効果ナシどころかマイナス…「300円値下げで映画料金1500円」の試験早期終了へ

2011/10/29 06:42


映画館イメージTOHOシネマズは2011年10月28日、同年春から一部劇場で実施していた新料金(1800円→1500円)のテスト導入について、従来予定の2012年春までの実施を切り上げて2011年11月末で終了すると発表した。料金は基本的にテスト前の状態に戻す。ただし高校生料金は1000円のテストを継続することになる(【発表リリース】)。



TOHOシネマズでは一部の施設で「18歳以上は1800円から1500円に値下げ」「18歳未満は1500円-1000円を一律1000円に値下げ」を一年間の予定で実施、映画離れをどこまで防げるか、これまで行われていた割引制度の見直しに関するデータ取得の検証をしていた。

リリースによると2011年9月までの半年間の実績を検証した結果、劇場間で多少の違いはあるが、「入場者数が全国平均と比較して約5%ダウン」という、望んでいたのとは逆の結果が出てしまった。この結果についてTOHOシネマズ側では「今件の基本料金の値下げ分程度では根本的な来場客かさ上げにはつながらない」「値下げに伴い終了したレディース、シニア、レイトショーを目当てにしていた人達の、他社への鑑賞切り替えによる減少が予想を上回った」と分析している。

この結果を受けてTOHOシネマズ側では、2011年12月以降は「レディース、シニア、レイトショー」の各サービスを復活させると共に、一般料金も元の1800円に戻すことを決定した。ただし、

・高校生のテスト料金1000円は継続
 (好評だった。映画ファン育成の観点)
・シネマイレージ会員の1300円も継続
 (テスト対象劇場のみ。それ以外は今後検討)

としている。なお「ファーストデイは1000円(毎月1日)」などは継続される。

同社では「これからも映画を愛する皆様からご支持を頂けるよう、様々なサービスの充実に取り組んでいく所存です」とコメントし、今後もサービスの充実を図ると共に、何らかの試験運用を行う可能性について言及している。

テスト期間中に公開された映画が、「レディース、シニア、レイトショー」向けだった可能性もあるが、それを差し引いても全国平均比で入場者数約5%減は小さくない。割引制度の一部は停止していたものの、通常料金を下げていたのだから、売上は入場者数以上の減退を見せた可能性がある(あるいは逆説的仮説として、今回の実証実験で一度価格を元に戻した「レディース、シニア、レイトショー」部分への優遇措置を積み増しすれば、客足は増えていた可能性もある)。【映画館の値下げ、過半数は「値下げしても行く回数は増えない」】で検証されている通り、料金の値下げで活性化を図るのならもっと大胆な切り口で、値下げに頼らないならばコンテンツの吟味や環境整備など全般的な創意工夫が求められよう。



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