テーマ:中国&台湾(3304)
カテゴリ:台湾の玉石混淆
4月5日のNHKスペシャル「アジアの“一等国”」を観ていて、
「あれ?」 と思った用語がある。 日清戦争後、講和条約によって台湾を日本領として後、新来の日本勢に対して現地住民の叛乱が頻発する。 この鎮圧のために日本軍も武力行使したから戦闘となったわけだが、NHKは 「日台戦争とも呼ばれています」 とアナウンサーに解説させ、あろうことか ≪日台戦争(1895)≫ という字幕まで出した。 コラム子は、「文禄・慶長の役」 のことを 「日明(にちみん)戦争」 と呼ぶこともある。 文禄・慶長の役は、明(みん)国という主権国家が“明朝安保条約”に基づいて出兵に応じて日本という主権国家に対して防衛戦を繰り広げた戦争であるから、「日明戦争」 というのはあながち間違いではない。 国民の常識として、ふつう 「日明戦争」 とは呼ばないことは分かりきっているから、あえてコラムなどで 「日明戦争」 という用語を使っても人々をミスリードすることはない。 しかし、今回の NHK スペシャルでは、「日台戦争」 という用語をあたかも十全なる歴史用語であるかのごとく番組で使用し、字幕まで使って示してみせた。 日清戦争後の台湾住民の叛乱の鎮圧は、主権国家どうしが国権を発動して戦ったものではない。 あるいはそれに準ずる規模で、主権国家の座を目指す政治団体が武力行使したものでもない。(緑字は平成21年5月21日に追記) こういう戦闘は 「戦争」 と呼ばないのが、社会科学の常識だ。 4月6日の朝7時半、 “日明戦争” でグーグル検索したら、802 件のヒットだった。 これに対して、かのNHKさまが 「日台戦争とも呼ばれています」 と のたもうて、国民の電波の字幕に載せた “日台戦争” は、わずか 201 件しかヒットがない。 しかもその 201 件のうち上位3件は、今日の台湾漁船の尖閣列島領海侵犯のことを 「日台戦争」 と形容しているもの。 4件目は、まさにこの4月5日のNHKスペシャルで使われた 「日台戦争」 に疑問を呈しているブログだった。 要すれば、日清戦争後の台湾での叛乱鎮圧が 「日台戦争」 と呼ばれたことは、少なくとも平成21年4月5日の NHK スペシャル放映までは、ほぼ皆無なのである。 「日台戦争」という、社会科学の観点から見ても不適格な用語。 NHK のプロデューサーは、悪意をもって普及を図ろうとしているのではないか。 かねてより偏向批判を浴びる NHK だが、わたしは受信料拒否運動には反対してきた。 しかし今回のことでは、声を大にして受信料拒否を叫びたい衝動に駆(か)られた。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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