特集 2015年1月7日

大空なう、スカイダイビングに初挑戦

近年、どういうわけか高いところに行くと「あ~飛んでみたい」と思うようになった。
とはいえ、本当に飛んでしまえば死んでしまう。それは人生において重大イベントなので自重しなければならない。

そこへ、「だれか一緒にスカイダイビングしませんかー」というtwitter上での呼びかけを目にした。

「こ、これだ!」
一種の発作、という感じで飛んできました。落ちた、というか。
イカとタコが大好きで、食べたり被ったり本まで出版しました。
でもサイコーに好きなのはアワビだったりします。世間に対する謙虚です。

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密かなブームなのか? 予約をとるのもハードだった

twitter上で呼びかけていたのは斉藤さん。アイドルのスカイダイビングPVを観て、自分もやりたくなってしまったのだという。

なんとも単純な発想だが、人はこうして思いがけないカタチで体験を積んでいくものなのかもしれない。

スカイダイビングは平日でさえなかなか予約が取れない人気だった。やっと決まったと思ったら、なんと当日は台風がきてしまい延期になってしまった。

次に予約が取れたのは2か月後の12月だ。

身近なところでスカイダイビングができる

埼玉県の桶川駅からバスで15分。有志5名で向かったので、タクシーを使う。
実は、スカイダイビングなんて海外でやるものだと思っていたことを告白しよう。
都内近郊でも数カ所はあり、その中でも一番近いと思われた埼玉県の「東京スカイダイビングクラブ」をチョイス。
埼玉だけど「東京」。ディズニーランドみたいなもんだろう。
到着。ディ○ニーランドの何倍もワクワクする。
本物のスカイダイバーたちが次々に飛んでいるのを目の当たりにしてコーフンがおさまらない。
事務所内で各種手続き。といっても、書類に目を通してサインするだけ。その後は呼ばれるまで待機する。
クラブ所有のセスナは一機。カメラマンとタンデムマスターとの関係で、二手に別れて搭乗、ダイビングすることになっていた。そもそも恐怖心がゼロだったうえにわたしは第2陣だったので余裕があった。
無造作においてあるジャンプスーツから1枚チョイス
装備はタンデムマスターがしてくれる。この辺からわたしは任せきっていた。
命預けてるので身を任せてなすがまま。
その後はレクチャー。

長いレクチャーはなく、要約すると3つ

集合は搭乗1時間前というので、よほど長いレクチャーがあるのかと思っていたら、装備をしながらだったりのカンタンなものだった。

1)セスナからジャンプするときはエビ反りになり下をみ ない
2)ジャンプ後、マスターが3回ワキを叩いたら両腕をあ げる
3)着地前は脚をあげる

きちんと聞いていたつもりだったが、じっさいわたしはすべてマスターに委ねていたので、高揚しすぎて頭に入っていなかったのかもしれない。
依頼した専属カメラマンは、ダイビング前の動画インタビューまでしてくれる。「今のご気分は?」「たーのしーみでーす!」
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いよいよ搭乗、そしてダイブだ。緊張も恐怖もまったくなし。初体験に胸躍らせていた。

いざセスナに乗り、ダイブする。空を舞う。その時わたしは何を思い、どんな行動にでるんだろうと、自分の気持ちにキョーミ津々だった。
第1陣の宮村、陽々夫妻。自衛官募集みたいな写真が出来上がった。坂上二郎の「飛びます飛びます」ポーズシミュレーションに余念のない宮村さん。
第2陣の土屋、池田さん、斉藤さん。みな余裕顔。上の写真と空の色がちがうのは、実は1時間ずれがあるからである。

搭乗からダイブまでの流れ

では搭乗からダイブまでの一連の流れを、順を追って説明していこう。
ドアが空け放たれたまま、滑走路まで車で移動。それだけでもコーフンの極み。
椅子などがとっぱらわれている専用のセスナに搭乗。
わたしはいつ離陸したのかわからず、「飛んだ? 飛んだ?」とずっと質問していた。
体育座り。この特殊部隊のような機内がクールだ。今後、ジャンボジェット機の大袈裟なアナウンスがアホらしく聞こえるだろう。

次々と舞っていくダイバーたち

わたしたち体験ダイビングのほかに、資格を所有したスカイダイバーたちも多く搭乗していた。
シャッターのようなドアをあけると、何の躊躇もなく次々に飛び降りていく。

もっとこう、バンジージャンプのようなカウントダウンやためらいがあるのかと思ったら、皆無だ。わたしの前に飛ぶ斉藤さんの順番がきて、あっという間に下界を見下ろす場所に移動された。覚悟を決めるスキなど、どこにもない。
ほぼ無心だったと思うが、よーく見ると、口をあんぐり開けていたのでそれなりになんらかの驚きはあったのかもしれない。とにかく覚えていないのだ。
標高4000m。富士山より高い。どうだまいったか。
イザッ!

と言いたいところだが、イザもクソも、なんの勇気も必要としなかった。ただただタンデムマスターに身を任せていただけだ。委ねすぎだったのだろうか。

んで、飛んだ。
いやちがうな、正しくは、「落ちた」。これもちがう。
「落とされたーーーーーっ!」
これほど赤の他人に身を任せた事はない。
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2人で飛ぶと落ちる速度が倍になるため、このあとスピードを調節するドローグ(小さいパラシュート)が開く。それにしても落ちてるな……。

けっきょく、何もできなかった!

ムリヤリに上げらされるウデと耳の痛さ。
この日のために、カラオケで何度も「TOKIO(沢田研二)」の歌を練習してきたというのに、ポーズさえキメられない。風圧がすごくて何もできないのだ。
髪が! ベジータ(ドラゴンボール)のように!
パラシュートが開くとフリーフォールはおしまい。カメラマンは互いのヒモが絡まるのを避けるため離れてしまい撮影はできない。

そしてわたしはやっとゴーグルを外され、モーレツな風圧から解放されて空中遊泳を楽しむコトができた。手を動かして、空気を自在に操っている気分だ。そして、1番してみたかったこと、コレである。
twitterでのつぶやき。知らない人にはなんのことだかさっぱりわからなかったことだろう。

限りなく成功に近い「大空なう」

……とはいえあっさり白状すると、これはまぎれもないズルである。

機内にはカメラもスマホも私物は持ちこみ禁止なため、あらかじめ予定していた時刻に予約投稿を仕掛けておいたのだ。おおよそ時間は合っていたのでこれは成功と言えるのではないか? いや、あくまで成功だろう。

またひとつ、いいかげんな感じで夢が叶ってしまった。
パラシュートが開いてからの時間はおよそ10分。着地のためにそろそろ脚をあげなくては行けないのだがまだ降りたくないと踏んばる姿。
「きっもちいい~」と「ひゃーーー! すごーーーい!」のバカ丸出しのコトバとともに、「あっち行って! こっちまわって! 今度はあっち!」とマスターに次々依頼。
わたしが何か発言するたびに、マスターは大笑いしていた。

皆の話では、スカイツリーや赤城山の説明などをマスターがしてくれたそうだ。わたしはそのスキを与えなかったという結果になった。

次にスカイダイビングをするときはもう初体験ではない。もっとシュミレーションして空での経験を積みたいと思う。

いっしょに飛んだ空組(とわたしたちは呼んでいた)の感想

シュミレーション通りにポーズ! 宮村さん。
「確実に友だちに勧める」という宮村さん。普段、飛行機に乗るときでさえ緊張するそうだが今回はまったくなかったそうだ。

色々とやるつもりでいたがなかなか出来ずにバランスをとるのが大変だったと言っていたが、写真にはカンペキにポーズをキメている宮村さんがおさまっている。くやしい。
着地後にどういうわけか泣いたと言う陽々さん。
「今、スゴいことをしているんだ」という実感があったと言う陽々さん。ゼログラビティのことも考える余裕もあったようだが、皆が次々に飛び降りるのを見て「ちびりそう……」と思ったとのこと。女子、である。

着地後には泣いていた。理由は「わからない」とのこと。女子、である。
メガネが揺れて気になったと斉藤さん。
「セスナから足を出した瞬間にキターーーッ! と思った」と斉藤さん。着けていたメガネが上下に揺れてそれが気になったことが悔やまれたそうだ。自転車での帰路、スカイハイになったと言っていた。翌日いただいたメールの冒頭は、「まだふわふわしています」だった。わかる。これは飛んだものにしかわかるまい。
ダイブ直後から号泣していた池田さん。
「命をかけた。死に近づいた。チャクラを開いた」と、とにかくおおげさな池田さん。ダイブ直後から、感情が高まり号泣していたそうだ。ゴーキューダイブ。それはそれで大変うらやましい限りだ。

打ち上げの途中、「プールがあった日の6時間目の授業中みたい」と言っていたのが印象的だった。
もったいないと思いすぎてもったいなかった土屋。
ダイブした直後から「あーもう終わっちゃうー! 終わっちゃうー! もったいなーい!」と終始思っていたために、結局そのことがアダとなり「もったいない」結果になってしまった。

どんだけ貪欲なんだ。今を楽しめよ。

打ち上げの席でみんなの感想を聞いて、もしかして「大空なう」を1番楽しめなかったのはわたしなのでは? という疑念がわいた。
わたしももっと、スゴいことをしている自分を体感したかった。

ようし。今度は泣くぞー。それが出来なかったら狂ったように大笑いするしかない。
爆笑ダイブ、それもいいな、オイ。
全員一致で「また夏に飛ぼう」と約束をして解散した

東京スカイダイビングクラブ
http://www.tokyoskydivingclub.jp/
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