田中宏紀エフェクト(以下、田中エフェクト)はiwakawaさんが整理してくださったので、僕は自分が感じた田中エフェクトの特に面白い・すごいと思ったところを書こうと思う。


簡潔に言えば、田中エフェクトのスゴイところは、「気流・爆風」のダイレクトな記号化です。ライトユーザーにも大好評であるのは、ここに起因すると言っても過言ではない。


例外もありますが、まず80年~90年代前半において、気流・爆風の大部分は、”周りの物体が壊れる”ことによって、「間接的に」表現されていたように思います。これは、「初代マクロス」「北斗の拳」「マクロスプラス」などが分かりやすい 。


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[超時空要塞マクロス 27話『愛は流れる』(1983/TV)]

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[北斗の拳 49話(1984/TV)]

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[マクロスプラス(OVA/1994)]:鴨川浩パート

割れるガラス、戦闘機が飛び去った後にギュッと引っ張られる煙がいい


この3つに共通するのは、最初に述べた通り、”周りの物体が壊れること”で気流の状態を描写してる点です。周りの砂や地面が抉れることによって、「ああ、すごい爆風が生じているんだ」と分かります。この時代では、周りの状況、つまり、地面がえぐれる、窓が壊れる、砂埃が立つなど、そういったシーンごとに具体的な破壊描写がなされていました。



それでは、田中宏紀はどういう風に気流・爆風を表現したか。彼は、従来の手法であった”周りの物体を壊す”のではなく、”空気の軌跡をダイレクトに描くこと”によって表現したのです。これは、「絶対可憐チルドレン」「ナルト疾風伝」「デッドマン・ワンダーランド」などの田中パートを見てもらうと分かりやすい。


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[ふたりはプリキュア Splash Star チクタク危機一髪!(2006/劇場)]

ジャンプした後、煙が追っ付いて行く感じが良いです


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[絶対可憐チルドレン 37話(2008/TV)]

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[ナルト疾風伝 351話(2009/TV)]

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[デッドマン・ワンダーランド(2011/TV)]

それぞれ見て分かるとおり、物体が通った後の空気の軌跡を描いている。キャラクターが動いた後の気流・爆風を具体的な形で描写したという部分が、特に画期的だったのではと思う。「絶対可憐チルドレン」における密着マルチの煙もいいですね、カッコイイ。



田中宏紀さんが現行アニメで溢れる気流記号を発明したかは正直分かりませんが、バンバン使って普及させたのは間違いないと思う。とにもかくにも、目に見えない気流というものを具体的な形にして、多大なる影響を与えた。それだけでも十分すごいのですが、その上かっこ良い記号として書き普及させた。ここが田中宏紀エフェクトの最も面白く、すごいところだと思います。


<参考文献> 
田中宏紀さんについて僕が思うこと-大匙屋  
田中宏紀煙について-iwakawaのblog
田中宏紀パート?集Ver1.1