プリキュアの数字ブログ

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日本のアニメ主人公に「学生が多い」「社長が少ない」は本当か?

最近、こんな記事を読みました。 

www.itmedia.co.jp

 日本ヒーローの主人公に社長が少なく、学生や公務員が多い。それは太平洋戦争の影響である、という謎の?記事でした。

戦争うんぬんは置いておいて、こういう記事見ると、
日本のアニメヒーローは米国作品に比べて本当に
「社長が少ないのか?」
「学生が多いのか?」
などが気になって気になって仕方が無いのです。

とういわけで、調べてみました。
(上記の記事では「ヒーロー」という定義ですが、日本アニメからヒーローもののみを取り出すのは困難だったので「日本のアニメ全体」での調査を行いました。
別に上記記事の検証を行っているわけではありません。ただ、どんな程度なのか調査してみただけです。)

データ取得

日本のアニメタイトルのデータは、いつもの骨しゃぶり 様(id:honeshabri)のデータ

100年分のアニメ作品リストをExcelデータで公開した - 本しゃぶり

を使用し、
1970年~2017年4月までの47年間の作品の中から「劇場」「OVA」等を除き「TV」タグの付いている作品を抽出しました。

1970年1月~2017年4月15日までに放送された「TVアニメーション」は4738本ありました。

無作為抽出による標本調査

4738本全てのアニメを調査するのが一番良いのでしょうけど、さすがに数的に無理なので、今回は標本調査をすることにしました。

標本調査とは?〜調査のしくみと設計〜|統計学習の指導のために(先生向け)

標本調査を実施するにあたり、まずはどれくらいのサンプル数が必要なのか?を調べました。

順当に、
サンプル数 4738
誤差範囲 5%
信頼度 95%
で、必要なサンプル数の計算式は下記の通りなのですが、

f:id:kasumi19732004:20170618133905p:plain

第5節 標本抽出法

有限母集団でのサンプルサイズは下記サイトで計算すると

【標本抽出】標本の大きさ (有限母集団の非復元抽出) - 高精度計算サイト

 必要なサンプルは356であることが判りました。
(※ただし、この方法は通常Yes/Noでのアンケートなどに使用される方法です。どこまでアテになるかわからないけど目安にはなると思います)

次に上記4738本のアニメの放送日の昇順に1~4738の番号を付け、エクセルにて1~4738の範囲で356個の重複しない整数の乱数を発生させ、番号に対応する作品を抽出しました。
この方法により、4738本から356タイトルのアニメ作品を無作為に抽出しました。

f:id:kasumi19732004:20170620222836p:plain


この356タイトルのアニメにおいて、主人公の属性および性別を調査しました。
調査は管理人の「手動」で一つ一つ調べていますので間違いなどあるかもしれませんのでご了承ください。

間違い指摘して頂ければ後ほど修正します。

 

以下結果になります。

抽出データ群

抽出された356作品について、職業(ついでに性別)の調査を行いました。

職業は、社会人、学生(小学生、中学生、高校生、大学生)、無職、王族、神様、主婦に分類しました。
社会人は公務員と民間を分けたかったのですが、曖昧なのが多すぎたので社会人でひとくくりにしました。これは今後の課題です。
職業不明というのはオムニバスで主人公がはっきりしていなかったり、動物が主人公で職業描写が無い作品などです。

また、属性が2つ以上ある場合(社長で小学生とか)は、学生を優先して選択し、第2属性は別枠で記録しておきました。

結果です。

https://cdn-ak2.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kasumi19732004/20170625/20170625232309_original.jpg

 性別:M:男性 F:女性 A:動物(雌雄)ー:不明

 

ちなみに、これらのデータがどれ位信用なるかを検証?するために、
「日本のアニメのプリキュア率」を計算した所、抽出した356タイトル中、プリキュアは「スマイルプリキュア!」1作品抽出されていたので、1/356=0.28%。*1
1970年以降のTVアニメが4738作品あるので、4738*0.28%=13.3作品
計算上、プリキュアは13.3作品あることになります。
実際はプリキュアは「キラキラ☆プリキュアアラモード」までで14作品あるので、だいたい正確な数値が出ています。

 

 結果

まずは、性別から。

日本アニメ主人個の性別

日本アニメ主人公の性別は下記の通りとなりました。

f:id:kasumi19732004:20170621214817p:plain

f:id:kasumi19732004:20170621215233p:plain

 (信頼度95%、誤差範囲5%のデータである事を考慮してください。)

日本のアニメ主人公の性別は、
男性が53.1%と半数を占めていました。
女性は31.7%。
もっと多いような気がしてましたけど、
今回は抽出方法が「語り手を主人公」としたので、男性が主人公、女性が主役の作品(例えば涼宮ハルヒだとキョンが主人公になる)の為、女性主人公が少なく出てしまった面もあると思います。

それでも日本アニメにおいて男性が主人公になる作品の方が多いものと思われます。

またアニメでは定番の「動物が主人公」も4.2%と以外と少なかった感じを受けます。
(年代別に統計とれば、動物が主人公のアニメが年々少なくなっていることがわかるかもしれません。)
 

日本アニメ主人公の職業

 次いで、日本アニメの主人公の職業です。

f:id:kasumi19732004:20170619214804p:plainf:id:kasumi19732004:20170621223430p:plain

学生が44.7%
社会人が28.1%
という結果になりました。

やはり日本アニメの主人公は学生が多かったですね。
むしろ、学生が主人公のアニメはイメージ的には半分以上ある感じだったのですが、
逆に少ないな、と感じます。

次いでは社会人が主人公の28.1%
3割近いアニメが、社会人が主人公なのですが、これはいわゆる「会社勤務の社会人」の他、「軍人」「用心棒」なども「社会人」でひとくくりにしている部分もあると思います。


ちなみに社会人中で、社長、CEO、院長が3名いましたので、
日本アニメの主人公の「地位の高い職業率」は、3/356=0.84%
100作品に約1作品程度の割合でした。

ちなみに「学生」44.7%の内訳としては、

f:id:kasumi19732004:20170619214927p:plain

高校生が50%を占めました。
次いで小学生の20%。
学生ではあるものの所属不明(異世界の学校とか)が15%。
中学生は12%。
大学生はほとんど主人公になれない様です。

最近の傾向としては、キッズアニメは小学生が主人公、深夜アニメは高校生が主人公になっている事が多いと思われます。
これは視聴者の共感を呼ぶために「視聴者と同じ属性を主人公」に据えているのだと思われますので、

要は日本において「アニメを見ている学生」は、
高校生と小学生が多く、
中学生、大学生はほとんどアニメを見ていない、ということが観測できるのかもしれません。

  

米国(アメコミ)の主人公はどうなのか?

次に外国の場合をしらべました。

外国には骨しゃぶり先生(id:honeshabri)がいなくて外国産のアニメーションをまとめた資料が見つからなかったため、

アメリカン・コミックス - Wikipedia

漫画作品一覧 - Wikipedia中の北アメリカの項目

上記wikiに記載のアメコミを抽出しました。
こちらは日本のアニメのデータとは違い、アメコミ限定、かつ無作為抽出では無く作為的なn=60のデータですので日本の物とは母集団が違う事をご了承下さい。

https://cdn-ak2.f.st-hatena.com/images/fotolife/k/kasumi19732004/20170619/20170619224552_original.png

 

アメコミにおける主人公の男女比

f:id:kasumi19732004:20170621230829p:plain

アメコミは男性主人公が75%を占めました。
アメコミって女性主人公が少ないのですね。
(あくまで、今回抽出したサンプルの結果ですけど)

アメコミ主人公の職業。

f:id:kasumi19732004:20170621230944p:plain

 日本アニメの主人公が学生が多かったのに比較して、こちらは「社会人」が63.2%とかなり多くなっています。
学生は8.8%とかなり少なかったです。

 

 日本と米国との比較

日本と米国(アメコミ)で集計方法、母集団の属性が違うので一概に比較はできないのですけど、一応比較しておきます。参考程度にはなるでしょう。

 

日本とアメコミ主人公の性別比較

日本アニメとアメコミの主人公の性別比について

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 主人公の男女比ですが、
男性主人公が、日本アニメ53.1%に対し、アメコミは75.0%。
アメコミの方が男性主人公率が高い結果となりました。
(ただ、何度も書いていますが「日本のアニメ全体」と「アメコミ」を比較する事自体本来はナンセンスです)


ついで職業の比較。

日本アニメとアメコミ主人公の職業比較

日本アニメとアメコミの主人公の職業の比較

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やはり日本のアニメーションは「学生」が主人公になる事が多い様です。
(日本アニメ44.7%、アメコミ8.8%)

対して、アメコミの主人公は「社会人」が主人公になる事が多く、日本28.1%に対しアメコミ63.2%でした。

このあたり、日米の物語の主人公に対する考えの違いがあるのかもしれません。
 

日米の主人公の社長率

なお「社長」「CEO」など「社会的地位が高い人」が主人公になるのは

日本 3/356=0.84%
米国 2/57=3.5%
でした。
(サンプル数や母集団の異なる2つの平均値の有意差を比較するのに本来ならばt検定でも行うべきなのでしょうけど、ちょっと省略します。)

日本のアニメ主人公が「社会的地位の高い職業」に就くのは0.84%。つまり約100作品に1作品。

日本のアニメは2017年現在で、年間150~200作品作られているので、
だいたい1年に1~2作品は「社会的地位の高い職業」の人が主人公になるアニメが作られている感じです。

対し、アメコミにおける「社会的地位の高い職業」の人が主人公になる確率は3.5%。
アイアンマンやバットマンの印象が強いのかもっと多い感じがありましたが、意外と少なかったです。絶対数的にも少ないものと思われます。

要は、最初の記事(なぜ「ヒーローもの」の主人公に、社長が少ないのか (1/5) - ITmedia ビジネスオンライン)にあった様な

日本の映画や漫画に登場するヒーローをみると、「社長」や「大富豪」が少ない。米国の作品には多いのに、なぜ日本では少ないのか。

「日本のアニメ主人公は社長が少ない」は
正確には、日本のアニメにおける社長は、
アメコミと比較して「割合は少ない」けど「絶対本数は多い」のですよね。

このあたりでイメージの祖語が起きていたことが違和感の原因だったのではないのかと思います。

 まとめ

全体の傾向として 今回調べてみてわかったことは、


1.日本のアニメは学生が主人公になる事が多い。だいたい45%。

2.アメコミは社会人が主人公になる事が多い。だいたい60%。

3.日本アニメ主人公の「社長」はアメコミに比べて「割合は少ない」が「絶対本数は多い」

、ということがわかりました。
(今回はそれがわかっただけで、何故そうなるのか?は誰かが考察してくれるでしょう・・・) 

 

あと、前述の記事にあった
「日本のヒーローに、学生と公務員が多いのは太平洋戦争の影響」 
は、戦前と戦後の物語におけるヒーローの職業の割合を調べれば容易にわかると思いますので、そのうち調査したいと思います。

 

(おわり)

 

 

prehyou2015.hatenablog.com

 

*1:(正確には95%の確率で0.28%±0.65%でプリキュアです)