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2007/12/16
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えー、いくら何でも今日はおとなしく自宅待機しております。

石イベントというのは玉石混淆、虚実取り混ぜさまざまな石と情報入り乱れるカオスの場。
パトロールよろしく会場をぐるぐるしておりますと、「あちゃー」と顔を覆いたくなるような場面にも出くわします。
「七つの鉱物パワー エレスチャル」(←スーパーセブンの説明と間違えている)……とか。
天然水晶をベースに色の部分を人工的に結晶させた水晶を「天然の色だ」と言い張るお店とか。
パワーストーン大人気のため、女性と見るや「これはヒマラヤ水晶で、浄化能力がとても高いといわれています」とセールストークを始める店員さんとか。
意地悪く「クルですか、それとも別の産地ですか。内包されているのは何ですか。山名までわかりませんか」と聞いてやろうかと思いました。

もっとも「見るからにいい加減そうなあやしい店」は寄りつきもしないか、覗いてみてもお店のセールストークは右から左へすっ飛ばして、自分と、一緒にいる石好きさんの知識で勝負。
判断が付きかねたら、そこは保留にしておいて、信頼できるお店へ直行、お客がとぎれてお手すきの時にこれこれこういう石を見かけたが、と話をして、さらなる情報を求めます。
もちろん、石好きさん同士での情報交換、わからないことをメモして帰宅後の検索も欠かしません。
私の身の回りの石好きさんは、たいていこうやって石の知識を蓄えています。

石を売っているくせに石屋の知識はいい加減である……残念ながら、それは事実です。
「ショップサイドの正しい知識と正しい表示を!」……その訴えには賛成です。
しかし、それが現実的かといわれたら、どうでしょう。
当然のことながら一朝一夕では改まらないでしょうね。
もし仮にこのイベントの主催者が「正しく表示せよ」「正しい知識で対応せよ」とお達しを出して、ショップサイドががんばったとして……夢物語的にいきなりそうなったとしたら、今度は買う側がとまどう事態になりそうです。

私は「浄化能力が高い」と説明されて「ふん」と聞き流しましたが、それは私がそういう目でヒマラヤ水晶を見ていないからであって、そういう情報が欲しい人もいる。
鉱物名なんかどうでもいいから「きれいな石」が欲しい人もいる。
買う側のニーズも意識もさまざまだからです。

それになにより、「鉱物的に正しく」が難しいかもしれません。
日本では鉱物学と地質学の両方を得意とする人がほとんど(全く?)おらず、地質学でも世界に大きくおくれをとっているといいます。
鉱物の専門家と言われる人でも言っていることが異なっており、かなり著名な人でも、海外では論文も発表され、実験でも確認されている石について、かたくなにそれを認めようとはしないということもあるそうです。

だからといって、宝飾分野の基準を鉱物に持ち込むのは現実的ではありません。
宝飾分野は見た目第一。鉱物の成り立ちなどは、鉱物の分野ほど重要視されません。同じ石でも鉱物名とは違っていたり、違う鉱物を指すこともあったりで、混乱必至です。

ニューエイジやパワーストーンの分野でも同じ。
石の名前で鉱物名につながる石ならば、何とかやりようもあるでしょうが、複数の鉱物が混じった「岩石」では、名前の付いていないものも多く、名前があっても「ナントカ片岩」だの「ナントカカントカ花崗岩」だの、美しくも楽しくもない名前を言われても、わかりません。
同じ石でもヒーラーA氏が付けた名前とヒーラーB氏が付けた名前は違い、意味も異なります。

「鉱物」ですら統一見解はない、世界に比べておくれをとっている。
パワーストーンでも当然諸説さまざま。買う側のニーズも、意識もさまざま。
ミネラルショーともなれば、国内事情など関係ない外国ショップも参加し、ミネラルショーといいながら、ルーズもアクセサリーもパワーストーンもあり。
そんな中で統一を求めるのはとうてい無理。混沌とした石イベントにならざるを得ないのです。

ならばどうするか。
自分でなんとかするしかないでしょう。
自分の興味のある石から、興味のある分野から、地道に一歩一歩学び、知識を蓄える。
それが一番近道です。
このやり方は、石好きになったばかりの人にはやさしいものではありません。
右も左もわからないのに、どうすれば?
簡単な方法はありません。自分の踏み出す一歩、その足を置く場所を自分で固めていくしかないのです。私もそうしました。知り合いの石好きさんもそうです。
ある程度の知識がなければ、正しい情報を持つ店かどうかもわからないし、いくら店側が正しいことを説明してくれても、その内容が理解できないかもしれません。

「好きならば学べ、必要ならば調べろ」
冷たいようですが、そういうことです。
難しい、ややこしい、どうすればいいのかわからない……そんなことは石以外でもあることです。年期の入った石好きさんは、
「とにかく見る」
「痛い思いをしながら学ぶ」
「全部を教えてもらおうなんて甘い」
とおっしゃいます。
初心者の頃は「そんなあ~」と恨めしく思いましたが、今となってはなるほどと思います。
一人一人好みも違えば視点も違う。他人がそれをすべて教えることはできません。

何より、石を選ぶ上での最大のポイントは「自分はどんな石が好きか」あるいは「自分はその石を好きになれるか」ということ。
それはどこかに基準があることでも、他人に教えてもらえることでもないはずです。
逆に自分をろくに知らない人に勝手に決めつけられ、好みも無視して「あなたにはこの石」といわれて嬉しいでしょうか? 私だったらまっぴらごめんです。
それくらい、自分で決めますとも。

今の、いささかでたらめな石事情が改まったとしても、「あなた」に必要な情報が、欲しい「形」で、黙っていても目の前に表示される、そんな都合のいいことには絶対になりません。
どのように正しい情報であれ、個人が求めるものとは何かしら差があって、個人レベルでは情報を読み解き、理解する努力が求められます。

買う側がなんとかするから、店側はいい加減でよいとは言いません。
だからといって買う側は何もしないで良いとも思いません。
好きならば、自分から学んでみてもいいじゃないか。

「好きならば学べ、必要ならば調べろ」
それは、自分の好きなものに積極的に向かい合うこと。
積極的に向かい合い、自分の意志で選んでこそ楽しい。
それが石好き趣味の真髄なのだと思います。

そういう意識で見れば、混沌とした石イベントは、とてもおもしろい場所です。
誰も教えてくれないし、黙っていても情報はやってこない。
ただ待っているだけ、何がなんだかわからないというところで立ちすくんでいれば、石イベントは虚実入り交じる情報や石がはばををきかせる心配なところでしかありませんが、日々の情報収集と研鑽の結果を携え、意識的に参加するとなれば事態は一変。情報を求めて行動し、真偽を見分け、自分の石好き心を試される真剣勝負の場となります。
なんといっても「実物」が目の前にある。
これが楽しい学びの場でなくて何だというのでしょう。






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Last updated  2007/12/16 06:14:58 PM
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