【詩】「Epitaphs(エピタフ、墓碑銘)」

【詩】Epitaphs(エピタフ、墓碑銘)

 前髪に雪降かゝる鷹野かな 吏明

ベケットのフランス語詩の題名である。しかし、Epitaphは、英語である。
フランス語なら、épitapheと綴る。しかし、中身はフランス語である。
il ne sait plus ce qu’on lui disait(ひとが彼に言ったことをもはや彼はわからない)
il ne sait plus ce qu’il se disait(もはや自分が思ったこともわからない)

on ne lui dit plus rien(もはやひとは彼に何も言わない)
il ne se dit plus rien(もはや彼は何も思わない)

en se disant qu’il y a rien à dire(何も言うことはないと思いながら)
plus rien à dire(もはやなにも言うことはない)

小姓の前髪に
雪が降りかかる。それは、
鷹を撃つ野
ではなく、
鷹を武器として使用する
野。
古き、よき? かは、
on ne sait plus rien.(わからない)



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山下晴代の「そして現代思想」

山下晴代

Author:山下晴代
小説4作(『すばる』集英社)
第1詩集『今はもう誰も杉村春子など思い出さない』(中原中也賞候補)
第18詩集『あなた自身のためのサバイバルキット』
https://www.seichoku.com/item/DS2005652
ホームページ↓
http://www.mars.dti.ne.jp/~rukibo/

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