モテキナイト4 @ SHIBUYA O-EAST

モテキナイト4 @ SHIBUYA O-EAST - pic by SHO kikuchipic by SHO kikuchi
映画『モテキ』との連動イベントの第4回目。って、考えたら1回目の時はまだ映画になることはアナウンスされておらず、テレビドラマ版のDVDの発売直後くらいのタイミングだったのでその盛り上げとして開催されたような記憶がありますが、その1回目は2010年12月3日代官山UNIT、2回目は3月18日に恵比寿リキッドルームの予定だったが震災で延期になり5月2日にリキッドルームで行われ(この時のアンコールで、例の藤本幸世×スチャダラパーによる“今夜はブギーバック”がシューティングされました。詳しくはこちら http://ro69.jp/feat/moteki201109_2?p=2#a_list08)、3回目は7月23日に同じくリキッド(ライヴレポはこちら http://ro69.jp/live/detail/54937 )、そして今回はSHIBUYA O-EASTと、じわじわとキャパを上げながら4回目まで来ました。
では、ここから1組ずつショート・レヴューです。

モテキナイト4 @ SHIBUYA O-EAST - pic by 埼玉泰史pic by 埼玉泰史
1 DJ 申し訳ナイタズ
映画版『モテキコンピ』の2枚目、DJミックス・アルバムを担当した申し訳ナイタズ(詳しくはこちら http://ro69.jp/feat/moteki201109_1?p=2 )が、この日の転換の間のDJを担当。トップはボス、ミッツィー申し訳(代表取締役)。いやあ、うまいわ、この人。「J-POP縛りでDJイベントをやる」というコンセプトで10年以上の長きにわたって続いているのがこのイベントでありこの集団なんですが、さすがボスというか、東京事変、ジュディマリ、RIP SLYME、ソウルセットにスチャに在日ファンク(YSIGのサイトウジュンが参加してる“あいつによろしく”)などなどを、絶妙につないでいく。論旨(なぜこの流れなのか、という理由)と感覚(単に聴いてて気持ちいい流れであるということ)の両方がびしっとあるDJ。恥ずかしながら、私もDJをやることがあるのですが、そして日本のロックやポップスもかけるのですが、「これ、俺とかがやっちゃいかんわ」と、何か、申し訳なくなりました。

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2 ライヴ N'夙川BOYS
「なんでほかのバンドは7曲とかできるんだ! 信じられないぜ!」(byマーヤ)というわけで、持ち時間30分で4曲。“プラネットマジック”“Candy People”“物語はちと?不安定”“死神DANCE”、以上、でした。2曲目の途中で(この曲では)ドラムのシンノスケBoysが映画『モテキ』のハート型のプレス(宣伝用資料ね)をフロアにばらまいたり、メンバーそれぞれクラウドサーフするも今いちこううまく支えてもらえなくてお客の海の中にずぶずぶ沈んで行ったり、つまり、そういうのにあまり慣れていないっぽいお客さんたち(今回、最初にフジファブリックの出演がアナウンスされた段階でほとんどソールドアウトだったらしいので、フジファンが中心だったんだと思います)に「次の受け手がいないのに放り投げるなあ!」(これもマーヤ)とキレて爆笑を誘ったり、と、今日もやりたい放題。好き勝手やればやるほどチャーミングに輝くこのバンドの真骨頂、そんな30分でした。ただ、基本的には大笑いなんだけど、「放り投げるな」と言ったあとに「次に渡していく、それがロックンロールやろ!」と叫んだり、映画『モテキ』のことに触れた時に「5股でも6股でもええ! ただし、人の心を弄ぶなあ! ひとりひとりと真剣に付き合え!」と言ったりと、急にマジなトーンに突入するマーヤのアジテーション、魅力あります。あとリンダ、かわいい。そしてシンノスケ、ドラム叩く時に足を組む(だからキックはほぼ踏まない)というあの自己ルール、なんなんだろう。

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3 DJ 申し訳ナイタズ
今度はDJギュウゾウ申し訳Jr.(電撃ネットワーク)。ヘッドホンが壊れたのでつながない、と宣言しつつ(壊れたヘッドホンを見せびらかしつつ)、ハスキン、ハイスタ、BRAHMANとパンク押しの末、くるり“ばらの花”へ。「途中、この会場のどこかに久保ミツロウがいるぞ!」と叫び、2F席を見回すお客さんたちに「見てもわかんないだろうけど」と追い討ち。そう、久保先生、写真とか公表していないのです。私、インタヴューしたので顔わかりますが、確かにいらっしゃいました。大変に恥ずかしそうな表情を浮かべておられました。自分もあたりを見回すぐらいのことをしてもいいのに、と思いました。

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4 ライヴ 水中、それは苦しい
ジョニー大蔵大臣(vo&g)が、映画『モテキ』に出演している縁で登場。出てたっけ? と思ったあなた。私も思いました。私、映画のパンフレットに「『モテキ』に出てくる全28曲ひとこと解説」というページの原稿を書いたのですが、その曲のリストを見て、「えーと……出てたっけ? 使われてたっけ?」と首をひねった唯一の曲がこれでした。で、映画を観直して確認しようにも、その時手元にそのDVDがなく、大根さんに電話するも留守電だったため、「こういうふうに出てます」ってことには触れずに書いて、入稿してしまったほどです。「ほどです」じゃないか。
で。ジョニー大蔵大臣、どこに出ていたのかというと、幸世とみゆきが最初に会って、飲みに行って、酔っぱらって下北沢の駅前をふらふらと通る時に歌っているストリート・ミュージシャンが、彼です。私、先週、劇場に観に行って「ああっ、ここだったのかあ!」と、ようやく気づきました。本人曰く、「3秒のために5キロダイエットしました!」だそうです。
で、そのジョニー大蔵大臣率いる歌&アコギ/バイオリン/ドラム(右利きだか左利きだかわからないやたら独特な叩き方)のトリオ、水中、それは苦しいのライヴ。言ってしまえば、本日の出演者の中ではトップクラスの、そして映画に出ている中ではナキミソの次にカルトな存在ながら、もう、大ウケ。私も実はライヴ観たの4,5年ぶりだったんだけど、こんなにおもしろかったっけ!? と、目からウロコでした。前に観たの、ガラガラの下北沢CLUB251かどっかだったせいかなあ。その映画の出演シーンで歌っていた“安めぐみのテーマ”のほか、父親のことを歌った“農業、校長、そして手品”、出たばかりのニュー・アルバム『手をかえ品をかえ』の帯の推薦コメントを乙武洋匡が書くきっかけとなったと思しき“おっと! オトタケ”、タイトルからして何の歌か説明不要な、その名も“まじんのおのようこ”を披露。いずれも、フロアに、どっかんどっかん笑いと賞賛のウェーヴが起きてました。

5 DJ 申し訳ナイタズ
再びギュウゾウ。今度は新しいヘッドホンが届き、「渋谷はいい街だぜ! ボーヤに言えば、こうして新しいヘッドホンが届くんだぜ!」というわけで、ちゃんとつないでおられました。出番を終えたばかりのジョニー大蔵大臣も参加、一緒に盛り上げる……というはずだったんだろうけど、話を急に振られてうまいこと返せなかったり、なぞかけにトライさせられたんだけどなぞかけの趣旨そのものがわかっていない回答だったりして、なんだかとてもぐだぐだなことになっていました。

6 DJ OL Killer
3人組のDJユニットなんだけど、うち2人はプレイ時にヘッドホン使わないのが不思議でした。どうやってつなげてるんだろう。
音は速めのブレイクビーツ主体の、そしてちょっと不穏なトーンで統一された、エレクトリック・ダンス・ミュージックで押してました。踊れる。
あと、ちょっとですが、ダンスするさまを観れて、私、もう、大満足です。

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7 DJ 大根仁
と、スタッフ用のタイムテーブルには入っていましたが、DJやりませんでした、大根監督。次のDJ、申し訳ナイタズの掟ポルシェ申し訳Jr.と、ふたりでトーク。で、トークのあと、「それでは本日のシークレット・ゲストです!」と紹介。幕の閉まったステージにフロアの注目が集まる。

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8 ライヴ シークレット・ゲスト
の注目が集まる。イントロが鳴り響き、幕が開き、ステージのまんなかでポージングをキメていたのは、Perfumeでした。フロア、大爆発。「東京ドーム完売アーティストを1300人キャパのここO-EASTで観れる! 近っ!!」という気持ちだったのだと思います、みなさん。というか私も。曲はもちろん、『モテキ』のミュージカル・シーンのあれ、“Baby Crusing Love”。しかも、1コーラス終わったあたりで藤本幸世(森山未來)が乱入。Perfumeはもちろん、幸世も、ちゃんとシーンと同じ衣装。つまり完全に映画の再現なわけで、なんちう粋な演出か! という話です(このシーンです http://ro69.jp/feat/moteki201109_2?p=1#a_list02)。これを考えた監督たちも偉いが、おそらくビジネス的にはプラスアルファないだろうに、「やる!」ってことにしたPerfumeとそのスタッフもさらに偉いと思う。いやあ、夢のようでした。
そのあとは、Perfumeの3人・大根監督・掟さん(5,6年前までPerfumeの握手会の司会をしょっちゅうやっていたそうです)・幸世で、しばし立ちトーク。監督、森山未來に「森山未來? 藤本幸世?」ときいて、「藤本幸世です」と答えた瞬間にケツにケリを入れる、というのを2回ぐらいやってました。「森山未來は蹴れないけど藤本幸世が蹴ってよし」ということらしいです。とてもわかります。

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9 DJ 掟ポルシェ申し訳Jr.
あのミックスCDそのままのカルト・アイドル・ポップスの連発。で、柵前に下りて踊り回ったりして盛り上げまくる。大笑いでした。楽しい。ただ、個人的に、最初にミッツィーさんのところで「俺とかがDJやっちゃいかん」と思った気持ち、ここで「まあ、やっぱ、やっていいかも」と、翻りました、私。

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10 ライヴ フジファブリック
今の「ヴォーカル&ギター山内総一郎」アコースティック編成のライヴは1週間前に『京都音博』で観たけど、バンド編成で観るのは私、初めてでした(ロック・イン・ジャパンでは観れなかったのです。ライヴ一切観れない業務なもんで)。で、音が出る前の段階で、まずびっくり。ドラム、あらきゆうこじゃん! で、セットリストでまたびっくりでした。鉄壁だった、これ。以下の通り。

1 STAR
2 夜明けのBEAT
3 B.O.I.P
4 理想型
5 Splash!!
6 虹
7 ECHO
アンコール 僕らが旅に出る理由

全体に、「これが今のフジファブリックです!」という意志にビッと貫かれた、シンプルでストイックで、受けるイメージがなんかとても「強い」ステージ。山内総一郎の声のせいだろうか。それとも、元々えらいこと芯がしっかりしているバンド・サウンドのせいだろか。2曲目とか6曲目なんて、本来ならちょっとセンチになっても不思議はないのに、まっすぐにアッパーな音&歌として響いている。めちゃめちゃよいのではないか、これ。なお、金澤ダイスケ、ハートの模様がいっぱい描かれたシャツを着ていて、「『モテキ』だからかな」と思ったら、やはりそれが理由だということを、アンコールで告げていました。
あと蛇足。アンコールは、『映画モテキコンピ』の3枚目(詳しくはこちら http://ro69.jp/feat/moteki201109_1?p=3#ftop )に提供した小沢健二のカヴァーですが、あらきゆうこ、コーネリアスのドラムもやってましたよね。小沢の曲をコーネリアスのドラムが叩いている。おおー。とか、ちょっと思いました。いや、ただの偶然ですが。


というわけで、満喫させていただいたあまり、こんな長く書いてすみません。
次回はどうするんだろう。映画がDVDになる時にでもやってほしいものですが、Perfumeまで出ちゃった日には「次は何やれっつうんだ」って話だな、とも思いました。そういえば、映画『モテキ』、どんなに当たってもパート2は絶対にないだろう、と、僕は思っている。監督も森山未來も「あれ以上絶対無理」「やったら間違いなくレベル下がる」って感じだと思うので。というのに、ちょっと似ている気がしました、今回の『モテキナイト4』は。(兵庫慎司)
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