特集 2015年3月17日

究極の濃厚ビール「IPA」のうまさがすごい

インディア・ペールエール、略してIPA(アイ・ピー・エー)と呼ばれる種類のビールがある。

香料のホップを大量に仕込んだビールで、味の密度がとてつもなく濃いのだ。甘さも苦さも香りも普通のビールの枠をぶっちぎっている。

今日はこのIPAのありえない美味さについて語りたい。
1978年、東京都出身。漂泊の理科教員。名前の漢字は、正しい行いと書いて『正行』なのだが、「不正行為」という語にも名前が含まれてるのに気付いたので、次からそれで説明しようと思う。

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全ての味が極限に達したビール、IPA

IPAの味をひとことで言うなら、『甘い、苦い、芳しい』となるだろう。ビールの味を構成するすべての要素が極限まで達していて、味のきわだち方がすごいのだ。

そしてその濃縮したような味の強さに調和したグレープフルーツのような芳香がすばらしい。
この茶色。全てが普通のビールのイメージを吹き飛ばすインパクト。
「ビールはキレ、のどごし!」とはよく言うが、IPAは完全にその対極。
ひとくちづつ丁寧に口の中で存分に味と香りを楽しむタイプのビールである。
ひと口ごとに広がる華やかな香りと味の共演。うまいー!
僕は何年か前にこの味を覚えてから、冬になると定期的にIPAを買って飲んでいる。本当にうまい。
今日はあまり売っていないこのビールを、どうやって買えるのかを紹介しよう。

ローソンで買える「インドの青鬼」

いちばん手軽なのはローソンである。
全部のローソンではないけれど、けっこう売ってる
ローソンで『インドの青鬼』というビールを売っていることがある。缶を見たことがある人もいるだろう。じつはあれがIPAなのだ。
これ。かわいい鬼の絵に見覚えがある人もいるか。
有名になった「よなよなエール」と同じ会社が作っているIPAで、味は相当にうまい。本場である海外品にまったく引けを取らない。
度数7.0%。爽やかで深い苦味と、華やかな香りがたまらない!
普段から飲むIPAとしては価格も手ごろでちょうどいい。僕はいつも飲んでいる。
素晴らしいビールが日本にあるものだと感謝したい。

やまやで買おう「パンクIPA」

さて、IPAの本場は海外だ。海外からの輸入食品・飲料と言えば全国チェーンの「やまや」が有名だと思う(無い県の人ごめんなさい)
ここでもIPAを買うことができる。
一目で居抜き物件と分かる屋根のかたち。(もとホームセンター)
水色のスタイリッシュな缶、「パンクIPA」、度数5.6%。
味の特徴は華やかすぎる香り。
普通のIPAが桜だとすれば、「パンクIPA」の芳香は、乱れ咲きの八重桜のように鼻の奥まではじけ飛ぶ。
最高だ。
「至高のIPA」と言われるのも納得する。

さて次はお店にIPAを飲みに行ってみよう。

IPAを飲もう、近くのバーでも、専門店でも

近所でビールに力を入れているバーがあったら、その店に1品ぐらいIPAが置いてあるかも知れない。
ぼくの自宅の近くにある「DALI」(→以前も撮影に使った)にもある
お店で飲むIPAの至福感は別格! 夜の香りまで変わる味。
また都内に行けばIPAの専門店もある。
阿佐ヶ谷にある「STONE」というバーは、IPAをずらっと取りそろえる専門店と言ってもいい店だ。
僕が初めてIPAを飲んだのも、この店だ。
そのまま店名になっている「ストーン」というIPAを飲んだのだが、これが劇的なおいしさであり一瞬でIPAのとりこになった。
IPAの師匠である友人と。忘れないあの衝撃。
あまりのうまさに飲みすぎて店内で酔いつぶれてしまい、店長におこられた。
でもあれから何度飲んでも苦さと香りのバランスが素晴らし過ぎて毎回感動する。あのとき怒られたのも仕方なかったなと思う。
一度行く価値がある店だ。強く勧めたい。

さて、次ページでは普通のビールをIPAの味に変えられないか実験に挑戦した。

グレープフルーツを混ぜたらIPAにならないか

IPAの味を表すとき、「苦い」「甘い」「柑橘系の芳香」という特徴から『グレープフルーツみたい』と言われることがよくある。たしかに似てるのだ。
じゃあ普通のビールにグレープフルーツ絞ったらIPAみたいにならないだろうか。
メジャービールでいちばん度数の強いアサヒ・エクストラを使用。
いや……、これ、ぜんぜん違うな……
すっぱい。
甘味も、苦味も、すべて塗りつぶす勢いですっぱいし、香りも違う。
いや、「予想できただろ、それ」と言われるとそうだが、想定を上回る勢いでだめだ。新ジャンル切り開いた感じも無い。
みんなやめておこう。ビールにグレープフルーツ絞るとすっぱい。

通販で買おう、特上IPA

というわけで結局は真面目に買うしかないIPAだが、ネット時代の僕らにはamazonと楽天がある。近所で手に入らなかったら通販で注文してみよう。
「ストーンIPA」 6本4400円(送料込)。度数6.9%。
僕が最も愛してやまない「ストーンIPA」だ。関税や送料でちょっと割高だが、この楽しみは何にも代えがたい。

紙ケースとボトルのデザインも断然かっこよく、他のビールの追随を許さない存在感がある。
ボトルに直プリントされた悪魔(ガーゴイル)が超かっこいい。

ふみ入れてみた、特濃IPAの世界!

「インペリアルIPA」と呼ばれるジャンルがある。

ただでさえホップを大量に仕込んだIPAに、さらにホップをつぎ込み、極限まで味の濃さに挑んだIPAである。
僕も飲んだことが無かったので、この機に注文してみた。
「スルガベイ・インペリアルIPA」。国産最強、度数まさに8.5%!
酵母で白濁したクリーミーな茶色が素晴らしい。
無濾過・無殺菌で詰められ、瓶の中に酵母が溜まる製法でつくられた特生IPAだ。
酵母のまろやかな口当たりが、深くやわらかな苦味と絡み合って舌の上でとぐろを巻く。絶妙。
華麗な攻めのスタイルを持つビールだ。

そしてもう一種。
パンクIPAの兄貴分、衝撃の度数9.2%、「ハードコアIPA」
突き抜ける香りと見たことないほど冷たく深い濃茶色! なにこれ!
口に含むと、甘み・苦み・香り、そのすべてが束になって巨象の群れのように頭の奥へと踏み入っていく。
とんでもない重厚さだ。
その辺の缶ビールとは完全に別種の飲み物である。

やばいぞ、この蠱惑的なIPAの世界。
当分はこの悪魔的な魅力から逃れることができそうにない。

もうラガービールには戻れません(戻るけど

というわけで、初めて飲むものも含め大好きなIPAを紹介してきたが、この濃厚さに慣れると、もはや普通のラガービールが水のように感じられてしまう。
こう書くと「じゃあ、お前はもうラガービールは飲まないのか!」と言われそうだが、夏になると、IPAの濃さがきつく感じられ、結局ラガーを飲むので、毎年大丈夫である。
IPAいっぱい、しあわせの宝箱。(冷蔵庫に入きらない)
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