特集 2015年4月14日

ラジオ番組最終回の出待ち作法を学ぶ

色々なメディアが最終回を迎える3月。その中でも特殊なのが、ラジオ番組だと思う。
有名なラジオ番組は最終回になると、リスナー(ラジオを聴く人)が全国から集まり、番組出演者の出待ちを行うのだ。
2015年3月28日。この日、生まれて初めて、出待ちに行くことにした。声優の浅野真澄さん、ラジオパーソナリティ兼ミュージシャンの鷲崎健さんがやっている文化放送の「アニスパ」という番組だ。
ずっと聞いてきた番組だ。失礼の無いように作法を学んでから行きたい。
1988年神奈川県生まれ。普通の会社員です。運だけで何とか生きてきました。好きな言葉は「半熟卵はトッピングしますか?」です。もちろんトッピングします。(動画インタビュー)

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3月は終わりの季節

大学生の時に聞いて以来10年間、聞いてきた番組だ。このラジオをきっかけに特定の番組しか聞かなかったのが、色々なジャンルのラジオを聞くようになり、今まで以上にラジオが好きになった。
大好きだった番組が終わるのは悲しい。聞き始めた頃は、終わるなんて思っていなかった番組が最終回を迎えるのは、番組リスナーとしては非常に残念である。
家で最終回を聞いて終わるのもいいが、出演者の方に「お疲れ様でした!」の一言だけでも言いに行きたい。

出待ち経験者に話を聞きたい

でも、大勢の人がきっと行く事だろう。失礼があってはいけない。出待ち経験者の人から作法を学んで挑もうと思う。
後ろにいるおばあさんはハガキ職人ではありません。ルノアールのお客さんです。
今回、お話しを聞いたのはシーブックたけのりさん。
「西川貴教のオールナイトニッポン」でハガキ職人(番組でネタなどを多く投稿している人たち。ある番組で元々、自称していたのが広まった。みんな大好きWikipediaに書いてあった。)に作法等について、色々聞いてきた。

――本日はお願いします! 早速ですが今まで、どんなラジオの出待ちをしましたか?

西川貴教のオールナイトニッポンやU-turnのオールナイトニッポン、髭男爵山田ルイ53世ルネッサンズラジオ(地上波が終わるとき。現在ではポッドキャストで配信中)などです。
初めて行ったのは、U-turnのオールナイトニッポンの時ですね。
インタビュー中、コーヒーを飲むシーブックさん
――シーブックさんは西川さんのラジオの常連ハガキ職人として活躍されていましたが、終わった時は、どういう気持ちでした?

長くやっていた番組だったので、「あぁ、そうか終わるのか」と思いましたね。
とうとうこの時が来たかと。悲しい気持ちもありましたが、諦めの気持ちもありました。やりつくされた感があり、「しょうがないのかな」と当時は思いました。
でも、もし、早めに終わっていたら、「なんで終わるの!?」と寂しい気持ちになっていたかもしれません。
インタビュー中、注文していたピザトーストが届いた。(先に私のが届いたので、少しだけ食べてしまった。)
届いたピザトーストを食べるシーブックさん。
――最終回の時に放送されていたラジオ局に向かうときは、どんな気持ちでしたか。

「一緒に最後を見届けたい。大好きな番組を一番近い場所で聞いて終わりたい。」
という想いから、出待ちに行きました。
「終わってしまうんだな」と思いながら、番組の思い出を思い出しつつ、放送局に向かったのを覚えています。
最後に届いたお茶を飲むシーブックさん。
――実際の現場の雰囲気ってどんな感じですか?

放送中はラジオを聞きながらじっとしていて、終了直前になると泣いている人もいましたね。悲しい雰囲気が漂っていました。個人的には「楽しい番組をありがとう」と感謝の気持ちでいっぱいでした。

でも、自分が聞いていた番組が終わるのは、「青春が終わる」と言った喪失感があるような気がします。その番組が大好きであれば、あるほどその気持ちは強いものになりますね。

――行って良かったですか?

そうですね。終わる瞬間に立ち会うことができてよかったです。自分の中で、番組が終わることに対して区切りをつけることができました。行かなかったら後悔していたと思います。

そんな話をする中で、出待ちをする意味

――個人的にラジオは「家で聞くメディア」だと思うのですが、行く意味ってなんだと思います?

やはり、みんなと一緒に終わりを共有したいのかもしれません。一種のお祭り的な意味です。
また、1人で聞くよりもみんなで聞いて、寂しさを紛らわせたいのもあるし、行った方がより深く、番組を愛していたと感じることができる。
自分の番組愛を表現する意味合いもあるのかもしれません。
最近だと、ツイッターを通じて、リスナー同士で呼びかけ合い、行く事も多くあるみたいなので、より行きやすくなったように感じます。
インタビューで話している風の写真を撮ろうとしたが、目をつぶってしまったシーブックさん。

今、聞きたい。出待ちの方法

色々と面白い話が聞けた。では、出待ちの作法を聞いてみよう。

――出待ちはやり方や気を付けることってありますか?

そうですね、基本的には「迷惑を絶対にかけない」ことです。
人通りの多いところもあるので、知り合いがいたからと言って、大きな声を出して騒いでは、通行人の人からも怪しい目で見られますし、出待ちをしている他のリスナーにも「こんなマナーの悪い人たちが聞いているなんて…」と番組の品位を落とすことにもつながりかねません。
なので、騒いだり、マナーの悪いことをするのはダメですね。

そうして、教えてもらった作法は下記の5つだ。
(1)まずは現場に行く。
(2)ラジオ局周辺でリスナーっぽい人を探す。
(3)人に迷惑をかけない場所で待つ。
(4)気持ちの高ぶっているからといって、あまり早くいかない。やることが無いから。
(5)警備員の人が来たら、近づかないように急いで離れる。

(5)に関しては、シーブックさん個人の感想だと思う。昔、警備員の人に何か嫌なことをされたのだろうか。でも、少しビクッとする感覚は何となくわかる。何もしなければ向こうも何もして来ないので大丈夫だ。

ちなみに、有楽町で待つときは、近くに警察署があるのでかなりドキドキするそうだ。何も悪いことをしていないのに。
インタビュー終了後、スマホが急に鳴りだしたので驚いた。2人してビックリ。

実際の現場に行ってみる

では、シーブックさんと実際の現場に行ってみよう。どんな感じで待てばいいのか、実施に教えてもらいながら、番組が始まるまで待つことにした。
「放送局ってここじゃないですか!?」と興奮気味に言ったら、全然違うことに言った後に気がついた。
とある放送局の裏出口。シーブックさんが言うには、昔はここから出演者が出てきてくれたらしい。
出演者の人は基本的に裏口から出てくることが多いらしい。また、出待ちをしてくれた人のためにわざわざスタジオから出てきて挨拶をしてくれることもあるという。
集まった人たちと写真を撮る事あるらしい。写真撮りたい!
当時を思い出してもらって、実際に待っている時の再現をしてもらった。
かつて、シーブックさんはここで写真のように待っていたらしい。階段の横なので、邪魔にはならない。ただ、なんだろうか、一人だと悲壮感が漂う。
ただ、じっと待っているのも寒くて辛い。なので、階段の横にある通路を行ったり来たりして何とか体を温めようとしたらしい。
一通り教えてもらった後は、明日用事があるとのことなので、お帰りになられた。

ちゃんとしたラジオを買おう

シーブックさんに色々と教えてもらって、出待ちの作法を学んだ。準備万端かと思いきや、ラジオが無いこと気づいた。今ではスマホやパソコンでも簡単に聞けるが、やはりちゃんとラジオを使って聞きたい。ラジオを買わなければ。
よく公園で競馬新聞を見ながら、聴いている人が使っている感じのタイプ。
この近くのコンビニではラジオが売っていなかったので、近くの電気量販店で購入。イメージ通りのポケットラジオだ。

そういえば、高校生の頃、あまりにも退屈な授業があり、制服の胸ポケットにラジオを忍ばして袖の中を通して、イヤホンを手で隠しながら聞いていたものである。
袖からちょうどいい長さでイヤホンを出して、
手で隠しながら、バレないように聞いていた。おかげでテストは赤点でした。
チューニングを合わせて、準備万端

実際に出待ちをしてみる

撮影用に取りやすい位置にいますが、ちゃんと人が降りてこない部分に移動しました。
そして、最終回を視聴。終わりが近づく連れて、どこか悲しい気分になる。いつもと同じ楽しい放送なのに。ラジオを聞きながら「その時の自分がどんなことをしていたか」「楽しかった記憶」が頭の中に埋め尽くされ、泣きそうになる。
そして、番組はエンディングを迎えた。本当に一つの青春が終わったように感じ、泣いてしまった。

あ、出待ちが目的だった。こんな、ところで泣いている場合ではない。行かなければ。
パラパラと人が集まり始めた。中には涙を払うような仕草をしているような人もいた。
番組終了と共に人が集まってきた。最終的には30人以上はいたように思える。終わりを名残惜しむかのように、ただじっと待つリスナーたち。
そして、出演者の人たちが降りてきた。
憧れの人たちが目の前にいる嬉しさもあったが、「本当に終わってしまうんだな」という寂しさがこみ上げてきて、また泣いてしまった。

出演者の方々が集まってきてくれたことへの感謝を述べた後は、その場にいる全員で写真を撮り、解散となった。

新しい番組が始まるのも楽しみだ。

行って良かった最終回の出待ち

最初は興味本位で行ってみたが、こんなに泣いてしまうとは思わなかった。今、好きな番組を聞いている人は、聞き続けて最終回の時には行ってみることをオススメする。
ちょっとだけラジオの聴き方が変わるかもしれない。
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