交流パターン分析ここでは、対人関係のからくりを交流パターンから分析し見つけ出し解決へと繋げる方法を考える。人間は他人と接する時、自我状態が親(P)・大人(A)・子供(C)の「3つ自分」のうち、いずれかの部分を主に使って交流している。自分がどの部分を主に使って交流しているかを分析し、自分を知る事が対人関係での問題解決をする目的である。 自分がどの自我状態からメッセージを発しているかという事を自覚していると、話相手の自我状態を受け止めるのが上手になってくる。「どうも人間関係がうまくいかない」と感じる時は、自分に原因がないかどうかを振り返り、「相補的交流」になるよう心がける。 ただ、対人関係が下手なのは、自分一人の責任ではないと言う事。親から受け継いだものもかなり多い。出来れば親子で考える方が良い。場合によっては祖父母の代からのものもあるので、案外根が深いものがある。その現実を社会も知っていく必要がある。 今回は日常生活の中で人と交わす会話パターンを3つ考える。( )内は自我状態を表す。 1.会話がスムーズに運ぶ 相補的交流(○平行のコミュニケーション) 自分と相手とのやり取りが相補的で、こちらが送ったメッセージに予想通りの反応が返ってくるパターン。会話が弾み、感情的対立は起こらない。交流パターンで最も望ましい形である。 P(親)・A(大人)・C(子供)のいずれの自我状態から送られたメッセージに対しても、予想通りの反応が戻ってくるもの。会話はスムーズに流れ、感情的対立も起こらない。 例1)A「息抜きにお茶飲みに行こうか。」(C→C) B「そりゃいい、賛成!」 (C→C) (Cから発せられたメッセージを相手のCが受ける) 例2)子「お母さん、テストで90点取ったよ」(C→P) 親「そう!偉かったね。」 (P→C) (CからPに発せられたメッセージが、PからCに戻る) 問題:この会話を更に繋げてみる。 例1の場合、「どこへ行こうか?」と言われたら、どう返すのがベストか考えてみる。 問題:例2で、子供のメッセージに対し、親が「前より悪かったね」「○○ちゃんはどうだったの?」などと返したら、どんな気持ちが考えてみる。また、それに似た気持ちになる返し方を考えてみる。 実践:相補的交流になるように心がける。そうでない事は予測して避ける(言わない)訓練をする。 2.会話が途絶えたり、けんかになってしまう 交差的交流(×の交流 コミュニケーション不全の疑い) 二人のやり取りが交差してしまうもので、ある反応を期待して言葉をかけたところ、予想外の反応が返ってきたために起こるパターン。多少は仕方ないが、いつもだったり、酷い場合は人間関係がこじれる原因になる事もある。 ある反応を期待して始めた交流が、予想外の反応が返ってきたために、途絶えたり、けんかになったりするもの。刺激と反応のベクトルが交差している状態。 例1)親「部屋を片付けなさい」(P→C) 子「そういうお母さんだって、掃除をサボっているくせに」(P→C) (PからCに発せられたメッセージに対して、相手もPで応える) 例2)部下「課長!今夜一杯どうですか?」(C→C) 課長「そんな暇無いね。何だいキミら遊びほうけて」(P→C) (部下のCから上司のCに発せられたメッセージに対して、上司のPから反応が返ってくる) 3.ことばの裏に本音が隠されている 裏面的交流(=ダブルバインド(板挟み) ×の交流 統合失調症の疑い) 相補的交流を行っているように見えて、実際は交差的交流をしている、二面性を持つパターン。表面(社会面)ではもっともらしい事を言っていても、裏面(心理面)にその意図や真意が隠されているもので、「本音とたてまえ」「あてこすり(あてつけ・皮肉)」などがその典型。 表面(社会面)ではもっともらしいメッセージを発しているが、裏面(心理面)にその意図や真意が隠されている交流。「ホンネとタテマエ」「あてこすり(あてつけ・皮肉)」「思わせぶり」などがこの例。 例1)A「まー、よくお似合いで」(A→A) 心の声(年甲斐も無くみっともない)(P→C) 表面上は社会的なAを装っているが、裏面はPからCにメッセージが発せられている 例2)親「お前たち、何時まで経っても子供だな」(P→C) 心の声(ホントは子供を頼りにしている)(C→P) 子「お父さん、頼りになりますヨ。」(C→P) 心の声(ホントは親父が心配なんだ)(P→C) 父親は、親の姿勢をとっているが(P→C)、本当は子供にすがる事で(C→P)安心しようとしている。子供は「親」の姿勢を受け入れ、同時にすがりたい気持ちも受け入れる。(暗黙の了解) 以上、交流パターンの分析です。ご自身に置き換えて、「相補的交流」を心がけ、より良い人間関係を! 参考文献:「よい人間関係をつくる交流分析」(財団法人パブリックヘルスリサーチセンター発行の抜粋) |