細胞を酸に浸すことで多能性細胞へと変化させられることが発見される 143
世紀の発見となるか 部門より
理化学研究所などの研究グループが、マウスのリンパ球を酸性の溶液に入れて培養した後、多能性細胞の維持・増殖に必要な増殖因子であるLIFを含む培養液で培養したところ、多能性細胞に得意な遺伝子であるOct4を持つ細胞が多数得られたという。これを応用することで、iPS細胞よりもさらに手軽かつ安全な万能細胞を作製できる可能性があるという(NHKニュース、理化学研究所のプレスリリース)。
この細胞は正式名称である「刺激惹起性多能性獲得(Stimulus-Triggerd Acquisition of Pluripotency)細胞」の英語表記から「STAP(スタップ)細胞」と命名されたとのこと。
また、人工多能性幹細胞(iPS細胞)で問題になるがん化や染色体への影響も確認されていない、などとの報道もある(毎日新聞)。
iPS細胞では作れなかった胎盤への変化も確認され、より受精卵に近い能力を持っていると考えられるそうなので、まさに画期的な発見と言えそう。この製法が人間の細胞にも応用できれば、性能のよい万能細胞の入手が簡単になることで、再生医療の研究が一気に進むかも知れないですね。
この発見は、従来は遺伝子操作によってしか作れなかった万能細胞を、酸に浸すだけという比較的単純な操作で作ることができたという点で画期的であり、発表論文2本が同時にNature誌1月30日号に掲載される(「Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency」、「Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency」)とともにNature誌のNEWS(「Acid bath offers easy path to stem cells」)にも取り上げられるなど、非常に注目されている。
なお、なぜこのような現象が発生するかは分かっていないという。今後はヒト細胞への適用を検討するとともに、原理解明を進めていくという。
不思議 (スコア:3)
なぜこんな単純にみえる方法で初期化できるのか。とっくの昔に誰かが見つけていてもよさそうなのですが、どのあたりが盲点だったのでしょう?
Re:不思議 (スコア:5, おもしろおかしい)
神「ヤバイ!root取られる!」
Re:不思議 (スコア:3)
root やなくて、stem や!
Re:不思議 (スコア:5, 興味深い)
実験中に意図しない細胞が現れたことから、今回の発見につながったと聞いています。
まずは彼女にセレンディピティ [wikipedia.org]があったと言うことでしょう。
そして近年になって細胞を初期化できるという事実が示された、というのも大きいでしょうね。
これにより、もしかしたらこれも初期化されてる?と疑えるだけの余地が生じました。
それ以前の、初期化なんてありえないという常識下の研究者では
同じことが起きても異物の混入などで片付けるしか、判断の選択肢がなかったのですから。
時代が味方したという面もあるのでしょう。
Re:不思議 (スコア:3, 興味深い)
酸に浸す以外にも、化学物質でダメージを与えたり、圧迫してすりつぶすようなストレスでも万能細胞化のスイッチが入ったそうですね。
むしろこんなシンプルなトリガーで細胞の多能性が発現するのであれば、生物の体内で起こる既知の説明不能だった現象の機序が明らかになっていくかも知れませんね。
Re:不思議 (スコア:1)
化学物質(もしくは放射性物質)漬けになってキマイラ化(モンスター化)というありがちな妄想が捗るなあ。
#夢枕獏がアップを....始めてくれんかなあ....
#存在自体がホラー
Re:不思議 (スコア:2)
Re:不思議 (スコア:1)
ワールブルク効果 [wikipedia.org]が、自律的に癌をリセットしようとする仕組みだったら面白いですね。好気呼吸で燃やし尽くして水と二酸化炭素にせずに、あえて、嫌気呼吸で乳酸を出してpHを下げるのなら。
Re:不思議 (スコア:1)
>なぜこんな単純にみえる方法で初期化できるのか。とっくの昔に誰かが見つけていてもよさそうなのですが、
まさにおっしゃってること自体が盲点だったのだと思います。
とっくの昔に誰かが見つけていたかもしれませんがそれを追試するに値するかを見極めてさらに上司を説得したり研究費も確保したり足場固めたりいろいろしたりで、実験以外のことも全てこなして成功できる世界なんですよね。
Re:不思議 (スコア:1)
研究当初は「生物細胞学会の歴史への侮辱だ」とかなんとか言われてたらしいですね。
コロンブスの卵というか、固定観念が目を曇らせていたというか。
一人以外は全員敗者
それでもあきらめるより熱くなれ
Re:不思議 (スコア:1)
あとは、
見つけた段階でまだ20代、しかも別分野の研究をしていたので、
コケることを心配したとしても、数年コケても行く先が無いとは考えられなかったところでしょうか。
Re:不思議 (スコア:1)
分野によってそれぞれです。
要は「それを疑うことが、研究者にとって”おいしい”かどうか」で活発度合いが変わります。
例えば光速度不変に関わる実験などは何度も同じ実験を、あるいは実験の構成を変えて検証されていますが、これは何らかの条件で「不変」を破ることができたら大変”おいしい”からですね。
今回の話も、単に一段階だけ取り出して「細胞を弱酸化条件に置いて8割がた死滅させる」という部分だけ見たら何度も同じことはされていたでしょう。
ただそれを「万能細胞を生み出す」という視点を持ち込み、また「多くの条件の中からうまくいく条件に出会う」という結果がなければいけなかった。
「適当な細胞をとにかく厳しい条件に置いたら続々と万能化した」、ではないですからね。
端から見ると「単純に見える」かもしれないけれど、実際は砂漠の中に埋もれた古代遺跡を見つけるようなもの。
手がかりが見つかるまでは「あるわけない」と判断されてもおかしくない話でした。
#とはいえ、まだまだ検証の必要がある話だということは肝に銘じておかなくては
Re:不思議 (スコア:1)
これと関係あるのかは知らんけど、毒性調べる実験とかでも
培養してる細胞になんかかける → 一部に不定形の塊が出来る
とかは時々あって、「ああ、なんか駄目になっちゃった(癌化かなにかしちゃった)から捨てるか」ってのはあった気が。
未分化に戻ったなんてのは欠片も思わなかったから調べなかったけど、もしかしたらああいうのがそうだったのかなあ。
Re:不思議 (スコア:1)
プレスリリースを読んでの素人考えですけど
これの貢献が大きいんじゃないでしょうか。
「既に市販されている」と言っても、物が物だけにそんなに昔からあるわけじゃないと思うんですよね。
「ポリウォーター」でなければ良いですね (スコア:1)
最初は細胞をガラス管に通して変化したのを見つけたという事なので、
ポリウォーター [wikipedia.org]かよ! と思ってしまった。
たぶん今までに同じツッコミを散々受けたんだろうなあ。
ユニットリーダーが若い (スコア:1)
ユニットリーダーが結構若そうでした。
ネットの情報によると30才だとか。すごいな。
小奇麗にした女の人です。
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
実験は白衣じゃなくて割烹着を使ってるんだそうで.
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:2)
祖母から貰った割烹着だそうな。(from サンテレビ)
前面にボタン類が無いのがいいですね。
// 撮影用にやってたせいかも知れないけど髪を纏めていなかったのはちょいと疑問
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
私も全く知らなかったのですが、
割烹着は実は日本女子大学校にて理科実験を含む作業着として開発されたものなんて話が、
こちらのブログ(大隅典子の仙台通信) [exblog.jp]で紹介されてます。ホントがどうか知りませんが。
髪はさすがに実験中は後ろで纏めるんじゃないですかね。
バイオ系の実験だとどんなもんなんでしょ?
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:2, おもしろおかしい)
割烹着着て、「お酢に浸して30分で出来上がりです」って、学会発表して欲しいw
#星、三つです!!!
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
今しがたNHKの昼ニュースでお顔を拝見しました。
こぎれいな整った容姿もさることながら、「小顔」というアドバンテージがモノをいいそうですね。
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
女で院生で菱沼さんと違って海外有名ブランド品をまとっているけど試薬で手が荒れている菱沼さんをライバル視する人も対比用参考として。
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
よく海外から、日本は女性の社会進出が進んでないとか、若手の扱いが悪いとか言われますが、今回の発見が報道されると、海外からの見る目はかなり変わるんじゃないでしょうかね。大多数の実態がどこにあるかはともかく。
そういう意味でもインパクトのあるニュースだと思います。
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:5, おもしろおかしい)
イギリス「ノーベル賞は確実 これまでの偉大な先人たちの研究のすべてをひっくり返すほどのインパクト」
ドイツ「IPSとSTAPの相互研究によって、医学は新たな時代に入ることは確実」
フランス「IPSにくらべて原始的で短期間に作ることができる。簡単な細胞はSTAPで大量生産できる。難細胞向きのIPSとの住み分けが重要だ」
アメリカ1「問題はこれからだ。どこが主導権をとるか。ハーバード以外にも研究拠点が必要だろう」
アメリカ2「決して恵まれた環境にあったわけではない。努力の賜物といえる」
アメリカ3「人類全体の未来に貢献したい、という研究者の言葉は素晴らしい」
イスラエル「近い将来ノーベル賞を授与されるのはまちがいない。IPSが開いた扉の向こうにSTAPがみつかった。」
ロシア「驚異的な発見。ただ、マウス実験の段階である。ここからが難しいともいえる」
ジャップ1「リケジョ」
ジャップ2「割烹着かわいい」
ジャップメディア「女性!女性!」
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:3, 参考になる)
こと医薬・生化学系の研究所だと, 1980年代後半から女性の研究者は多かったと思います. 関東甲信だと2〜3割は女性だったような. ベースが化粧品系(と言っても取り扱う範囲は化学全般だったりするわけですが)企業の研究所だと半数近く女性だったり.
ただ, これって地域差が大きいみたいで, 九州とかだと全然いなかった…
# 関西のユーザは担当していなかったので分からないです
Re:ユニットリーダーが若い (スコア:1)
そりゃあ風呂に入る虫もいるでしょう
生きて出てこれるかどうかは知りませんが
体細胞初期化 (スコア:1)
ってのが、そのまんまSFネタになりそうでぐっと来た。
初期化して多能化してって、なんにでも変身できそう。
寺沢さんのゴクウかコブラだったかで、細胞が記憶してる生物に変身するネタで悪魔に変身するとかいう話を連想。
Re:体細胞初期化 (スコア:1)
岡崎二郎の作品にもあったなあ。
#半分ネタバレ。半分だけな。
#存在自体がホラー
Re:体細胞初期化 (スコア:1)
さすが手塚先生ですね。
#エロいし
iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
iPS細胞を利用する技術はいろいろ応用できそうですが,
iPS細胞そのものは過去のものになってしまうんですかね・・・
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:2)
ニューヨークタイムスなんかを読んでみると、既存のやり方も進歩しているから、今回の手法が安全性や実用性に優れていると言うには時期尚早というコメントも掲載していますね。
パッと見ではそのあたりもクリアできそうな気はしますが、ディスアドバンテージもこれから明らかになっていくかも知れません。
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
今回の発見は元になる細胞が若い個体のものであるという条件があるのでiPS細胞の技術は別に無駄にはならないですよ。iPS細胞の研究はすでに臨床、治験のレベルまで進んでいます。
iPS網膜:来年にも治験 治療用製品に [mainichi.jp]
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
ふと思い付いたんですが、万能細胞で胚まで戻して若い個体を作ってしまえばどうなんでしょうかね。
倫理的な問題になってしまいそうですが…。
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
一端、万能細胞ができてしまったら、今度は誘導・分化(元コメで言えば「万能細胞→網膜」のプロセス)のノウハウの方がメインになってくるだろうから、そこの技術が無駄になることはないだろうけれど、いろんな面でiPS細胞が下火になるだろうね。
細胞の年齢がネックにならない、例えば、「人工臓器を作って新薬の薬効を調べる」っといった、いわゆる「応用」的な分野はこっちにとって代わられるのは確定的じゃないかな。
> 若い個体
これだって、今は弱酸しか試してないわけだから、温度・圧力・紫外線など、まだまだ試すべきバリエーションが腐るほどあるし、人体のどの器官から細胞を採取すべきかもこれからの研究だ。仮に年齢制限(分裂回数)が根本的な条件だったとしても、生殖細胞を採取すれば、「擬似的な自分の子供」から臓器を提供される道は残るわけで、最終的な使い勝手はiPSを上回ることになると思う。
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
>若い個体のものであるという条件
新生児の細胞を将来の保険のために冷凍保存するサービスとかが成り立ちそうです。
Re:iPS細胞はどうなるのでしょう? (スコア:1)
今回の発見は、山中因子の一つの発現を GFP で確かめるってものだったようだから、山中さん、下村さんのおかげですよ。
体細胞の初期化ができるというのが iPS細胞で分かっていたのだから、似たような事例を発見しやすくなっていたんじゃないかな。
過酷な環境で若返る (スコア:1)
過酷な環境にさらすことで細胞が若返る
ということは、火の鳥の伝説は本当だったんだ!
Re:過酷な環境で若返る (スコア:1)
「よし、社員を過酷な環境に晒せば若返って幾らでも酷使できるぞ!」と考えるブラックな経営者が出てきたりして
Re:過酷な環境で若返る (スコア:2, すばらしい洞察)
まあ外食産業なんかでは、ひたすら辛酸に浸して新卒で初期化するなんて経営手法もあるようですけど。
Re:過酷な環境で若返る (スコア:4, おもしろおかしい)
そこで「電流を流して活をいれ若返る」という触れ込みの怪しげグッズが売り出されたり、弱酸性の入浴剤で「細胞を初期化」とか称するものが出てきそうだな。
#普通に体に良さそうなのがなんとも
# 爆言のち漏電中… :D
Re:過酷な環境で若返る (スコア:1)
陸軍中野予備校に出てくる「ジェネシス軟膏」でしょうか?
この現象そのものより (スコア:1)
体内で直接細胞を脱分化させる・・・なんてことすらできるかもしれません。
今後 (スコア:1)
制御方法や適用範囲によって化けるかどうか、かなぁ。
# 凄いとは思うが、実適用できるかは重視されちゃうだろうな。
M-FalconSky (暑いか寒い)
Re:ノーベル賞確定おめ! (スコア:2)
IPS細胞の手法では、遺伝子の導入でレトロウイルスがDNAを一部ランダムに置き換えてしまうことで癌化する確率が非常に高かったようですが、今回の手法では遺伝子の導入が無いぶん癌化する可能性も低いようです。
全身にSTAP細胞が分布したマウスが正常に作れているようなので、割合安全そうな印象を受けますがどうなんでしょうかね。
ちなみに海外の報道では、細胞に負荷を与えると未分化な細胞になったという現象から、ストレス下では癌に罹患する可能性が高まるという事への関連性を示唆するような意見が紹介されていました。
Re:ノーベル賞確定おめ! (スコア:1)
核には入れるけど、既存のDNAを書き換えない手法も研究していたので、iPS細胞の安全性もだいぶ上がっているんじゃないかな
Re:得意な遺伝子 (スコア:1)
みんなが呆れる、hylomクオリティーですね。
Re:得意な遺伝子 (スコア:2)
気づいた人が指摘して校正すればいいんだよ。
web記事はいつでも直せるのが利点なんだし。
こんなレベルで完璧を求めてたら編集者がすり減ってくだけだよ
内容を勘違いしたりするのはやめてほしいと思うが。
Re:臍帯血を原料にして人間の細胞で・・・ (スコア:2)
臍帯血と言わず、 臍帯とか胎盤の実質の組織そのものを使ってもいいんじゃないですか。
胎盤にも分化できたそうだから、胎盤からでもリセットできるだろ。
Re:神戸か~ (スコア:1)
スーパーコンピュータのお京さんが鎮座しているのは神戸だったと思う。そっちの一般公開とあわせ一本の方がうれしいという人もいていいですよね?
Re:若返りの湯 (スコア:1)
炭酸泉いいですよね。
銭湯の人口炭酸泉にしか入ったことないですが、
湯温がぬるめでも温浴効果がかなり高くて何時間でも入っていられそうに感じます。
#ほぼおふとぴ
一人以外は全員敗者
それでもあきらめるより熱くなれ