1. 『ポータブル・フォークナー』

    ウィリアム・フォークナー著 マルカム・カウリー編 『ポータブル・フォークナー』マルカム・カウリーが編者を務めた『ポータブル・フォークナー』は1946年に刊行された。当時フォークナーの著作の多くが絶版となっており、これによって「再発見」されたとされることもあるが、より正確にいえばようやく「発見」されたとなるのかもしれない。『サンクチュアリ』はベストセラーになっていたものの、そのせいもあってセンセーショナ...

  2. 『ウィリアム・フォークナーの日本訪問  冷戦と文学のポリティクス』

    相田洋明編 『ウィリアム・フォークナーの日本訪問  冷戦と文学のポリティクス』ウィリアム・フォークナーが1955年8月に日本を訪れ、その際に南北戦争で敗れたアメリカ南部と第二次世界大戦で敗れた日本を重ねた言葉を残したというのは有名なエピソードである。また、これが「米国国務省人物交流プログラム」としての訪日であり、「冷戦期アメリカの文化外交の一環であり、親米的な文化を西側諸国の一員たるべき日本に根付かせ...

  3. ボブ・ディランとやくざ一代記

    『ハーバード大学のボブ・ディラン講義』(リチャード・F・トーマス著)の第7章「円熟した詩人は盗む:ウェルギリウスとディラン、古典を生み出すということ」にこんなところがあった。ハーバード大学のボブ・ディラン講義2003年7月8日の『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙にある記事が掲載された。北九州市在住の英語教師クリス・ジョンソンが福岡市の書店でふと佐賀純一の『浅草博徒一代  伊地知栄治のはなし』の英訳Conf...

  4. 『神と銃のアメリカ極右テロリズム』その2

    ブルース・ホフマン、ジェイコブ・ウェア著 『神と銃のアメリカ極右テロリズム』こちらの続き。アメリカの極右を活性化させたのが公民権運動をはじめとするリベラルな価値観の浸透とともに、ヴェトナム戦争であった。肥大化した連邦政府が大義のない戦争に兵士を送り込んでいるという連邦政府への批判と、勝てるはずの戦争だったのに反戦活動家のような左翼やリベラルのせいで汚辱にまみれたものになってしまったというのは両立し...

  5. 『神と銃のアメリカ極右テロリズム』その1

    ブルース・ホフマン、ジェイコブ・ウェア著 『神と銃のアメリカ極右テロリズム』ある人物は、「深刻な経済的状況によって、自分たちの苦境についての単純で還元主義的な説明」を受け入れやすくなっている人たちに向けて、このようなメッセージを発した。「自分たちが苦しみを背負わされているのはすべて、ユダヤ人、移民、ウォール街、福祉の不正利用、そして政府のせいだ」。この人物は「断固たる反ユダヤ主義、反共産主義、白人...