特集 2012年8月27日

80年前のモダニズム「サヴォア邸」を見に行った

これが昭和6年に建てられたものだって、信じられますか?
パリの郊外に、ル・コルビジェという建築家が建てたサヴォア邸という建物が存在する。

昭和6年(1931年)に建てられた古い建物なのだが、見に行ってみたらどう見ても現代建築、いやそれ以上に未来な建物で驚いた。
1981年神奈川生まれ。テケテケな文化財ライター。古いモノを漁るべく、各地を奔走中。常になんとかなるさと思いながら生きてるが、実際なんとかなってしまっているのがタチ悪い。2011年には30歳の節目として歩き遍路をやりました。2012年には31歳の節目としてサンティアゴ巡礼をやりました。(動画インタビュー)

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サヴォア邸は、パリから近郊鉄道で30分程のところにある、ポワシーという町に建つ。
ボンジュールでジュテームなパリ中心部
そこから電車で30分くらいでポワシーに到着する
意外と普通な住宅街を歩くこと20分ばかり
サヴォア邸に到着した
その入口は思っていたより簡素……というか、入っちゃいけない所のようなたたずまいである。門も金網だし。

でもいちおう開いているし、その脇には小さいながらも案内板も掲げられているし、まぁ、立ち入り禁止という事は無いだろう。とりあえず、おじゃましまーすと呟いて入る。
元個人宅と思えないくらいに広い敷地だ
その奥に、白くて四角い建物が
これこそがサヴォア邸である
このサヴォア邸を設計したル・コルビジェは、モダニズム建築の巨匠である。詳しい説明はWikipediaあたりに任せるとして、まぁ、世界中に影響を与えた建築家である事は間違いない。

そしてこのサヴォア邸は、コルビジェの最高傑作と称される建築である。
広く取られた玄関前のピロティ
内部は螺旋階段とスロープで階を行き来する
雰囲気ありすぎな廊下
上部の光は照明ではなく天窓から取り入れた日光である
外観と同じく、内部もまた白い壁が続くサヴォア邸。その中、突如現れた青い壁の廊下が非常に印象的であった。

天窓から取り込まれた日の光が、非常に良い雰囲気を作り出している。
間接照明を備えたリビングルーム
そして壁一面のガラス窓
屋上庭園も広々
何度も繰り返すようで恐縮だが、これは戦前の建物である
お、あそこから日光を取り入れているんだな
リビングの隣にあるキッチンも機能的
水回りだけはどうしても月日の経過を感じさせますな
一階の洗濯場もかなりレトロな感じ
でも洗濯場のある部屋のデザインはモダンで、ギャップが面白い
ここは寝室だが、中央奥のカーテンの向こうには……
なんということでしょう、バスルームがありました

モダニズム建築の始祖にして至高

80年前の建築でありながら、今でも十分に通じるサヴォア邸。極めて質の高いモダニズム建築に触れられて、私はもう大満足である。

コルビジェの影響を受けた建築家は日本にも数多く、東京文化会館などで知られる前川國男はコルビジェの弟子であったし、東京都庁やフジテレビ社屋などで知られる丹下健三は前川國男の弟子、すなわちコルビジェの孫弟子だったりする。まさに現代建築の祖ですな。

その影響力を示すかのごとく、コルビジェの建築はヨーロッパのみならずインドや南米、そして日本にも存在する。コルビジェが基本設計を行い、弟子の前川國男らが完成させた上野の国立西洋美術館本館がそれだ。こちらも極めて質の高いモダニズム建築なのでオススメです。
サヴォア邸に通じる部分が多い国立西洋美術館本館
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