憧れの武器・日本刀に触りたい!
世の「スポーツ」と呼ばれるものには、観ることにもやることにもほとんど興味が持てないのですが、武道や忍術にはちょっと興味があります。
同様に格闘技にはあまり興味がないけど、カンフーとかには興味ありまくり。我ながら基準がよく分からないのものの、漠然と「武器を使うか否か」がポイントなのかなー……と。
子どもの頃の夢はハットリくんでした……忍者だから
もちろんスポーツにも、バットやボールといった道具を使用するものはありますが、やはりバット&ボールじゃあ刀や手裏剣、ヌンチャク、トンファーなどの魅力にはちょいとかないませんよ。
あふれかえる武器たちの魅力!
そんな数ある魅力的な武器の中でもワンランク上の格を誇っているのは、やはり日本刀でしょう。
ヌンチャクやトンファーくらいならドン・キホーテや東急ハンズでも売られていそうなもんですが、真剣の日本刀なんて手に入れるどころか、普通の人だったらまず一生触る機会もないですからねぇ。
ところが、その日本刀(もちろん真剣)を使って試し切りをさせてくれる道場があるらしいのです。しかも一日体験コースで!
こんなのが即日やれてしまう!?
真剣試し切りって、テレビで藤岡弘、あたりが棒かなんかをズバーッと切っているアレでしょ!? そんなの、何年も修行してようやくやれるモンなんじゃないの?
真剣をちょろっと触らせてもらうだけでもコーフンしそうなのに、一日体験コースなんていうライトな感覚でズバーッと切ってみることができるなんて……。これは愉快痛快極まりないこと必至だ!
……というわけで、早速やって来ました正柳館道場!
総合武道、護身術、剣術、空手合気道……そして忍者道場!?
さらに手裏剣、真剣試し斬り、吹き矢、ニュースポーツ(ってなんだ?)と、とにかくオールラウンドな道場のようです。
道場っていっても、外観は思いっきり民家ですが……
「こども忍者道場」もやってるのか! コレにも興味を引かれます
さて、妙にチープでポップな色をしている板に掲げられた、やたらと年季の入りまくりで威厳あふれる看板というアンバランスな入口をくぐると。
必要以上にポップな「正柳館」の旗というミスマッチ感を味わうことができます。
ちなみに左側の黒い物体は、忍者をかたどった手裏剣の的らしいですよ。
この龍は、正柳館のマスコット「セイリューくん」! 武術の道場にマスコットって必要かなぁ……?
そしてこの人が、正柳館グループの二代目総帥・上田毅師範。
武術道場の師範ということで、とにかく豪快なモノノフ的な人を想像して、正直びびっていたのですが「あー、今日はよろしくお願いしますねー」みたいな感じで、ものすごく物腰の柔らかい方だったので安心しました。
武器! 武器! 武器のデパートや!
それにしても、いきなり気になるのが道場の隅に置かれた数々の武器たち!
この正柳館では護身術の一貫として、急に襲われた時でもとっさにその辺にあるものを利用して戦えるように、和洋関係なく様々な武器を使いこなすべく修行をしているそうです。
お馴染みの武器から見たことのないような武器まで、とにかく沢山あるのでひとつづつ説明してもらったのですが、師範、優しそうな顔をしてるのに説明がいちいち怖いんだ。
イチコロですか……
「コレは一般家庭にも置いてあるような普通のムチですね」
--一般家庭にこんなモンないでしょう!
「いやー、ロシアだと子どもをお仕置きするためにムチでぶつのがスタンダードなんで、一家に一本ムチがあるらしいですよ」
ええーっ!? 子ども時代にこんなのでお仕置きされたらトラウマ残っちゃいますよ……。
「これはアメリカの警察で使用されているトンファーバトンですね。普通のトンファーは持ち手の部分が固定されてるんですけど、アメリカ人って不器用でしょ? だからコレは元からクルクル回るようになってるんですよ」
サラリとひどいことをいう師範。
さらにはこんな、ホテルのカギみたいなものも使い方によって武器として使用することができるそうです。
まあ、このように色々な武器を使う道場は他にもあるんでしょうけど、実際の対戦で本物の武器を使ったら危なくって仕方がないので(たぶん死ぬよ!)、形の練習しかしていないのが普通でしょう。
しかし、ここ正柳館では独自にソフト版武器の開発をしているため、より実践的な対戦を安全にすることができるんだとか。
他にも様々なソフト版武器があるようです。ちょっとロールプレイングゲームごっこ感がありますが楽しそう……!
さらにはシールドまで! いまだかつてシールドを使う道場なんてあったでしょうか!?
衝撃的なソフト版の鎧。こ、これは……
遂に真剣が登場
さて、ロールプレイングゲームの世界が現実にやってきたかのようなソフト版武器の数々に心奪われてしまいましたが、今日の目的はあくまで“本物の”日本刀。
うっひょー、日本刀ッ。さすが迫力が違う! ……と思いきや、まずは基本的な刀の振り方からということで、模造刀での練習。
さすがにソッコーで真剣を触らせてくれるわけではないんですね。
しかし模造刀とはいえ、ちゃんと金属製なのでズッシリと重量感があります
実はボク、中学生の頃ちょろっと剣道をやっていたことがあるので、刀を振るのくらい余裕だろうと思っていたのですが……。
「意外と剣道をかじってる人の方が違和感があってうまく斬れないんですよね。竹刀は叩くものですけど、日本刀は引いて斬るものなんで」
えっ、そうなんすか?
確かに素振りをしていても剣道の時とはどうも勝手が違います。
変に力を込めるのではなく、軽ーく振ってヒョンヒョン音がするくらいがいいらしいんですけど……。
ものすごーく力を抜いて振っているように見えるのに、明らかにボクよりもいい音させています。
ひょんっ!
それでもしばらく素振りをしていると数回に一回くらい風を切る音がするようになりました。しかし……。
無音
「次はもっといい音させるぞ!」とか欲を出すと途端に無音。やっぱりこういうのって精神的なゆらめきが如実に現れちゃうんだなぁ……と実感。
そんなこんなで、音が出たり出なかったりしながらしばらく模造刀を振るっていたのですが。
はやくも腕パンパン……
「あー、コレ以上素振りしてると腕が上がらなくなっちゃいますね。もう真剣に行っちゃいましょうか」
確かにこの調子で素振りしてたら、肩から星飛雄馬ばりの破滅音がしてしまいそうではありますが、だからってそんな気軽に真剣に移行しても大丈夫なんですかねぇ……。
はやくも腕パンパン……
おおっ、コレが真剣……リアル・ソード……
長いこと使っているため若干刃こぼれしているとのことですが、それでも模造刀とは明らかに一線を画するオーラ!
「オレに触れたらケガするぜ」という気配をひしひしと感じます。
ところで、こんなガチで刃のついた日本刀を所持してるのって銃刀法にひっかからないのか以前から疑問だったのですが、昔ながらの製法によって作られた日本刀に関しては、警察に登録した上で観賞用もしくは武道の道具としてならば所持することが認められているそうですよ。
そしてこの台座に
巻いたむしろを乗っけて
バッサリと斬るというわけです
ちなみにこのむしろ、なぜか濡れているのですが
ちょっと暗い気持ちにさせられるトリビア
まずは師範の試し斬りです
シュバッ
お、おおーっ
素振りの時と同様、ものすごーく軽く振っているように見えるのですが、見事にスッパリと斬れています。
こ、コレが真剣の実力……。もしくは師範の腕のせいなのか!?
ちょっと怖すぎるよ、真剣って
いよいよボクが真剣を振るう番です! 師範から真剣を手渡してもらったのですが、正直……怖い!
生まれてはじめて真剣を手にした、という喜びはもちろんあるんですが、あれほどの切れ味を見せつけられた直後なので、同時になんだか股間がゾワゾワしちゃうような緊張感もわいてきます。
「あとはもう、好きなように斬っちゃっていいですから」
は、はあ……
そういわれましても……
さっきの模造刀と比べてさほど重さが変わるわけではないし、反撃してくる敵がいるわけでもない。
目の前で止まっているむしろに向かって刀を振ればいいだけのハナシなんですが、文字通り全身凶器な日本刀を持っているだけで色々とデンジャラスな想像が広がっちゃって振り上げられないんですよ……。
デンジャラスその1・振り下ろした時に勢い余って自分の足まで斬っちゃいそう
デンジャラスその2・手からすっぽ抜けて、撮影係の編集部・石川さんの脳天を直撃したらどうしよう
ホント、ただ真剣を持っているだけでこんなに恐怖を感じるとは思いませんでした……。
とはいえ、そんなことばかりもいっていられないので、覚悟を決めて……
ズバッ
き……斬れたーっ!
思いの外、イイ感じに斬れてるんじゃないでしょうか!?
色々怖~いことが頭を渦巻いていましたが、いざ刀を振り上げちゃったらもうそのまま振り下ろすしかないわけで。ほぼ無心状態で斬ることができました。
コレが無我の境地ってヤツですか!
しかしよく斬り口を見てみると、一直線に斬れているわけじゃなく、一番下のあたりが乱れているんですよね。
初心者は「床を斬っちゃうんじゃ」という恐怖から、一番下まで思い切って振れないからこうなりがちなんだとか。斬り口ひとつでそこまで読み取れるとは……。
さて、むしろの長さもまだ十分にあるし、今の感触を忘れないうちに再度ズバッと斬ってみたいと思います。
あ、あれ? なんでこんなところを斬っちゃったんだ
かなり下を狙っていたつもりが、なぜかさっきの斬り口部分にヒットしてしまいました
気を取り直してもう一度……
とりゃーっ
ええーっ、またも斬り口にジャストミート!
ノ……ノォーッ!
まっさらな状態のむしろなら大丈夫なのに、斬り口が見えた状態だと、どうしても意識がその部分に向かってしまい、やればやるほど同じ場所に刀が吸い込まれてしまう……。
これまた初心者にはありがちな現象らしいです。
気持ち的にはかなり下を狙って刀を振っているつもりなのに、なぜか先端に……自分の身体が思い通りに動かなくなってしまったかのような不思議感覚です
真剣を持ってると心がすり減ります
ボクはちょっと休憩させてもらって、その間に撮影係で同行してもらっていた編集部の石川さんが真剣を振るうことに。
「短くなっちゃったむしろがもったいないんで、輪ゴムで止めてまた使いますね」
短くなった2本のむしろの斬り口を合わせて輪ゴムで固定。
「刀の角度がよければ輪ゴム程度の力で固定しているだけでもちゃんと切れるんですよ」
それだけ日本刀って切れ味がスゴイってことなんでしょうけど、いきなり真剣を握らされた石川さんにとっては高すぎるハードル!
ただでさえ運動が全般的にダメだという石川さんですが、真剣試し斬りで意外な才能を発揮したりするのでしょうか!?
しませんでした
斬れてるように見えますが、輪ゴムで固定した上の部分が吹っ飛んだだけです。……完全に腰引けてますもんね。
それでも吹っ飛んだ部分にコレくらいの切れ込みが入っていました。スゲエ、日本刀!
「今日は何本斬らせてもらえるんですか? とかいってくる人もいますけど、初心者だと疲れ切っちゃってそう何本も斬れないですよ」
確かに、ボクもズバーッズバーッと次々斬っちゃうイメージを持っていましたが、実際にやってみると一回振り下ろすだけで相当心がすり減ります。
さて、新たなむしろを設置してもらい、再度ボクが挑戦!
…………
どりゃっ!
バッサ!
おおおおっ、すごくキレイな斬り口!
明らかに今までとは違う感触で、刀に何かが当たった手応えすらなくスルッと斬れちゃった感じ。
この感覚を忘れないうちにもう一度……
バコーン
あれ、吹っ飛んだ……やっぱり、ちょっと欲を出すと斬れなくなっちゃうんですよね
締めは鎖ガマ!
せっかく色んな武器を扱っている道場なので、日本刀以外の武器での試し斬りもやらせてもらうことに。
ほぼ農具ですが
そして鎖ガマ! こんなに鋭利な刃をしたカマ、見たことないですよ!
カマのおしりから鎖、さらにその先に鉄球ついてるんだもんなぁ
この鎖ガマで試し斬り!
ま、試し斬りに関しては、ほぼ普通のカマと変わらないですけどね
あ……
柄の部分が当たっちゃってますね
鎖ガマは鎖ガマで、日本刀とは全く違う技術を要するようで難しかったです。この調子じゃ、コレだけ沢山ある武器を極めるのにはどれだけかかるのやら……。
ハンパない日本刀の重圧感でした
正直、切れ味のいい日本刀ならテキトーに振っててもバッサバッサ斬れるだろうと思っていたんですが……。思っていた以上に自分の心の状態が反映されてビックリしました。武士道が精神論で語られることが多いのも分かりますわ。もっとズバズバ気持ちよーく斬りまくり……というのを期待していたものの、正直ものすごく疲れました(精神的に)。
ただ、他に色々見せてもらった武器たちも面白そうなものばかりだったので、改めてまた体験させてもらおうかなーと思っています。
手裏剣も投げさせてもらったのですが……コレは気軽にホイホイ投げられてすごく楽しかったです。今度は忍者道場体験をしたい!