リスティング広告 プロの思考回路/感想
執筆陣を二度見してしまうほどの豪華さから既にtwitter上でもだいぶ話題になっていた本書をattribution.jpで話題のアタラ合同会社さまよりご献本いただき、(ありがとうございます!)早速読んでみました。
リスティング広告の書籍が正式に発売されるのは私の著書、以来となるはずなので実に1年2か月ぶりであるということも合間って期待は高まるばかり。
内容は帯に書かれている通りの「Google AdWordsのインサイダー」そのものであり、具体的に鋭い内容の連発で、あなたがある程度の経験を積んだリスティング広告プレイヤーであれば激しくうなずきながら読み進めることができます。
今までボクらが言葉にして伝えることができなかった表現の難しい個所を事例を交えて具体的に解説してくれる興味深い書籍です。
リスティング広告 プロの思考回路/内容
本書の中ではECサイト、転職、アルバイト、旅行、メディア、成熟市場などの業種での事例が乗せられており、それぞれの悩みからどのように成功に導いていったのかが記されているのも興味深いが、何よりもそれぞれに戦略という名の仮説を立て、行動に移し 、検証していくさまが具体的に描かれている点が凄い。
※こういった具体的な内容は現在進行形のお客さんを抱えるボクらには非常に書きにくいんです。
更に潜在層、顕在層などといったオーソドックスなターゲット規模ごとの取り組みはもちろん、「クリック率」や「広告スコア」、「コンバージョン」、「LPO」といった指標を小手先でいじるより、はるかに大きな成果が得られるのは、自社を知り、競合を知り、お客さまを知ることだと説いています。リスティング広告は日々ますます複雑になっていくのでどうしても小手先のテクニック論に縋ってしまう傾向があるので、改めて原点に引き戻してくれるのは本当にありがたい。
他にも、リスティング広告の需要と供給であったり、広告文の作成方法、アカウント最適化の鉄則、ディスプレイネットワーク、Googleの方向性、ソーシャルへの挑戦、アトリビューション、リスティング広告プレイヤーの今後についてなど、興味深い内容が盛りだくさん。
そして何よりもリスティング広告の表側だけを描くのではなく、お客さまの方を向きながら取り組んでいく姿勢を描いており、思考そのものがリスティング広告の”本質”をついている。その姿勢は是非とも見習っていかなければいけないと思う。
リスティング広告 プロの思考回路/まとめ
本書の初めに、アタラ合同会社の会長である佐藤さんは以下のように検索連動型広告を表現しています。
検索連動型広告に代表されるSEMの目的は、検索ユーザーと広告主の双方によい接点を数多く作り出すことだ。しかし、目的を達成するためには、ユーザーの行動や志向性等を深く考察するため、さまざまなツールやデータを駆使して試行錯誤を繰り返し、独自の知見を貯えていくことが非常に重要だ。
日本の検索の初動、普及を支えた佐藤さんだからこそ言える言葉でもあるし、ボクらはこの視点を決して忘れてはいけない。
全ての方法論、テクニックは”ユーザーの行動や志向性等を深く考察するため”に時として必要というだけであり、決してそれだけを追い求めてはいけないだろう。
本書はリスティング広告初心者の方には理解しにくい箇所も決して少なくないだろう。それほどに内容が濃いのだ。しかしながら真剣にリスティング広告に取り組む方にとってはこれまでにない形でのリスティング広告の書籍として重宝されることは間違いないはずです。
細かい事例や内容はボクの書評なんかよりも本書を手に取って実際に確認し、体感してほしいと思います。2時間強で読めますが、ずばり”買い”の一冊。面白いですよ。
# 注意点
リスティング広告の簡易的な部分の解説や初歩的な内容、例えばキーワードの登録方法などの初心者向けコンテンツは含まれていません。
アスキー・メディアワークス
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