IRS22(データセンター屋さんのIPv4アドレス枯渇対策)
当ブログをご覧の皆様こんにちは。さくらインターネット研究所の大久保です。
当方では研究活動の一環として、弊社のようなインターネットデータセンターにおけるIPv4アドレス枯渇対策の検討を以前より行っております。 それで昨日(9/2)、IRS22(Inter-Domain Routing Security)が開催され、発表の機会をいただきましたので、弊社の事例紹介を行ってきました。
▽ IRSのWebページ(今回の会合分はまだ更新されていません) http://irs.ietf.to/
発表資料はまだ公開されていませんので、暫定的に以下に置いておきます。
30分枠という少ない時間でしたが、以下のように会場からいくつかのコメントをいただくことができました。
- 解約などで使われなくなったIPv4アドレスの回収はできるのか? ハウジング等のようにブロック単位の空間であれば再利用はやりやすい。しかし、専用サーバのように同一セグメントに複数台を収容しているような環境で、その中のいくつかが歯抜けになっているような状況だと再利用しにくい。ただ、回収、再利用しないと利用率が下がるため、追加割り振り申請ができなくなることもある。
- 共有セグメントでもプロキシARPを用いてルータにトラフィックを吸い込めば別セグメントでの使いまわしができるのではないか? そのとおり。しかし設定が煩雑になってしまうため、プロキシARPを行う専用の箱があれば運用しやすいかもしれない。
- トランスレーションするとアクセス元がトランスレータのIPアドレスになって不具合がないか? 弊社でもWebページのアクセス解析に影響がでるのではないかとの懸念はあった。転送先のWebサーバが対応するのであれば、本来のアクセス元IPアドレスをHTTPヘッダに追加するという方法がある。
- 中国やインドなど、政府によるIPv6推進を発表しているので、IPv6への移行はされるのではないか? 一部の国が対応しても、インターネットの全ユーザがIPv6に移行するのは今後数十年と時間がかかるのではないか。
今回はIPv4アドレスの確保、プロトコルトランスレーションについて話しましたが、IPv6対応についても今後機会がありましたら取り上げたいと思います。