見えない敵を欺きたい
スケート選手の部分肌色衣装は、おそらく演技する自分を美しく見せるための工夫なのだろう。美の追求としての演出、それはわかる。わかるけど、何度もだまされる。
だまされるだけの自分に納得できない。ならばだまされないように気をつければいいわけだが、そこに屈折を加えて、だます側に回りたい。
だまされるだけの自分に納得できない。ならばだまされないように気をつければいいわけだが、そこに屈折を加えて、だます側に回りたい。
繰り返される舌打ちの仇を討つ
これが俺のしたかったことなのか
だまされた悔しさをバネにして作ったのが、黒ベースに肌色ゾーンを施したシャツ。理屈としてはこれで合っていると思う。
撮影した自分の姿を確認してみる。肌なのかそうではないのか、微妙な線まで来ているがもう一押し欲しいところだろうか。
撮影した自分の姿を確認してみる。肌なのかそうではないのか、微妙な線まで来ているがもう一押し欲しいところだろうか。
だまシャツをズボンの上に出したり
肌色ゾーンを股間まで延長させたり
少しずつ見せ方を変えて試してみる。だまされて悔しかったあの気持ちを思い出すに、まだまだ研究の余地がありそうに思える。方向性は間違っていないのだが、もう一工夫あってもいい。
投入された黒ビニールテープ
これでどうだろう
私だってこれまで無為にだまされてきたわけではない。自分なりに何故だまされたのかを考えてきたのだ。
そこで思いついたのが、フェイクネットの導入。肌色部分を少しだけ隠そうしているように見せることで、逆に肌色が本物の肌のように見えるという仮説に基づくオプションである。
そこで思いついたのが、フェイクネットの導入。肌色部分を少しだけ隠そうしているように見せることで、逆に肌色が本物の肌のように見えるという仮説に基づくオプションである。
変態度が5上がった
角度によって変態度さらにアップ
結構いいところまで来たような気がする。この記事のアイデアを編集部の安藤さんにメールしたら、返信に「僕もあの服にはだまされてきました。ぜひかたきを討ってください」とあった。
これでかたきを討ったことになるのだろうか。僕はより深い森に迷い込んだだけではないだろうか。
これでかたきを討ったことになるのだろうか。僕はより深い森に迷い込んだだけではないだろうか。
ポージングのアレンジで怪しさ上昇
法には触れていないはず
森で模索中に発見したのは「股間を手で隠すとヤバさがアップ」という現象だ。わざわざ手で隠しているということは、それをどけると見えるべきではないものがそこにある、という見る者の自動的な推察を誘うのだと思う。
この「肌色ベース+フェイクネット」のコンビネーションはなかなか効果があったと思う。そう言えば、妻が読んでた雑誌で気になった服があった。
この「肌色ベース+フェイクネット」のコンビネーションはなかなか効果があったと思う。そう言えば、妻が読んでた雑誌で気になった服があった。
「ミヤス」って何?としばらく思ってた
鎖かたびらみたいな服
全体がフェイクネットでできている服なのだ。写真を見てウワッと思ったが、よく見るとネットの下にはちゃんと肌色っぽいベースがある。裸体ダイレクトではないのだ。
さらなる進化を遂げた、だまされ服。このスタイルにも挑んでみよう。
さらなる進化を遂げた、だまされ服。このスタイルにも挑んでみよう。
雑誌のはすごい値段
手作りは根気さえあれば1000円かからず
作るの結構大変だった
投入した時間の効果はあったか
古くなったベージュのTシャツから袖を取り除き、編んだ毛糸を網目のように施した。雑誌に載ってた服のような高級感はないが、プロジェクトの方向性としては正しいはずだ。
出てきた出てきた
いい変態出てきました
アップにして上半身のみに注目すると、さらに怪しさがにじみ出てくる。服の意味の存在が不明瞭になってくる変態性。それでいてよくよく見るとベース地があるから腹立たしい。私が表現したかったのは、この怒りのようなものなのかもしれない。
さらにショートパンツを追加
法はともかく、人の道が気になる
下半身からもだますために、網目を施したショートパンツも合わせて着てみる。ここまで突き抜ければ、逆におしゃれに到達するかと思ったが、そうでもない。
大丈夫、大丈夫
鏡の中の自分に笑顔
逆光でピカー
何がなんだか
フィギュアスケートの衣装に反抗心を燃やして行った今回の試みだが、方向性は正しいはずなのにあらぬところに行き着いてしまった気がする。そんな心配を打ち消すためにか、自分に「こういうの、パリコレで見たことある気がする」と、適当な嘘を言い聞かせる。
なんだかわかんないけどアウトな気がする
今後日の目を見ることはあるだろうか
フィギュアスケートの服に翻弄された果てに、ついカッとなって作っただまされ服。人に向けたはずの刃は、結局自分に刺さっただけだった。
人を呪わば穴二つ。いや、今回の場合は自分が穴に落ちただけで、その分平和的だったかもしれない。