何より、実は借り手が激減している。アジアの発展途上国はみな、開発資金を市場調達できるようになったのだ。国債発行もでき、国内の流動性も溜まってきた。即断即決、自己裁定できる資金を持てるようになったのだ。ガバナンスだ、環境アセスメントだ、などうるさいことを外国(日本)から言われずに済む。また、ここ10年間で、対円レートの上昇とインフレによって、10年前に比べて円借款の価値が6掛けほどに減じてしまった。例えば、年率6%ほどの成長を続けている国が10年たつと、経済のパイは170%ほどになる。もはや、円借款は“帯に短しタスキに長し”の、優先順位の低い資金調達手段になってしまった。
残るはアフリカ諸国だが、資源高によって好景気に沸くアンゴラは、昨年、前年比21.6%のGDP(国内総生産)成長を遂げ、自前でいくらでも資金は調達できる。ほかの国々は重債務貧困国救済(1999年ケルン・サミットで決定された債務帳消し)の枠組みで長年の債務は帳消しされている。財務省は昨年あたりから始まったアフリカの急成長に驚き、ようやく貸し出し再開に意欲を持ち始めたが、アンゴラのような貸したい国からはソデにされ、本当に支援が必要な国々にはローンよりも無償資金協力で対応すべきとのサミット決議もあり、貸し出せずにいる。世界の援助の主流は90年代に入ってから、すっかり、ローンではなく、無償資金協力(grants)に移ってしまっているのだ。
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新JICA発足、目的と財源は不明確なまま:NBonline(日経ビジネス オンライン)
この記事かなり面白い。日本のODAがどうあるべきかの提言にもなかなかの説得力がある。
16 years ago