テコ入れでスゴイことになっている駅が?
目的の駅は鳥取県八頭郡智頭町の山形地区にある智頭急行智頭線「恋山形駅」。
この駅がまた、なかなかの僻地にありましてアクセスが大変なんですよ。
まずは東京から新幹線で姫路まで、そこからスーパーはくとで大原駅へ、そんでその大原駅から智頭急行で「恋山形駅」まで行くわけです。
智頭急行の大原駅は、駅員がいたりいなかったりする半無人駅
そこから、2両編成のザ・ローカルな列車に乗って恋山形駅を目指します
ローカル線では時々見かけるワンマン列車ですな
降りる時にはこの料金表を見てお金を払うというバスのようなシステムです
利用の仕方が詳しく図解されていたのが印象的。はじめてだと、やっぱ戸惑う人もいるんでしょう
まあ、ワンマン列車というのは珍しいっちゃあ珍しいですが、地方じゃ結構見かけますし、基本的には結構よくあるローカル線という感じ。
車内に風鈴が設置されているのはちょっと驚きましたが
沿線の駅も、無人駅ではあるものの、まあ普通ですよね
そんな中、目的の恋山形駅はどんな風に「テコ入れ」されているのでしょうか? いよいよ駅が近づいて来ましたが……。
ん?
あれは……
うおおっ
わーっ、どっピンク!
思ってた以上にスゴイですね
コレは……どーかしている駅!
のんびりとした田園風景の中に、それを思いっきり台無しにするピンクの駅舎が現れたッ!
そう、コレこそが問題の「恋山形駅」なんです。駅をピンクにするのがテコ入れってことか!?
駅名標もピンク……しかもハート型ッ!
ペー・パー夫婦かこの駅か、というくらいのピンクっぷり
形自体はごく普通の無人駅なんですが、沿線で見てきた駅たちとは明らかに違うカラーリング。
昔の「リカちゃんハウス」を思わせるようなピンク色に染められた、ショッキング過ぎるショッキング・ピンク駅ですよ!
目がチカチカしてくるほどの彩度の高さ
柱やベンチも当然ピンク! さらに、追い打ちをかけるかのようにハートマークまでバンバン描かれています。
屋根もピンク&番線表示はハート型
さらに、萌えキャラまでいますよ
そして駅舎の脇には……
ちょっと、ひとことでは表現しづらいピンクなほこらが……
コレがまた、妙に立体感があってエロティックな雰囲気をかもし出してるんですよ
もう全体的に、上手いこと言葉にできないというか……。あんまり工夫せずにいっちゃうと「どーかしている!」としかいいようのない駅です。
電車に乗っている人たちも写真撮りまくり。……そりゃ撮るわ、こんな衝撃的な駅があったら!
とりあえずピンク色にすることによって、注目を集めることには大成功しているようですが、それにしたってどうしてこんなことを……。
次のページでは智頭急行の人に、その辺の経緯を直接聞いてみます!
面白いからピンクにしちゃおう
外から見ると、さらに衝撃的な「恋山形駅」
地面にもハートマークが描かれていますが
「この上に乗って写真を撮るとベストな位置!」ということらしいです……明らかにカップル用だと思いますけど
看板に「恋がかなう駅」と書かれているように、「ここを恋の名所にしたい!」という思惑はなんとなく伝わってくるんですが、それにしたって、ここまで極端なカラーリングにすることはなかったんじゃ!?
……というわけで、恋山形駅グッズの臨時販売のために来ていた智頭急行の亀川さんに、どうしてこんなことになっちゃったのか聞いてみました。
普段は無人駅なので、ホントに仮設のグッズ売り場
「実はこの駅、もともとは別の名前になる予定だったんですよ」
――えっ、どういうことですか?
「智頭急行智頭線は平成6年に開通したんですが、その時は『因幡山形駅』という名前になる予定だったんです。でも地元の人から『もっと人が来てくれそうな名前にしたい』という強い要望があり、『来い山形』という意味を込めて『恋山形駅』になったんですよね」
――あ、「恋」っていう字は地名などとは全然関係がなかったんですね。
「そうなんですよ。でも、たまたまつけた『恋』という字のおかげで昨年、西武鉄道さんの呼びかけではじまった『恋えきプロジェクト』に参加させてもらえたんです」
名前に「恋」の文字が入ったJR北海道の「母恋駅」、三陸鉄道の「恋し浜駅」、西武鉄道の「恋ヶ窪駅」、 そして「恋山形駅」による「恋えきプロジェクト」
「その時に記念切符を発売したところ、ものすごく好評ですぐに売り切れてしまったんですよ。それじゃあもっと『恋』というのをアピールしていこうかなと」
――「恋ネタはいけるぞ!」と。
「そこで駅を、恋のイメージがあるピンク色にしちゃおうということになりました。他にそんな駅ないだろうし、面白いじゃないですか」
――いきなり極端すぎますよ!
「正直、この駅はそれまで1日の利用者が2~3人くらいだったので、『どんなきっかけでもいいから人が来て欲しい』という感じだったんですよね」
――それにしても自然の中にピンクの建物って、地元の人たちから反対はなかったんですか?
「特になかったですね。逆に面白がってくれて、改装工事の最中も見に来ていましたよ」
――で……ピンク色に塗った効果はあったんですか?
「利用客が1日に2~30人くらいにはなりましたね」
おおーっ約10倍増! ……まあ、もともと2~3人というところからの10倍増だけど。それでもスゴイ!
確かに、取材中にもちらほらとお客さんがやって来て、写真を撮ったりしていました。
まあ、こんな変な駅があるって聞いたら一度見てみたいって気持ちにはなりますよね! ……ボクもまんまと東京から来ているわけだし。
「ただ、バイクや車でやって来て写真だけ撮って帰ってしまうお客さんも多くて……」
ああー、それだとお客さんといっても鉄道会社的には微妙ですねぇ。
本当に恋が生まれる可能性、あるんじゃ!?
駅の周辺は見渡す限り山。ちらほらと民家があるくらいで、観光スポットどころか、お店も……さらに自動販売機もなさそう。
しかも、電車の本数もこんな感じ
電車でやって来ても駅の写真を撮るくらいしかやることがなく、しかも写真を撮って帰ろうにも電車1時間に1本……。となると、自動車などで来たくなる気持ちも分からなくもないです。
でもね、でもね、そんな場所で見知らぬ男女が遭遇したとするじゃないですか。ひとしきり写真も撮り終わったら、次の電車が来るまでの1時間、ホントに狭い駅をウロウロ見て回るくらいしかやることがないわけですよ。お客さんが増えたといっても、1日に2~30人だから他の人がやって来る可能性も低い。
……そんな状況になったら、ボイズンガールズふたりで話するしかないでしょ!? しかも周りはどっピンク。もう、恋が芽生えるしかないじゃない、こりゃ!
こんな感じで恋、生まれませんかね?
というわけで、オモシロ目当てでオモシロ駅を見に行ったはずなのに、ガチで恋が生まれてしまう可能性も秘めている「恋山形駅」。
是非、鉄道を利用して行ってみたらいいんじゃないすかね!?
ちなみにこちらのほこらは
ハート型の恋絵馬を結ぶためのモニュメントだそうです
せっかくなんでボクも書いておきました
様々な色の駅を作っちゃえばいいんじゃないの!?
予想以上にどっピンクで、かなり衝撃的だった「恋山形駅」。ちゃんとマーケティングとかして、会議を繰り返していたら誰かが止めそうなアイデアを、実際にやってしまったというのには、本当に感服いたしました!
一応、テコ入れの成果もでているようだし、今後は沿線の他の駅も「真っ赤駅」「真っ黄色駅」「真紫駅」「真緑駅」……などと様々な色に塗り分けていって、「やたらとカラフルな智頭急行」ということで売り出していけばいいと思うんですけど、どーでしょう?
そこにピンクをくわえたら、ももいろクローバーのカラーにもなるし、大ブレイクするかもしれませんよ!?