『鳥城あきら』作品■許可証を下さい■慰安旅行へ連れて行って■いや~~~、久々に面白い小説を見つけました。 お、卑怯者な水無月さん、滅多に確定しないのに、言いきりましたね。 久方ぶりに行ったレビューサイト様で、『昨年のイチオシ』とまで言ってらっしゃったので 「へ~~~、それなら買ってみようか。そう言えば、続巻の『慰安旅行に連れて行って』も出ていたみたいだし」 と、思い、購入してみましたところ 私のある部分の好みにピッタシでした。 ああ、『銀行員シリーズ』や、『しあわせにできる』みたいな、職業路線ってことですか??? ■お話は、とある中規模な化学製造会社の、とある工場のお話です。 「え~!工場?? で、登場人物が作業服???萌えね~~~~。」 と、最初は購入を躊躇しましたが、これが、ドンドン読めるんですね~♪ あ~~~vv、買って良かったvv。 え?『銀行員シリーズ』よりも面白いんですか?? ■大学を卒業した阿久津弘クンは、あえて中小企業のメーカーに就職し、研究室で働くこと3年。 会社初の大卒採用ということですが、必要と思えばたたきあげなオジサン達にも意見するという、美人ながら骨のある男子です。 しかしながら、製品の品質を上げ、製造工程の改善をしようとすれば、 当然、製造側のオジサン達と対立することも多く、 如何せん、現場経験がないもので、 机上の空論と片付けられそうになったりするのでした。 そこを、 製造(サイド)の若手、前原健一郎という男前な奴が うまーくオジサン達を懐柔してくれて、改善点などの意見が通ったりするわけなのですよ。 実は、この前原の、たっての頼みがあったからこそ 工場側は『ちゃんとした分析の出来る大卒』、弘を採用したのでした。 つまり、前原は製造サイドで、弘が検査・分析サイドで協力し、 会社を向上させて行く話らしいのですよ。 なるほど、銀行員は、目先の仕事はちゃんとこなしますが、会社の今後を見通した改善などは出てきませんものね。 これって、RPGにしても、面白そうですよね。縦糸が工場の拡大、もしくは利益率UP、もしくは環境破壊率ダウン。 横糸が同僚との恋愛って… ■カップル的には、この、大卒3年目の美人研究員、弘クンと 高卒7年目ながら、すでに3交代制工場クルーの一つの組のトップに立つ現場の若頭、前原の、 協力と対立を描いた話だといえます。 (ほら~~~vv 男対男だからさ~~、一応、仕事でもライバル視しちゃったりもするのヨ~。ホモならではの醍醐味よネ~。←急にカバちゃん言葉) でもでも、それ以前に、この子達の仕事の話がメチャクチャ面白いんですよ~~~~。 ■最初は、(経費削減の為に、フォークリフトのドライバーが定年退職した後、専門の人材が補充されないため) 研究室の弘にも 「自分の取りたい荷物は自分で取って下さい」 と、フォークリフトの運転許可証を取るように上から指示が出る話なんですよ。 現場の人間は、許可証がなくても、実際はフォークリフトなんかいつも動かしているのに 弘はほとんど経験がなくて、 前原に指導してもらうという経緯になるのですv。 ところが、話はそれだけではなくて、講習期間中にも 工場では異物混入(工程の途中で、製品の中に異物が混じった)という問題が起き、 それが市場に出たのか出てないのか つまりいつごろ出来た製品から危ないのか、在庫サンプルをざ~~~~っと何日もかけて調べたり、 工程のどの部分で異物が入ったか調べたりと 徹夜でいろんな部署がいろんな仕事をしている様子がくわしーく描かれていて、 「ふむふむ、工場ってーのは、こーんな問題の時は、こーんな部署がこーんな仕事をするのか???」 と、知らなかったことに新鮮な興味を抱き、大きく納得しながら読み進んだミラノなのでした。 ■他にも、クレームが出た時に、2人が協力し、汗みどろの努力をして、自社に責任のない事をはっきりと証明したりする話。 2冊目では、排水の悪化を環境保全化に指摘され、 今回も、弘の指示と、前原の行動力で、問題を解決するばかりか 今後の改良の足がかりにするなどの話等、 立派に『企業モノ』としても読み応えのある小説なのでした。 だから、社会人なお姉さんの方が楽しめるかな~~。この辺りまでなら、オットにだって自信を持って読ませられるぞ ■でもでも、面白いのは、それだけではなくって 2人のラブラブ進行度もしっかり描かれている点であります。 最初は、『男らしい行動派の攻め』前原の魅力がいまひとつかと思いました。 つまり、仕事は出来る奴なのはわかったから、男としてはどう魅力があるのよ!!!と、ちょっと疑問に思ったりもしたのですね。 でもでも、2冊を読んだあとでは 「前原、お前ってば、いちいち弘のカワイイ感謝の言葉やらにも欲情しちゃって…毎日自分を抑えるのに大変だったのね~~(もらい泣き)」 と、非常に好感を持って、見守るスタンスになっております。 『しあわせ』の久遠寺などより、ずーっと理解アーンド共感しやすいキャラです。 対する弘も、美人だという外見はすでにBLではお約束というか必要不可欠なのでスルーしますが 仕事やまわりの人に対する真摯な姿勢がエライのはもちろん 最初は苦手だった前原に、いちいちビビッテいるあたり、 どっても可笑しく、カワイイ子なんですよ。 (前原を避けていたら、回りの若手に『どうしたんですか??』と心配され、 「いやー、本当は仲良しなんだよ。」と、ごまかそうとあせり過ぎ、 「そう、ボクは前原さんのことを『健ちゃん』と呼んでいるくらいなんだから」 など、墓穴を掘るあたり、貴方もきっと、笑いが止まらないでしょう) この、当人は必死に真面目なのだけど、かもし出されてくる『可笑しさ』というものも絶妙でして、それもまた私の好みにヒットしたんですね。 1、しっかりした『お仕事』ストーリー 2、安易では無い二人の接近手法 3、全体を流れる可笑しさ これらのおかげで 『フジミ』のような『切なさ』や『ロマンチックさ』や『耽美』には程遠いものの、すごーく気にいったシリーズとなったのでした。 続きも雑誌に載ってるらしいので、 とっても楽しみでっす。 ジャンル別一覧
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