国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」(24年9月末) 新興国株式にまた異常値。今後このシリーズ記事を継続するか検討へ

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個人投資家の期待を集めながらも、「市場価格と基準価額の乖離」の大きさが課題と言われてきた国内ETF。

「市場価格と基準価額の乖離」とは、かんたんにいえば、ETFの中身に対して中身どおりの価格がついているか、それとも割高 or 割安な価格がついてしまっているかを表しています。いちばん良いのは、乖離率±0%状態です。

国際分散投資に活用できる主要な資産クラスの国内ETFについて、2024年9月末までの乖離率を調べました。


(1)「米国株式」クラスのETF

まずは、「米国株式」クラス(S&P500)のETFです。

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1547 日興 上場S&P500米国株 (信託報酬 年0.165%) 乖離率-0.12%
1655 iシェアーズ S&P500 米国株 ETF (信託報酬 年0.066%) 乖離率-0.17%
2558 MAXIS 米国株式(S&P500)上場投信 (信託報酬 年0.077%) 乖離率-0.13%
2633 NEXT FUNDS S&P 500 指数(為替ヘッジなし) (信託報酬 年0.066%) 乖離率-0.16%

米国株式クラスのウォッチ銘柄の市場価格と基準価額の乖離は、個人的許容範囲±1.0%に収まりました。ウォッチ銘柄で特に乖離率が小さく優秀だったのは、「日興 上場S&P500米国株」(銘柄コード1547)で、乖離率は -0.12% でした。


(2)「先進国株式」クラスのETF

次に、米国や欧州などの先進国(日本除く)に分散投資できる「先進国株式」クラスのETFです。

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1680 日興 上場MSCIコクサイ株 (信託報酬 年0.264%) 乖離率-0.41%
1550 MAXIS 海外株式(MSCIコクサイ) (信託報酬 年0.165%) 乖離率+0.27%
1657 iシェアーズ・コア MSCI 先進国株 (信託報酬 年0.209%) 乖離率-0.07%
2513 NEXT FUNDS 外国株式(為替ヘッジなし) (信託報酬 年0.187%) 乖離率-0.08%

先進国株式クラスのウォッチ銘柄の市場価格と基準価額の乖離は、個人的許容範囲±1.0%に収まりました。ウォッチ銘柄で特に乖離率が小さく優秀だったのは、「iシェアーズ・コア MSCI 先進国株NEXT FUNDS 外国株式(為替ヘッジなし)」(銘柄コード1657)で、乖離率 -0.07% でした。


(3)「新興国株式」クラスのETF

次に、中国・インドなどの新興国に分散投資できる「新興国株式」クラスのETFです。

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1681 日興 上場MSCIエマージング株 (信託報酬 年0.264%) 乖離率+1.17%
1658 iシェアーズ・コア MSCI 新興国株 (信託報酬 年0.253%) 乖離率+0.28%
2520 NEXT FUNDS 新興国株式(為替ヘッジなし) (信託報酬 年0.209%) 乖離率-0.02%

新興国株式クラスのウォッチ銘柄の市場価格と基準価額の乖離は、個人的許容範囲±1.0%に収まらずハミ出る銘柄がありました。ウォッチ銘柄で特に乖離率が小さく優秀だったのは、「NEXT FUNDS 新興国株式(為替ヘッジなし)」(銘柄コード2520)で、乖離率 -0.02% でした。ほぼ乖離なしといってよいでしょう。Good!!👍️

「日興 上場MSCIエマージング株」(銘柄コード1681)は、乖離率が +1.17% もありました。要改善といえるでしょう。先月は「NEXT FUNDS 新興国株式(為替ヘッジなし)」(銘柄コード2520)に異常な乖離率が出ていました。月ごとに異常値銘柄が入れ替わる異例の事態になっています。


(4)「全世界株式」クラスのETF

次に、日本、先進国、新興国を含む全世界の株式に分散投資できる「全世界株式」クラスのETFです。

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1554 日興 上場MSCI世界株 (信託報酬 年0.264%) 乖離率+0.17%
2559 MAXIS 全世界株式 (信託報酬 年0.0858%) 乖離率-0.01%

全世界株式クラスのウォッチ銘柄の市場価格と基準価額の乖離は、個人的許容範囲±1.0%に収まりました。ウォッチ銘柄で特に乖離率が小さく優秀だったのは、「MAXIS 全世界株式」(銘柄コード2559)で、乖離率が -0.01% でした。ほぼ乖離なしといってよいでしょう。Good!!👍️


(5)「日本株式」クラスのETF

「日本株式」クラスのETF(TOPIX・日経225)は、昔から東証での売買高も多く乖離が極めて小さいので、気にする必要はないと判断して当ブログでは掲載していません。売買の際に気になる場合は、東証のWEBサイトでETFの市場価格とインディカティブNAV(取引時間中のETFの推定価値)を調べることができます(しかも15秒ごとに更新)ので、チェックしてみてください。



(6)今月のコメント

市場価格と基準価額の乖離について、今月も新興国株式で異常値が出てしまいました(「日興 上場MSCIエマージング株」(銘柄コード1681)が乖離率 +1.17%)。米国株式、先進国株式、全世界株式はいずれも、乖離率は小さく概ね基準価額と連動していました。

新興国株式クラスの「日興 上場MSCIエマージング株」(銘柄コード1681)」(銘柄コード1681)は、乖離率が +1.17% もありました。これは信託報酬の0.0X%の違いを一気に吹き飛ばす乖離率です。今月、この銘柄を売却した投資家は基準価額よりもだいぶ安い金額で売却させられたことになります。

月替りの銘柄に特大級の乖離率が出ており、新興国株式クラスは何年経っても乖離率が入れ替わり立ち替わりドタバタしていて安定しません。国内ETFでは、新興国株式クラスには投資しづらいと言わざるを得ない状況です。

「iDeCo」や「NISA」に対応していて使い勝手の良いインデックスファンドと国内ETFはよく比較されます。すでに個別株投資(個々の企業の株式への投資)をやっているかたや、分配金を再投資するのではなく「使っていきたい」というかたが国際分散投資をしようとする場合は、インデックスファンドよりも国内ETFの方がなじみやすいでしょう。

なぜなら、国内ETFは、注文方法(成行・指値ほか)や税務処理などが個別株とまったく同じだからです。個別株から出てくる配当と同様に、国内ETFから出てくる分配金は現金で受け取れる。慣れ親しんだ感じです。

また、海外ETFと比べても、分配金に海外と日本の両方で二重課税されてしまう分を取り戻すのに確定申告(外国税額控除という作業)が必要なところ、国内ETFには二重課税調整制度に対応した銘柄があるので、それを選べば確定申告不要で楽ちんです。

ニーズはあるはずなので、国内ETFの市場価格は、買う時も売る時もフェアな価格であってほしい。投資家がいつでも安心して国内ETFを売買できるように、関係各所にはがんばってもらいたいです。

当ブログでは、長年、主要な国内ETFの「市場価格と基準価額の乖離」について毎月ウォッチして、比較シリーズ記事を書いてきました。

しかし、資産クラスによっては、上場後どれだけ年月を重ねても、市場価格と基準価額の乖離は必ずしも改善していく方向にないように見えることもあり、当ブログでウォッチすることに意味を見出しづらくなっています。運用会社にとっても、資産クラスによっては、ルール上の為替レート適用時間のずれから乖離が避けられない局面があったり、流動性が低すぎてマーケットメイカーを入れてもなお基準価額と乖離する状況があったりして、毎月比較されてもこれ以上は手の打ちようがない部分があります。一方で、ベンチマークの指数と基準価額の乖離はほとんどないようであり、このシリーズ記事でくりかえし要望しているETFの「フェアな価格」とはいったい何なのかを自問自答しています。

また、このシリーズ記事は作成するのに労力がかかる割にはブログのPVが少ないのが実態です。これを継続することが、本当に誰かのためになっているのか疑問を抱くようになりました。

そろそろ潮時かもしれません。今後、継続するかどうかの検討に入っております。次回がなかったらゴメンナサイ。


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<ご参考>
当ブログによく質問が寄せられる「なぜ、市場価格と基準価額が乖離するのか?」については、下記の東証WEBサイトに端的な説明がありますのでご参照ください。

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