。強いて言うなら、昨今の状況について、少し思うことをそれとなく語ってみたりみなかったりというところか。私のmixiに来ていない方で、まだこちらのブログを読んでいる人もいるかもしれないと思ったりもしたので。

 といっても、別に大上段に「今年の抱負」とかそういうのをブログで語るつもりもない。その代わり、年末年始に読んだ本の中で、特に印象深かった本の紹介をしておこうと思う。『グラミンフォンという奇跡 「つながり」から始まるグローバル経済の大転換』という、昨年7月に出版された本である。

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2007/05/18

ポリバレント=多能工って言えばいいんじゃね?

 磯崎さんのところで見た新語にちょっと興味を引かれたので、つらつらと思うことを。

 ポリバレントな人材(isologue)

 「Polyvalent」って本来は化学用語らしいけど、日本語にすると要するに「多能工」ってことでしょ。英語にすると新しい話みたいに聞こえるけど、日本の製造業はもう数十年以上前から多能工の持つ価値を見抜いていて、その生産性の高さを引き出すための方法すら編み出している。そう、いつものアレです、「トヨタ生産方式」です。

 こういう、耳新しいカタカナ語で語るとすぐに皆さん飛びつくんだけど、なんだかなあという感じ。いちいち英語で言われて気づく前に、日本オリジナルの知恵をもっとよく勉強して、大事にすればいいのに。そんなに難しいことじゃないと思うんだけどな。

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2007/04/19

書評『超地域密着マーケティングのススメ』

超地域密着マーケティングのススメ 4月1日に発売されていたのを見て、気になってすぐに入手して読んだのだが、その後インフルエンザに罹って書評を書いている時間が取れなかった。Amazonでも売れているようだが、良い本だと思う。とても28歳の人が書いたとは思えない。

 何より良いのは、難しい理論をごちゃごちゃと書いたりしていないことだ。ところどころ、ジェフリー・ムーアの「キャズム」の概念とか、web2.0とロングテールがどうとか書いてあったりするが、そんなことは一言も書かなくても良かったとすら思う。

 商売の中で最も大事なことは心だ、時間だ、そして地域という場所なのだという、当たり前のことをしっかりと、実際の話を元に書いてある。タイトルには「マーケティング」とあるが、マーケティングの本ではない。これはれっきとした、そして最近まれに見る素晴らしい「営業」についての本である。

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2007/04/09

政治的に(ぎりぎり)正しいメディア・アート

 選挙期間が終わるまでは怖くて(自分も含めて)誰も言い出せなかったのかもしれないが、今回の都知事選で何が面白かったといって、それは「選挙」というものを素材にした、見事な国際的メディア・アートが登場したことであった。そう、「外山恒一の政見放送」である。ここには、ニコニコ動画にアップされたものを転載した、最もサウンド・エフェクトの秀逸なものを1つ貼っておいた。ほかにも、YouTubeで「外山恒一」と検索すれば、さまざまなエフェクトを施された秀逸な動画が無数に視聴できる。

 「メディア・アート」の定義については、このブログの2004年11月の記事でも取り上げているし、あるいは東京芸大の藤幡氏のインタビューを読んでもらえれば良い。狭い意味では、「我々を取り巻く新しいメディアやテクノロジーと、我々自身との関わりを意識化しようとする表現の試み」とでも定義すれば良いのではないか。海外ではそこに「社会批判的メッセージが込められていること」という条件が付くようだが、その定義をすべて適用しても、これは完璧な「メディア・アート」であるとしか言いようがない。

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2007/03/29

書評『勝ち馬に乗る!やりたいことより稼げること』

勝ち馬に乗る! やりたいことより稼げること この『勝ち馬に乗る!』という本、米国での発刊以来15年目にして邦訳を企画された三ツ松新氏から2月の終わり頃に献本をいただいて拝読したのだが、ものすごく印象に残る本であるにもかかわらず、「このブログの読者の皆さんにもぜひ読んでもらいたい」などという薄っぺらい推薦の言葉が、どうしても書けない。この猛烈にひっかかる抵抗感は何だろうと、この1ヶ月ほど考え続けていた。

 それで、さっきふっとその理由が分かった。なのでそれをまず書いておきたい。「自分の可能性を信じている奴、あるいは今いる会社で努力すれば報われるなどと考えている社畜は、絶対読むな。入手厳禁」。左記にあてはまる人は、読まずに今すぐブラウザの右上の×印ボタンを押すこと。まちがっても以下の文章は読まないでください。

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2007/01/21

某えん罪事件の映画の件

 映画そのものは見てもいないわけですが、あちこちで盛り上がり始めているのでちょっと一言。例の、前田有一氏曰く「すべての男が見るべき大傑作」磯崎先生曰く「他人にどうすすめてよいのか分からない」と悶絶されるところの、あの映画でございます。

 まあ、いろいろな意味でフジテレビ亀ピーGJ、なんでしょうね。素直にそう思います。痴漢えん罪がどうこうというのでなく、司法というのがいかに不条理な世界であるかというのを、これから4年以内に「裁判員制度」が始まる前に、国民の皆さんがよく知っておいた方がよろしかろうと。 知ったからどうこうなるものでもありませんが。

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2007/01/14

「選び、捨てる」のできないオールドメディア

 昨年から藤代さん@ガ島通信に誘われて参加していた情報ネットワーク法学会の分科会の1つ、「デジタル・ジャーナリズム研究会」が、先週の土曜日にとりあえず一段落した。とか言って、実は昨年5月から7月ぐらいまでの何回かと、昨年末の学会でのパネルディスカッションに出た以外はほとんど顔を出さなかった僕が言うようなセリフじゃないですね、「とりあえず」とか(笑)。お前が何やったんだよ、と怒鳴られそう。

 で、最終回のテーマは「ジャーナリズムと経営」ということだったらしい(らしい、というのは、所用で参加が1時間弱遅れて、前半の議論にほとんどついていけなかったから)。実はどうやら僕に司会みたいな役割が期待されていたらしいのだけど、遅れて行ってみたら既に別の人が司会役をやらされていて、僕は最後までまったく何の役にも立たなかった。まったくもって使えねえ奴でございます。

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2006/12/29

拝啓FT様 サービス業の生産性について

 英FT誌の安倍政権批判記事が結構面白くて、gooニュースの中でもアクセスを集めているみたいだ。

 「破壊者」を無視する余裕など日本にはない―フィナンシャル・タイムズ(gooニュース)

 英国系経済メディア独特の回りくどいレトリックとロジックが駆使されているので、ネット上の特亜批判的な分かりやすい罵倒記事を読み慣れた人には何を批判しているのかよく分からないだろうが、まとめると以下のような感じかな。

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