特集 2015年9月26日

飛べ!洗濯物干しドローン

飛んだ!
ドローンは洗濯物干しに似ている。

ということは洗濯物干しにプロペラを付けたら飛ぶんじゃないか。

付けたら本当に飛びました。
行く先々で「うちの会社にはいないタイプだよね」と言われるが、本人はそんなこともないと思っている。愛知県出身。むかない安藤。(動画インタビュー)

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> 個人サイト むかない安藤 Twitter

実は一回失敗しています

今年の春、僕はホームセンターで買ってきた材料で自分なりのドローンを作った
これが僕の作ったホームセンタードローン。
僕のドローンへの憧れは根が深い。たぶん周りの誰よりも先に欲しい欲しい言っていたと思う。

しかし買うと高いので作ることにしたのだ。それが今年の春の話。

あの時はバルサ材で作ったボディにビデオカメラをくくりつけ、ミニ四駆のモーター4つに模型用のプロペラを付けた。作っているときは本気で飛ぶんじゃないかと思ったほどの出来だった。

しかし自作ドローンは1ミリも浮くことはなく、僕は撮影を見に来た関係者各位に頭を下げて回った。いま思い出してもじんましんが出そうな思い出である。
遠くから飛ばないドローンを見守る関係者。
ところがこの記事を書いてよかったと思わされる出来事があった。記事を読んだ空撮業界の大手enRouteさんが連絡をくれたのだ。

かいつまんでいうと「かわいそうだから部品をあげますよ」とのこと。

正しく生きているといいことあるものである。さっそくenRouteの事務所におじゃました。
手伝ってくれる遠藤さんは前回のドローン制作でもお世話になった空撮のプロである。
enRouteには「部品はあるのでボディだけ、何かみつくろって持ってきてください」と言われた。またバルサで作ってもいいけど前回のこともある。もうちょっとしっかりしたものはないだろうか。

そういえばこの間、ドローンの展示会に行ったとき(僕クラスのドローンほしさになると展示会とかにも行くのだ)見た機体の一つが洗濯物干しに似ていた。

ということは洗濯物干しにプロペラを付けたら飛ぶんじゃないのか。
右がドローン、左が洗濯物干しである。似てると思って持ってきたけど、こうやって並べるとそうでもない。
しかし今回はenRouteも遠藤プロもついている。怖いものなしだ。

どうでしょう、この洗濯物干し、飛びますかね。
飛ぶと思うよ!
まじか。

遠藤さんいわく、ザルでもタライでも、付けるべき部品がしかるべき場所に付けられていれば、たいていのものは飛ぶのだとか。本当だろうか。「なんでも飛ばすよ!ただし重力をなくしてくれたらね」みたいな空撮ギャグなのかもしれない。

なにしろ僕はいっかい失敗しているのでドローンについては懐疑的なのだ。
重さ的にも大丈夫みたい。
僕が適当に選んだ洗濯物干しだが、遠藤さんに見せると感心された。

「ドローンにした時、ちゃんと重心の位置がわかるようフックがついているのは優秀だね。」と。なるほど。しかしその部品は物干しざおに引っ掛けるとき使うやつである。

でも重心は確かにここなので、最終的にバランスが保たれるよう、部品を配置していけばいいとのこと。

必要な部品を取り付ける

ドローンが空をうまく飛ぶためには、いくつか必須項目があるらしい。前回の僕みたいに気合いと根性、とかではないのだ。

まず何はなくともモーターとプロペラである。
これが今回洗濯物干しに搭載するモーター。
ブラシレスモーターと言って回転を自由に制御できるモーターなのだとか。光っていてかっこいい。
前回僕がホームセンターで買ってきたミニ四駆のモーター。いま思うとドローンなめすぎである。
ブラシレスモーターと大型のプロペラを洗濯物干しの四隅に取り付ける。偶然にも取り付け金具を改造することなく物干しに取り付けることができた。やはり洗濯物干しはドローンになる運命なのかもしれない。
あるべき形に導いてあげる感じだ。
常にバランスを考えながらの作業。
他にもモーターの回転数を制御するアンプ4つと、全体のバランスを考えながらアンプに出力信号を送るフライトコンピューター、それから受信機とバッテリーとGPSが載る。
前回飛ばせられなかったビデオカメラ(Everio/JVC)も意地で搭載した。
バッテリーは重いので取り付ける位置を慎重に決めた。
必要な部品を全部付けたところでフックを持ってバランスを見てみると、なんとこれがピタリと前後左右に釣り合っているのだ。すばらしい。僕はほとんどなにもやっていないけど、ついでに褒めてほしい。
全ての部品をなんとなくバランスよく取り付けることに成功。
ここから先はプロの領域である。

まずはモーターの回転方向とプロペラの向きとを合わせ、それから飛んでいるときに自分の位置を確認するためのGPSも調整する。

この調整は非常に専門的で、かつ間違えると大変なことになりそうなので遠藤さんに任せた。
えらそうなこと言いながら難しいところは遠藤さんに全部やってもらいました。
これで洗濯物干しはドローンとしての機能を身につけたことになる。

はたして飛ぶんだろうか。
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飛ぶのか?洗濯物干しドローン

初飛行は機体がどこに飛んでいくのか、そもそも飛ぶのかどうかもわからないので、危なくないよう、防護ネットが張られた広いスペースで行う。
操縦はもちろんプロがやります。
なにせ遠藤さんが

「このクラスのプロペラだと、飛んできて当たると血管まで切れるね」

とか言うので腰が引けた。そういう世界なのだ、ドローン界は。命をけずって洗濯物干しを飛ばしている。
ビデオカメラの上についているのはGPS。
僕が一人でびびっている間に準備は整った。メインスイッチを入れるとプロペラが高い音(上のラくらい)を発しながら回転数を上げていく。

それにともない10メートルくらい離れた場所でも感じられるくらいの風が発生し始めた。すごい迫力である。メーデー、メーデー。
ビーーーーン。
そしてついにその時がやってきた。
飛んだ!
洗濯物干しがドローンになって飛んだのだ。

まじか!
信じられないことだが、遠藤さんの言うように必要な装置さえすべて揃っていれば洗濯物干しはドローンとして空を飛ぶのだ。
こうしてみるとドローンにしか見えないけど
よく見ると洗濯物干しである。

洗濯物は干せるのか

せっかくの洗濯物干しである、その機能を生かして洗濯物を干して飛ばすことはできないだろうか。
Tシャツと靴下を。

Tシャツと靴下を吊るしてみた。これで少し重量が増すだろう。もしかしたらバランスも崩れるかもしれない、大丈夫だろうか。

僕の心配をよそに、洗濯物干しドローンはモーターをうならせ、風を起こし、そして…

飛んだ。
洗濯物干しドローンは洗濯物を干したまま飛んだ。なぜだろう、笑いが止まらなかった。

動画でもどうぞ。
洗濯物を干したまま、ドローンは自在に飛び回る。
完璧である。

これで日のあたるところに自分で出ていけるし雨が降ったら帰ってこられる。プロペラからの風で洗濯物が速く乾くかもしれない。
ただ、着地したとき洗濯物汚れるけどね。
GPSを積んでいるので風で飛ばされても自力で戻ってくるようにもできるらしい。そんな洗濯物干し、これまでなかっただろう。

ドローン技術、恐るべしである。

遠藤さんがおもしろい

今回の洗濯物干しドローンは、あたかも僕が作って飛ばしたような記事になってしまったが(なってないか)、実はほとんどの作業をやってくれたのは空撮のプロ、遠藤さんである。遠藤さんはプロのギタリストであり、元ラーメン屋であり、空撮の専門家という暴れんぼうな経歴を持っているので、またいつかじっくり取材させてもらいたいところです。

なにしろ今回はありがとうございました。
ありがとうございました!

洗濯物干しはドローンになる

こうして洗濯物干しはドローンとして飛ぶことができた。次はぜひタライを飛ばしてUFO目撃談として言い伝えられたいと思っています。
山口のメイカーフェアにも持って行ったんですが、飛んでいないとただの洗濯物干しにしか見えなかった。
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