第23話 環の無自覚な憂鬱桜蘭高校ホスト部第23話 環の無自覚な憂鬱 前回、ハルヒの着替えを見てしまったボサノバくん。 「ま゛」 固まるハルヒとボサノバくん。 「わ、わりぃ…」 慌てて部屋から出るボサノバくん。 「「見~た~な~」」 怪しく目が光る双子。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛」 震えるボサノバくん。 「見た?」 「見たね?ボサノバっち」 「見てねえ。いや、ちらっとは見たけど、一瞬だけだから見てねえ。いや、見たのは見たけど…いや、やっぱ見てねえ」 環は白く固まっています。 「はっきりしない男って僕クズだと思う…」 「…!!…!?」 震え上がるボサノバくんはラブリーアイテムがめっちゃ怖ぇと感じています。 「藤岡はやっぱ女?」 双子はハルヒの秘密を知っちゃって、マズいと言います。 「何を見た?」 「僕らも知らないハルヒの乙女の柔肌をどこまで見た?」 「だから…着替え中で下着姿を…」 「「ハルヒの下着姿を見たのか!?」」 目を怪しく光らせて、ボサノバくんを追い詰める双子。 環はショックのあまり、火山の噴火が目の奥に見えているようです。 双子はとりあえずぶん殴って記憶をなくさせようとします。 「こらこら、やめておけ。犯罪はもみ消すのが面倒だ」 双子を止める鏡夜。 何故冷静にいられるのかと鏡夜に尋ねる馨。 光はあまりのショックに殿が抜け殻じゃんと言います。 太陽の爆発らしきものが見えている様子の環。 眼鏡が光っている鏡夜。 「まぁ、バレてしまったからには話し合うしかないだろう。笠野田くん」 「!」 「ハルヒはちょっと事情があって女であることを隠している。そのことを君に口止めする権利は俺たちにはない。だが、これだけは覚えておいてくれないか。君もその筋のご子息なら噂くらいなら耳にしているだろう。我が鳳家を敵にしただけでも日本政財界の黒玉葱部隊と呼ばれている鳳プライベートポリスが動き出してしまう。そんな事態はもちろん避けたいよね?」 事情=借金です。 鏡夜様の背中には紫の薔薇が…!! そして、笑みを浮かべる鏡夜。 明らかに話し合いじゃねえと感じるボサノバくん。 脅迫です。 「ちょっとカサノバくんを脅すの止めてください」 準備室から出てくるハルヒ。 「驚かせてごめんね」 「藤岡…」 別に人に言ってもいいと言うハルヒ。 顔を赤らめるボサノバくん。 女と知ってボサノバっち、ハルヒに惚れたか?と言う双子。 その言葉に環がすぐさま反応。 惑星が衝突して砕けてしまいました。 夜 笠野田組 夕食をいらないといっている様子のボサノバくん。 廊下に御膳が置かれたままです。 それを確認すると、鉄也は戻ります。 若に俺たちの気持ちが通じたってはしゃいでいたのはお前だろうと言うヤクザの1人。 皆で缶蹴りするって言うから頑張ってジュースをがぶ飲みしたというのにと言う別の1人。 山積みにされた空き缶には「祝」の文字があります。 なのに、今日帰ってきた若の様子といったら、ありゃ人1人殺めてきたような…という1人。 皆、涙を流しています。 「止めてください。違いますよ」 鉄也の言葉に涙を流しながら、顔を上げるヤクザたち。 「若をお慕いする俺や皆の気持ちが通じたのは確かだと思いやすよ。ただ…」 ただ…どうした?と言うヤクザたち。 「ただ今日、学校で新たな悩みができたんじゃねえっすかね」 顔を見合わせるヤクザたち。 新たな悩み!?と言うヤクザ。 「実はさっき食事を持って部屋を覗いたら、若…」 『好き…大好き…好き…大好き…好き…大好き。俺はやっぱり藤岡のことを…!!』 花占いをやっていたボサノバくん。 それは恋の悩み、若に春が来たと喜んでいるヤクザたち。 藤岡のことが木になるヤクザは鉄也に聞きます。 「ええ、今日、学校で若と一緒にいるのをお見かけしやした。そういや…えらい可愛らしい顔をしてたな…、男子にしては」 相手が男だということで驚くヤクザたち。 『カサノバくん、驚かせてごめんね』 思い出している様子のボサノバくん。 「やべぇ。女だと分かったら余計可愛く思えてきた…」 『こら、覗いちゃ駄目だぞ』 舌を出すハルヒ。 妄想による記憶のアレンジが。 これではまるで環のようです。 「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛、可愛い…」 『あのね、別に人に言ってもいいよ。全然大丈夫だから』 「あんな…あんな健気なことを言わせていいのか!?大丈夫なわけねえじゃねえか!!わざわざ男のふりしてホストやってるなんて余程辛い事情があるに決まっている」 ボサノバくんは服を脱ぎ、マジックを手にして左腕に我命有限藤岡秘密守誓と書きました。 「よーし、藤岡が黙っておいて欲しいのなら俺は命に代えても秘密は守ってやる」 第三音楽室 ホスト部営業中 ボサノバくんがやってきます。 お客様たちにモリ先輩に弟子入りしたというのは既に知られているようです。 まさか、ホストに!?と思われています。 しかし、席に着いたボサノバくんはハルヒを指名します。 お客様たちはどういうこと!?と驚いています。 強力モーターも作動します。 「ついに現れたの、本物が!!」 れんげは目を怪しく光らせています。 「れんげさま、彼はやはり…!?」 「笠野田さんってそういうご趣味でしたの!?」 ボサノバくんはホモにされています。 何の話だか分からないボサノバくん。 大体俺が睨めば今まで怯えて凍てついていたのに(人間ブリザード)、今日は何か空気が違うと感じています。 いくら睨んでも誰も凍りつかないのです。 つうか、皆の視線が熱いと感じています。 萌えの炎をなめんなよ!です。 「カサノバくん、いらっしゃい。今日はお客様なんだね」 紅茶セットを運んできたハルヒはボサノバくんの隣に座ります。 やっぱ可愛いと感じて顔を赤らめているボサノバくん。 緊張しているのか足がガタガタ震えているボサノバくん。 「紅茶で良かった?甘いもの大丈夫?」 手伝うと言うボサノバくんに、お客様だからいいと言うハルヒ。 ハルヒが淹れてくれたお茶…とカップを眺めているボサノバくん。 「お客様、こういうお店は初めてですか?な~んちゃって」 足の震えがひどくなるボサノバくん。 「流石に慣れてんな」 「最初の頃は何をすればいいのかよく分からなかったけど、要するに肩肘張らずに楽しめばいいんだって最近は分かってきたんだ」 双子は柱の陰から見ています。 苛立っている双子はあんな奴追い出してよ、舎弟と仲良くなれたんならうちの部に用はないはずだと言います。 「ハルヒの秘密も守ってくれてるようだし、お客様としてきているのにお断りする理由がどこにある?」 「「他の客が怖がるだろ!!」」 「それなら大丈夫だ。ほら」 ハルヒとボサノバくんの様子を見ているお客様たち。 あの表情はハルヒくんに恋していますわと。 れんげもオペラグラスを手に鑑賞しています。 そして、すみれ、倉賀野に今すぐ来ないと後悔すると連絡しています。 「な、彼のお陰で今日の客入りは記録更新になるかも」 それが狙いか、守銭奴と思っている双子。 「カサノバくん、おかわりは?」 「あぁ…サンキュ」 柱の影から覗いている双子。 「どうすんだよ、あんな笑顔晒しちゃって…」 「あの天然コマシ娘が!!」 双子に邪魔しに飛んでいかないの珍しいねと言うハニー先輩。 僕ら軽井沢での失敗があるのでうかつに怒らせられないと言う光。 僕らがじゃなくて光がでしょと言う馨。 双子はいつまで抜け殻してんのさと環に、こういうときこそキングの出番じゃんかと言います。 そして、双子に飛ばされる環。 「ま゛」 ロボットのように動き出す環。 環はハルヒとボサノバくんの間に座ります。 しかし、座るんならこっちに座ってくださいとハルヒに移動させられる環。 「ほら、暇ならこれあげますから。さっきインスタントコーヒーを買ったお店でおまけにもらったんです」 環に知恵の輪を渡すハルヒ。 知恵の輪をやっている環。 「(ロボットのような喋り方で)ハルヒ、解けた。知恵の輪、解けた」 「早いですね。そしたらそれをまた繋げてみてください」 「ま゛」 また知恵の輪をといている環。 イラついた光は環に電話します。 「ま゛」 「ちょっと、殿。いつまで現実逃避してんのさ。言っとくけど、殿がロボット化してる間に事態はどんどん深刻化してるんだからね!!」 「ま゛」 「いーい?よく考えてよ。このまま放っといてボサノバっちにハルヒをかっさわれでもしてみ?ハルヒの行く末は『姐さん』なんだよ」 「ま゛」 なめたらあかんで、覚悟しいやと言っているハルヒが想像されています。 携帯を握り潰してしまう環。 「だ…駄目だ!!お父さんは反対だ!!」 いきなり立ち上がる環。 髪型はスーパーサイヤ人のようです。 「先輩?」 いきなり立ち上がる環。 「お父さんは反対だ!!ボサノバくん、君はこんな所で何をしているのかね?折角確かめ合った舎弟達との絆を今こそ深めんでっど~する!!缶蹴りはど~した?さ~行きたまえ、すぐ行きたまえ。そして思う存分青春したらよいではないか。しかしそれでもまだ、君がハルヒとお近づきになりたいと~ゆ~なら~っ、父であるこの俺をっ倒してからにしてもらお~か!!」 「えっ!?父って…お父さんなんですか!?藤岡のお父さん?その若さで…」 マズい、直球で突っ込んで来るとは言う双子。 「ち…血は繋がってないかも知れんが…」 「じゃあ藤岡の母親と何か関係が…?」 「いや~それは無いけど…お会いした事も無いし」 「それじゃ、父親じゃないんじゃないすか…?」 白くなった環は風船のように飛んでいきました。 ぺらぺらになった環をキャッチするハニー先輩。 環はようやく、厳密に言えばハルヒのお父さんではなかったんだと気づいたようです。 厳密に言わなくてもそうじゃんと言う双子。 環は宇宙の果てに飛んでき、撃沈しました。 気がついた環は整理が必要だと言います。 「もしも仮に、仮に俺がハルヒのお父さんじゃ無いと仮定するならば…」 「だから仮定じゃないって」 「ハルヒの事を…こんなにも可愛く愛しいと思うのは何なのだろう?」 「え?殿、何言ってんの?」 「他の奴と一緒に居るのがこんなにも心配で堪らないのは何故だ!?お父さんで無いなら、あの2人を邪魔する権利など俺には無いはず!!」 「あの~今まで散々お嫁さん妄想とかしてたのは何?」 「変か?お父さんなら普通、他の者の嫁にやるよりはと思うんじゃないのか!?」 「ハルヒのキスを止めたりとかさ?」 「娘の可愛い唇を守ってはいかんのか!?」 やな予感のする馨は尋ねます。 「殿は今のままの僕らの関係を崩したくないって思ってたんじゃないの!?家族設定ってその為の予防線じゃなかったの!?」 意味が分からんと言う環。 アホだ!この人無自覚だと思う馨。 「なるほど、やはりな。お前のラブラブ妄想にはあまりにリアリティがないと常日頃思っていたが…」 ここまでバカだったとはと思っているようです。 「たまちゃんは自分の事に疎い人だからね」 さっきの予防線とは何のことか馨に尋ねる光。 「いや…僕の仮説だったんだけどさ、ハズレならいいんだ」 「だ、大丈夫か?あそこ。俺、須王先輩にわりぃこと言っちゃったのか?」 「あ~でも先輩って…何かうちのお父さんみたいな所あるんだよね」 その言葉を聞いた環は復活します。 「聞いたか?皆の衆。今、ハルヒが俺のことをお父さんみたいって言ったぞ!!」 「ま、正確にはハルヒの父親とお前の正確に若干の類似があるという意味で、お前が父親…」 環は涙を流して喜んでいます。 お父さんみたい!で喜んでいます。 聞く気はないようだなと言う鏡夜。 「ふ、藤岡、あのよ…俺また来てもいいか…?いや、女の相手ばっかするより、たまには秘密知ってる奴が来たほうが少しは気持ちが楽なんじゃねーかって思ってさ。あーいや…迷惑じゃなきゃだけど…」 「嬉しいよ、カサノバくんと仲良くなれて」 れんげを含め、お客様たちは興奮しています。 足が震えているボサノバくん。 「藤岡…」 気持ちが抑えられなくなってきたボサノバくん。 「俺、藤岡のことが…」 「ん?」 心臓がドキドキしているボサノバくん。 「藤岡のことが…藤岡のことが…」 「やっぱり価値観の合う友達っていいよね。こういう話ができる人っていなかったからいいよね。そういう友達って…」 白く固まっているボサノバくん。 れんげを含め、お客様たちからふられちゃいましたわと言われています。 告白する前にばっさりとでした。 2度も友達宣言されていました。 そいsて、お可哀相と言われます。 タライが頭上めがけて落ちてきています。 男として生活しなきゃなんないのに男からの恋愛感情なんか迷惑だよなと思っているボサノバくん。 それなら俺がせめて藤岡のためにしてやれることは―… 「ず…ずっと友達だ、俺たちは。な?」 「うん」 涙を流している双子とハニー先輩、お客様たち。 感動をありがとうと言い、ボサノバくんに駆け寄っていきます。 そして、お客様も双子もハニー先輩も、ボサノバくんの友達になりました。 れんげは涙を拭きながら、萌え萌え桜蘭日記第11号で特集を組んであげますわと言います。 「ボサノバくんの気持ちを考えるとちょっと胸が痛む」 「それはおかしいな。お前はお父さんなんだろう?男として彼への共感で胸を痛ませる理由などいはずだが」 皆で缶蹴りをしています。 鬼はボサノバくんです。 数を数えています。 ハルヒとハルヒが隠れているところに双子と鏡夜がやって来ます。 2人だけの隠れ家なんだぞと言う環。 そんなこと決めるな、何で2人で隠れなきゃいけないのかと言う双子。 お父さんなら娘と隠れるのが当然だと言う環。 必然性がないと言う鏡夜。 静かにするように言うハルヒ。 「ヒカちゃんは発展途上型の無自覚さんだけど、タマちゃんは明らかにハルちゃんを好きなのに自分じゃ分かってない超鈍感さんって事でいいのかな?」 「ああ…」 「問題はカオちゃんと鏡ちゃんだよね。僕はこの2人の中にもタマちゃんと同じ無自覚さんが隠れてると思うけど、こんな調子で僕等が卒業するまでに少しは進展するのかな?」 「さぁな…」 第23話完 |