悲しみのメモリーを振り返る
電車で降り過ごすというのは、ほんとうにほんとうにほんとうに!途方にくれますよね。
たどり着いた駅から自分の家に帰る終電が出た後なんかだと、さらに悲壮感は高まり……
未経験の方からすると「そもそも寝なきゃいいんだろうが。」
そう思うことなのかもしれません。
ああ、それができたらどんなに良かったのでしょう。
だって…だって……体が勝手に寝てしまっているんだもの!!
この悩みはほんとうに切実なのです。
参考までにわたしの過去の失敗をランキング形式にしてみますが、わりと悲惨な状況です。
降り過ごし未経験の勇者は、これを見て「途方にくれる感じ」を、疑似体験していただけたら幸い。
と。おもいついてしまいましたわ。
わたしが寝入っていて無言でも、身につけているものから、「起こして!」というメッセージを伝えることは、できないものでしょうか。
「図々しいお願いをするパーカー」
さて。よく考えるとちょっと図々しいかもしれないこの発案。
まずは自分の寝相を振り返るところからはじめてみましょう。
頭に身につけるものといったら、帽子・ハチマキ・ヘルメットわりと色々ありますが……
袖に手を通しているから、雨上がりの傘のように、うっかり忘れてくる心配もないし。
命名「図々しいお願いをするパーカー」
ただかぶるだけだと文字が見えずらいので、両サイドに自作クッションを埋め込んで補強を。
港の景観を損ねかねない文字近辺の色合いは、メッセージがより目立つために他なりません。
俯瞰からの眺めがベストポイントですが、横からでも気がつくことは可能とおもわれます(たぶん)。
文字の部分は、洗えるフェルトを、洗っても剥がれない粘着材でがっしりと貼付けてます。
洗濯機で洗濯出来る。
居眠りには多少のよだれがつきものですから、これは大事なポイントです。
実際に電車に乗って試してみる
実験は、以下のルールで行います。
あくまでも、ナチュラルな己の眠気が頼り。
眠れてなかった場合は、降りたい駅の1駅前くらいからすくっと顔を上げて
寝てないのに起こしてもらう事態は避けるようにしました。
あと、使う路線や駅。
ほとんどは、実験のために路線を選んだのではなくて、
ちょうど行きたかった駅(場所)に行く傍らで実験をしました。
一石二鳥という言葉が好きなのです。
実験その1
なんだろう。発表会前日の夜のような境地に達してしまいました。
結果、眠れないままで渋谷に到着。
図太いとばかりおもっていた自分の神経ですが、そうでもなかったみたいです。
実験その1・結果:眠れず
実験その2
緊張感をほぐすため、知人友人の前で着用し慣らしてみることにしました。
盛り上がった会合の途中、しれっと着替えてみます。
着ることには、一気に慣れました。
実験その2・結論:準備運動はだいじ
この会から、「ネックピロー」という相棒を手にしました。
あの、飛行機のエコノミーシートとかでよく使うやつです。
どうせなら、寝心地よく寝たいとおもったのです。
テンピュールの枕を買う人の気持ちとそう遠くはない気がしています。
そして、むしろ他人を起こしてあげたいという境地に。
意図して寝ようとしているわたしなんかより、
目の前で熟睡しきっているビーサン中年男性のほうが、
よっぽど「降りたい駅で起こしてあげる」べき人なのでは?
そんな気がしてきてしまいました。
実験その3・結果:眠れず
実験その4
行田に行こうとしているんですが、JRの行田じゃなく、秩父線の行田市駅に行きたいので1回熊谷駅で降ります。
電車の中では、なかなかよく眠れました。はじめてです。
ただ、降りたい駅の手前ですくっと目が覚めてしまい
実験としては微妙な結果に。
ああああ。おもうようには、寝れない!はがゆい!
実験その4・結果:眠れず
実験その5
ここへきて、事件ぽいものがふたつ起こりました。
降車駅より9駅くらい手前で、寝入ろうと目を閉じていた時のことです。
撮られたことはあんま気にしてないんですが、不安は肩です。
肩をなぜそのタイミングでたたかれたのか、さっぱりわからないのです。
おびえて目はすっかり冴えてしまい……
寝れない!!!
実験その5・結果:眠れず
実験その6
3連休中日、早朝の電車だからか、みなさん非常によく眠ってらっしゃる。
と、実験のはなしに戻ります。
帰りの電車での出来事をひとつ、お知らせしたいのです。
わたし(寝入ろうと奮闘中)の隣で熟睡をするメンにその隣の方が……
とつぜんの質問を(やさしい声で)。
どうやら、「この路線は、日本橋で降車する人の確率高い=この人ももしかして?」そうおもったようなのですが……
これ、なんと正解で。
メンはいそいそと日本橋で降車をし、わたしは衝撃を受けました。
このような善意の(しかも勘が的中する)人に遭遇する可能性は、
かなり低いだろうけども、ゼロではない。……ゼロではない!
あたたかい希望を感じた瞬間です。
寝ようとして寝れず、寝たくない時にはつい寝入ってしまう。
なんとうまくいかないものなのでしょうか。
生理現象をコントロールすることのむずかしさを垣間みました。
比べる対称を完全に間違えている気はしますが、女優さんがしかるべき時に涙を流せるのは、ほんとうにすごいとおもいます。
実験こそ一度も成功しませんでしたが、
この露骨な文字を発する衣服を着ることには、
もうすっかり慣れ親しんでいます。
海をバックに軽快なポーズきめれるくらいにはばっちり。
せっかくなので、これからも着よう、着続けよう。
今後こういう服を着た人間を見かけたおりは、とりあえず
降車駅ではないところで肩をトントンしないでいただけると幸いです。
当初はTシャツでやろうとしていた
実はこの案は、当初Tシャツで行う予定でした。
「メッセージを発する衣服の王道といったら、Tシャツだ!!」
強くそう思ったのです。
しかし、わたしの寝相とTシャツの文字位置が明らかにアンマッチを起こしてしまう等々の理由で、あえなく自主的ボツ。
つくって着てみてやっと気がついた。前面プリントはうずくまって寝てたら、他者には全く見えないのだ。
今後、こいつをどうしようかささやかに悩んでいます。