わけのわからなさを私達も味わいたい
パスをしてるとゴリラがやってくる、そして私たちはゴリラを見逃す。
なんてわけのわからない事態、それも×2だ。ナンセンスの掛け算、そこにあるのは混沌だ。しかしカオスの中から宇宙が生まれたんだしやってみて何かが得られる可能性もある。
なによりそうしたなんじゃこりゃ状況を実際に起こし、この目で見てみたいのだ。
こちらが発端となった実験の動画。パスを数えながら見た人の半数がゴリラに気づかなかったという。
ゴリラのきぐるみがあった。着てもらった稲川くんは俳優だがゴリラ役は初めてだろう
一度やってみよう
元となった映像にならい、ボールをパスしあってるところをゴリラのきぐるみに通り過ぎてもらった。その映像がこちらである。
パスをし合う人たちに
ゴリラがまぎれこむ
バスケットの真ん中でドラミングをするゴリラ。おい、そこゴリラいるぞ! 早く逃げるんだ。そいつはゴリラなんだ!
このように映像をYouTubeにあげてアンケートをとった
アンケートの結果。見ていた人は全員ゴリラに気づいた
全員ゴリラに気づいた
実験結果は失敗であった。
よくこれでゴリラに気づかないものだなと撮りながら思っていたが、きっちり全員ゴリラに気づいた。どうなってるのだこれは。
元の映像をよく見てみると白と黒のチームに分かれる必要があるようだ。なるほど失敗の原因は服の色か。
しかしまあ失敗は失敗でいい。パスをしてたらゴリラが出てきたなという思いだ。実際にやってみるとパスに夢中で(視界の端にゴリラがいたかな?)くらいだった。
「ゴリラがかすむ」という今までの人生で体験したことのない状況である。一流のスポーツ選手がいうところの「ゾーンに入る」という体験かもしれない。
まあ気づくよな(目の部分を黒くするためサングラスを着用しています)
ゴリラに気づいたがこれは気づくか?
さて実験を再開しよう。とりあえずゴリラには全員気づいてしまった。しかたない。それが我々のスタート地点だ。
それならそこからもう少し問題を難しくしてみよう。たとえば状況を複雑にして気づきにくくするのだ。これならみんな気づかないのではないだろうか。
パスをする中にあらわれたのは
パイロットのゴリラである
パイロットのゴリラは腕時計を見たあと頭をかかえている。どうやら飛行機に間に合わなかったらしい
そして絶望してドラミング。これもパスにまぎれて気づかないのだろうか
成功である。ゴリラがパイロットだったことに気づいた人は多いが、絶望に気づかなかった人が43%いる。パスに気を取られてゴリラの絶望を見逃したのだ
ゴリラの実験はつづく
問題を難しくした結果、ゴリラには気づいたがゴリラの行動に気づかなかった人が増えた。この調子である。実験をつづけよう。さあ、ゴリラを見逃すな! ドン、ミスアゴリラ!
パスをしていると小鳥をかわいがりながらゴリラがやってくる
おやおやおや、握力がつよすぎて小鳥をつぶしてしまったゴリラ
愛するものを失った悲しみにくれるゴリラ。それも自分の手で。なんて悲しいんだ
これも成功である。パスを数えるのに気を取られてゴリラが可愛がっていた小鳥をつぶしたことまでは気づかなかったようだ。シザーハンズ的なゴリラ。
パスを回していると海外旅行に行こうとしているゴリラが登場する
しかし海外に行けないことを知り(ワシントン条約)嘆き悲しむゴリラ
ワシントン条約がバスケのパスにまぎれた瞬間である。うっとりするほどわけがわからない事態だ
パスを回して出てきたのは冷蔵庫から麦茶を持ってゴリラが登場
しかし麦茶を飲んでみるとめんつゆだったゴリラ
麦茶みたいにめんつゆを置くなと母に怒るゴリラ。それに構わずパスが回る。
約半数の人がめんつゆに怒ってることに気づいた。これが錯覚の科学である
こちらはなわとびの練習に励むがゴリラは小学校に入れないことを知り絶望する
パスにまぎれてゴリラの教育制度は9%しかわからなかった
パスを回してると誕生日のゴリラが登場。しかし誰も祝ってくれず絶望する
パスに注意しすぎるとゴリラが誕生日を1人で祝ってることを見逃す。47%の人は誕生日さえも見逃した。ゴリラにとって酷な結果だと言わざるを得ない
パスを回してると天狗の面をつけたゴリラが出てくる
しかも鼻は折れるわパスは回るわ何が何やら、そうだ、これが人生だ
天狗の鼻が折れたことについては9割の人が気づいた。パスどころではない異常事態がゴリラの天狗鼻折れである(何が何やら)。
パスを回していると患者の家族のゴリラが登場
息子さんが助からないゴリラが嘆く
絶望のドラミングが悲しく響く
パスをカウントしながらもゴリラの絶望に5人くらいは気づいていた
ゴリラを見逃してしまう
言うまでもなくゴリラは見逃せない。ぼくらはゴリラを見逃せない。絶滅の危機もちらついているし、なにより本気をだしたらぼくらは一瞬でひねりつぶされてしまうほど危険な動物だ。
しかしそれでもゴリラを見逃してしまう。だってパスを数えていたのだから。 人間はそういう生き物なんだ。しかたがないんだ。
ゴリラを見逃すなだなんてへんな企画だなと思ったことだろう。だけどそれには理由がある。実は本当に言いたかったことはこれだ。
目の前のつまらないことにとらわれて本当に大事なものを見落としてやないかいってことだ。
そうだ、君のゴリラは目の前にいる。日々のルーチンワークにまぎれたり、スポーツカーに乗ったイケメンに気を取られてると気づかないかもしれない。目の前のゴリラを見つけよう。そしてゴリラを大切にしよう!
ライターからのお知らせ
この週末2/25,26に明日のアーが京都に行きます。評判だった公演(感想は
こちら)をそのまま持っていきます。河内長野あたりからも城崎あたりからも京都までちょこっとがんばってお越しください。
明日のアー「猫の未来予想図Ⅱ」京都公演前売チケット状況
2/25(土)18:30★ △
2/26(日)13:30 ◯
2/26(日)16:30☆ ◯
★岸政彦さんとのトークあり ☆回に石田三成のCMを作った藤井亮さんアフタートーク来てもらうことになりました(2/6) ◎○残席あり △残りわずか ×取扱終了
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